2022/07/06(水) - 12:04
まさに圧巻の独走劇。マイヨジョーヌ姿で逃げ切ったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)は「総合成績、そしてマイヨヴェールのどちらにも利点を見出せる作戦だった」とレースを振り返る。「あんなことができるのはユンボしかいない」と言うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)らのコメントも含めて紹介します。
ステージ優勝&マイヨジョーヌ:ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
このステージはツールが開幕するずっと前からマークしていたんだ。コースプロフィールを見れば分かるとおり、山は低いものの、ずっとアップダウンが続く。フィニッシュラインにはスプリントポイントが50点用意されているし、風が吹く中でヨナス(ヴィンゲゴー)とプリモシュ(ログリッチ)のために何か動くこともできると思っていた。最後の山岳で仕掛けることは、総合成績、そしてマイヨヴェールのどちらにも利点を見出せるものだったんだ。
ファンフーイドンクは今季何度か見せたように、登坂の序盤を力強く駆け上がった。彼の動きについていけたのはたった数名だったし、それを引き継いだべノートも非常に力強く、実際僕も彼の後ろで限界に達していたし、その時点で僕の後ろにいる集団の誰もが限界だった。
頂上を全開で踏んだらライバルがどうなっているかを確認しようと考えていて、単独になるのは予想外だったんだ。ヨナスとアダムが後ろにいたけれど、監督から僕らの総合リーダーはライバル勢と一緒に走っていると聞いていたので、ステージ優勝を狙うには最高の展開だった。
実際デンマークステージの集団スプリントで連続2位になったのは、悔しいけれど予想以上の結果だったんだ。簡単なその2日間よりも、フランスに渡ってからのステージの方が僕向きだと考えていた。もちろんマイヨジョーヌで勝つというモチベーションもあったけれど。
明日(のパヴェステージ)は実質的にヨナスとプリモシュがトラブルに遭わないようにすることが最も大切だ。ただし今日のステージも含め、ここまで僕たちは自信を高めているし、総合成績に変化をつけるトライを実行することもできるだろう。僕も含めてチームの半分は石畳適性のあるクラシックライダーだ。もちろんレース状況を見極めながらの話になるけれど、2人の総合成績を動かすトライができたら良いと思う。
ステージ2位:ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
この状況で誰かが集団を置き去りにして逃げ切るだなんて思ってもみなかった。フィニッシュしてから5m後に(クリストフ・ラポルトから聞いて)状況を知ったんだ。ワウトの走りがあまりにも凄くて彼が視界に入らなかった。どれだけすぐにリードを築いたかということだ。
僕の無線は動いたり動かなかったり。接続状況が悪くて何も状況が分かっていなかったし、僕の周りにいた誰もそのことを教えてくれなかった。恥ずかしいけれど、本当にあの状況から一人で逃げる選手がいるなんて思わなかった。不可能に思えることをワウトは成し遂げた。フィニッシュで驚かされたよ。最後の登坂は良いペースで登りきれたものの先頭からは離れていてアタックを確認できなかった。本当に凄いことが起こったと思う。
ステージ4位:アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
チームメイトたちが素晴らしい誕生日にしてくれた。特にスヴェンエリック・ビーストルムとアンドレア・パスクァロンのおかげで、僕はスプリンター勢の中で最高のリードアウトトレインを得ることができたんだ。彼らのアシストを受け、200m看板手前で真っ先にスプリント。ちょっと気持ちが先走りすぎたけれど、フィリプセンのような最速スプリンターに先んじることを確認したかったんだ。最終的に2人に追い抜かれただけと満足できる走りだった。そろそろスプリンターにとって疲れが出始める頃合いだから、それは逆に僕たちにとって好材料だ。次のチャンスに向けて再構築することができる。
総合3位&マイヨブラン:タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
ユンボがアタックした時に僕が何をしてたかって?集団内でポジション争いをしていたんだ(笑)。ああいうことが起きるだろうなとは思っていた。ワウトは明らかに全員を吹き飛ばすほどに強かったし、彼こそ今日の優勝にふさわしい。
デンマークステージよりもストレスの無い一日を過ごせたものの、終盤になるにつれてスピードが上がり、登坂に突入する頃はかなり混沌とした状況だったんだ。あの作戦を実行できるチームが一つあるとしたら、それはユンボだ。超絶に強い彼らだけが以前の再現をできると思っていたんだ。ワウトがヨナス・ヴィンゲゴーすら振り落として消えていったのを見て、集団がまとまるだろうと考えて心配することを止めた。
明日はより難しい一日になる。何もトラブルや落車に巻き込まれずビッグデイを走り切ることに期待したい。明日は楽しい一日になると思う。特にソファーで観戦している人にとってはね。
マイヨアポワ:マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
逃げてレース先頭を走るのは大好きだし、それ以上にまた5点も山岳ポイントを積み重ねることができた。これ以上何も望めないよ。12点目を取りに行く(=最終山岳でのポイント確保を目指す)かどうか悩んだけれど、そうしないことに決めた。このマイヨアポワを数日間着続けるためには十分なポイントがあると計算したんだ。(ミケル)モルコフは10年前にラ・プランシュ・ヴェルフィーネでマイヨアポワを失ったけれど、僕はもっと上手く立ち回りたい。そのためにはまだ数ポイントを取る必要があるものの、決して不可能じゃない。
