2023/05/21(日) - 15:00
スペシャライズドが新たなロードバイク用タイヤS-Works Mondo を発表。耐久性を重視しつつ、軽い走行感を実現し、「最速のエンデュランスレースタイヤ」をコンセプトに掲げる意欲作をインプレッション。
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スペシャライズド S-Works Mondo (c)スペシャライズド・ジャパン
トレンドを牽引する最先端のレーシングバイクブランドとして、盤石の地位を築いているスペシャライズド。バイクだけでなく、ハンドルやホイール、サドルなど様々なパーツやエキップメントの分野においても一線級のプロダクトをラインアップしている。
中でも、ブランドのルーツでもあるタイヤは特別な存在だ。ワールドチームも使用するTURBOを筆頭に、世界でもトップレベルのハイパフォーマンスタイヤをラインアップ。今回、その中に新たなエンデュランスレースモデルとなるS-Works Mondoが加わった。
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同クラスのタイヤに対し、非常に優れた実験結果をたたき出したという (c)スペシャライズド・ジャパン
スペシャライズドがS-Works Mondoで目指したのは、耐久性、全天候型のトラクション、 秀逸なパンク保護性能を実現しつつ、転がり抵抗の軽さといったライドパフォーマンスを持たせた最速のエンデュランスレースタイヤ。
レースだけでなく、ダートやグラベルを含むロングライドまで、ロードバイクという車種がカバーする範囲がかつてないほど広がっている現在、これまでのエンデュランスタイヤでは物足りないシーンが生まれてきている。どこにでも行け、どんな走り方にも応えてくれる、そんな新世代のオールラウンドタイヤとして、生み出されたのがS-Works Mondoだという。
GRIPTONが実現するクラス最高の転がり効率と優れたコーナーフィール
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スペシャライズドが誇るGRIPTONコンパウンド (c)スペシャライズド・ジャパン
スペシャライズド曰く、S-Works Mondoはエンデュランスロードタイヤとして最高レベルの転がり抵抗を実現。これまでの最高レベルのエンデュランスタイヤと比較しても11%もエネルギー損失を抑えることに成功しているという。
その秘訣となるのが、同社の誇るGRIPTONコンパウンド。ドイツのラボで生み出されたこのコンパウンドは超効率的で耐久性の高いT2 ロードコンパウンドから、ハイグリップのT9 マウンテンコンパウンドまで、用途に応じて最適化されている。
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T2/T5コンパウンドの性能比較 (c)スペシャライズド・ジャパン
このタイヤはセンターにT2コンパウンドを、ショルダー部にはウェットとドライ路面のグリップ性能に優れたT5 コンパウンドを採用するデュアルコンパウンド仕様となっている。
T2/T5ともに活性シリカを配合。最速かつ耐摩耗性に優れたT2 GRIPTONはT5よりも17%速いコンパウンドとなる一方、より柔らかなシリカを用いるT5コンパウンドはT2に比して10%優れたグリップ力を発揮する。この異なる性質のコンパウンドがシームレスに繋がることで、違和感の無いコーナーリングを実現した。
快適性を損なわず高い保護性能を発揮するタイヤストラクチャー
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適材適所に各素材が配置される (c)スペシャライズド・ジャパン
エンデュランスタイヤとして重要視されるのが、パンクに対するプロテクション性能だろう。高密度で強靭なアラミド繊維をクロスにすることで、旧仕様に比べて12%も耐パンク性を向上させた最新のBlackbeltをトレッド下に配置。
一方、リム打ちによるパンクやサイドウォールのカットを防ぐためには、編み込みのポリアミドパネルをサイドウォールに2枚重ねるGrid Raceプロテクションが配置されている。
この2つの異なる素材を用いるのは、耐パンク性と柔軟性を同時に実現するため。異物の突き刺しが想定されるトレッド面には高密度かつ強靭なBlackbeltブレーカー、しなやかさに直結するサイドウォールには柔軟性に優れたオープンメッシュのGrid Raceプロテクション、というように適材適所の設計が与えられている。
軽量かつ、作業性も良好 エンデュランスタイヤに求められる性能を網羅
これらの特性を高次元で確保しつつ、同クラスのエンデュランスタイヤよりも5%軽量に仕上げられているという。そして、チューブレスタイヤとして求められる作業性や気密性についても高いレベルで備えている。
