2022/03/17(木) - 16:08
愛媛県庁前に四国一周1,000kmサイクリングへの挑戦の始点を示す象徴となる「四国一周0kmモニュメント」が完成した。3月12日に開催された序幕セレモニーと、この日実際に四国一周に向けて出発したサイクリストたちとともに走ったレポートをお届けします。
愛媛県サイクリングプロジェクト事務局が主体となって推進する四国⼀周サイクリング。サイクリング大国である台湾との“自転車新文化”交流をきっかけに、台湾を⼀周する旅「環島(ホァンダオ)」にならって2017年3⽉に四国⼀周サイクリングルートを完成。同年11⽉にはCHALLENGE1,000kmプロジェクト」を開始。これまでに約3,500名がエントリーし、約1,300名が四国一周を完⾛してきた。
台湾との交流や、四国4県での連携を推進し「サイクリングアイランド四国」の実現を⽬指して先進的な取り組みを⾏ってきた愛媛県を“四国⼀周サイクリング誕生の地”として、愛媛県庁に「四国⼀周0km(ゼロキロ)モニュメント」が設置された。このモニュメントは(一財)自転車新文化基金會の協力を得て制作された。3月12日、関係者や四国一周サイクリングに実際に出発する参加者を愛媛県庁本館前に集め、モニュメントの除幕式とセレモニーが実施された。
四国4県を象徴する色の石で構成されたモニュメントは、県庁のファザード前の路面に埋め込まれるかたちで設置された。ジャージと同じ「渦」があしらわれ、「走行感」「一周」「交流」をイメージしてデザインされており、サイクリストたちがこの場所で記念撮影してから1,000kmの挑戦へと走り出していくことを想定しているという。
四国一周サイクリングを推し進めてきた中村時広愛媛県知事は「約10年前にしまなみ海道サイクリングのPRから始まったプロジェクト。第2段階として愛媛をサイクリングパラダイスへという動き、その後に愛媛以外の3県にも呼びかけての四国一周サイクリングの推進へと発展してきました。そして台湾とも姉妹関係を結ぶことになり、今日につながった。愛媛が拠点となっていることをアピールしていこうと考えました。さまざまな取り組みを行ってきた四国一周サイクリングプロジェクトは、まだまだ伸びしろがあると感じています。これからチャレンジするサイクリストの方には素晴らしい道のりを体感してほしい」と挨拶。
自転車新文化基金會会長の羅祥安(トニー・ロー)氏の代わりに出席し、感謝状を受け取った中村晃理事は「台湾一周の起点は台北市の松山駅で、四国一周も同じ名前の松山であることを嬉しく思っています。台湾一周、四国一周ともに盛り上げていきたい」と話した。
台湾と日本のハーフであり、四国と台湾の両島一周」を達成している四国一周サイクリングPR大使の一青妙(ひととたえ)さんは「四国一周0kmモニュメントはチャレンジするサイクリストにとって励みになると思う。これから0kmモニュメントをスタート地点として、ここで写真を撮ってから四国一周へ出発することでしょう。そして、四国と台湾一周の「環島(ファンダオ)」ダブルに挑戦して達成する人が増えていくことを願っています」と話した。
セレモニーの後、出席したサイクリストたち19人が0kmモニュメントから実際に四国一周サイクリングに走り出していく。プロジェクトではちょうどこの日から四国一周サイクリングを始める方を対象としたガイド付きツアー「はじめの“一走”は愛媛から『四国一周サポートRIDE』」をスタート。走行前にはプロサイクリストの門田基志さんらによる安全講習を開催。その後、脚力別のグループに分かれてサポートライダーの引率により、スタンプが設置されたチェックポイントになっている今治市の「道の駅今治湯ノ浦温泉」までライド。自信が持てない走り始めの約54kmを、上級者のサポートを受けつつ走ることでスムーズな挑戦へと導いてくれるプランだ。
