2010/06/07(月) - 21:42
ふじあざみラインで行われたJサイクルツアー第6戦は森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形-TR)がトッププロ選手たちを打倒して優勝。しかも狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)の持つ歴代最高タイムを20秒も更新するというエポックメイキングな結果となった。TRおよび全クラスのフォトレポートでお届けする。
6月6日(日)、Jサイクルツアー第6戦、全日本実業団富士山ヒルクライムロードレース大会が静岡県小山町のふじあざみラインで行われた。
コースはもちろん日本を代表する激坂、11.4kmで1200mを上るという、これ以上ないキツイもの。2週間前のツアー・オブ・ジャパンの会場にもなっており、コンチネンタルチームにとっては次週の栂池ヒルクライムとともにヒルクライム三昧の一ヶ月だ。
このコースの日本人レコードは、日本の山岳王 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)が持つ42分31秒だった。優勝候補としては狩野のほか長沼隆行(宇都宮ブリッツェン)、平塚吉光(シマノレーシング)らが有力だった。そしてなんといっても2008年ツアー・オブ・ジャパンの富士山ステージ優勝のヴィンツェンツォ・ガロッファロ(TEAM NIPPO)擁するチームニッポがチームとして最強。それに挑んだのが乗鞍マウンテンサイクリング2連覇中の森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形-TR)だった。
スタート直後からチームブリヂストン・アンカー勢が狩野のためにペースを作ると、すぐに一列棒状になる。この区間でも10%ほどの勾配がある。500mほどで長沼がそのラインから外れ、単独で抜け出ると狩野も合わせる。1km過ぎて6人の先頭ができる。長沼、狩野、ガロッファロ、森本、平塚そして山本元喜(鹿屋体大BLUE SKY)だ。
2km過ぎで平塚が単独抜け出し、30mほどの差に。2.5km地点で後方から森本が追いつき2分ほど共に走るが、やがて森本が単独先頭になる。3km地点で早くも森本は先頭に踊り出て、平塚に30秒差をつけていく。
5km地点で2番手平塚に後方から長沼が追いつくが、6km地点ではふたたび平塚が単独2番手に。後方はガロッファロを中心に追走するが、森本との差は離れるいっぽうだ。
8km地点ほどで2番手の平塚が追い上げて、先頭の森本に20秒差まで詰めるがペースアップもここまで。ふたたび森本は平塚との差を広げていき、そのまま独走して優勝。2位には43秒差で平塚が入った。
森本のタイムは、それまでの狩野の日本人コースレコードを20秒縮める大記録だ。3km地点からは他者と競り合うことのない独走だったが、自分のペースを維持して、追走する平塚を振り切った。2位の平塚も好記録。伊吹山で優勝した実力はもちろんここでも発揮された。
「プロ選手に勝てて最高。乗鞍は55分切りで3連覇を狙いたい」
森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形-TR)
「最高です。まさかと思いましたが、自信になります。コースレコードはやりましたね。実は今回、強い選手がいたので6位入賞できれば御の字だと思っていたし、タイムは43分30秒を目標にしていました」
「最初はブリヂストンアンカーがペースを上げて、つぎに長沼さんが出たあと、ペースが緩んだのかな? と思い、前に出ておいた。ここはオーバーペースになると後が崩れるので、イーブンで行ったほうがいい。サイクルコンピュータはつけていないので、その具合は体感で、自分の中で確認しながらです」
「有名選手が(先頭に)来ないのはTOJや熊野での疲れがあったのだと思います。競り合わなかったのでタイムは出ないと思っていました。プロ選手に勝つということはずっと高い目標にしていたので最高です。春の伊吹山では10位で先頭集団に乗れないままボコボコにされていますから。それで何とかしてやりたいなと思っていました」
「この調子を維持できれば栂池も大きく崩れることはないと思います。今年は実業団小川、石川などのアップダウンの厳しいコースで勝負したいです。そして8月の乗鞍3連覇が目標。村山さんのコースレコード55分30秒を目標にします。多分いけると思います。強い森正さんと競れば55分切れるはずです」
「栂池でリベンジをしたい」
2位の平塚吉光(シマノレーシング)
「ベストタイムが出たことは悪いことではないです。でも2位であることと、優勝の森本さんがクラブチームの選手であるので、負けてはいけなかったし、悔しいところです」
