2023/01/27(金) - 12:16
iRCタイヤがシクロクロス用タイヤインサート「INNER SAVER」(インナーセーバー)を発表した。チューブレスタイヤと併用することでリム打ちを防ぐとともに走行パフォーマンスを大きく向上させる「競技専用インサート」を実戦使用した。インプレッションとともに紹介する。
シクロクロス全日本選手権にあわせて発表されたタイヤインサート、iRC「INNER SAVER(インナーセーバー)」。チューブレスタイヤの内側に入れることで性能を向上させ、タイヤが大きな衝撃を受けた際に発生するリム打ちパンクやリムの破損リスクを低減してくれるアイテムだ。
「タイヤインサート」とは、マウンテンバイクではすでに多くの愛用者を獲得している発泡素材のコア(芯材)のこと。このINNER SAVERはシクロクロスの競技専用に開発されたことが大きな特徴で、チューブレスタイヤの内部にセットして使用することでより低圧での運用が可能になり、チューブラーの性能に肉薄することが製品のポイントとされる。タイヤ内部に芯材としてインサートが存在することでにリム打ちパンクを大幅に抑制し、リムの破損を防ぎ、パンクしてもある程度は走り続けられるランフラット・タイヤ的にも機能する。
CXレース専用に開発されたINNER SAVERは転がり抵抗が小さく、1本あたり40gと軽く、シーラントを吸わないことが特徴だ。
タイヤにセットした状態で空気圧を上げるとINNER SAVERは収縮し、タイヤの内面と干渉しなくなるという。それは素材に用いられるフォームが一般的なスポンジ等とは違う「独立気泡体」という特殊な構造をもつためで、タイヤ空気圧を1.5気圧にセットした場合に約60%ほどの体積にまで収縮するという。その結果、タイヤ内部とのズレや摩擦などで生じる転がり抵抗はほとんど増加しないという。
また構成するセルひとつひとつが独立した気泡体であることでシーラントを吸わない(染み込まない)ため、シーラントの効果には影響を及ぼさないという。そして1本あたり40gという重量は他社の同等製品より大幅な軽量化を達成している。
注意としては必ず専用のマルチウェイバルブを併用すること。通常のバルブを使用するとタイヤに空気を充填することはできるが、抜くことができなくなる(圧を下げられない)ためで、そのためには根本のエア噴出孔が横方向に空けられたバルブを使用する必要がある。
iRCタイヤの井上ゴム工業株式会社はウレタン、ゴム、プラスチック、複合材を扱う高分子化学製品メーカーである株式会社イノアックコーポレーションのグループ会社であり、日本で初めてウレタンフォームの生産を始めたイノアックのノウハウをもとに今回のINNER SAVERは開発された。タイヤインサートは「後発」であることで、既存の製品を越える製品開発を目指したという。
発表に先だち、12月4日に東海シクロクロス新城iRC TIREカップにおいてサポート選手やショップ関係者を集めたINNER SAVERの製品説明会が行われた。組付けの実際はその際の説明をもとに解説、そして実際にシクロクロスレースに出場して実戦使用したインプレッションをお届けする。
INNER SAVERの組付け
インナーセーバーは内幅15-23mmのリムに対して設計されており、チューブレス/チューブレスレディタイヤと組み合わせて使用する(チューブタイプのタイヤへの使用不可)。また必ずリム高に合った別売の専用バルブ(iRCマルチウェイバルブ)をあわせて使用する。
INNER SAVERの断面形状は「富士山」を天地逆にしたような形状となっている。尖ったほうがリム側になるように装着する。箱に入った製品状態は折り癖がついているため、時間に余裕があれば箱から出してしばらく放置しておくか、空リムにセットして綺麗な丸状になるよう伸ばすといいだろう(折れ癖があっても嵌めることに支障はない)。
まず専用バルブをセットし、タイヤのビードの片方を嵌めていく。ビード上げ時の滑りを良くする目的でリム側にフィッティングローションを塗布してから作業すると良い(ハンドソープや石鹸水、ビードワックスなどで代用が可能)。
片側のビードをはめた状態で、インナーセーバーをタイヤ内部に仕込んでいく。ねじれていないことを確認してビードをリムに嵌めこんでいく。キツければタイヤレバーを使用し、ビードの最後の嵌めこみがバルブ付近になるように作業する。
