2022/04/07(木) - 18:59
桜のつぼみもほころびきって、1年で最も美しい時期を迎えた3月末。西伊豆でロングライドイベント"プリマベーラ伊豆"が開催された。安全な大会運営と感染症対策を両立する新たな大会管理アプリ"Ridefield"を駆使し、安心して伊豆のハードなコースを楽しめるイベントとなっていた。
コロナ禍によって従来の形でのライドイベントの開催がめっきりと減ってきたここ2年。それでも、自転車というのは地域の魅力を知るには非常に魅力的なツールであることもあり、地域周遊型やスタンプラリー形式など様々な形でのイベントが行われてきた。
今回お邪魔したプリマベーラ伊豆伊豆は、その中でもいわゆるロングライドイベントのかたちを守りつつ、最新のアプリケーションと組み合わせることでスタート時やエイドステーションでの混雑を回避する取り組みを行った意欲的なイベントだ。
参加者は事前にRidefieldアプリをスマートフォンにダウンロード。各イベントにそれぞれ専用のページが用意され、エントリーした方のみログイン可能となっている。イベントのスタート地点に近づき、かつスタート時刻を過ぎると表示される「スタート」ボタンを押すことで、イベントに参加できるというシステムだ。
コース途中のポイントには通過確認用のQRコードが設置されており、アプリで撮影することで通過チェックが出来る。プリマベーラ伊豆では修善寺、月ヶ瀬、土肥、戸田およびスタートゴールという5つのエリアで通過チェックが必須とされた。
スタートゴール以外の各エリアでは、飲食店や道の駅、コンビニなど複数の休憩ポイントがチェックポイントとなっており、参加者それぞれのペース配分や好みに応じて好きなお店でグルメを楽しめるのも特徴だ。参加者には各店舗で使用できるクーポンが配布されており、エイドステーションの代わりに地元のお店を利用できるような仕組みとなっていた。
ちなみに、アプリは常にバックグラウンドで起動でき、常に位置情報を運営側と共有可能となっているため、安全管理にも力を発揮する。また、緊急通報システムもビルトインされており、自分や仲間がアクシデントに遭遇したときも、アプリを通じて連絡できるため安全面においても有益なアプリとなっている。
桜咲く春の伊豆へ 沼津サイクルステーション静浦東を出発!
そんな先進的な取り組みを取り入れたプリマベーラ伊豆のスタート地点となるのが、沼津サイクルステーション静浦東。狩野川放水路の河口近くに位置する旧静浦東小学校の校舎を利用した施設で、レンタサイクルやガイドツアーなどを行っており伊豆サイクリングの拠点の一つとなっている施設だ。
心配された天気も明け方からは雨もやみ、スタートするころにはところどころ青空も見えるほどに。アプリを用いたスタートとあって、会場からスタートする人もいれば、受付を済ませたのち駐車場で準備してそのままスタートする人など、様々だ。
スタート時間の縛りもほぼ無いので、7時ちょうどにスタートする人もいれば、スタート時間を過ぎてから会場に到着する人も。それぞれのペースでスタート出来るのは、会場の混雑も緩和出来るし、自由を旨とするサイクリストにとっても嬉しい仕組みだ。
海沿いのスタート地点からしばらく行くと、早速最初のヒルクライムが登場。伊豆半島の背骨を通る伊豆スカイラインの韮山峠IC方面へと向かう距離約8㎞、標高差約600mの登りは、今日初にして最大の峠となっている。
標高を上げるにつれて、霧が深くなっていき幻想的な風景に。晴れていればそれはそれは綺麗な景色だったのかもしれないが、これはこれでミステリアスな空気が面白い。豊かに表情を変えるのが伊豆半島の魅力で、それは今日1日だけでも体感できた。
えっちらおっちら、しかし最初の峠とあってまだまだ脚が残っているのでそれなりのペースでクリアすると、林の中を行くダウンヒル区間へと入っていく。リニューアル期間を経て再オープンした日本サイクルスポーツセンターをかすめつつ、修善寺の街へと降り立った。
この時点で山を一つ越えていることもあり、最初のチェックポイントでもあるセブンイレブンへピットイン。お店のウィンドウに貼られていたQRコードをアプリのカメラを向けると、すかさずチェックポイントの枠にスタンプが押された。これにて修善寺エリアの通過チェックは完了だ。