「熊野のあと風邪を引いたけれども、マックスに近い力は出したと思う。でもベストとは言えないし、正直複雑です。森本さんが強かったのは確かなこと。一番最初に倒さないといけない目標です」
「普段は前に出る走りを心がけているので、(優勝した)伊吹山は自分の中でも積極的に行かなかったなど納得の行かない部分がありました。次の栂池は森本さんもですが、やはり狩野さん長沼さんはじめ全体を見て、この富士山も含めてリベンジしたいです」
結果
TR
1位 森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形-TR)42分11秒
2位 平塚吉光(シマノレーシング)+43秒
3位 ヴィンツェンツォ・ガロッファロ(TEAM NIPPO)+2分10秒
4位 野寺秀徳(シマノレーシング)+2分30秒
5位 畑中勇介(シマノレーシング)+2分37秒
6位 長沼隆行(宇都宮ブリッツェン)+2分42秒
7位 鎌田圭介(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+2分52秒
8位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)+3分06秒
9位 鈴木譲(シマノレーシング)+3分14秒
10位 鈴木真理(シマノレーシング)+3分24秒
FR
1位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ コムレイド)1時間00分05秒
2位 橋本みどり(なるしまフレンド)+36秒
3位 西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE)+1分25秒
BR-1
1位 南島康一(竹芝サイクルレーシング)47分51秒
2位 照井歩(CORSA YAMANASHI)+35秒
3位 原光弘(TEAM YOU CAN)+39秒
4位 菅野正明(竹芝サイクルレーシング)+1分01秒
5位 田端伸行(spacebikes.com)+1分22秒
6位 田崎友康(F(t)麒麟山 Racing)+1分33秒
ER
1位 江見之広(チーム オーベスト)50分09秒
2位 森田哲(チーム オーベスト)+04秒
3位 西島正太(チーム オーベスト)+1分31秒
4位 鈴木悠史(トーヨーレーシングチーム)+1分32秒
5位 塚野英俊(大福屋)+1分39秒
6位 豊田勉(豊田業務店)+1分56秒
photo&text:Hideaki.TAKAGI
photo:Haruo.FUKUSHIMA
6月6日(日)、Jサイクルツアー第6戦、全日本実業団富士山ヒルクライムロードレース大会が静岡県小山町のふじあざみラインで行われた。
コースはもちろん日本を代表する激坂、11.4kmで1200mを上るという、これ以上ないキツイもの。2週間前のツアー・オブ・ジャパンの会場にもなっており、コンチネンタルチームにとっては次週の栂池ヒルクライムとともにヒルクライム三昧の一ヶ月だ。
このコースの日本人レコードは、日本の山岳王 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)が持つ42分31秒だった。優勝候補としては狩野のほか長沼隆行(宇都宮ブリッツェン)、平塚吉光(シマノレーシング)らが有力だった。そしてなんといっても2008年ツアー・オブ・ジャパンの富士山ステージ優勝のヴィンツェンツォ・ガロッファロ(TEAM NIPPO)擁するチームニッポがチームとして最強。それに挑んだのが乗鞍マウンテンサイクリング2連覇中の森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形-TR)だった。
スタート直後からチームブリヂストン・アンカー勢が狩野のためにペースを作ると、すぐに一列棒状になる。この区間でも10%ほどの勾配がある。500mほどで長沼がそのラインから外れ、単独で抜け出ると狩野も合わせる。1km過ぎて6人の先頭ができる。長沼、狩野、ガロッファロ、森本、平塚そして山本元喜(鹿屋体大BLUE SKY)だ。
2km過ぎで平塚が単独抜け出し、30mほどの差に。2.5km地点で後方から森本が追いつき2分ほど共に走るが、やがて森本が単独先頭になる。3km地点で早くも森本は先頭に踊り出て、平塚に30秒差をつけていく。
5km地点で2番手平塚に後方から長沼が追いつくが、6km地点ではふたたび平塚が単独2番手に。後方はガロッファロを中心に追走するが、森本との差は離れるいっぽうだ。
8km地点ほどで2番手の平塚が追い上げて、先頭の森本に20秒差まで詰めるがペースアップもここまで。ふたたび森本は平塚との差を広げていき、そのまま独走して優勝。2位には43秒差で平塚が入った。
