2020/03/14(土) - 08:07
新型コロナウイルス感染拡大の影響で1日前倒しで閉幕することが決まり、突如最終日前日の扱いとなったパリ〜ニース第6ステージ。チームとして波状攻撃を仕掛けたサンウェブのティシュ・ベノートが逃げ切り勝利を飾り、マキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)から36秒差の総合2位に浮上した。
パリ〜ニースは終着地ニースまで辿り着けるのか否か。フランスでも拡大を続ける新型コロナウイルス感染を受けて、そんな不確定要素を抱えたまま大会は後半戦に突入した。
レース主催者ASOは最終日の第8ステージをキャンセルし、1級山岳ヴァルドゥブロール・ラ・コルミアーヌの山頂フィニッシュが設定された第7ステージを最終ステージとする措置を取っている。さらに総合6位ディラン・トゥーンス(ベルギー)やステージ優勝者イバン・ガルシア(スペイン)擁するバーレーン・マクラーレンがレース撤退を発表。カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)ら13人がスタートせず、さらにジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、NTTプロサイクリング)を含む11人が途中リタイアしたためプロトンは98人にまで縮小している。
突如最終日前日扱いとなった第6ステージは起伏に富んだプロヴァンス=アルプ=コートダジュール地域圏を駆ける161.5km。合計6つのカテゴリー山岳が詰め込まれた獲得標高差3,000mのコースはまるでアルデンヌクラシック。大会期間が短縮されたことも影響し、レースは序盤からアグレッシブな展開を見せた。
アタックに次ぐアタックの末に7人の先行が決まったのは2つ目の2級山岳を越えてから。1時間を超えるアタック合戦で逃げグループに乗ることができたのはバルデを含む7人。総合で3分33秒遅れのキュング、4分11秒遅れのバルデを含む逃げを、ボーラ・ハンスグローエとドゥクーニンク・クイックステップが率いるメイン集団が2分以内のタイム差で追いかけた。
逃げグループを形成した7名
ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)
アレクシー・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)
ウィネル・アナコナ(コロンビア、アルケア・サムシック)
ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)
アントニー・ペレス(フランス、コフィディス)
山岳ポイントを量産して山岳賞トップに躍り出たエデは、フィニッシュまで50kmを切ったところでバルデと先行を開始した。一方のメイン集団ではサンウェブが戦略的に動き始める。第4ステージの個人タイムトライアル優勝者セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ)とニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)が揃ってメイン集団を抜け出すことに成功。アルントのアシストを受けた総合58秒遅れのクラーウアナスンは残り33km地点で先頭エデ&バルデに追いついた。
タイム差が1分まで広がったためクラーウアナスンは暫定イエロージャージに手が届いたものの、ドゥクーニンク・クイックステップとボーラ・ハンスグローエの連合軍がこの動きを易々と見逃すはずはない。タイム差が縮まる中、この日最後の2級山岳オリボー峠(全長4.5km/平均5.8%)の登坂が始まるとクラーウアナスンが独走に持ち込んだ。
メイン集団では総合11位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)のアタックに反応する形で総合7位ティシュ・ベノート (ベルギー、サンウェブ)が抜け出すことに成功する。ニバリを置き去りにしたベノートは、先頭で逃げ続けるチームメイトのクラーウアナスンに追いつき、そこからさらにペースを上げて独走に持ち込んだ。ベノートは2級山岳オリボー峠を平均スピード27.6km/hで駆け上がっている。
20秒後方のメイン集団ではジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)らがアタックを連発したものの、マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)らがすぐさま危険な動きを封じ込める。繰り返されたアタックと牽制。それまでメイン集団を指揮していた2チーム(ドゥクーニンク・クイックステップとボーラ・ハンスグローエ)のサブエース級選手(ユンゲルスとグロスチャートナー)が飛び出したためメイン集団のペースは乱れ、先頭ベノートとのタイム差は35秒にまで広がった。
フィニッシュ4km手前の最後の上り(全長1.3km/平均8.8%)でのセルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング)らのアタックは決まらない。飛び出していたユンゲルスとグロスチャートナーは吸収したものの、先頭ベノートの背中は見えてこない。リードを失うことなく全ての上りを終えたベノートが、ライバルたちに22秒差をつけて独走フィニッシュした。
フラムルージュ(残り1kmアーチ)を越えてから落車したイエロージャージのシャフマンは一人遅れてフィニッシュしたものの、残り3km救済措置が適用されたためライバルたちと同じ22秒遅れの扱いとなっている。