四国一周サポートRIDE企画者の藤原康芳さん(愛媛県自転車新文化推進協会)は次のように話す。「四国一周を松山を起点に出発して欲しいという思いで企画を始めました。サポート付きで安全・安心に走りはじめていただきたい。今日はサポートライダーの方と走りながらいろんな話をして、知識もつけてこれからの旅を楽しんで欲しい」。
筆者もこのライドに自転車での実走で帯同、参加者たちと話をしながら一緒に今治まで走った。参加者の顔ぶれは様々だが、取材した数人・グループを紹介しよう。
「海外の方に四国を案内できるよう、新調したE-Bikeで走り始めます」藤岡美和さん
「普段はブロンプトンなど折りたたみ自転車に乗っているんですが、四国一周のためにE-Bikeを奮発して買いました。もともと海外のインバウンド向け通訳の仕事をしているんですが、まずは自分が四国一周を体験して、コロナが明けたら世界中の人に四国一周サイクリングを案内して走りたい」。
「四国に転勤した機会に、2年以内に一周したい」 川島卓修さん・靖子さんご夫妻
去年の7月に大阪から転勤して四国にやってきたという川島さん夫妻。旦那は7年の自転車経験があるが、奥さんは3年乗ってしばらく休んでいたという。「四国にいる間に一周してみたいとはじめました。月1回ぐらいのペースで、1年半から2年ぐらいあれば一周できるかな? というイメージで居ます。今日は今治まで走って温泉でも入って家に帰り、また違う日に今治から走ってみたい」。
「スタンプラリー感覚で楽しみたい」 茅原一斗さん、辻井智美さんペア
四国在住の茅原さん辻井さんカップルは1年半〜3年ぐらいかけてのゆるポタ気分で取り組みたいと言う。「一気には回れないので、週末を使ったスタンプラリー感覚で、暖かい気候のときに走りたいですね。チェックポイントになっている道の駅を全部回りたい」と、ネットではなくスタンプを収集する方法でのエントリーだ。
「今日は今治から豊浜まで行って、初めての輪行で帰ってきたい。その練習ですね」。
「一気に10日間ぐらいで一周します」 若者応援.pjの女子大生2人組
愛媛大学の女子大生である一ノ瀬さん、伊澤さんペアは大学生グループ向けの「若者応援プロジェクト」の企画に参加。「チームあいあい」として、この日をスタートに実際に一度で四国一周を一気に回る予定だ。
「10日間ぐらいで考えています。でもちょっとやっかいなのは香川に”まん防”が出ているので入県できず、徳島で待機になるかもしれないこと。でもこれからの旅が楽しみで仕方ありません」と話す。
初心者の2人は出発前にサドルバッグの取り付けに苦労し、パッドの付いたバイクパンツを履いていないことを心配されて、アドバイスを受けて途中の店で購入することを決意していた。2人の旅の様子は「若者応援プロジェクト」として、四国一周サイクリングのフェイスブック上でその日記を読むことができる。
セレモニーを終えて愛媛県庁を10時頃にスタートした一行は、松山市街を抜けて、伊予北条周辺から瀬戸内海沿いの道へ。道の駅・風早の郷 風和里で最初の休憩。ここではプロジェクト事務局により鯛めしおにぎりやいかの天ぷら、みかんジュースなど、どれも美味しい四国4県の補給食のおもてなしが待っていた。
四国一周の走行の証をスタンプで集める人は道の駅に設置されているスタンプをカードに押して集めることになる。道の駅にはサイクルラックやポンプも用意され、サイクリストをサポートしてくれる。
この先から道は海岸線近くに出る。のどかな瀬戸内海の風景がひろがり、天気も良く、気持ちよく走れる道だ。道を挟んで山側にはJR予讃線の電車が走る。瓦の生産で有名な菊間町へ。そして海の先にしなまみ海道を形成する島々が見えてきたら今治はもうすぐだ。
2つ目の道の駅、今治湯ノ浦温泉へ。ここでプロジェクトが企画した今日のイベントは終了するが、参加者たちはそれぞれの目的地へ。温泉でのんびりする人、サポートカーで松山へ帰る人、輪行で帰る人、その先へと進む人に分かれた。
四国一周サイクリングの推進を続ける愛媛県の取り組みに後押しされて、これからのいい季節に四国一周サイクリングにチャレンジする人がますます増えることだろう。