温泉地として名高い修善寺だが、この辺りの温泉地はそれだけではない。この日2つ目の登りに差し掛かるころ現れたのが原保温泉スタンドだ。なんとこちらは温泉の自動販売機で、ガソリンスタンドのように温泉を給湯できるのだ。ちなみに一番安い100円でも18L、次の250円だと一気に200Lと完全に浴槽を満たすのに十分な量になっている。サイクリング中にお世話になることは出来ないかもしれないけれど、温泉が生活に密着していることが感じられるスポットだ。
そして国士峠に向かう途中には伊豆らしい一面の山葵田が!大見川の清水を利用し、谷一杯を利用して栽培されている山葵田はほかではなかなか見れない風景だ。国士峠を越えると湯ヶ島エリアへ。こちらでもいくつかのチェックポイントがあり、中にはサイクリストフレンドリーなカフェも。
ここからは船原峠を越え、一路金山で有名な土肥の街へ。土肥からは海岸線沿いを走っていくこととなり、前半の山岳ルートと好対照な後半戦へと突入だ。土肥金山をはじめ、ここにもいくつかチェックポイントが用意されているが、ここはあえてコンビニで済ませて先を急ぐ。
狙うのはその先、戸田エリアの海鮮だ。やっぱり伊豆に来たからには新鮮な海産物を頂きたい。しかしランチタイムのラストオーダーの時間も迫ってきている。焦る私の前に立ちはだかるのが海岸線沿いのアップダウンだ。
もともと海底火山が隆起したという伊豆半島。つまり、海岸線だからといって平坦だとは限らないということだ。むしろ、切り立った崖のような部分のほうが多く、その上まで登っていかないといけないということである。
ランチへの情熱だけで、獲得標高約240mほどの登りを越えて戸田の街へとたどり着いた。今回お邪魔したのは、戸田のチェックポイントの中でも最も手前にあった魚清さん。駿河湾で取れた地魚、それも深海魚が売りということで、なんとお店にはタカアシガニの生け簀が!
タカアシガニって食べれるんだ、と驚きながらメニューを見るとさすがカニだけあっていいお値段である(笑)。この領収書を経理に出したら確実に呼び出しを食らう未来が待っているので、地魚がたくさん盛られていそうな刺身定食を注文。
立派なアジやマグロのほか、メギスやトロダコ、本エビといった他では食べられないネタもあり、大満足。サイクリストも良く訪れるそうで、帰り際にはボトルに水は要らないの?とお気遣いいただく一幕も。こういうの、嬉しいですよね。
海鮮に満足した後はゴールに向かって走るだけだ。とはいえ、もう一つ海岸線沿いのアップダウンをこなす必要がある。晴れていれば富士山も見えそうなアングルだが、あいにくこの日は雲に隠れていらっしゃった。その代わり、といってはなんだけれど警戒していた海風がほぼ無かったのは幸いだった。
ラストの15㎞程はほぼフラットな海沿いルート。ゴールが近づいてきたころに、気になる感じのカフェが登場。こちらのチェレステカフェは、120㎞コースのチェックポイントではないものの、実はサイクリストに所縁あるスポット。
メイン会場となった沼津サイクルステーションの運営に参画していたり、大磯クリテのMCを務めるケントさんが店主のカフェで、店内の壁には有名選手のサインがびっしり!ハンバーガーがイチオシとのことですが、刺身定食を食べてしまったので、今回はケーキとカフェオレを頂きました。
豪華なランチにデザートまでキメてしまい、満腹になってフィニッシュへ。7時半ごろにスタートし、ゴールしたのは16時半ごろ。ちょうど9時間ほど走って食べた計算だ。ちなみに私の後ろにもまだフィニッシュされていない方は結構いらっしゃり、皆さん思い思いに伊豆を満喫されていたようだ。
初導入となったRIDEFIELDアプリだが、参加者目線からすると便利であるしコースミスの心配も減るため、非常にありがたい。コースアウトしてしまった参加者には運営側から連絡も届くとのことで、至れり尽くせり。
一点だけ懸念点があるとすれば、アプリが常にバックグラウンドで起動している必要があるため、スマホのバッテリー消費量が激しいという点だろう。実際私も90㎞地点で電池残量が15%を切っていたためモバイルバッテリーで充電することになった。小さめで、出来ればPD規格に対応しているバッテリーを携行すれば休憩中にも十分給電できるだろう。
とはいえ、思いつくのはそれくらい。これから様々なロングライドイベントを開催する際に、RIDEFIELDのシステムがスタンダードになっていくとしてもおかしくないだろうと思えるくらい、ポテンシャルに満ちたアプリであることは間違いない。
