グロータックが取り扱うマージーンがリリースした最新のスパイダー型パワーメーター”PES-P505 Base”。4万円台というリーズナブルな価格設定のパワーメーターに秘められた性能を編集部員がインプレッション。



マージーン PES-P505 Base

2015年に中国の青島で設立されたブランドMagene(マージーン)。インドアバイクトレーナーやGPSサイクルコンピューター、レーダーテールライト、パワーメーター、心拍系センサーなど、多くの製品をラインアップしているブランドである。

マージーンのクランク型パワーメーターこれまで販売されていたP325 CS クランク型パワーメーターは両足できるものであったが、モデルチェンジに伴い販売が終了となった。そして、マージーンの新型スパイダー型パワーメーター"PES-P505 Base"が2023年5月からデリバリーが開始となった。

パワー計測精度は±1.5%

CNC加工が施された三つ穴の中空構造を採用したクランク

PES-P505 Baseはスパイダー型パワーメーターである。高精度なひずみゲージと加速度センサーを採用している。実際にトルクがかかる部分での計測方式のため、+1.5% のパワー測定精度で両脚合計のパワーを計測することが可能となっている。その他、パワーやケイデンス、左右バランス、ペダルスムーズネスが計測できる仕様。

クランク部分はPESクランクを採用。PESクランクは、精密なCNC加工を施された三つ穴の中空構造により、軽量で高剛性を実現している。クランク長は165mm、167.5mm、170mm、172.5mm、175mmと豊富なサイズ展開となっている。

チェーンリングには肉抜きが施される

PCDが110mmの4アームチェーンリングの互換性がある

純正チェーンリングのQEDスプリットチェーンリングセットは50-34Tと52-36T、53-39Tがラインアップ。さらに、PCDが110mmの4アームチェーンリングの互換性があるため、シマノのチェーリングなど好みのチェーンリングを使用できる。

アクスル径は24mmのスピンドルでシマノクランクと同様の規格となっているため、シマノコンポーネントを使用しているバイクであれば、取り付けにアダプターなどは不要。クランク交換のみですぐに使用できる。マニュアルキャリブレーションに加え、オートキャリブレーションとバックペダルキャリブレーションを搭載している日々の利便性も確保されている。

24mmのスピンドル

ANT+とBluetoothの通信規格に対応

IPX7の防水性を備えているため、雨の日のトレーニングやレースでも使用できる。ANT+とBluetoothの通信規格に対応しているため、多種多様なサイクルコンピューターで使用できる。

価格はスパイダー型パワーメーター"PES-P505 Base"が43,560円(税込)、純正チェーンリングのQED スプリットチェーンリングセットが11,220円(税込)である。取り扱いはグロータックだ。それでは、CW編集部員のインプレッションに移ろう。



ー編集部インプレッション

専用工具を使用しスパイダーアームを取り付けていく

これまでSRMやシマノ、パイオニア、FSAなどクランク式パワーメーター、ガーミンやワフーのペダル式パワーメーターをレースやトレーニングで使用してきたCW編集部部員の高木がマージーン PES-P505 Baseをテスト。

取付方法はまず右クランクシャフトとパワーメーター搭載のスパイダーアームを同梱されている専用工具を使用し取り付ける。そして、チェーンリングを取り付け、チェーンリングボルトを六角レンチの5mmと6mmを使用して、両方向から締めこんでいく。

マージーン PES-P505 Baseに純正のチェーンリングを取り付けてテストしていく

そこまで完了すれば、あとはシマノクランクと同じ。クランク取付ボルトは1.5N/m以下の力でトルクに気を付けながら締め込み、クランクサイドにあるM4のボルトを12~14N/mのトルクで締めるだけで取付が完了する。自分でメンテナンス作業を行なっている方であれば、交換作業は難易度が高すぎるということはない。

