2020/01/23(木) - 09:53
イタリアを代表するサドルブランド、セッレイタリアの象徴的なレーシングサドル、SLRにショートノーズモデルが登場。122gという軽量性と、快適性を両立したトップモデルのKIT CARBONIOをインプレッション。
イタリアの老舗サドルブランド、セッレイタリア。120年以上に渡る歴史を持つブランドとして、自転車用サドルを語る上でセッレイタリアを避けて通ることは出来ない。そんな同社のラインアップでも、レーシングサドルとして名高いのがSLRシリーズだ。
SUPER、LIGHT、RACINGのイニシャルに由来する通り、優れた軽さと快適性を両立したレーシングサドルとして、SLRシリーズは2000年のデビュー以来幾度かのモデルチェンジを重ねつつ20年に近い時を刻んできた。
そんなSLRシリーズの最新作となるのが、昨今大きな流行となるショートノーズモデル、SLR BOOSTだ。全長248mmと通常モデルのSLRから約2.5cm短くすることで、UCI規定に反することなく前乗りポジションを可能としている。
ただ全長を短くするだけでなく、サドルシェイプもショートサドルに最適化されている。サドルトップのカービングをノーマルモデルより強めることで、臀部をしっかりとホールドしシッティングでの安定感を向上させている。前乗りポジションのメリットであるパワフルでトルクフルなペダリングをしっかりサポートする形状設計だ。
カーボンケラミック、Ti316、マンガネーゼという3種類のレール素材および、穴の有無、横幅の種類などによってSLR BOOSTには豊富なラインアップが揃えられている。中でも最も軽量なSLR BOOST KIT CARBONIO SUPERFLOWは、現在市場で入手可能なショートサドルのなかでも最軽量となる122gという値をマークしている。
他にも、女性向けにゲルパッディングを搭載し快適性を向上させたSLR BOOST LADY SUPERFLOWや、ロングライドの快適性を追求したSLR BOOST ENDURANCE SUPERFLOW、グラベルライドに最適化したSLR BOOST GRAVEL SUPERFLOWといったモデルもラインアップしており、用途によってピッタリのサドルを選ぶことが出来るはずだ。
税抜価格は最も手ごろなマンガネーゼモデルが16,000円、スタンダードなTi316レールモデルが27,500円(女性向けモデルのみ24,500円)、ハイエンドのカーボンケラミックモデルが37,500円となっている。
― 編集部インプレッション
SLRといえば、昔からロードに乗っている人であれば一度は腰かけたことがあるのではないだろうか。購入していなくとも、定番のサドルということで試乗車についている確率も高いはず。端正なシルエットと手に取った瞬間にわかる軽さ、それらを実現するための薄めのパッド。それでいて、ベースが良くしなることで快適性も併せ持つ、レーシングサドルの王道モデルだ。
もちろん、人それぞれ好みが大きく分かれるのがサドルというものだから、万人に合うとは言い切れない。個人的には、フラットなサドルよりもアールの大きめのサドルが好み。参考までに筆者のサドル遍歴を記していくと、セッレSMP STRIKE COMPOSITEや、プロロゴ SCRATCH、ファブリック SCOOP RADIUSなどがしっくりくる。ノーマルなSLRも割といけるクチであった。
新車を組むにあたって新たにサドルも手配する必要が出てきた。背も低めなのにゼロオフセットシートポストを使いたいという事情もあり、ショートサドルを物色する中で目についたのが最も軽量なショートサドルという触れ込みのSLR BOOST KIT CARBONIO SUPERFLOW。
全長が短く幅が広めとなるショートサドルは、宿命的にずんぐりむっくりなルックスになりがち。正直なところ、ルックス的には好みでないモデルが多かった。だが、SLR BOOSTはSサイズであれば幅130mmとノーマルのSLRと同様の幅とされていることやパッドの薄さもあいまって、「シュッ」としたスタイリングが好印象。
ただ一つ気になったのが、ベースの硬さ。カタログではどうもカーボンに見える。ガチガチのカーボンベースだった場合は乗り心地に影響してきそうだ、ということで急遽お借りすることに。
届いたサドルを見ると、表側はクリアが塗られカーボンらしいマーブル模様となっているが、裏返すとインジェクテッドカーボン強化ナイロンのような質感。試しにサドルトップを押してみると、結構撓んでくれる。
ポジションを調整しつつ、早速乗ってみる。サドルの合う合わないは乗った瞬間にわかるものだけれど、直感的にこれはイケる!と確信できた。ノーマルのSLRとは同じ方向性だが少し違った乗り味で、SLR BOOSTのほうが座面がカーブしているので腰の位置がズレにくい。ホールド感を求める人はこちらの方が向いているだろう。
