5つの1級山岳で繰り広げられたツール・ド・ロマンディ頂上決戦。登坂スプリントをセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が制し、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア)が2位に。またデニスは最終日の個人TTを前に総合首位をキープしている。



序盤から逃げグループを形成した12名序盤から逃げグループを形成した12名 photo:A.S.O.
ツール・ド・ロマンディ2022第4ステージ コースプロフィールツール・ド・ロマンディ2022第4ステージ コースプロフィール photo:A.S.O.最終日を前にしたツール・ド・ロマンディ(2.UWT)第4ステージは、180.1kmという距離に1級山岳サン・リュック(距離4.6km/平均7.8%)や1級山岳レ・ポン(距離7.8km/平均6.2%)、1級山岳グリメンツ(距離6.2km/平均7.1%)などが詰め込まれた獲得標高差4,158mの難関山岳コース。総合優勝を狙うクライマーたちのアタックを、ユンボ・ヴィスマのハイペース牽引が抑え込んだ。

フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)がスタートしなかったこの日、逃げグループを形成したのは第1ステージの落車で総合タイムを失ったヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)やジェームス・ノックス(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)、オスカル・ロドリゲス(スペイン、モビスター)ら有力クライマーを含む12名。ここに山岳賞ジャージのクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・プレミアテック)は入ることができず、ユンボ・ヴィスマが牽引するメイン集団を4分程度のリードでコントロールした。

山岳を越える度に人数が減っていく逃げ集団では、トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)が順調に山岳ポイントを量産。最後から2つ目の1級山岳レ・ポンを前に逃げ集団から遅れていったものの、スクインシュは同じラトビアのニーランズから山岳賞ジャージ奪取に成功した。

この日もリーダージャージを着て走るローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ)この日もリーダージャージを着て走るローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
残り9km地点でアタックしたエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)残り9km地点でアタックしたエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos
最終登坂の1級山岳グリメンツ(距離6.2km/平均7.1%)に入ってもなお、レース先頭に残り続けたロドリゲスとイサギレ。小雨がぱらつくなか、セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)が牽引するプロトンからエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)が飛び出し、逃げの2人を交わして先頭へ。その一方で、クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック)やディフェンディングチャンピオンのゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)らが遅れていった。

メイン集団から最大17秒差をつけたルビオだったが、オーストラリア王者ジャージを着るルーク・プラップ(イネオス・グレナディアーズ)の懸命な追撃の前に残り300m地点で吸収。ここから勝負はリーダージャージのデニスを含む、クライマーたちによる登坂スプリントに持ち込まれた。

15名の集団のなか真っ先に腰を上げたのは、コロンビア王者のセルヒオ・イギータ(ボーラ・ハンスグローエ)だった。向かい風のなか頭を下げバイクを振るイギータのスピードには、唯一チームメイトのアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)が追従。そしてフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)やベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)を振り切ったイギータが勝利を挙げ、2位に入ったウラソフがワンツーフィニッシュを喜ぶ雄叫びを上げた。

フィニッシュ手前200mで先頭に出たセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)とアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)フィニッシュ手前200mで先頭に出たセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)とアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:A.S.O.
セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)の勝利を喜ぶアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)の勝利を喜ぶアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
「苦しかった今日のステージで掴んだ勝利の価値は大きい。実はアレルギーの影響で調子が良くなかったんだ。だが、他の選手たちよりも自分が強いと感じ、残り200mから全力でペダルを踏み込んだ。またアレックス(ウラソフ)が2位に入ったことも嬉しいよ。明日の個人タイムトライアルでアレックスが良い走りをして、良い順位を掴むことを祈っている」と、今季3勝目を挙げたイギータは語った。

リーダージャージのデニスはトップから3秒遅れでフィニッシュ。区間3位に入ったアユソは総合4位から2位まで順位を上げ、デニスに15秒差まで迫っている。翌日の最終第5ステージは15.84kmの個人タイムトライアル。残り10km地点から平均8%の登坂がフィニッシュまで続いていく。

ステージ優勝を飾ったセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)ステージ優勝を飾ったセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
ツール・ド・ロマンディ2022第4ステージ結果
1位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) 4:58:52
2位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
4位 ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)
5位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)
6位 マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)
7位 ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 セバスティアン・レイシェンバック(スイス、グルパマ・エフデジ)
9位 シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)
10位 カルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)
個人総合成績
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ) 17:27:01
2位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) 0:15
3位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) 0:18
4位 ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) 0:25
5位 ルーク・プラップ(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) 0:30
6位 ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:32
7位 セバスティアン・レイシェンバック(スイス、グルパマ・エフデジ) 0:37
8位 ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) 0:41
9位 シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス) 0:42
10位 ステフ・クラス(ベルギー、ロット・スーダル) 0:45
その他の特別賞
ポイント賞 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
山岳賞 トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)
ヤングライダー賞 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 グルパマ・エフデジ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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