バハモンテスが持っていた山岳ポイント連取記録を破ったとは知らなかったよ。だからといって彼より優れた選手だとも思わない。あと何日マイヨアポワを着れるかわからないけれど、この期間中にステージ優勝のチャンスにもトライしたいと思っている。
text:So Isobe
ステージ優勝&マイヨジョーヌ:ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
このステージはツールが開幕するずっと前からマークしていたんだ。コースプロフィールを見れば分かるとおり、山は低いものの、ずっとアップダウンが続く。フィニッシュラインにはスプリントポイントが50点用意されているし、風が吹く中でヨナス(ヴィンゲゴー)とプリモシュ(ログリッチ)のために何か動くこともできると思っていた。最後の山岳で仕掛けることは、総合成績、そしてマイヨヴェールのどちらにも利点を見出せるものだったんだ。
ファンフーイドンクは今季何度か見せたように、登坂の序盤を力強く駆け上がった。彼の動きについていけたのはたった数名だったし、それを引き継いだべノートも非常に力強く、実際僕も彼の後ろで限界に達していたし、その時点で僕の後ろにいる集団の誰もが限界だった。
頂上を全開で踏んだらライバルがどうなっているかを確認しようと考えていて、単独になるのは予想外だったんだ。ヨナスとアダムが後ろにいたけれど、監督から僕らの総合リーダーはライバル勢と一緒に走っていると聞いていたので、ステージ優勝を狙うには最高の展開だった。
実際デンマークステージの集団スプリントで連続2位になったのは、悔しいけれど予想以上の結果だったんだ。簡単なその2日間よりも、フランスに渡ってからのステージの方が僕向きだと考えていた。もちろんマイヨジョーヌで勝つというモチベーションもあったけれど。
明日(のパヴェステージ)は実質的にヨナスとプリモシュがトラブルに遭わないようにすることが最も大切だ。ただし今日のステージも含め、ここまで僕たちは自信を高めているし、総合成績に変化をつけるトライを実行することもできるだろう。僕も含めてチームの半分は石畳適性のあるクラシックライダーだ。もちろんレース状況を見極めながらの話になるけれど、2人の総合成績を動かすトライができたら良いと思う。
ステージ2位:ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
この状況で誰かが集団を置き去りにして逃げ切るだなんて思ってもみなかった。フィニッシュしてから5m後に(クリストフ・ラポルトから聞いて)状況を知ったんだ。ワウトの走りがあまりにも凄くて彼が視界に入らなかった。どれだけすぐにリードを築いたかということだ。
僕の無線は動いたり動かなかったり。接続状況が悪くて何も状況が分かっていなかったし、僕の周りにいた誰もそのことを教えてくれなかった。恥ずかしいけれど、本当にあの状況から一人で逃げる選手がいるなんて思わなかった。不可能に思えることをワウトは成し遂げた。フィニッシュで驚かされたよ。最後の登坂は良いペースで登りきれたものの先頭からは離れていてアタックを確認できなかった。本当に凄いことが起こったと思う。
ステージ4位:アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
チームメイトたちが素晴らしい誕生日にしてくれた。特にスヴェンエリック・ビーストルムとアンドレア・パスクァロンのおかげで、僕はスプリンター勢の中で最高のリードアウトトレインを得ることができたんだ。彼らのアシストを受け、200m看板手前で真っ先にスプリント。ちょっと気持ちが先走りすぎたけれど、フィリプセンのような最速スプリンターに先んじることを確認したかったんだ。最終的に2人に追い抜かれただけと満足できる走りだった。そろそろスプリンターにとって疲れが出始める頃合いだから、それは逆に僕たちにとって好材料だ。次のチャンスに向けて再構築することができる。
総合3位&マイヨブラン:タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
ユンボがアタックした時に僕が何をしてたかって?集団内でポジション争いをしていたんだ(笑)。ああいうことが起きるだろうなとは思っていた。ワウトは明らかに全員を吹き飛ばすほどに強かったし、彼こそ今日の優勝にふさわしい。
デンマークステージよりもストレスの無い一日を過ごせたものの、終盤になるにつれてスピードが上がり、登坂に突入する頃はかなり混沌とした状況だったんだ。あの作戦を実行できるチームが一つあるとしたら、それはユンボだ。超絶に強い彼らだけが以前の再現をできると思っていたんだ。ワウトがヨナス・ヴィンゲゴーすら振り落として消えていったのを見て、集団がまとまるだろうと考えて心配することを止めた。
明日はより難しい一日になる。何もトラブルや落車に巻き込まれずビッグデイを走り切ることに期待したい。明日は楽しい一日になると思う。特にソファーで観戦している人にとってはね。
マイヨアポワ:マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
逃げてレース先頭を走るのは大好きだし、それ以上にまた5点も山岳ポイントを積み重ねることができた。これ以上何も望めないよ。12点目を取りに行く(=最終山岳でのポイント確保を目指す)かどうか悩んだけれど、そうしないことに決めた。このマイヨアポワを数日間着続けるためには十分なポイントがあると計算したんだ。(ミケル)モルコフは10年前にラ・プランシュ・ヴェルフィーネでマイヨアポワを失ったけれど、僕はもっと上手く立ち回りたい。そのためにはまだ数ポイントを取る必要があるものの、決して不可能じゃない。
バハモンテスが持っていた山岳ポイント連取記録を破ったとは知らなかったよ。だからといって彼より優れた選手だとも思わない。あと何日マイヨアポワを着れるかわからないけれど、この期間中にステージ優勝のチャンスにもトライしたいと思っている。
text:So Isobe
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