シーラントは30cc注入。インサートが邪魔をするためタイヤサイドから注入することは難しく、ビードの嵌め込みを済ませてからマルチウェイバルブのコアを外し、バルブからシーラントを注入することになる。バルブコアを再度取り付ける前にバルブ内にティッシュのこよりなどを挿してシーラントを除去するとその後の詰まりリスクを減らすことができるだろう。
チューブレスタイヤの組付けには一定のスキルが必要だが、インナーセーバーを内部に仕込むことで必然的にそれよりも難しくなる。形状的にリム側が絞れているため、組み付け時にビードに余裕がでるため嵌めやすい印象。素材が柔らかいのも嵌めやすさ向上に一役買っている。
会場にエアコンプレッサーがあったため使用したが、おそらくは手押しポンプでもビード上げは可能だったと思える。嵌めてしまえばそこからの難易度はチューブレスと同様。経験と自信がない人は技術のあるメカニックに頼るようにしたい。
CXレースで試した実戦インプレッション
まずはじめに筆者はヴィットリアのAIR-LINER GRAVEL(インプレ記事)を2シーズンに渡って使用してきた経験がある。それを使用してのメリットはリンク先の記事に記したとおりだが、1.4気圧ほどまで低圧にできること(もっと低くてもOK)がメリットで、グリップ力などタイヤ全体の性能が向上することを実感してきた。タイヤサイドのグリップが強力になって食いつきが良くなるため芝のキャンバーや急斜面を乗ったままクリアできたり、深いルーズな砂に玉石が混ざるコースでも1.1気圧といった超低圧でもスムーズに走れるなど、インサートのもつポテンシャルを感じてきた。感覚的なことはそれとの比較になる。
iRCインナーセーバーを装着した翌日に東海シクロクロス第2戦in新城iRC TIRE CUPのマスターズM2クラスに出場、実戦投入することに。
レースコースの一部となった「東郷ケッターパーク」はMTBトレイルで、シクロクロスバイクにとって難しいのは土の林間スラロームが連続するセクション。いたるところに木の根っこが露出し、リム打ちを誘う。
コーナーがテクニカルでかつ土であるためタイヤチョイスは前SERAC CX、後SERAC CX EDGEで行くことに。インナーセーバーをセットして前日試走で決めた前後1.6気圧でレースを走り、それでベストだった。結果はM2で優勝することができた。
インナーセーバーの印象は、非常に乗り心地がよく、底付き、リム打ちもしないので安心して走れる。硬めの芯の存在を感じることもなく、ソフト感をタイヤ全体に感じることができる状態のままタイヤの性能を全体的に引き上げていると感じる。
コーナーの根っこの上を強引に攻めてもリム打ちしないので、「美味しい空気圧」のまま走ることができる。インナーセーバーを使用しなかったとしても空気圧は同じ設定だったか、使うから0.1か0.2気圧程度下げるかといったところで、大きくは変わらない印象。コアの存在を感じないのがいい。
1本あたり40gと軽量なため、重量の増加分もほぼ感じることが無かった。これなら限られた状況だけでなく、ほぼこれでほとんどのレースを走ってメリットが有ると思う。砂利の上も速く、舗装の180°ターンでもサイドがヨレず、問題なかった。
ノーコアの場合、1.5気圧以下ではコーナーなどでよじった際にタイヤサイドがヨレたり、「ブリッ」とエア抜けするケースがあるため極力慎重に行くが、インナーセーバーを入れてあればそんな心配をすることなく、切り返しでも容赦なくホイールをねじ込んでいけた。結果コーナーは速かった。木の根っこにヒットさせても心配無かったし、段差も安心だ。余裕の無いレース中はとくに有効だ。
普段から荒れたコースでのレースには木の根っこや石など凹凸に弾かれないようアルミリムを選ぶことがあるが、リムを硬いカーボンにしてもタイヤとコアで吸収してくれるので、狙いたいレースなら軽いカーボンホイールを使いたいと感じた。
iRCのSERACに限らず、柔らかいケーシングのレースタイヤとの相性が良いはずだと思う。例えばChallengeなど平たいケーシングのTLRタイヤはビードフックのつくりが甘い(エッジが立っていない)ため、インナーセーバーを併せて使えばビードを内側からロックしてくれるため安心感を増してくれると思う。実際、後日SERACでは1.1気圧まで下げてもビード落ちの不安感はまったく無かった。