text&photo:NaokiYasuoka
コロナ禍によって従来の形でのライドイベントの開催がめっきりと減ってきたここ2年。それでも、自転車というのは地域の魅力を知るには非常に魅力的なツールであることもあり、地域周遊型やスタンプラリー形式など様々な形でのイベントが行われてきた。
今回お邪魔したプリマベーラ伊豆伊豆は、その中でもいわゆるロングライドイベントのかたちを守りつつ、最新のアプリケーションと組み合わせることでスタート時やエイドステーションでの混雑を回避する取り組みを行った意欲的なイベントだ。
参加者は事前にRidefieldアプリをスマートフォンにダウンロード。各イベントにそれぞれ専用のページが用意され、エントリーした方のみログイン可能となっている。イベントのスタート地点に近づき、かつスタート時刻を過ぎると表示される「スタート」ボタンを押すことで、イベントに参加できるというシステムだ。
コース途中のポイントには通過確認用のQRコードが設置されており、アプリで撮影することで通過チェックが出来る。プリマベーラ伊豆では修善寺、月ヶ瀬、土肥、戸田およびスタートゴールという5つのエリアで通過チェックが必須とされた。
スタートゴール以外の各エリアでは、飲食店や道の駅、コンビニなど複数の休憩ポイントがチェックポイントとなっており、参加者それぞれのペース配分や好みに応じて好きなお店でグルメを楽しめるのも特徴だ。参加者には各店舗で使用できるクーポンが配布されており、エイドステーションの代わりに地元のお店を利用できるような仕組みとなっていた。
ちなみに、アプリは常にバックグラウンドで起動でき、常に位置情報を運営側と共有可能となっているため、安全管理にも力を発揮する。また、緊急通報システムもビルトインされており、自分や仲間がアクシデントに遭遇したときも、アプリを通じて連絡できるため安全面においても有益なアプリとなっている。
桜咲く春の伊豆へ 沼津サイクルステーション静浦東を出発!
そんな先進的な取り組みを取り入れたプリマベーラ伊豆のスタート地点となるのが、沼津サイクルステーション静浦東。狩野川放水路の河口近くに位置する旧静浦東小学校の校舎を利用した施設で、レンタサイクルやガイドツアーなどを行っており伊豆サイクリングの拠点の一つとなっている施設だ。
心配された天気も明け方からは雨もやみ、スタートするころにはところどころ青空も見えるほどに。アプリを用いたスタートとあって、会場からスタートする人もいれば、受付を済ませたのち駐車場で準備してそのままスタートする人など、様々だ。
スタート時間の縛りもほぼ無いので、7時ちょうどにスタートする人もいれば、スタート時間を過ぎてから会場に到着する人も。それぞれのペースでスタート出来るのは、会場の混雑も緩和出来るし、自由を旨とするサイクリストにとっても嬉しい仕組みだ。
海沿いのスタート地点からしばらく行くと、早速最初のヒルクライムが登場。伊豆半島の背骨を通る伊豆スカイラインの韮山峠IC方面へと向かう距離約8㎞、標高差約600mの登りは、今日初にして最大の峠となっている。
標高を上げるにつれて、霧が深くなっていき幻想的な風景に。晴れていればそれはそれは綺麗な景色だったのかもしれないが、これはこれでミステリアスな空気が面白い。豊かに表情を変えるのが伊豆半島の魅力で、それは今日1日だけでも体感できた。
えっちらおっちら、しかし最初の峠とあってまだまだ脚が残っているのでそれなりのペースでクリアすると、林の中を行くダウンヒル区間へと入っていく。リニューアル期間を経て再オープンした日本サイクルスポーツセンターをかすめつつ、修善寺の街へと降り立った。
この時点で山を一つ越えていることもあり、最初のチェックポイントでもあるセブンイレブンへピットイン。お店のウィンドウに貼られていたQRコードをアプリのカメラを向けると、すかさずチェックポイントの枠にスタンプが押された。これにて修善寺エリアの通過チェックは完了だ。
