2021/03/09(火) - 11:22
横風と中間スプリントがナーバスな展開を生んだパリ〜ニース2日目。トリッキーな終盤戦を経て、ケース・ボル(オランダ)がチームDSMに初勝利をプレゼント。ボーナスタイムを重ねたマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)が総合首位浮上を叶えている。
暖かい太陽を目指し、プロヴァンスに向け南下するパリ〜ニース(UCIワールドツアー)の2日目は、小村オワンヴィル=シュル=モンシアンから一路南東のアミリーに向かう188km。コースは中盤に3級山岳(それも登坂距離1km/平均勾配4%)が1つだけという平坦レースだが、この日も横風とボーナスタイム(3秒、2秒、1秒)が賭けられた2箇所の中間スプリントポイント、そして最終盤のトリッキーなコースレイアウトがナーバスな展開を生み出した。
この日は20kmに渡るアタック合戦から、クベカ・アソスに移籍したサンデル・アルメ(ベルギー)と、ベルギーチャンピオンジャージを着るドリース・デボント(アルペシン・フェニックス)の二人が最大4分リードでエスケープ。しかし横風分断の可能性が高まる吹きさらし区間に入るとトレック・セガフレードなど複数チームがペースアップを行なったため、100kmを消化しないうちに引き戻されることとなる。
91.3km地点の中間スプリントポイントではマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)が先着し、ボーナスタイム3秒を確保。ここから逃げが生まれるかと思われたものの、横風を警戒するチームががっちりと集団先頭を固め、アタックを許さないムードを作り上げる。「トラクター」ティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)と「パンツァーワーゲン」トニ・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィズマ)という、2人のプロトン屈指の牽引役が最終盤まで集団先頭に居座り続けた。
風力発電機が立つ牧草地帯でドゥクーニンク・クイックステップが猛然とペースアップを敢行。進行方向と共に風向きが変わるタイミングを突いたものの、比較的風速が弱かったことで決定的な分断には繋がらない。攻撃の餌食となった選手たちも全員合流を果たすと、集団一つのまま154km地点の第2中間スプリントポイントが近づいてきた。
ジロ・デ・イタリア覇者テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も参加したスプリント争いの結果は、1位アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)、2位マシューズ、3位ニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)。2位通過したマシューズは合計5秒のボーナスタイムを得て、総合首位浮上への可能性を高めた。
スプリントポイント通過直後の道幅が狭くなる区間でニュージーランド王者のジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ)が落車するシーンも。ヘルメット後頭部が割れるダメージを受けたベネットだったが、ヘルメットとバイクを交換してレースに復帰(集団と同タイムフィニッシュ)。その後発生した落車ではアレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)は左肩脱臼によるリタイアに見舞われた。
イネオスやユンボ、イスラエル、バイクエスクチェンジ、クベカ・アソス、そしてモビスターが横並びとなり、フィニッシュを目指して集団牽引。残り4km地点のランドアバウトから集団先頭の緊張感が跳ね上がり、スプリントを目指す熾烈なポジション争いが幕明けた。
右に左に鋭角ターンを繰り返すコースで主導権を握ったのはマッズ・ピーダスン(デンマーク)を引き連れるトレック・セガフレードだった。続いてティシュ・ベノート(ベルギー)が牽引するチームDSMが先頭に立ち、大きな落車を尻目に加速。しかし残り800mで、再びピーダスンを連結したヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)が先頭を奪い返した。
最後の右コーナーから登坂を経て、隊列はストゥイヴェン、ピーダスン、コカール、そしてケース・ボル(オランダ、チームDSM)の順。長時間牽引したストゥイヴェンがスピードを上げきれない隙を突いて、コカールの背後からボルが一気に加速した。
「トレックが良いリードアウトを行なっていたけれど、正しいタイミングでスプリントを始めることができた。フィニッシュまで先頭を維持できるだけの脚があったんだ」と振り返るボルが、最大1185ワットで67.7km/hまで加速し、追随を許さず勝利。チームDSMに嬉しい今季初勝利を届けることに成功した。
「最高の気分だ。シーズンインから今日まで少し苦しんでいたけれど、勝利を信じ続けてきた。今日は素晴らしいチームメイトを得て勝利に繋げることができた」と語るボル。「最終コーナーに差し掛かった時塞がれかけたものの、状況を理解したニルス(エーコフ)が僕のスペースを作ってくれたんだ。そのおかげで良い位置につけることができた。昨日上手くいかなかったぶんを取り返す、自信に繋がる勝利だ。チームとしての可能性を示すことができた。次のスプリントを、そして別の選手で別のチャンスを意欲的に狙っていきたい」と話している。
このゴールスプリントでピーダスンが2位に入り、3位に続いたマシューズはボーナスタイムを加算して総合首位浮上に成功。「正直に言えばこのパリ〜ニースで僕は一番のスプリンターじゃない。だからできる限り上手く位置取りをしてスプリントしようと思っていたんだ。この2日間のハードワークに報いる素晴らしいリーダージャージ獲得だ」と語るマシューズは、翌日に控える14.4kmの個人タイムトライアルでマイヨジョーヌ防衛に当たることとなる。
「少なくとも1日与えられたマイヨジョーヌ着用のチャンスを楽しみにしているよ。まだ今年はタイムトライアルを走っていないけれど、TTトレーニングは順調に重ねることができた。明日は良い走りを披露して首位を守りたいと思う」と意気込んでいる。
暖かい太陽を目指し、プロヴァンスに向け南下するパリ〜ニース(UCIワールドツアー)の2日目は、小村オワンヴィル=シュル=モンシアンから一路南東のアミリーに向かう188km。コースは中盤に3級山岳(それも登坂距離1km/平均勾配4%)が1つだけという平坦レースだが、この日も横風とボーナスタイム(3秒、2秒、1秒)が賭けられた2箇所の中間スプリントポイント、そして最終盤のトリッキーなコースレイアウトがナーバスな展開を生み出した。
この日は20kmに渡るアタック合戦から、クベカ・アソスに移籍したサンデル・アルメ(ベルギー)と、ベルギーチャンピオンジャージを着るドリース・デボント(アルペシン・フェニックス)の二人が最大4分リードでエスケープ。しかし横風分断の可能性が高まる吹きさらし区間に入るとトレック・セガフレードなど複数チームがペースアップを行なったため、100kmを消化しないうちに引き戻されることとなる。
91.3km地点の中間スプリントポイントではマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)が先着し、ボーナスタイム3秒を確保。ここから逃げが生まれるかと思われたものの、横風を警戒するチームががっちりと集団先頭を固め、アタックを許さないムードを作り上げる。「トラクター」ティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)と「パンツァーワーゲン」トニ・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィズマ)という、2人のプロトン屈指の牽引役が最終盤まで集団先頭に居座り続けた。