乗り初め編集部ライドで関東屈指の激坂、子ノ権現でのヒルクライムでも前に体重を掛けやすく、前乗りならではのトルクフルなペダリングをしっかりサポートしてくれる。荒れた路面を走っていても、臀部が痛くなるようなことは無い。ベースの撓りに加え、セッレイタリアが近年開発した接着方式のパッドの柔軟性の高さもあり、快適性はかなり高いレベルにある。
更に122gという軽さはダンシングで大いに効く。バイクを振っても明らかに軽い。もちろん80gを切るようなパッド無しのフルカーボンサドルなどもあるけれど、乗り心地や価格、扱いやすさといった総合的な性能では、このサドルの圧勝だ。
SLR BOOST KIT CARBONIO SUPERFLOWは、流行のショートサドルの中でも最軽量というだけでなく、サドルに求められるあらゆる性能を高い次元でまとめ上げた逸品。SLRがノーマルなサドルのベンチマークであるのと同様、このサドルもショートサドルのニュースタンダードとなりそうだ。
text&impression:Naoki.Yasuoka
イタリアの老舗サドルブランド、セッレイタリア。120年以上に渡る歴史を持つブランドとして、自転車用サドルを語る上でセッレイタリアを避けて通ることは出来ない。そんな同社のラインアップでも、レーシングサドルとして名高いのがSLRシリーズだ。
SUPER、LIGHT、RACINGのイニシャルに由来する通り、優れた軽さと快適性を両立したレーシングサドルとして、SLRシリーズは2000年のデビュー以来幾度かのモデルチェンジを重ねつつ20年に近い時を刻んできた。
そんなSLRシリーズの最新作となるのが、昨今大きな流行となるショートノーズモデル、SLR BOOSTだ。全長248mmと通常モデルのSLRから約2.5cm短くすることで、UCI規定に反することなく前乗りポジションを可能としている。
ただ全長を短くするだけでなく、サドルシェイプもショートサドルに最適化されている。サドルトップのカービングをノーマルモデルより強めることで、臀部をしっかりとホールドしシッティングでの安定感を向上させている。前乗りポジションのメリットであるパワフルでトルクフルなペダリングをしっかりサポートする形状設計だ。
カーボンケラミック、Ti316、マンガネーゼという3種類のレール素材および、穴の有無、横幅の種類などによってSLR BOOSTには豊富なラインアップが揃えられている。中でも最も軽量なSLR BOOST KIT CARBONIO SUPERFLOWは、現在市場で入手可能なショートサドルのなかでも最軽量となる122gという値をマークしている。
他にも、女性向けにゲルパッディングを搭載し快適性を向上させたSLR BOOST LADY SUPERFLOWや、ロングライドの快適性を追求したSLR BOOST ENDURANCE SUPERFLOW、グラベルライドに最適化したSLR BOOST GRAVEL SUPERFLOWといったモデルもラインアップしており、用途によってピッタリのサドルを選ぶことが出来るはずだ。
税抜価格は最も手ごろなマンガネーゼモデルが16,000円、スタンダードなTi316レールモデルが27,500円(女性向けモデルのみ24,500円)、ハイエンドのカーボンケラミックモデルが37,500円となっている。
― 編集部インプレッション
SLRといえば、昔からロードに乗っている人であれば一度は腰かけたことがあるのではないだろうか。購入していなくとも、定番のサドルということで試乗車についている確率も高いはず。端正なシルエットと手に取った瞬間にわかる軽さ、それらを実現するための薄めのパッド。それでいて、ベースが良くしなることで快適性も併せ持つ、レーシングサドルの王道モデルだ。
もちろん、人それぞれ好みが大きく分かれるのがサドルというものだから、万人に合うとは言い切れない。個人的には、フラットなサドルよりもアールの大きめのサドルが好み。参考までに筆者のサドル遍歴を記していくと、セッレSMP STRIKE COMPOSITEや、プロロゴ SCRATCH、ファブリック SCOOP RADIUSなどがしっくりくる。ノーマルなSLRも割といけるクチであった。
新車を組むにあたって新たにサドルも手配する必要が出てきた。背も低めなのにゼロオフセットシートポストを使いたいという事情もあり、ショートサドルを物色する中で目についたのが最も軽量なショートサドルという触れ込みのSLR BOOST KIT CARBONIO SUPERFLOW。
全長が短く幅が広めとなるショートサドルは、宿命的にずんぐりむっくりなルックスになりがち。正直なところ、ルックス的には好みでないモデルが多かった。だが、SLR BOOSTはSサイズであれば幅130mmとノーマルのSLRと同様の幅とされていることやパッドの薄さもあいまって、「シュッ」としたスタイリングが好印象。
ただ一つ気になったのが、ベースの硬さ。カタログではどうもカーボンに見える。ガチガチのカーボンベースだった場合は乗り心地に影響してきそうだ、ということで急遽お借りすることに。
届いたサドルを見ると、表側はクリアが塗られカーボンらしいマーブル模様となっているが、裏返すとインジェクテッドカーボン強化ナイロンのような質感。試しにサドルトップを押してみると、結構撓んでくれる。