「とても調子が良いので最終日まで開催されないのは残念だけど、ステージ優勝は素直に嬉しい。1日中ずっと強度が高くて、持久戦のような今日のようなステージが好き。チームメイトたちは全員がそれぞれ素晴らしい走りをしている。明日も今日のように攻撃を続けたい」と、ステージ優勝を飾るとともに総合2位に浮上したベノート。
2018年のストラーデビアンケで勝利し、フランドルクラシックで安定した成績を残してきた26歳は「クラシックレースに向けて良いトレーニングを積んでいただけに、相次いでレースがキャンセルになって本当に残念」と語っている。
落車しながらもタイムを失うことなくフィニッシュし、イエロージャージを着て最終ステージに挑むことになったシャフマンは「今日はずっとペースが速くて、気が休まらなかった。終盤に落車してしまったけど身体は大丈夫。まだレースは終わっていないし、最後の戦いに向けて調子の良さをキープできている」とコメント。シャフマンはベノートから36秒、イギータから1分01秒の総合リードを得ている。
パリ〜ニース第6ステージ終了後にフランス自転車競技連盟はフランス国内のレース活動を無期限で中止する措置を発表したが、第7ステージは予定通り開催される予定だ。
パリ〜ニースは終着地ニースまで辿り着けるのか否か。フランスでも拡大を続ける新型コロナウイルス感染を受けて、そんな不確定要素を抱えたまま大会は後半戦に突入した。
レース主催者ASOは最終日の第8ステージをキャンセルし、1級山岳ヴァルドゥブロール・ラ・コルミアーヌの山頂フィニッシュが設定された第7ステージを最終ステージとする措置を取っている。さらに総合6位ディラン・トゥーンス(ベルギー)やステージ優勝者イバン・ガルシア(スペイン)擁するバーレーン・マクラーレンがレース撤退を発表。カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)ら13人がスタートせず、さらにジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、NTTプロサイクリング)を含む11人が途中リタイアしたためプロトンは98人にまで縮小している。
突如最終日前日扱いとなった第6ステージは起伏に富んだプロヴァンス=アルプ=コートダジュール地域圏を駆ける161.5km。合計6つのカテゴリー山岳が詰め込まれた獲得標高差3,000mのコースはまるでアルデンヌクラシック。大会期間が短縮されたことも影響し、レースは序盤からアグレッシブな展開を見せた。
アタックに次ぐアタックの末に7人の先行が決まったのは2つ目の2級山岳を越えてから。1時間を超えるアタック合戦で逃げグループに乗ることができたのはバルデを含む7人。総合で3分33秒遅れのキュング、4分11秒遅れのバルデを含む逃げを、ボーラ・ハンスグローエとドゥクーニンク・クイックステップが率いるメイン集団が2分以内のタイム差で追いかけた。
逃げグループを形成した7名
ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)
アレクシー・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)
ウィネル・アナコナ(コロンビア、アルケア・サムシック)
ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)
アントニー・ペレス(フランス、コフィディス)
山岳ポイントを量産して山岳賞トップに躍り出たエデは、フィニッシュまで50kmを切ったところでバルデと先行を開始した。一方のメイン集団ではサンウェブが戦略的に動き始める。第4ステージの個人タイムトライアル優勝者セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ)とニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)が揃ってメイン集団を抜け出すことに成功。アルントのアシストを受けた総合58秒遅れのクラーウアナスンは残り33km地点で先頭エデ&バルデに追いついた。
タイム差が1分まで広がったためクラーウアナスンは暫定イエロージャージに手が届いたものの、ドゥクーニンク・クイックステップとボーラ・ハンスグローエの連合軍がこの動きを易々と見逃すはずはない。タイム差が縮まる中、この日最後の2級山岳オリボー峠(全長4.5km/平均5.8%)の登坂が始まるとクラーウアナスンが独走に持ち込んだ。
メイン集団では総合11位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)のアタックに反応する形で総合7位ティシュ・ベノート (ベルギー、サンウェブ)が抜け出すことに成功する。ニバリを置き去りにしたベノートは、先頭で逃げ続けるチームメイトのクラーウアナスンに追いつき、そこからさらにペースを上げて独走に持ち込んだ。ベノートは2級山岳オリボー峠を平均スピード27.6km/hで駆け上がっている。
20秒後方のメイン集団ではジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)らがアタックを連発したものの、マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)らがすぐさま危険な動きを封じ込める。繰り返されたアタックと牽制。それまでメイン集団を指揮していた2チーム(ドゥクーニンク・クイックステップとボーラ・ハンスグローエ)のサブエース級選手(ユンゲルスとグロスチャートナー)が飛び出したためメイン集団のペースは乱れ、先頭ベノートとのタイム差は35秒にまで広がった。