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既にレースでも優れた成績を収めている (c)スペシャライズド・ジャパン
高い気密性を備えるS-Works Mondoは、安定した空気圧のまま10時間以上乗り続けられるという。120TPIのしなやかなケーシングに組み合わせられたビードには超高強度のナノファイバーを織り込むことで、タイヤを保持する際に必要十分な強度を実現。フックレスリム、フックドリムのどちらにおいても好みの空気圧に設定できる仕様となっている。
相反する様々な要素をこれまでにないレベルで兼ね備えるS-Works Mondo。スペシャライズドのロードタイヤのプロダクトマネージャーであるオリバー・キーゼルは、以下のようにコメントしている。
「今日のあらゆるロードライダーのニーズに合わせてS-Works Mondoを設計しました。客観的に見ても、これまで開発したロードタイヤの中で最もワクワクする製品の一つです。レースタイヤのように速くて軽さを感じられ、同時に頑丈で快適で楽しく乗れるタイヤを目指しました。このタイヤは舗装路、比較的スムースなグラベル、過酷な石畳など、どんな路面も自信を持って効率よく走れるよう、すべてのライダーに向けて作られています」
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舗装路とダートが入り混じる、ベルギー・ワッフル・ライドサンディエゴでラッセル・フィンスターワルドが優勝 (c)スペシャライズド・ジャパン
また、既にこのタイヤは実際のレースにおいてもその性能を証明済み。舗装路とダートが入り混じる、ベルギー・ワッフル・ライドサンディエゴでラッセル・フィンスターワルドが優勝。ワールドチームがパヴェのクラシックで用い、ウルトラサイクリストのジャック・トンプソンによる、1年で1,000,000mを登る世界記録の達成にも貢献している。
このように、様々な用途をカバーするS-Works Mondo 2Bliss Ready T2/T5は、28㎜、32㎜、35mmという3つのタイヤ幅で展開される。
それでは、一足先にこのタイヤをテストしていた綾野真によるインプレッションをお届けしよう。
インプレッションby綾野真(シクロワイアード編集長)
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別府からやまなみハイウェイで阿蘇までの山岳路を走った100kmでインプレッション photo:Makoto AYANO
発売前のMONDOタイヤの提供を受けてロングツーリングを走ってのインプレをお届けしよう。チョイスしたのは32cの太さ。組み付けたホイールはマヴィック・キシリウムSL(リムの内幅は19mm)。パッケージ裏にはタイヤ太さごとの推奨リム幅と、組み付けた際の実効タイヤ幅の記載があるのは親切だ。
32cの太さがあれば組み付けは簡単で、シーラント40ccほど注入。しばらく使って空気圧は体重60kgで4気圧ほどを基準にした。
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バイクパッキング仕様で重量もかさむが、パンクなどのトラブルはゼロ photo:Makoto AYANO
サイド部まで頑丈そうで見た目に重そうなタイヤだがシュワルベPRO ONE TLE(チューブレスレディ)比較で+5gと、重いタイヤではない。E-BIKE対応と聞いて心配したのがロードバイクに使うには硬くて丈夫すぎるタイヤではないかということ。コンパウンドは肉厚のせいかわずかに硬めな感触はあるが、ケーシングのおかげか、しなやかさが高くて好感触だ。ターボコットンに良く似た乗り心地で、よりしっかり感があるような印象。
タイヤ全体にコシが強くて低圧でもサイドにヨレが出にくい。そして2.5気圧から5気圧まで、低圧から空気圧を高めても不快感が出にくいので、使える空気圧幅がかなり広い印象だ。つまり荒れた路面からスムーズな路面まで、空気圧を変化させて対応しやすい。
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タイヤ全体にコシが強くて低圧でもサイドにヨレが出にくい photo:Makoto AYANO
かなり転がりが良い走行感であるのにグリップ感もとても高く、コーナリングで滑る心配は無かったのはさすがS-WORKSロゴがあしらわれているだけのことはある。
別府からやまなみハイウェイで阿蘇までの山岳路で走った100kmで、バイクパッキング装備で重量のかさんだロードツーリングだったが、タフで軽く、グリッピーな走り心地からはヨレやブレ、パンクの心配をまったくしなかった。ライトグラベルを含むロードライドに、ハイエンドロードタイヤ並に走行性能を高く保ったまま耐パンク性が高いタフなタイヤなのでロードトレーニング用としても最高だと思う。