text&photo:Makoto AYANO
愛媛県サイクリングプロジェクト事務局が主体となって推進する四国⼀周サイクリング。サイクリング大国である台湾との“自転車新文化”交流をきっかけに、台湾を⼀周する旅「環島(ホァンダオ)」にならって2017年3⽉に四国⼀周サイクリングルートを完成。同年11⽉にはCHALLENGE1,000kmプロジェクト」を開始。これまでに約3,500名がエントリーし、約1,300名が四国一周を完⾛してきた。
台湾との交流や、四国4県での連携を推進し「サイクリングアイランド四国」の実現を⽬指して先進的な取り組みを⾏ってきた愛媛県を“四国⼀周サイクリング誕生の地”として、愛媛県庁に「四国⼀周0km(ゼロキロ)モニュメント」が設置された。このモニュメントは(一財)自転車新文化基金會の協力を得て制作された。3月12日、関係者や四国一周サイクリングに実際に出発する参加者を愛媛県庁本館前に集め、モニュメントの除幕式とセレモニーが実施された。
四国4県を象徴する色の石で構成されたモニュメントは、県庁のファザード前の路面に埋め込まれるかたちで設置された。ジャージと同じ「渦」があしらわれ、「走行感」「一周」「交流」をイメージしてデザインされており、サイクリストたちがこの場所で記念撮影してから1,000kmの挑戦へと走り出していくことを想定しているという。
四国一周サイクリングを推し進めてきた中村時広愛媛県知事は「約10年前にしまなみ海道サイクリングのPRから始まったプロジェクト。第2段階として愛媛をサイクリングパラダイスへという動き、その後に愛媛以外の3県にも呼びかけての四国一周サイクリングの推進へと発展してきました。そして台湾とも姉妹関係を結ぶことになり、今日につながった。愛媛が拠点となっていることをアピールしていこうと考えました。さまざまな取り組みを行ってきた四国一周サイクリングプロジェクトは、まだまだ伸びしろがあると感じています。これからチャレンジするサイクリストの方には素晴らしい道のりを体感してほしい」と挨拶。
自転車新文化基金會会長の羅祥安(トニー・ロー)氏の代わりに出席し、感謝状を受け取った中村晃理事は「台湾一周の起点は台北市の松山駅で、四国一周も同じ名前の松山であることを嬉しく思っています。台湾一周、四国一周ともに盛り上げていきたい」と話した。
台湾と日本のハーフであり、四国と台湾の両島一周」を達成している四国一周サイクリングPR大使の一青妙(ひととたえ)さんは「四国一周0kmモニュメントはチャレンジするサイクリストにとって励みになると思う。これから0kmモニュメントをスタート地点として、ここで写真を撮ってから四国一周へ出発することでしょう。そして、四国と台湾一周の「環島(ファンダオ)」ダブルに挑戦して達成する人が増えていくことを願っています」と話した。
セレモニーの後、出席したサイクリストたち19人が0kmモニュメントから実際に四国一周サイクリングに走り出していく。プロジェクトではちょうどこの日から四国一周サイクリングを始める方を対象としたガイド付きツアー「はじめの“一走”は愛媛から『四国一周サポートRIDE』」をスタート。走行前にはプロサイクリストの門田基志さんらによる安全講習を開催。その後、脚力別のグループに分かれてサポートライダーの引率により、スタンプが設置されたチェックポイントになっている今治市の「道の駅今治湯ノ浦温泉」までライド。自信が持てない走り始めの約54kmを、上級者のサポートを受けつつ走ることでスムーズな挑戦へと導いてくれるプランだ。
四国一周サポートRIDE企画者の藤原康芳さん(愛媛県自転車新文化推進協会)は次のように話す。「四国一周を松山を起点に出発して欲しいという思いで企画を始めました。サポート付きで安全・安心に走りはじめていただきたい。今日はサポートライダーの方と走りながらいろんな話をして、知識もつけてこれからの旅を楽しんで欲しい」。
