「不運が重なったツールだが、最高のフィナーレ」と第109回ツールのシャンゼリゼ決戦を制したヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)は語った。前向きに来年を見据える総合2位ポガチャルや3位のGトーマス、今大会の主役ファンアールトなどのコメントを紹介します。



区間優勝 ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)

カメラに勝利をアピールするヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)カメラに勝利をアピールするヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
信じられない。ここで勝つことは子どもの頃からの夢だった。これが現実だと分かるまでしばらく時間がかかりそうだ。これはチームによる勝利で、僕はただケーキの上にイチゴを載せただけ。アシストしてくれた彼らを誇りに思う。

ラスト1kmからはこれ以上ない位置取りができた一方で、ディラン(フルーネウェーヘン)はスプリント開始が早すぎてしまったようだね。僕は彼の後ろから理想通りのタイミングでスプリントを始めることができた。スプリンターの夢であるこのシャンゼリゼで勝利することができ、誇りに思うしスーパーハッピーだよ。

これ以上は望めないほどの結果。(ファンデルプールの棄権など)不運が重なり思い描いていたような大会にはならなかった。だが第15ステージとスプリンター最高の場であるここシャンゼリゼで勝つことができた。信じられないよ。

区間2位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)

ステージ2勝目を狙ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)ステージ2勝目を狙ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:Makoto AYANO
スプリントを開始するタイミングが早すぎたものの、あれ以上の走りはできなかっただろう。運が味方してくれる時があれば、今日のように2位の日もある。もちろん勝ちたかったがチームとしての強さを示すことができた。

たった7ヶ月前に契約を交わしたこのチームが、早くも世界一のリードアウトを見せたんだ。僕にビッグチャンスを与えてくれた彼らに、とても感謝している。

チームとして区間2勝を挙げることができて、誇りに思う。今日は勝てなかったものの、十分成功のツールと言える。今日はこれから祝福したい。

総合2位&マイヨブラン タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

3連覇を逃したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)3連覇を逃したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Makoto AYANO
フィニッシュの喜びは(総合優勝した時と)少し気持ちは異なるものの、そこまで大きく違わなかった。無事にフィニッシュすることができてハッピーだよ。チームメイト3人と力強い走りを見せることができた。今日のレースをとても楽しむことができた。

全体的に素晴らしいツール・ド・フランスとなったと言える。特にファンにとってエキサイティングかつ最高なレースとなったんじゃないかな。ヨナス(ヴィンゲゴー)はこの結果にふさわしいかつ、最も強い選手だった。僕自身がもっと強くなって来年のツールに戻ってくる。

負けたからといって僕が変わることもない。いつもと同じように、このスポーツのスピリットを楽しむだけ。今後数年はヨナスと僕の間で素晴らしい対決ができるだろうし、テレビを沸かせることができると思う

まだ次のことを考える余裕はないよ。とりあえす今日からの3日間はフィアンセ(ツール・ド・フランス・ファムに出場中のウルシュカ・ジガート)のサポートをする。だが4日後からは何の予定もない。明日からは彼女の応援をして、その後は家に帰って電話会社と事務的なやり取りしなければならないんだ。これが僕の人生。僕は普通の生活に戻るよ。

総合3位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

終盤に集団先頭に出る積極的な走りを見せたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)終盤に集団先頭に出る積極的な走りを見せたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:Makoto AYANO
厳しい結果となった昨年から復活し、僕の実力を疑う人たちを黙らせる走りができた。とても愉快だったよ(笑)。素晴らしいチームと成長して”素晴らしくなった”ファンのおかげで、今年のレースを楽しむことができた。またチームは本当に仲が良く、チームバスの雰囲気も良いものだった。

このツールで過去最高の数値を出すことができた一方で、(総合優勝した)2018年を上回ることができないものもあった。しかし登りでは伸びしろも感じでいた。だからこのままで終わることはできないと思っている。僕はキャリアの終わりに近づいている。だから残された時間から最大限に学び、同時にこの貴重でもある(現役という)時間を楽しみたい。

昨年の11月、妻に「来年のツールでアナタは総合表彰台に上がるだろう」と言われたんだ。そんな言葉を(昨年総合41位だった僕が)信じられるわけなかった。だけどいつも妻は正しいことを言う人なんだ。この結果はいつも僕を信じてくれる妻と息子、そしてこの3週間に渡って僕をサポートしてくれた人たちに贈りたい。どうやら僕の脚は、まだ終わってなんかいないみたいだね。

マイヨヴェール ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

家族の出迎えを受けるワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)家族の出迎えを受けるワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:Makoto AYANO
ファンタスティックな3週間となった。このチームの一員となることができたことを、とても誇りに思っている。僕たちは力強いチームであることを証明した。開幕前から僕たちはマイヨジョーヌとマイヨヴェールの獲得を宣言していた。そしてそれ以上の結果を得ることとなった。その事実にとても感動している。ツール・ド・フランスを総合優勝するチームのメンバーでいることは、子どもの時からの夢だったんだ。

ユンボ・ヴィスマのチームマネージャーであるリシャール・プルッへ氏

ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が遅れてチームメイトとフィニッシュヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が遅れてチームメイトとフィニッシュ photo:Makoto AYANO
これこそが我々が長きに渡り求め、努力してきたもの。6年前、僕たちは長期計画を立てた。我々は才能の育成や機材、スタッフ、知識、技術にお金と時間を費やしてきた。その努力が形となり、今日ひとまずのクライマックスを迎えた。しかしツール・ド・フランスでまさかこれほどまでの成果が現れるとは想像すらしていなかった。我々はマイヨジョーヌとマイヨヴェール、マイヨアポワ、ステージ6勝と総合敢闘賞を獲得することができた。

今回はユンボ・ヴィスマというチームには多くの人が関わっていることを改めて実感する機会となった。その人たちの献身性は高く、かけがえのないものだ。この成功を皆で喜び分かち合いたい。

来週からはスイッチを切り替え、早速来年のツール・ド・フランスに向けた準備に取り掛かる。

text:Sotaro.Arakawa

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