風力発電機が立つ牧草地帯でドゥクーニンク・クイックステップが猛然とペースアップを敢行。進行方向と共に風向きが変わるタイミングを突いたものの、比較的風速が弱かったことで決定的な分断には繋がらない。攻撃の餌食となった選手たちも全員合流を果たすと、集団一つのまま154km地点の第2中間スプリントポイントが近づいてきた。
ジロ・デ・イタリア覇者テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も参加したスプリント争いの結果は、1位アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)、2位マシューズ、3位ニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)。2位通過したマシューズは合計5秒のボーナスタイムを得て、総合首位浮上への可能性を高めた。
スプリントポイント通過直後の道幅が狭くなる区間でニュージーランド王者のジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ)が落車するシーンも。ヘルメット後頭部が割れるダメージを受けたベネットだったが、ヘルメットとバイクを交換してレースに復帰(集団と同タイムフィニッシュ)。その後発生した落車ではアレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)は左肩脱臼によるリタイアに見舞われた。
イネオスやユンボ、イスラエル、バイクエスクチェンジ、クベカ・アソス、そしてモビスターが横並びとなり、フィニッシュを目指して集団牽引。残り4km地点のランドアバウトから集団先頭の緊張感が跳ね上がり、スプリントを目指す熾烈なポジション争いが幕明けた。
右に左に鋭角ターンを繰り返すコースで主導権を握ったのはマッズ・ピーダスン(デンマーク)を引き連れるトレック・セガフレードだった。続いてティシュ・ベノート(ベルギー)が牽引するチームDSMが先頭に立ち、大きな落車を尻目に加速。しかし残り800mで、再びピーダスンを連結したヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)が先頭を奪い返した。
最後の右コーナーから登坂を経て、隊列はストゥイヴェン、ピーダスン、コカール、そしてケース・ボル(オランダ、チームDSM)の順。長時間牽引したストゥイヴェンがスピードを上げきれない隙を突いて、コカールの背後からボルが一気に加速した。
「トレックが良いリードアウトを行なっていたけれど、正しいタイミングでスプリントを始めることができた。フィニッシュまで先頭を維持できるだけの脚があったんだ」と振り返るボルが、最大1185ワットで67.7km/hまで加速し、追随を許さず勝利。チームDSMに嬉しい今季初勝利を届けることに成功した。
「最高の気分だ。シーズンインから今日まで少し苦しんでいたけれど、勝利を信じ続けてきた。今日は素晴らしいチームメイトを得て勝利に繋げることができた」と語るボル。「最終コーナーに差し掛かった時塞がれかけたものの、状況を理解したニルス(エーコフ)が僕のスペースを作ってくれたんだ。そのおかげで良い位置につけることができた。昨日上手くいかなかったぶんを取り返す、自信に繋がる勝利だ。チームとしての可能性を示すことができた。次のスプリントを、そして別の選手で別のチャンスを意欲的に狙っていきたい」と話している。
このゴールスプリントでピーダスンが2位に入り、3位に続いたマシューズはボーナスタイムを加算して総合首位浮上に成功。「正直に言えばこのパリ〜ニースで僕は一番のスプリンターじゃない。だからできる限り上手く位置取りをしてスプリントしようと思っていたんだ。この2日間のハードワークに報いる素晴らしいリーダージャージ獲得だ」と語るマシューズは、翌日に控える14.4kmの個人タイムトライアルでマイヨジョーヌ防衛に当たることとなる。
「少なくとも1日与えられたマイヨジョーヌ着用のチャンスを楽しみにしているよ。まだ今年はタイムトライアルを走っていないけれど、TTトレーニングは順調に重ねることができた。明日は良い走りを披露して首位を守りたいと思う」と意気込んでいる。
パリ〜ニース2021第2ステージ結果
1位 | ケース・ボル(オランダ、チームDSM) | 4:27:59 |
2位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
3位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | |
4位 | ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ KTM) | |
5位 | サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、ロット・スーダル) | |
7位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
9位 | ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
10位 | ルディ・バルビエ(フランス、イスラエル・スタートアップネイション) | |
104位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) |
個人総合成績
1位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | 8:19:23 |
2位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | 0:04 |
3位 | サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
4位 | ケース・ボル(オランダ、チームDSM) | |
5位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 0:08 |
6位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:11 |
7位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM) | 0:12 |
8位 | フロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル) | |
9位 | ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | 0:13 |
10位 | ベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
その他の特別賞
ポイント賞 | サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) |
山岳賞 | ファビアン・ドゥべ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) |
ヤングライダー賞 | フロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル) |
チーム総合成績 | イスラエル・スタートアップネイション |
text:So Isobe
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