森本のタイムは、それまでの狩野の日本人コースレコードを20秒縮める大記録だ。3km地点からは他者と競り合うことのない独走だったが、自分のペースを維持して、追走する平塚を振り切った。2位の平塚も好記録。伊吹山で優勝した実力はもちろんここでも発揮された。
「プロ選手に勝てて最高。乗鞍は55分切りで3連覇を狙いたい」
森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形-TR)
「最高です。まさかと思いましたが、自信になります。コースレコードはやりましたね。実は今回、強い選手がいたので6位入賞できれば御の字だと思っていたし、タイムは43分30秒を目標にしていました」
「最初はブリヂストンアンカーがペースを上げて、つぎに長沼さんが出たあと、ペースが緩んだのかな? と思い、前に出ておいた。ここはオーバーペースになると後が崩れるので、イーブンで行ったほうがいい。サイクルコンピュータはつけていないので、その具合は体感で、自分の中で確認しながらです」
「有名選手が(先頭に)来ないのはTOJや熊野での疲れがあったのだと思います。競り合わなかったのでタイムは出ないと思っていました。プロ選手に勝つということはずっと高い目標にしていたので最高です。春の伊吹山では10位で先頭集団に乗れないままボコボコにされていますから。それで何とかしてやりたいなと思っていました」
「この調子を維持できれば栂池も大きく崩れることはないと思います。今年は実業団小川、石川などのアップダウンの厳しいコースで勝負したいです。そして8月の乗鞍3連覇が目標。村山さんのコースレコード55分30秒を目標にします。多分いけると思います。強い森正さんと競れば55分切れるはずです」
「栂池でリベンジをしたい」
2位の平塚吉光(シマノレーシング)
「ベストタイムが出たことは悪いことではないです。でも2位であることと、優勝の森本さんがクラブチームの選手であるので、負けてはいけなかったし、悔しいところです」
「熊野のあと風邪を引いたけれども、マックスに近い力は出したと思う。でもベストとは言えないし、正直複雑です。森本さんが強かったのは確かなこと。一番最初に倒さないといけない目標です」
「普段は前に出る走りを心がけているので、(優勝した)伊吹山は自分の中でも積極的に行かなかったなど納得の行かない部分がありました。次の栂池は森本さんもですが、やはり狩野さん長沼さんはじめ全体を見て、この富士山も含めてリベンジしたいです」
結果
TR
1位 森本誠(イナーメ・アイランド信濃山形-TR)42分11秒
2位 平塚吉光(シマノレーシング)+43秒
3位 ヴィンツェンツォ・ガロッファロ(TEAM NIPPO)+2分10秒
4位 野寺秀徳(シマノレーシング)+2分30秒
5位 畑中勇介(シマノレーシング)+2分37秒
6位 長沼隆行(宇都宮ブリッツェン)+2分42秒
7位 鎌田圭介(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+2分52秒
8位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)+3分06秒
9位 鈴木譲(シマノレーシング)+3分14秒
10位 鈴木真理(シマノレーシング)+3分24秒
FR
1位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ コムレイド)1時間00分05秒
2位 橋本みどり(なるしまフレンド)+36秒
3位 西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE)+1分25秒
BR-1
1位 南島康一(竹芝サイクルレーシング)47分51秒
2位 照井歩(CORSA YAMANASHI)+35秒
3位 原光弘(TEAM YOU CAN)+39秒
4位 菅野正明(竹芝サイクルレーシング)+1分01秒
5位 田端伸行(spacebikes.com)+1分22秒
6位 田崎友康(F(t)麒麟山 Racing)+1分33秒
ER
1位 江見之広(チーム オーベスト)50分09秒
2位 森田哲(チーム オーベスト)+04秒
3位 西島正太(チーム オーベスト)+1分31秒
4位 鈴木悠史(トーヨーレーシングチーム)+1分32秒
5位 塚野英俊(大福屋)+1分39秒
6位 豊田勉(豊田業務店)+1分56秒
photo&text:Hideaki.TAKAGI
photo:Haruo.FUKUSHIMA
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