筆者もこのライドに自転車での実走で帯同、参加者たちと話をしながら一緒に今治まで走った。参加者の顔ぶれは様々だが、取材した数人・グループを紹介しよう。
「海外の方に四国を案内できるよう、新調したE-Bikeで走り始めます」藤岡美和さん
「普段はブロンプトンなど折りたたみ自転車に乗っているんですが、四国一周のためにE-Bikeを奮発して買いました。もともと海外のインバウンド向け通訳の仕事をしているんですが、まずは自分が四国一周を体験して、コロナが明けたら世界中の人に四国一周サイクリングを案内して走りたい」。
「四国に転勤した機会に、2年以内に一周したい」 川島卓修さん・靖子さんご夫妻
去年の7月に大阪から転勤して四国にやってきたという川島さん夫妻。旦那は7年の自転車経験があるが、奥さんは3年乗ってしばらく休んでいたという。「四国にいる間に一周してみたいとはじめました。月1回ぐらいのペースで、1年半から2年ぐらいあれば一周できるかな? というイメージで居ます。今日は今治まで走って温泉でも入って家に帰り、また違う日に今治から走ってみたい」。
「スタンプラリー感覚で楽しみたい」 茅原一斗さん、辻井智美さんペア
四国在住の茅原さん辻井さんカップルは1年半〜3年ぐらいかけてのゆるポタ気分で取り組みたいと言う。「一気には回れないので、週末を使ったスタンプラリー感覚で、暖かい気候のときに走りたいですね。チェックポイントになっている道の駅を全部回りたい」と、ネットではなくスタンプを収集する方法でのエントリーだ。
「今日は今治から豊浜まで行って、初めての輪行で帰ってきたい。その練習ですね」。
「一気に10日間ぐらいで一周します」 若者応援.pjの女子大生2人組
愛媛大学の女子大生である一ノ瀬さん、伊澤さんペアは大学生グループ向けの「若者応援プロジェクト」の企画に参加。「チームあいあい」として、この日をスタートに実際に一度で四国一周を一気に回る予定だ。
「10日間ぐらいで考えています。でもちょっとやっかいなのは香川に”まん防”が出ているので入県できず、徳島で待機になるかもしれないこと。でもこれからの旅が楽しみで仕方ありません」と話す。
初心者の2人は出発前にサドルバッグの取り付けに苦労し、パッドの付いたバイクパンツを履いていないことを心配されて、アドバイスを受けて途中の店で購入することを決意していた。2人の旅の様子は「若者応援プロジェクト」として、四国一周サイクリングのフェイスブック上でその日記を読むことができる。
セレモニーを終えて愛媛県庁を10時頃にスタートした一行は、松山市街を抜けて、伊予北条周辺から瀬戸内海沿いの道へ。道の駅・風早の郷 風和里で最初の休憩。ここではプロジェクト事務局により鯛めしおにぎりやいかの天ぷら、みかんジュースなど、どれも美味しい四国4県の補給食のおもてなしが待っていた。
四国一周の走行の証をスタンプで集める人は道の駅に設置されているスタンプをカードに押して集めることになる。道の駅にはサイクルラックやポンプも用意され、サイクリストをサポートしてくれる。
この先から道は海岸線近くに出る。のどかな瀬戸内海の風景がひろがり、天気も良く、気持ちよく走れる道だ。道を挟んで山側にはJR予讃線の電車が走る。瓦の生産で有名な菊間町へ。そして海の先にしなまみ海道を形成する島々が見えてきたら今治はもうすぐだ。
2つ目の道の駅、今治湯ノ浦温泉へ。ここでプロジェクトが企画した今日のイベントは終了するが、参加者たちはそれぞれの目的地へ。温泉でのんびりする人、サポートカーで松山へ帰る人、輪行で帰る人、その先へと進む人に分かれた。
四国一周サイクリングの推進を続ける愛媛県の取り組みに後押しされて、これからのいい季節に四国一周サイクリングにチャレンジする人がますます増えることだろう。
text&photo:Makoto AYANO
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