3年ぶりにツール・ド・フランス完走を果たしたクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)が今年、2010年頃に患ったビルハルツ住血吸虫に再び苦しめられていたとチームオーナーが明らかにした。



3年ぶりにツール・ド・フランスに出場したクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)3年ぶりにツール・ド・フランスに出場したクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
「クリストファー・フルームは今季(怪我とは別の)不調を抱えていた。ツール・ド・フランスはそのせいで力を発揮することができなかったんだ」。イスラエル・スタートアップネイションの共同オーナーであるシルヴァン・アダムス氏はVeloNewsのインタビューに対しそう答えた。「ツール後、ビルハルツ住血吸虫で陽性という検査結果が出た。しかしすぐに治療を受け、無事陰性になったのでシーズンを続行したんだ」。

ビルハルツ住血吸虫とは主にアフリカや中近東で見られる感染症の一つ。フルームはチームスカイ(現イネオス・グレナディアーズ)に加入した2010年頃から患っていたものの、ツール・ド・フランスで初の総合優勝を挙げた2013年の末頃に「ようやく全快した」と答えていた。

怪我後初めてフルシーズンを走り切ったクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)怪我後初めてフルシーズンを走り切ったクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) (c)CorVos
昨年10シーズン所属したイネオスを離れ、イスラエル・スタートアップネイションに加入したフルーム。今年2月にUAEツアーで開幕を迎えると、ステージレースを中心に70レースを走るなど2019年の大怪我後初めてとなるフルシーズンを走り、6月には2018年以来となるツール・ド・フランスに出場した。

しかしフルームの走りは全盛期からほど遠く、山岳ステージでは早々にメイン集団から遅れる姿が目立っていた。その理由をフルーム本人は「シーズン序盤の不調には腸にまつわる体調不良が関係していた」と答え、病名については「言い訳になってしまう」と明言を控えていた。

今年10月に「引退まで」とされていたチームとの契約期間をSNS上で自ら「最低でも2025年まで」と明らかにしたフルームは、今シーズンを「ツール後のシーズン後半では大きな進歩があった。特にシーズン終盤の感覚は良かった」と振り返る。また来季については「目下の目標は再び戦えるレベルに身体を戻すこと。今年はその兆しが見えた。来年が楽しみだ」と前向きに答えた。

text:Sotaro.Arakawa