2023/02/07(火) - 17:00
「この嬉しさを上手く言葉にできない」と繰り返したのは、優勝したマチュー・ファンデルプール(オランダ)。対するワウト・ファンアールト(ベルギー)は「最後先頭に押し出され混乱した。マチューには脱帽だ」と敗者の弁を述べた。熱戦を演じたライバル2人のコメントを紹介します。
優勝 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
いまの感情を言葉にすることは難しい。皆が予想したようにワウト(ファンアールト)とのスプリント勝負に持ち込まれた。本当に素晴らしい勝利。人生でトップ3に入るこの勝利を僕はきっと忘れないだろう。今日のレースはリラックスし、落ち着いて臨むことができた。それが勝つことができた秘訣だったと思う。
みんな僕がバリア(シケイン)でアタックすると思っていただろう。だが(フィニッシュまでの)コースは良く知っていたので、密かにスプリントを狙っていたんだ。勝利できて奇妙な感覚がする。言葉が上手く出てこないよ。
このレースのために厳しい準備を進め、振るわなかったレースもあったが、それらを乗り越えこの場にやってきた。だからトレーニング合宿でシーズン序盤に定めたテーマを一度リセットしたんだ。いまの気持ちをなんて表現すればいいのかわからない。とても嬉しい。その言葉に尽きる。
僕と彼(ファンアールト)との物語は皆が知っているところ。僕らは十数年に渡り競い合っているんだ。もしこのレースに僕と彼のどちらかしか出場していなかったら、これほどの盛り上がりではなかっただろう。互いが互いを高め合い、シクロクロスという競技をより高みへと引き上げた。シクロクロスでこれほどのレースは見たことがない。
時に互いのことを気にかけ合っていた。選手キャリアが終わる頃に僕らは、それまで繰り広げた幾多の勝負を誇りに思うことだろう。僕らが現在進行形で描いているのは、これ以上ないぐらいクールな物語だからね。
だけどこれで終わりじゃない。ロードシーズンも既に始まっているし、そこでまた彼とは対峙しなければならない。
2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー)
最高の雰囲気だった。本当に多くの観客が僕らに声援を送ってくれた。ラストラップに向かって高まっていく熱を感じ、最高の体験となったよ。このレースの勝者(ファンデルプール)が、レース開始直後から僕の限界を押し上げてくれた。とてもタフなレースだった。
勝利できず残念だが、だからといって慰めの言葉はいらない。今日のコースで最も速かったのがマチューだったということだ。最初の30分は彼のペースについていくのに必死だった。今日の僕は卑怯なライダーとして、彼の後ろについて走る運命だったんだ。
最も調子の良い選手が必ず勝つわけではないが、今日の僕は何も仕掛けることが出来なかった。レースを通して2番手からスプリントするイメージを持っていた。だから既存のシナリオ(作戦)なんて意味をなさないと思い、最後のスプリントに集中したんだ。
(最終盤で)先頭に押し出されて少し混乱した。でもそれがレースだし、タラレバになるが、前に出た瞬間にスプリントしていれば勝てるチャンスはあったはず。しかし、この展開に持ち込んだマチューに脱帽だよ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:Nobuhiko Tanabe
優勝 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
いまの感情を言葉にすることは難しい。皆が予想したようにワウト(ファンアールト)とのスプリント勝負に持ち込まれた。本当に素晴らしい勝利。人生でトップ3に入るこの勝利を僕はきっと忘れないだろう。今日のレースはリラックスし、落ち着いて臨むことができた。それが勝つことができた秘訣だったと思う。
みんな僕がバリア(シケイン)でアタックすると思っていただろう。だが(フィニッシュまでの)コースは良く知っていたので、密かにスプリントを狙っていたんだ。勝利できて奇妙な感覚がする。言葉が上手く出てこないよ。
このレースのために厳しい準備を進め、振るわなかったレースもあったが、それらを乗り越えこの場にやってきた。だからトレーニング合宿でシーズン序盤に定めたテーマを一度リセットしたんだ。いまの気持ちをなんて表現すればいいのかわからない。とても嬉しい。その言葉に尽きる。
僕と彼(ファンアールト)との物語は皆が知っているところ。僕らは十数年に渡り競い合っているんだ。もしこのレースに僕と彼のどちらかしか出場していなかったら、これほどの盛り上がりではなかっただろう。互いが互いを高め合い、シクロクロスという競技をより高みへと引き上げた。シクロクロスでこれほどのレースは見たことがない。
時に互いのことを気にかけ合っていた。選手キャリアが終わる頃に僕らは、それまで繰り広げた幾多の勝負を誇りに思うことだろう。僕らが現在進行形で描いているのは、これ以上ないぐらいクールな物語だからね。
だけどこれで終わりじゃない。ロードシーズンも既に始まっているし、そこでまた彼とは対峙しなければならない。
2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー)
最高の雰囲気だった。本当に多くの観客が僕らに声援を送ってくれた。ラストラップに向かって高まっていく熱を感じ、最高の体験となったよ。このレースの勝者(ファンデルプール)が、レース開始直後から僕の限界を押し上げてくれた。とてもタフなレースだった。
勝利できず残念だが、だからといって慰めの言葉はいらない。今日のコースで最も速かったのがマチューだったということだ。最初の30分は彼のペースについていくのに必死だった。今日の僕は卑怯なライダーとして、彼の後ろについて走る運命だったんだ。
最も調子の良い選手が必ず勝つわけではないが、今日の僕は何も仕掛けることが出来なかった。レースを通して2番手からスプリントするイメージを持っていた。だから既存のシナリオ(作戦)なんて意味をなさないと思い、最後のスプリントに集中したんだ。
(最終盤で)先頭に押し出されて少し混乱した。でもそれがレースだし、タラレバになるが、前に出た瞬間にスプリントしていれば勝てるチャンスはあったはず。しかし、この展開に持ち込んだマチューに脱帽だよ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:Nobuhiko Tanabe
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