砂場レースのワイルドネイチャーやシクロクロス東京なら、できるだけ空気圧を低くしてSERAC EDGEやSAND系タイヤと組み合わせればかなり有利だと思う。砂場に特化したDUNE系チューブラーにも性能的に肉薄できると思う。
欠点としてはコアライナーをセットした状態でツーリング的な走りをする際にはパンク修理がすぐできない可能性がある(ランフラットだとしても)ので、気分的にはレース専用ホイールとなってしまうこと。
そして心配は長期間使ったときにコアがあることで(固着して)ビードが落としにくくなること。実際、コアを入れて2シーズン使ったあとにビードを外すのは非常に苦労した。ただしインナーセーバーはソフトで硬化しにくい素材で、かつ外しやすさ(はめやすさ)に配慮した形状になっているとのことで、その点の心配は減りそうだ。しかしなるべくレースシーズンが終了したら取り外して保管しておくのが固着や硬化を防ぐ良い方法だと思う。
また、パッケージにはキャッチコピーとして「パンクしても走れる」「リム破損を防止する」が主な用途として刷られているが、シクロクロスレースのパフォーマンス向上メリットで選ぶ製品のため、そのちぐはぐな印象が拭えない=普通のユーザーが誤解してしまうのでは?という心配をしてしまう。実際、ロード系インサートではネット通販の商品説明などでは間違った勧め方をしているケースの方が多い。これはインサート全体の懸念として。
iRCインナーセーバーはウレタンフォーム材の専門メーカーのノウハウと、iRCのバイシクルタイヤ開発陣の高い技術が結晶した製品だ。チューブレスのメリットをチューブラーを超えるまでに引き出すことができそうだと感じた。
iRC インナーセーバー(INNER SAVER) エアーインサート
参考価格:¥6,050(税込)
サイズ:700 × 32-33C
重量:40g
iRC フォーミュラプロ チューブレス マルチウェイバルブ
2本入り参考価格:50mm 2,750円/70mm 2,970円
バルブコア取り外し可能
バルブコアツール兼米式用変換アダプター付属
シクロクロス全日本選手権にあわせて発表されたタイヤインサート、iRC「INNER SAVER(インナーセーバー)」。チューブレスタイヤの内側に入れることで性能を向上させ、タイヤが大きな衝撃を受けた際に発生するリム打ちパンクやリムの破損リスクを低減してくれるアイテムだ。
「タイヤインサート」とは、マウンテンバイクではすでに多くの愛用者を獲得している発泡素材のコア(芯材)のこと。このINNER SAVERはシクロクロスの競技専用に開発されたことが大きな特徴で、チューブレスタイヤの内部にセットして使用することでより低圧での運用が可能になり、チューブラーの性能に肉薄することが製品のポイントとされる。タイヤ内部に芯材としてインサートが存在することでにリム打ちパンクを大幅に抑制し、リムの破損を防ぎ、パンクしてもある程度は走り続けられるランフラット・タイヤ的にも機能する。
CXレース専用に開発されたINNER SAVERは転がり抵抗が小さく、1本あたり40gと軽く、シーラントを吸わないことが特徴だ。
タイヤにセットした状態で空気圧を上げるとINNER SAVERは収縮し、タイヤの内面と干渉しなくなるという。それは素材に用いられるフォームが一般的なスポンジ等とは違う「独立気泡体」という特殊な構造をもつためで、タイヤ空気圧を1.5気圧にセットした場合に約60%ほどの体積にまで収縮するという。その結果、タイヤ内部とのズレや摩擦などで生じる転がり抵抗はほとんど増加しないという。
また構成するセルひとつひとつが独立した気泡体であることでシーラントを吸わない(染み込まない)ため、シーラントの効果には影響を及ぼさないという。そして1本あたり40gという重量は他社の同等製品より大幅な軽量化を達成している。
注意としては必ず専用のマルチウェイバルブを併用すること。通常のバルブを使用するとタイヤに空気を充填することはできるが、抜くことができなくなる(圧を下げられない)ためで、そのためには根本のエア噴出孔が横方向に空けられたバルブを使用する必要がある。
