レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)が圧倒的なリードアウトを披露し、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)がスプリント。ウルフパックが会心の1勝をバスク2日目にマークした。



雪が残る山岳地帯を駆け抜ける雪が残る山岳地帯を駆け抜ける photo:CorVos
イツリア・バスクカントリー2022第2コースプロフィールイツリア・バスクカントリー2022第2コースプロフィール https://itzulia.eus/スペイン、バスク地方を6日間に渡り駆け巡る「イツリア・バスクカントリー(2.UCIワールドツアー)」は、初日の短距離個人タイムトライアルを終えてマスドステージに切り替わる。

バスク州を飛び出し、お隣のナバラ州に踏み入れる第2ステージのコースはフィニッシュ手前26km地点で距離12kmオーバーの3級山岳を越え、そしてラスト500mから曲がりくねった5%勾配を駆け上がるパンチャー向けステージだ。

イバイ・アスラメンディ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)ら4名がエスケープイバイ・アスラメンディ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)ら4名がエスケープ photo:CorVos
プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)率いるユンボ・ヴィスマがメイン集団をコントロールプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)率いるユンボ・ヴィスマがメイン集団をコントロール photo:CorVos
この日はスタート直後の3級山岳で、地元を代表するエウスカルテル・エウスカディのイバイ・アスラメンディ(スペイン)ら、スペイン籍のワイルドカード出場チーム勢が示し合わせていたかのように1名ずつ乗せた逃げが決まった。

リーダーチームのユンボ・ヴィスマは集団をまとめつつ、先を逃げる4名に対して5分程度のリードを許した。序盤のカテゴリー山岳を連続先頭通過したイボン・ルイス(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が山岳ランキングで首位に立ち、翌日の山岳賞ジャージ着用権利を射止めている。

難関山岳こそ無いものの、距離207kmで獲得標高3,172mを稼ぐコースで先頭4名は順調にタイム差をキープし続けた。後半戦の3級山岳ガイナ峠(登坂距離12.6km/平均3.1%)も1分半差を維持したまま越え、緩斜面のダウンヒルではリードが2分台まで拡大。積極的にメイン集団を牽引するチームが現れず、残り13km地点を過ぎてもなおタイム差はそのままだった。

雪が残る3級山岳ガイナ峠を越えていく雪が残る3級山岳ガイナ峠を越えていく photo:CorVos
逃げグループから一人飛び出したイボン・ルイス(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)逃げグループから一人飛び出したイボン・ルイス(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) photo:CorVos
しかし逃げグループ内ではフレン・アメスケタ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)がローテーションを回さなくなり、人間関係がギクシャクしたことを見てルイスが単独先行に打って出る。一人になったルイスはレース終盤の丘陵地帯でハイペースを刻んだものの、遅れてペースアップしたメイン集団がぐいぐいと距離を縮めていく。

ルイスのリードは残り10kmで1分40秒、残り5kmで1分弱。グルパマFDJやクイックステップが猛然とペースアップしたことで、一時見えていた逃げ切りの可能性は途絶えてしまった。

山岳賞ジャージを着るレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)が、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)を従えて牽引を開始し、残り500m地点で粘り続けたルイスを吸収。異次元のスピードで飛ばすエヴェネプールは連続コーナー区間で他チームを一切寄せ付けず、そのまま最終ストレートへ。文句なしのリードアウトを得て、緩斜面登坂でスプリントしたアラフィリップがファビアン・ドゥべ(フランス、トタルエネルジー)を寄せ付けず勝ち切った。

抜群のリードアウトを得て勝利したジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)抜群のリードアウトを得て勝利したジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
春のクラシックレースで辛酸を舐め続けてきたウルフパックが、ここバスクで会心の1勝を獲得。「レムコは最後猛烈なペースを刻み、難しいコースレイアウトを完璧に攻略し正しいタイミングで僕を発射してくれた。僕の目標は1勝することだったので、これからのステージでは彼のために働きたい。今年は最高のスタートを切れずにいたけれど、自信を持って臨んでの結果だけにとても満足しているよ」と、1ヶ月に渡る調整を経て勝利を掴んだ世界チャンピオンは話している。

翌日からは17%、18%を超えるバスクらしい激坂が続く山岳ステージがやってくる。絶対的な好調ぶりを誇るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)に対し、エヴェネプールやアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がどう挑むかに注目が集まる。

総合首位を維持しているプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)総合首位を維持しているプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
イツリア・バスクカントリー2022第2ステージ結果
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) 5:04:35
2位 ファビアン・ドゥべ(フランス、トタルエネルジー)
3位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
4位 ユーゴ・ウル(カナダ、イスラエル・プレミアテック)
5位 オールイス・アウラール(コロンビア、カハルラル・セグロスRGA)
6位 ゴツォン・マルティン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
7位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
8位 ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)
9位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
10位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル)
個人総合成績
1位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 5:14:23
2位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:05
3位 レミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:16
4位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:18
5位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
6位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ) 0:20
8位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)
9位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)
10位 ベン・トゥレット(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:21
その他の特別賞
ポイント賞 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
山岳賞 イボン・ルイス(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)
ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
チーム総合成績 クイックステップ・アルファヴィニル
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos