2010/06/02(水) - 20:00
昨夜の暗闇ディナーから一夜明け、刺すような日差しが降り注ぐインドネシアの朝を迎えた。日本からマレーシア、マレーシアからインドネシア・パダンへと、1時間ずつ時差があるので、ここ2日間、私の1日は25時間あるため、ちょっと得した気分で目覚めることができた。
さて、今日から始まるツール・ド・シンカラ2010。初日は15.8kmのチームタイムトライアルだ。昨年2位の悔しさを味わった愛三工業レーシングチームが狙うのは、もう優勝しかない!
コースは海沿いの道からスタートし、街中を通ってスタートに戻る大きな周回コース。海沿いの道では海をバックに写真が撮れるかな…? なんてあたりを見回すと、朝の晴れわたった真っ青な空から一転、怪しいグレーの雲が頭の上に広がっていた。そして風がビュービュー吹いている...。
暗い雲×風の組み合わせにろくなコトはない。カメラのレインカバーを握りしめて、会場へ急いで向かうと、ポツポツと恐れていたものが降り始めた。そして瞬く間にスコールのような激しい雨に変わった。
大雨のため、オープニングセレモニーに引き続き、レースの開始時間も20分ほど遅くなった。スタート時間になっても最初のチームがスタートする気配がなく、確認したところ20分遅れとのこと。あらら……。でも、ここはインドネシア。チームはこのような事態も当然想定内だ。
強豪イラン2チームが最後のトリとなり、愛三チームの出走順は、後ろから3番目。「狙うは優勝!」というチーム。さぞかしナーバスなスタートになるのかと思いきや、スタート前になって「どういう並びで行きましょう?」そんな会話が聞こえてきた。肝心なことのようにも感じるが、話し合わなくてもチームメンバーの頭の中にはおおよその順番が決まっているのだろう。
1走はペースを作るのが上手な綾部、自分の番まで脚を回すことができ、先頭になる回数が1番少なくなる5走にはエースの鈴木をと、スムーズに順番が決まり、スタートのカウントダウンで、選手たちの表情が極限まで引き締まった。
スタート台で選手たちを見送り、ゴール地点に移動すると、一度止んだ雨が、またしても強烈に打ち付けてきた。沿道にいた観客たちが一斉に屋根の下に避難を終えた頃、見慣れたブルーの一行がゴールをめざし猛スピードで突進してくる。
ファインダー越しに、人数が減っているのがわかる。誰がいないのか視界を遮る雨で確認できなかったが、この時点のゴールタイムは残り2チームを残して暫定3位。
しばらくすると品川と綾部が遅れてゴールに戻ってきた。残り5kmで綾部が、残り3kmで品川が遅れ、3選手で残り3kmを走りきってのゴールだった。
「いまの状態でのベストは出し切れた」と話す品川。「酸欠のような症状で走っていて息苦しく、頭が真っ白になりました……」と、明らかに体調の悪そうな綾部。心配に感じたが、レース後の2人の表情は明るかった。とくに綾部は「心拍が上がりきったし、ひどい状態を過ぎたから明日からは回復しそう。今日、タイム差がついてしまった分、自分の役割がしっかりできました。明日から頑張れそうです!」と前向きなコメントを残した。
結果的に、後続2チームが上位に入り、愛三チームは5位となった。トップのタブリッズ・ペトロケミカルチーム(イラン)とのタイム差は1分6秒。
明日の午後は、どのチームも最重要視している上りゴールのステージになる。ここでこのタイム差挽回を任されているのが、エースの鈴木だ。「山では一気に順位がひっくり返る可能性は十分にある。イランが中心になってコントロールしてくるだろうけど、勝負のかかるタイミングを見逃さずに動きたいですね。今日走った感じは悪くないです」と話す。
雨のタイムトライアルをもっともいい調子で走れていたのは別府。「もっとペースを上げようと思って先頭を牽いたらみんな離れてしまった。思ったより他の選手に脚がなかったのが正直な印象です。みんながツアー・オブ・ジャパンを走っているあいだ、トレーニングしていたせいかフレッシュだし、今日も最初から余裕がありました。1分6秒は、想定していた以上に大きな差と感じています。調子がいいのはわかったので、状況によっては自分も勝負に出たいですね!」と笑顔をみせる。そして田中監督は、最後3人になりながら、5位でフィニッシュし「最低限はクリアできた」と冷静に話す。
さぁ、レースは始まったばかり。明日からイランチームを始め、強豪選手が大きく動き出すだろう。天気予報は晴れ。いよいよ灼熱の山岳が参加者の前に立ちはだかる!
photo&text:SonokoTANAKA
さて、今日から始まるツール・ド・シンカラ2010。初日は15.8kmのチームタイムトライアルだ。昨年2位の悔しさを味わった愛三工業レーシングチームが狙うのは、もう優勝しかない!