iRCタイヤの井上ゴム工業株式会社はウレタン、ゴム、プラスチック、複合材を扱う高分子化学製品メーカーである株式会社イノアックコーポレーションのグループ会社であり、日本で初めてウレタンフォームの生産を始めたイノアックのノウハウをもとに今回のINNER SAVERは開発された。タイヤインサートは「後発」であることで、既存の製品を越える製品開発を目指したという。
発表に先だち、12月4日に東海シクロクロス新城iRC TIREカップにおいてサポート選手やショップ関係者を集めたINNER SAVERの製品説明会が行われた。組付けの実際はその際の説明をもとに解説、そして実際にシクロクロスレースに出場して実戦使用したインプレッションをお届けする。
INNER SAVERの組付け
インナーセーバーは内幅15-23mmのリムに対して設計されており、チューブレス/チューブレスレディタイヤと組み合わせて使用する(チューブタイプのタイヤへの使用不可)。また必ずリム高に合った別売の専用バルブ(iRCマルチウェイバルブ)をあわせて使用する。
INNER SAVERの断面形状は「富士山」を天地逆にしたような形状となっている。尖ったほうがリム側になるように装着する。箱に入った製品状態は折り癖がついているため、時間に余裕があれば箱から出してしばらく放置しておくか、空リムにセットして綺麗な丸状になるよう伸ばすといいだろう(折れ癖があっても嵌めることに支障はない)。
まず専用バルブをセットし、タイヤのビードの片方を嵌めていく。ビード上げ時の滑りを良くする目的でリム側にフィッティングローションを塗布してから作業すると良い(ハンドソープや石鹸水、ビードワックスなどで代用が可能)。
片側のビードをはめた状態で、インナーセーバーをタイヤ内部に仕込んでいく。ねじれていないことを確認してビードをリムに嵌めこんでいく。キツければタイヤレバーを使用し、ビードの最後の嵌めこみがバルブ付近になるように作業する。
シーラントは30cc注入。インサートが邪魔をするためタイヤサイドから注入することは難しく、ビードの嵌め込みを済ませてからマルチウェイバルブのコアを外し、バルブからシーラントを注入することになる。バルブコアを再度取り付ける前にバルブ内にティッシュのこよりなどを挿してシーラントを除去するとその後の詰まりリスクを減らすことができるだろう。
チューブレスタイヤの組付けには一定のスキルが必要だが、インナーセーバーを内部に仕込むことで必然的にそれよりも難しくなる。形状的にリム側が絞れているため、組み付け時にビードに余裕がでるため嵌めやすい印象。素材が柔らかいのも嵌めやすさ向上に一役買っている。
会場にエアコンプレッサーがあったため使用したが、おそらくは手押しポンプでもビード上げは可能だったと思える。嵌めてしまえばそこからの難易度はチューブレスと同様。経験と自信がない人は技術のあるメカニックに頼るようにしたい。
CXレースで試した実戦インプレッション
まずはじめに筆者はヴィットリアのAIR-LINER GRAVEL(インプレ記事)を2シーズンに渡って使用してきた経験がある。それを使用してのメリットはリンク先の記事に記したとおりだが、1.4気圧ほどまで低圧にできること(もっと低くてもOK)がメリットで、グリップ力などタイヤ全体の性能が向上することを実感してきた。タイヤサイドのグリップが強力になって食いつきが良くなるため芝のキャンバーや急斜面を乗ったままクリアできたり、深いルーズな砂に玉石が混ざるコースでも1.1気圧といった超低圧でもスムーズに走れるなど、インサートのもつポテンシャルを感じてきた。感覚的なことはそれとの比較になる。
iRCインナーセーバーを装着した翌日に東海シクロクロス第2戦in新城iRC TIRE CUPのマスターズM2クラスに出場、実戦投入することに。
レースコースの一部となった「東郷ケッターパーク」はMTBトレイルで、シクロクロスバイクにとって難しいのは土の林間スラロームが連続するセクション。いたるところに木の根っこが露出し、リム打ちを誘う。