温泉地として名高い修善寺だが、この辺りの温泉地はそれだけではない。この日2つ目の登りに差し掛かるころ現れたのが原保温泉スタンドだ。なんとこちらは温泉の自動販売機で、ガソリンスタンドのように温泉を給湯できるのだ。ちなみに一番安い100円でも18L、次の250円だと一気に200Lと完全に浴槽を満たすのに十分な量になっている。サイクリング中にお世話になることは出来ないかもしれないけれど、温泉が生活に密着していることが感じられるスポットだ。
そして国士峠に向かう途中には伊豆らしい一面の山葵田が!大見川の清水を利用し、谷一杯を利用して栽培されている山葵田はほかではなかなか見れない風景だ。国士峠を越えると湯ヶ島エリアへ。こちらでもいくつかのチェックポイントがあり、中にはサイクリストフレンドリーなカフェも。
ここからは船原峠を越え、一路金山で有名な土肥の街へ。土肥からは海岸線沿いを走っていくこととなり、前半の山岳ルートと好対照な後半戦へと突入だ。土肥金山をはじめ、ここにもいくつかチェックポイントが用意されているが、ここはあえてコンビニで済ませて先を急ぐ。
狙うのはその先、戸田エリアの海鮮だ。やっぱり伊豆に来たからには新鮮な海産物を頂きたい。しかしランチタイムのラストオーダーの時間も迫ってきている。焦る私の前に立ちはだかるのが海岸線沿いのアップダウンだ。
もともと海底火山が隆起したという伊豆半島。つまり、海岸線だからといって平坦だとは限らないということだ。むしろ、切り立った崖のような部分のほうが多く、その上まで登っていかないといけないということである。
ランチへの情熱だけで、獲得標高約240mほどの登りを越えて戸田の街へとたどり着いた。今回お邪魔したのは、戸田のチェックポイントの中でも最も手前にあった魚清さん。駿河湾で取れた地魚、それも深海魚が売りということで、なんとお店にはタカアシガニの生け簀が!
タカアシガニって食べれるんだ、と驚きながらメニューを見るとさすがカニだけあっていいお値段である(笑)。この領収書を経理に出したら確実に呼び出しを食らう未来が待っているので、地魚がたくさん盛られていそうな刺身定食を注文。
立派なアジやマグロのほか、メギスやトロダコ、本エビといった他では食べられないネタもあり、大満足。サイクリストも良く訪れるそうで、帰り際にはボトルに水は要らないの?とお気遣いいただく一幕も。こういうの、嬉しいですよね。
海鮮に満足した後はゴールに向かって走るだけだ。とはいえ、もう一つ海岸線沿いのアップダウンをこなす必要がある。晴れていれば富士山も見えそうなアングルだが、あいにくこの日は雲に隠れていらっしゃった。その代わり、といってはなんだけれど警戒していた海風がほぼ無かったのは幸いだった。
ラストの15㎞程はほぼフラットな海沿いルート。ゴールが近づいてきたころに、気になる感じのカフェが登場。こちらのチェレステカフェは、120㎞コースのチェックポイントではないものの、実はサイクリストに所縁あるスポット。
メイン会場となった沼津サイクルステーションの運営に参画していたり、大磯クリテのMCを務めるケントさんが店主のカフェで、店内の壁には有名選手のサインがびっしり!ハンバーガーがイチオシとのことですが、刺身定食を食べてしまったので、今回はケーキとカフェオレを頂きました。
豪華なランチにデザートまでキメてしまい、満腹になってフィニッシュへ。7時半ごろにスタートし、ゴールしたのは16時半ごろ。ちょうど9時間ほど走って食べた計算だ。ちなみに私の後ろにもまだフィニッシュされていない方は結構いらっしゃり、皆さん思い思いに伊豆を満喫されていたようだ。
初導入となったRIDEFIELDアプリだが、参加者目線からすると便利であるしコースミスの心配も減るため、非常にありがたい。コースアウトしてしまった参加者には運営側から連絡も届くとのことで、至れり尽くせり。
一点だけ懸念点があるとすれば、アプリが常にバックグラウンドで起動している必要があるため、スマホのバッテリー消費量が激しいという点だろう。実際私も90㎞地点で電池残量が15%を切っていたためモバイルバッテリーで充電することになった。小さめで、出来ればPD規格に対応しているバッテリーを携行すれば休憩中にも十分給電できるだろう。
とはいえ、思いつくのはそれくらい。これから様々なロングライドイベントを開催する際に、RIDEFIELDのシステムがスタンダードになっていくとしてもおかしくないだろうと思えるくらい、ポテンシャルに満ちたアプリであることは間違いない。
text&photo:NaokiYasuoka