市場には丈夫さや耐久性に振ったタイヤはあるが、概して乗り心地や走行性能が低いものが多い。MONDOはそのどちらも高い次元で満たす、走って楽しくなる信頼度抜群のエンデュランスタイヤだ。
スペシャライズド S-Works Mondo 2Bliss Ready T2/T5
サイズ:700x28、700x32、700x35
ケーシング:120 TPI
ビード:折りたたみ可能、2Bliss Ready
コンパウンド:GRIPTON(R) T2/T5デュアルコンパウンド
耐パンク構造:GRID RACEおよびBlackBelt
700 x 28 mm、70-95 PSI、重量 約310g
700 x 32 mm、50-80 PSI、重量 約330g
700 x 35 mm、50-80 PSI、重量 約360g
価格:9,900円 (税込)
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中でも、ブランドのルーツでもあるタイヤは特別な存在だ。ワールドチームも使用するTURBOを筆頭に、世界でもトップレベルのハイパフォーマンスタイヤをラインアップ。今回、その中に新たなエンデュランスレースモデルとなるS-Works Mondoが加わった。
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スペシャライズドがS-Works Mondoで目指したのは、耐久性、全天候型のトラクション、 秀逸なパンク保護性能を実現しつつ、転がり抵抗の軽さといったライドパフォーマンスを持たせた最速のエンデュランスレースタイヤ。
レースだけでなく、ダートやグラベルを含むロングライドまで、ロードバイクという車種がカバーする範囲がかつてないほど広がっている現在、これまでのエンデュランスタイヤでは物足りないシーンが生まれてきている。どこにでも行け、どんな走り方にも応えてくれる、そんな新世代のオールラウンドタイヤとして、生み出されたのがS-Works Mondoだという。
GRIPTONが実現するクラス最高の転がり効率と優れたコーナーフィール
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その秘訣となるのが、同社の誇るGRIPTONコンパウンド。ドイツのラボで生み出されたこのコンパウンドは超効率的で耐久性の高いT2 ロードコンパウンドから、ハイグリップのT9 マウンテンコンパウンドまで、用途に応じて最適化されている。
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このタイヤはセンターにT2コンパウンドを、ショルダー部にはウェットとドライ路面のグリップ性能に優れたT5 コンパウンドを採用するデュアルコンパウンド仕様となっている。
T2/T5ともに活性シリカを配合。最速かつ耐摩耗性に優れたT2 GRIPTONはT5よりも17%速いコンパウンドとなる一方、より柔らかなシリカを用いるT5コンパウンドはT2に比して10%優れたグリップ力を発揮する。この異なる性質のコンパウンドがシームレスに繋がることで、違和感の無いコーナーリングを実現した。
快適性を損なわず高い保護性能を発揮するタイヤストラクチャー
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一方、リム打ちによるパンクやサイドウォールのカットを防ぐためには、編み込みのポリアミドパネルをサイドウォールに2枚重ねるGrid Raceプロテクションが配置されている。
この2つの異なる素材を用いるのは、耐パンク性と柔軟性を同時に実現するため。異物の突き刺しが想定されるトレッド面には高密度かつ強靭なBlackbeltブレーカー、しなやかさに直結するサイドウォールには柔軟性に優れたオープンメッシュのGrid Raceプロテクション、というように適材適所の設計が与えられている。
軽量かつ、作業性も良好 エンデュランスタイヤに求められる性能を網羅
これらの特性を高次元で確保しつつ、同クラスのエンデュランスタイヤよりも5%軽量に仕上げられているという。そして、チューブレスタイヤとして求められる作業性や気密性についても高いレベルで備えている。
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高い気密性を備えるS-Works Mondoは、安定した空気圧のまま10時間以上乗り続けられるという。120TPIのしなやかなケーシングに組み合わせられたビードには超高強度のナノファイバーを織り込むことで、タイヤを保持する際に必要十分な強度を実現。フックレスリム、フックドリムのどちらにおいても好みの空気圧に設定できる仕様となっている。