フィニッシュ4km手前の最後の上り(全長1.3km/平均8.8%)でのセルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング)らのアタックは決まらない。飛び出していたユンゲルスとグロスチャートナーは吸収したものの、先頭ベノートの背中は見えてこない。リードを失うことなく全ての上りを終えたベノートが、ライバルたちに22秒差をつけて独走フィニッシュした。
フラムルージュ(残り1kmアーチ)を越えてから落車したイエロージャージのシャフマンは一人遅れてフィニッシュしたものの、残り3km救済措置が適用されたためライバルたちと同じ22秒遅れの扱いとなっている。
「とても調子が良いので最終日まで開催されないのは残念だけど、ステージ優勝は素直に嬉しい。1日中ずっと強度が高くて、持久戦のような今日のようなステージが好き。チームメイトたちは全員がそれぞれ素晴らしい走りをしている。明日も今日のように攻撃を続けたい」と、ステージ優勝を飾るとともに総合2位に浮上したベノート。
2018年のストラーデビアンケで勝利し、フランドルクラシックで安定した成績を残してきた26歳は「クラシックレースに向けて良いトレーニングを積んでいただけに、相次いでレースがキャンセルになって本当に残念」と語っている。
落車しながらもタイムを失うことなくフィニッシュし、イエロージャージを着て最終ステージに挑むことになったシャフマンは「今日はずっとペースが速くて、気が休まらなかった。終盤に落車してしまったけど身体は大丈夫。まだレースは終わっていないし、最後の戦いに向けて調子の良さをキープできている」とコメント。シャフマンはベノートから36秒、イギータから1分01秒の総合リードを得ている。
パリ〜ニース第6ステージ終了後にフランス自転車競技連盟はフランス国内のレース活動を無期限で中止する措置を発表したが、第7ステージは予定通り開催される予定だ。
パリ〜ニース2020第6ステージ結果
1位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、サンウェブ) | 3:57:02 |
2位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 0:00:22 |
3位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング) | |
4位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
5位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
7位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | |
8位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | |
9位 | ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) | |
10位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | |
11位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
12位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) |
個人総合成績
1位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 22:46:24 |
2位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、サンウェブ) | 0:00:36 |
3位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング) | 0:01:01 |
4位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 0:01:10 |
6位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:01:18 |
7位 | ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:29 |
8位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:30 |
9位 | タネル・カンゲルト(エストニア、EFプロサイクリング) | 0:01:52 |
10位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:04 |
その他の特別賞
ポイント賞 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) |
山岳賞 | ニコラ・エデ(フランス、コフィディス) |
ヤングライダー賞 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFプロサイクリング) |
チーム総合成績 | サンウェブ |
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