2022/03/14(月) - 08:58
2年連続の悪夢を回避。精鋭グループからアタックしたサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が独走勝利を決め、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が第80回パリ〜ニース総合優勝に輝いた。
寒空ながら晴天続きのパリ〜ニースだったが、最終日はあいにくの雨。アームウォーマーやレインジャケットを着込んでスタートした89名のうち、フィニッシュラインにたどり着いたのは僅か59名のという悪条件のタフレースが繰り広げられた。
最終第8ステージは終着点ニースを発着する115.6kmに2級山岳×3つ、1級山岳×2つが詰め込まれた山岳ステージ。後半にかけて1級山岳ペイユ峠(6.6km/6.9%)と1級山岳エズ峠(6.1km/7.6%)を越え、テクニカルな下りをこなしニースに帰着するコースだ。
レースは序盤からポイント賞ジャージを着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が早速ハイペースで牽引を始めたため、逃げる選手は現れなかった。そのため既に山岳ポイントで大きくリードを得ていたヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマ・エフデジ)が山岳賞獲得を確定。総合8位につけるピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)はメカトラにより遅れ、その後の登りでスピードの上がったプロトンに追いつくことはできなかった。
レース中盤、1級山岳ペイユ峠の登りが始まると、ログリッチから1分遅れの総合3位につけるダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が動く。連日アシストとして好走するオマール・フライレ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)のペースアップからマルティネスがアタックすると、この動きで連日働き通しのユンボ・ヴィズマアシスト陣が崩壊。ログリッチ、ファンアールト、Sイェーツ、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)の5名による先鋭グループが形成された。
残り35km地点の中間スプリントをイェーツがトップ通過して-3秒を稼いだ直後にマルティネスの後輪がパンク。マルティネスは1分後方で追走する集団に合流したものの、優勝争いから脱落した。
フィニッシュまで19kmを残した1級山岳エズ峠で、キンタナのアタックを潰したイエーツが一拍を置いて自ら仕掛ける。この動きに対し、勝利した前日の疲れが残っているためか「万全の状態ではなかった」というログリッチが反応できず、アシストとして残ったファンアールトとともにマイペース走法に切り替えた。
ログリッチから47秒遅れの総合2位につけるイエーツが頂上を通過する頃には、キンタナが脱落した追走のログリッチとファンアールトの差は25秒まで拡大。ステージ優勝には-10秒のボーナスタイムが与えられるため、37秒差以内のフィニッシュを目指してファンアールトの牽引でログリッチが猛追する。
登りで得たリードを使いながら、テクニカルな下りをこなしたイエーツは、大会3年振りのニースにトップでたどり着いた。昨年大会で落車し、目の前で総合優勝を逃したログリッチは、ファンアールトに先導されながら9秒遅れでフィニッシュラインに到着。昨年悪夢を振り這う、フランスで初のステージレース総合優勝を決めた。
「とてもタフなステージだった。調子は良くなかったものの、僕には何でもできるワウトがいた。緊張を強いられる最後だったものの、僕たちは目標を達成することができた。総合優勝ができて嬉しいし、何よりも安心したよ」と、安堵の表情を浮かべたログリッチは喜びを語った。
そんなログリッチを焦らせ、ステージ優勝を射止めたイエーツは「総合優勝には届かないと思っていたので、今日はステージ優勝だけを狙っていた。47秒差をひっくり返すには大きなリスクのある攻撃が必要だからね。エズ峠でキンタナが良いテンポで登り、ログリッチとファンアールトとスプリントはしたくなかったので仕掛けた。どうなるか分からなかったがトライした。作戦なんてなかったよ」と笑顔で語る。今大会のイエーツは第4ステージの個人タイムトライアルで好走し、登りでも持ち前の強さを見せるなど出場予定のジロ・デ・イタリアに向けて好調を見せている。
ログリッチの総合優勝に貢献しながら、マイヨヴェールを獲得したファンアールト。「できるだけ長くプリモシュ(ログリッチ)のそばにいるように走った。難しい瞬間もありながら、最後はフィニッシュに向かって全力で踏み込むだけだった。僕の目標であるグリーンジャージを獲得できたとともに、プリモシュが総合優勝を掴んだことに興奮しているよ」と、今年のツール・ド・フランスでポイント賞を目指すと宣言しているファンアールトは語った。
寒空ながら晴天続きのパリ〜ニースだったが、最終日はあいにくの雨。アームウォーマーやレインジャケットを着込んでスタートした89名のうち、フィニッシュラインにたどり着いたのは僅か59名のという悪条件のタフレースが繰り広げられた。
最終第8ステージは終着点ニースを発着する115.6kmに2級山岳×3つ、1級山岳×2つが詰め込まれた山岳ステージ。後半にかけて1級山岳ペイユ峠(6.6km/6.9%)と1級山岳エズ峠(6.1km/7.6%)を越え、テクニカルな下りをこなしニースに帰着するコースだ。
レースは序盤からポイント賞ジャージを着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が早速ハイペースで牽引を始めたため、逃げる選手は現れなかった。そのため既に山岳ポイントで大きくリードを得ていたヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマ・エフデジ)が山岳賞獲得を確定。総合8位につけるピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)はメカトラにより遅れ、その後の登りでスピードの上がったプロトンに追いつくことはできなかった。