コースは海沿いの道からスタートし、街中を通ってスタートに戻る大きな周回コース。海沿いの道では海をバックに写真が撮れるかな…? なんてあたりを見回すと、朝の晴れわたった真っ青な空から一転、怪しいグレーの雲が頭の上に広がっていた。そして風がビュービュー吹いている...。
暗い雲×風の組み合わせにろくなコトはない。カメラのレインカバーを握りしめて、会場へ急いで向かうと、ポツポツと恐れていたものが降り始めた。そして瞬く間にスコールのような激しい雨に変わった。
大雨のため、オープニングセレモニーに引き続き、レースの開始時間も20分ほど遅くなった。スタート時間になっても最初のチームがスタートする気配がなく、確認したところ20分遅れとのこと。あらら……。でも、ここはインドネシア。チームはこのような事態も当然想定内だ。
強豪イラン2チームが最後のトリとなり、愛三チームの出走順は、後ろから3番目。「狙うは優勝!」というチーム。さぞかしナーバスなスタートになるのかと思いきや、スタート前になって「どういう並びで行きましょう?」そんな会話が聞こえてきた。肝心なことのようにも感じるが、話し合わなくてもチームメンバーの頭の中にはおおよその順番が決まっているのだろう。
1走はペースを作るのが上手な綾部、自分の番まで脚を回すことができ、先頭になる回数が1番少なくなる5走にはエースの鈴木をと、スムーズに順番が決まり、スタートのカウントダウンで、選手たちの表情が極限まで引き締まった。
スタート台で選手たちを見送り、ゴール地点に移動すると、一度止んだ雨が、またしても強烈に打ち付けてきた。沿道にいた観客たちが一斉に屋根の下に避難を終えた頃、見慣れたブルーの一行がゴールをめざし猛スピードで突進してくる。
ファインダー越しに、人数が減っているのがわかる。誰がいないのか視界を遮る雨で確認できなかったが、この時点のゴールタイムは残り2チームを残して暫定3位。
しばらくすると品川と綾部が遅れてゴールに戻ってきた。残り5kmで綾部が、残り3kmで品川が遅れ、3選手で残り3kmを走りきってのゴールだった。
「いまの状態でのベストは出し切れた」と話す品川。「酸欠のような症状で走っていて息苦しく、頭が真っ白になりました……」と、明らかに体調の悪そうな綾部。心配に感じたが、レース後の2人の表情は明るかった。とくに綾部は「心拍が上がりきったし、ひどい状態を過ぎたから明日からは回復しそう。今日、タイム差がついてしまった分、自分の役割がしっかりできました。明日から頑張れそうです!」と前向きなコメントを残した。
結果的に、後続2チームが上位に入り、愛三チームは5位となった。トップのタブリッズ・ペトロケミカルチーム(イラン)とのタイム差は1分6秒。
明日の午後は、どのチームも最重要視している上りゴールのステージになる。ここでこのタイム差挽回を任されているのが、エースの鈴木だ。「山では一気に順位がひっくり返る可能性は十分にある。イランが中心になってコントロールしてくるだろうけど、勝負のかかるタイミングを見逃さずに動きたいですね。今日走った感じは悪くないです」と話す。
雨のタイムトライアルをもっともいい調子で走れていたのは別府。「もっとペースを上げようと思って先頭を牽いたらみんな離れてしまった。思ったより他の選手に脚がなかったのが正直な印象です。みんながツアー・オブ・ジャパンを走っているあいだ、トレーニングしていたせいかフレッシュだし、今日も最初から余裕がありました。1分6秒は、想定していた以上に大きな差と感じています。調子がいいのはわかったので、状況によっては自分も勝負に出たいですね!」と笑顔をみせる。そして田中監督は、最後3人になりながら、5位でフィニッシュし「最低限はクリアできた」と冷静に話す。
さぁ、レースは始まったばかり。明日からイランチームを始め、強豪選手が大きく動き出すだろう。天気予報は晴れ。いよいよ灼熱の山岳が参加者の前に立ちはだかる!
photo&text:SonokoTANAKA
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