相反する様々な要素をこれまでにないレベルで兼ね備えるS-Works Mondo。スペシャライズドのロードタイヤのプロダクトマネージャーであるオリバー・キーゼルは、以下のようにコメントしている。
「今日のあらゆるロードライダーのニーズに合わせてS-Works Mondoを設計しました。客観的に見ても、これまで開発したロードタイヤの中で最もワクワクする製品の一つです。レースタイヤのように速くて軽さを感じられ、同時に頑丈で快適で楽しく乗れるタイヤを目指しました。このタイヤは舗装路、比較的スムースなグラベル、過酷な石畳など、どんな路面も自信を持って効率よく走れるよう、すべてのライダーに向けて作られています」
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また、既にこのタイヤは実際のレースにおいてもその性能を証明済み。舗装路とダートが入り混じる、ベルギー・ワッフル・ライドサンディエゴでラッセル・フィンスターワルドが優勝。ワールドチームがパヴェのクラシックで用い、ウルトラサイクリストのジャック・トンプソンによる、1年で1,000,000mを登る世界記録の達成にも貢献している。
このように、様々な用途をカバーするS-Works Mondo 2Bliss Ready T2/T5は、28㎜、32㎜、35mmという3つのタイヤ幅で展開される。
それでは、一足先にこのタイヤをテストしていた綾野真によるインプレッションをお届けしよう。
インプレッションby綾野真(シクロワイアード編集長)
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発売前のMONDOタイヤの提供を受けてロングツーリングを走ってのインプレをお届けしよう。チョイスしたのは32cの太さ。組み付けたホイールはマヴィック・キシリウムSL(リムの内幅は19mm)。パッケージ裏にはタイヤ太さごとの推奨リム幅と、組み付けた際の実効タイヤ幅の記載があるのは親切だ。
32cの太さがあれば組み付けは簡単で、シーラント40ccほど注入。しばらく使って空気圧は体重60kgで4気圧ほどを基準にした。
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サイド部まで頑丈そうで見た目に重そうなタイヤだがシュワルベPRO ONE TLE(チューブレスレディ)比較で+5gと、重いタイヤではない。E-BIKE対応と聞いて心配したのがロードバイクに使うには硬くて丈夫すぎるタイヤではないかということ。コンパウンドは肉厚のせいかわずかに硬めな感触はあるが、ケーシングのおかげか、しなやかさが高くて好感触だ。ターボコットンに良く似た乗り心地で、よりしっかり感があるような印象。
タイヤ全体にコシが強くて低圧でもサイドにヨレが出にくい。そして2.5気圧から5気圧まで、低圧から空気圧を高めても不快感が出にくいので、使える空気圧幅がかなり広い印象だ。つまり荒れた路面からスムーズな路面まで、空気圧を変化させて対応しやすい。
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かなり転がりが良い走行感であるのにグリップ感もとても高く、コーナリングで滑る心配は無かったのはさすがS-WORKSロゴがあしらわれているだけのことはある。
別府からやまなみハイウェイで阿蘇までの山岳路で走った100kmで、バイクパッキング装備で重量のかさんだロードツーリングだったが、タフで軽く、グリッピーな走り心地からはヨレやブレ、パンクの心配をまったくしなかった。ライトグラベルを含むロードライドに、ハイエンドロードタイヤ並に走行性能を高く保ったまま耐パンク性が高いタフなタイヤなのでロードトレーニング用としても最高だと思う。
市場には丈夫さや耐久性に振ったタイヤはあるが、概して乗り心地や走行性能が低いものが多い。MONDOはそのどちらも高い次元で満たす、走って楽しくなる信頼度抜群のエンデュランスタイヤだ。
スペシャライズド S-Works Mondo 2Bliss Ready T2/T5
サイズ:700x28、700x32、700x35
ケーシング:120 TPI
ビード:折りたたみ可能、2Bliss Ready
コンパウンド:GRIPTON(R) T2/T5デュアルコンパウンド
耐パンク構造:GRID RACEおよびBlackBelt
700 x 28 mm、70-95 PSI、重量 約310g
700 x 32 mm、50-80 PSI、重量 約330g
700 x 35 mm、50-80 PSI、重量 約360g
価格:9,900円 (税込)
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