コーナーがテクニカルでかつ土であるためタイヤチョイスは前SERAC CX、後SERAC CX EDGEで行くことに。インナーセーバーをセットして前日試走で決めた前後1.6気圧でレースを走り、それでベストだった。結果はM2で優勝することができた。
インナーセーバーの印象は、非常に乗り心地がよく、底付き、リム打ちもしないので安心して走れる。硬めの芯の存在を感じることもなく、ソフト感をタイヤ全体に感じることができる状態のままタイヤの性能を全体的に引き上げていると感じる。
コーナーの根っこの上を強引に攻めてもリム打ちしないので、「美味しい空気圧」のまま走ることができる。インナーセーバーを使用しなかったとしても空気圧は同じ設定だったか、使うから0.1か0.2気圧程度下げるかといったところで、大きくは変わらない印象。コアの存在を感じないのがいい。
1本あたり40gと軽量なため、重量の増加分もほぼ感じることが無かった。これなら限られた状況だけでなく、ほぼこれでほとんどのレースを走ってメリットが有ると思う。砂利の上も速く、舗装の180°ターンでもサイドがヨレず、問題なかった。
ノーコアの場合、1.5気圧以下ではコーナーなどでよじった際にタイヤサイドがヨレたり、「ブリッ」とエア抜けするケースがあるため極力慎重に行くが、インナーセーバーを入れてあればそんな心配をすることなく、切り返しでも容赦なくホイールをねじ込んでいけた。結果コーナーは速かった。木の根っこにヒットさせても心配無かったし、段差も安心だ。余裕の無いレース中はとくに有効だ。
普段から荒れたコースでのレースには木の根っこや石など凹凸に弾かれないようアルミリムを選ぶことがあるが、リムを硬いカーボンにしてもタイヤとコアで吸収してくれるので、狙いたいレースなら軽いカーボンホイールを使いたいと感じた。
iRCのSERACに限らず、柔らかいケーシングのレースタイヤとの相性が良いはずだと思う。例えばChallengeなど平たいケーシングのTLRタイヤはビードフックのつくりが甘い(エッジが立っていない)ため、インナーセーバーを併せて使えばビードを内側からロックしてくれるため安心感を増してくれると思う。実際、後日SERACでは1.1気圧まで下げてもビード落ちの不安感はまったく無かった。
砂場レースのワイルドネイチャーやシクロクロス東京なら、できるだけ空気圧を低くしてSERAC EDGEやSAND系タイヤと組み合わせればかなり有利だと思う。砂場に特化したDUNE系チューブラーにも性能的に肉薄できると思う。
欠点としてはコアライナーをセットした状態でツーリング的な走りをする際にはパンク修理がすぐできない可能性がある(ランフラットだとしても)ので、気分的にはレース専用ホイールとなってしまうこと。
そして心配は長期間使ったときにコアがあることで(固着して)ビードが落としにくくなること。実際、コアを入れて2シーズン使ったあとにビードを外すのは非常に苦労した。ただしインナーセーバーはソフトで硬化しにくい素材で、かつ外しやすさ(はめやすさ)に配慮した形状になっているとのことで、その点の心配は減りそうだ。しかしなるべくレースシーズンが終了したら取り外して保管しておくのが固着や硬化を防ぐ良い方法だと思う。
また、パッケージにはキャッチコピーとして「パンクしても走れる」「リム破損を防止する」が主な用途として刷られているが、シクロクロスレースのパフォーマンス向上メリットで選ぶ製品のため、そのちぐはぐな印象が拭えない=普通のユーザーが誤解してしまうのでは?という心配をしてしまう。実際、ロード系インサートではネット通販の商品説明などでは間違った勧め方をしているケースの方が多い。これはインサート全体の懸念として。
iRCインナーセーバーはウレタンフォーム材の専門メーカーのノウハウと、iRCのバイシクルタイヤ開発陣の高い技術が結晶した製品だ。チューブレスのメリットをチューブラーを超えるまでに引き出すことができそうだと感じた。
iRC インナーセーバー(INNER SAVER) エアーインサート
参考価格:¥6,050(税込)
サイズ:700 × 32-33C
重量:40g
iRC フォーミュラプロ チューブレス マルチウェイバルブ
2本入り参考価格:50mm 2,750円/70mm 2,970円
バルブコア取り外し可能
バルブコアツール兼米式用変換アダプター付属
Amazon.co.jp