レース中盤、1級山岳ペイユ峠の登りが始まると、ログリッチから1分遅れの総合3位につけるダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が動く。連日アシストとして好走するオマール・フライレ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)のペースアップからマルティネスがアタックすると、この動きで連日働き通しのユンボ・ヴィズマアシスト陣が崩壊。ログリッチ、ファンアールト、Sイェーツ、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)の5名による先鋭グループが形成された。
残り35km地点の中間スプリントをイェーツがトップ通過して-3秒を稼いだ直後にマルティネスの後輪がパンク。マルティネスは1分後方で追走する集団に合流したものの、優勝争いから脱落した。
フィニッシュまで19kmを残した1級山岳エズ峠で、キンタナのアタックを潰したイエーツが一拍を置いて自ら仕掛ける。この動きに対し、勝利した前日の疲れが残っているためか「万全の状態ではなかった」というログリッチが反応できず、アシストとして残ったファンアールトとともにマイペース走法に切り替えた。
ログリッチから47秒遅れの総合2位につけるイエーツが頂上を通過する頃には、キンタナが脱落した追走のログリッチとファンアールトの差は25秒まで拡大。ステージ優勝には-10秒のボーナスタイムが与えられるため、37秒差以内のフィニッシュを目指してファンアールトの牽引でログリッチが猛追する。
登りで得たリードを使いながら、テクニカルな下りをこなしたイエーツは、大会3年振りのニースにトップでたどり着いた。昨年大会で落車し、目の前で総合優勝を逃したログリッチは、ファンアールトに先導されながら9秒遅れでフィニッシュラインに到着。昨年悪夢を振り這う、フランスで初のステージレース総合優勝を決めた。
「とてもタフなステージだった。調子は良くなかったものの、僕には何でもできるワウトがいた。緊張を強いられる最後だったものの、僕たちは目標を達成することができた。総合優勝ができて嬉しいし、何よりも安心したよ」と、安堵の表情を浮かべたログリッチは喜びを語った。
そんなログリッチを焦らせ、ステージ優勝を射止めたイエーツは「総合優勝には届かないと思っていたので、今日はステージ優勝だけを狙っていた。47秒差をひっくり返すには大きなリスクのある攻撃が必要だからね。エズ峠でキンタナが良いテンポで登り、ログリッチとファンアールトとスプリントはしたくなかったので仕掛けた。どうなるか分からなかったがトライした。作戦なんてなかったよ」と笑顔で語る。今大会のイエーツは第4ステージの個人タイムトライアルで好走し、登りでも持ち前の強さを見せるなど出場予定のジロ・デ・イタリアに向けて好調を見せている。
ログリッチの総合優勝に貢献しながら、マイヨヴェールを獲得したファンアールト。「できるだけ長くプリモシュ(ログリッチ)のそばにいるように走った。難しい瞬間もありながら、最後はフィニッシュに向かって全力で踏み込むだけだった。僕の目標であるグリーンジャージを獲得できたとともに、プリモシュが総合優勝を掴んだことに興奮しているよ」と、今年のツール・ド・フランスでポイント賞を目指すと宣言しているファンアールトは語った。
パリ〜ニース2022第7ステージ結果
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | 2:52:59 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:09 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
4位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 1:44 |
5位 | アスビャアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM) | |
6位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマ・エフデジ) | |
7位 | ヴァランタン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン) | |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
9位 | ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 29:19:15 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | 0:29 |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 2:37 |
4位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 3:29 |
5位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 3:43 |
6位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 3:51 |
7位 | ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) | 4:52 |
8位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 5:43 |
9位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 5:48 |
10位 | オレリアン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン) | 6:32 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマ・エフデジ) |
ヤングライダー賞 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) |
チーム総合成績 | UAEチームエミレーツ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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