さて肝心の使用感。まずペダルをクリップしてみるとシマノDURA-ACE R9100のクランクよりもQファクターが広く感じた。計測してみるとR9100は146mmでマージーンは147mmとわずか1mmだが、ある程度の差を感じられるため、シビアに機材を検討する方は気をつけてもらいたい。因みにR9200やR8100はQファクターが148mmとなっているため新型シマノクランクを使用している方、Qファクターを狭めたいカスタムをしたい方にはお勧めだ。

変速もスムーズに行える

また、クランク長が165mm、167.5mm、170mm、172.5mm、175mmと様々な長さが用意され、パワーメーター選びに悩まれている女性などの強い味方になってくれるだろう。

ANT+とBluetoothの通信規格に対応しているため、サイクルコンピューターとのペアリングもスムーズにできる。スマートフォンアプリ"Magene Utility”をダウンロードし、アプリを開くとペアリングページが起動されるため、ペアリングも非常に簡単。

スマートフォンアプリ「Magene Utility」をダウンロード
アプリを開くとペアリングページが起動


使用中のパワーセンサーが表示される
パワーやケイデンス、バッテリー残量、左右バランス、ペダルスムーズネスをスマートフォンに表示される


クランクを回し、デバイスが起動している状態で、画面にデバイスのパワーやケイデンス、バッテリー残量、左右バランス、ペダルスムーズネスをスマートフォンで表示させることができるほか、ゼロキャリブレーションをすることができる。

今回はクランク長170mm、マージーンのチェーンリング50-34Tのコンパクトギア、シマノ DURA-ACE R9100の53-39Tの組み合わせでテストを行った。変速性能に関しては、純正のQED スプリットチェーンリングセットでもはスムーズに変速できシマノのチェーリングと同等の変速性能と感じる。

スプリントでも撓むことがない剛性を備える

クランクは1000Wを超えるスプリントでもたわむことのない剛性で、踏み込んだ瞬間に踏力が推進力に変換されている感覚がある。パワーメーターとしてのレンジは0〜2500Wまで対応しているので十分なスペック。パワーメーターから送信されるデータもレスポンスが良い。ホビーサイクリストからレース参戦をしているレーサーまで幅広いニーズに答えてくれるだろう。

充電は専用のコードをACアダプターに差し込み、クランクのスパイダー部にある充電端子に接続すると充電ができる。充電端子にはカバーがなく、磁石で引き寄せられるため、充電は接続部に充電端子を近づけるだけで簡単にできる。満タン充電時には200時間、稼働してくれるため充電するのを忘れてしまいそうだ。

接続部には磁石が搭載される
クランクのスパイダー部にある充電端子に接続すると充電ができる

計測できるのはパワーとケイデンス、左右バランス、ペダルスムーズネスとなっており、トルクやペダリング効率などは計測できないが価格も43,560円(税込)とパワーメーターを導入したいサイクリストにとって驚きの価格となっている。

パワーメーターの価格としては、パーツの価格が高騰している状況下であったとしても、ユーザーフレンドリーな価格設定であるため、パワーメーターを選択していくときに選択肢になってくるだろう。パワーメーターを導入してみたいサイクリストに是非使ってもらいたい。(インプレッション:高木三千成)



マージーン PES-P505 Base
計測方法:スパイダー型
重量:650g(170mm・チェーンリングなし)
パワー計測精度:±1.5%
稼働時間:200時間(満充電時)
通信規格:ANT+, Bluetooth
保護等級:IPX7
計測データ:パワー、ケイデンス、左右バランス、ペダルスムーズネス
パワーレンジ:0~2500W
ケイデンスレンジ:20~200rpm
クランクサイズ:165、167.5、170、172.5、175
対応:BBBB86,SHIMANO HOLLOWTECH II BSA/ITA(アクスル径:24mmスピンドル)
Qファクター:147mm
対応チェーンリング:110BCD SHIMANO 4アーム ロード用 ※SHIMANO GRX用チェーンリングは使用不可
価格:43,560円(税込)

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