ポジションを調整しつつ、早速乗ってみる。サドルの合う合わないは乗った瞬間にわかるものだけれど、直感的にこれはイケる!と確信できた。ノーマルのSLRとは同じ方向性だが少し違った乗り味で、SLR BOOSTのほうが座面がカーブしているので腰の位置がズレにくい。ホールド感を求める人はこちらの方が向いているだろう。
乗り初め編集部ライドで関東屈指の激坂、子ノ権現でのヒルクライムでも前に体重を掛けやすく、前乗りならではのトルクフルなペダリングをしっかりサポートしてくれる。荒れた路面を走っていても、臀部が痛くなるようなことは無い。ベースの撓りに加え、セッレイタリアが近年開発した接着方式のパッドの柔軟性の高さもあり、快適性はかなり高いレベルにある。
更に122gという軽さはダンシングで大いに効く。バイクを振っても明らかに軽い。もちろん80gを切るようなパッド無しのフルカーボンサドルなどもあるけれど、乗り心地や価格、扱いやすさといった総合的な性能では、このサドルの圧勝だ。
SLR BOOST KIT CARBONIO SUPERFLOWは、流行のショートサドルの中でも最軽量というだけでなく、サドルに求められるあらゆる性能を高い次元でまとめ上げた逸品。SLRがノーマルなサドルのベンチマークであるのと同様、このサドルもショートサドルのニュースタンダードとなりそうだ。
text&impression:Naoki.Yasuoka
SLR BOOST KIT CARBONIO(カーボンレールモデル)
ベース形式 | ノーマル | 穴あり(SUPERFLOW) |
idmatch | S1、L1 | S3、L3 |
サイズ(S) | 130×248mm | 130×248mm |
サイズ(L) | 145×245mm | 145×248mm |
重量(S) | 136g | 122g |
重量(L) | 143g | 129g |
レール素材 | CarbonKeramic(7x9mm) | CarbonKeramic(7x9mm) |
トップ素材 | Fibra-Tek | Fibra-Tek |
カラー | ブラック | ブラック |
税抜価格 | 37,500円 | 37,500円 |
SLR BOOST(Ti316レールモデル)
ベース形式 | ノーマル | 穴あり(SUPERFLOW) |
idmatch | S1、L1 | S3、L3 |
サイズ(S) | 130×248mm | 130×248mm |
サイズ(L) | 145×245mm | 145×248mm |
重量(S) | 173g | 158g |
重量(L) | 178g | 163g |
レール素材 | Ti316 | Ti316 |
トップ素材 | Fibra-Tek | Fibra-Tek |
カラー | ブラック | ブラック、ツール・ド・フランス |
税抜価格 | 27,500円 | 27,500円(ツールモデルは29,000円) |
SLR BOOST TM(マンガネーゼレールモデル)
ベース形式 | ノーマル | 穴あり(SUPERFLOW) |
idmatch | S1、L1 | S3、L3 |
サイズ(S) | 130×248mm | 130×248mm |
サイズ(L) | 145×245mm | 145×248mm |
重量(S) | 230g | 208g |
重量(L) | 235g | 210g |
レール素材 | Manganese Tube | Manganese Tube |
トップ素材 | Soft-Tek | Soft-Tek |
カラー | ブラック | ブラック、ツール・ド・フランス |
税抜価格 | 16,000円 | 16,000円(ツールモデルは18,000円) |
SLR BOOST SUPERFLOW(LADY、ENDURANCE、GRAVEL)
モデル名 | SLR BOOST LADY SUPERFLOW | SLR BOOST ENDURANCE SUPERFLOW | SLR BOOSTLADY SUPERFLOW |
idmatch | S3、L3 | S3、L3 | S3、L3 |
サイズ(S) | 130×248mm | 130×248mm | 130×248mm |
サイズ(L) | 145×248mm | 145×248mm | 145×248mm |
重量(S) | 208g | 202g | 204g |
重量(L) | 210g | 207g | 209g |
レール素材 | Ti316 | Ti316 | Ti316 |
トップ素材 | Fibra-Tek | Fibra-Tek | Fibra-Tek |
カラー | ブラック | ブラック | ブラック |
税抜価格 | 24,500円 | 27,500円 | 27,500円 |
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