2010/05/08(土) - 21:35
ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)は、"ジロ・デ・イタリアのオープニングステージでマリアローザを2年連続で手にするイギリス人"の2人目となるべく準備万端だ。
3週間に渡るジロは土曜日にアムステルダムの中心を抜ける8.4kmの個人タイムトライアルで幕を開ける。ウィギンズにとっては完璧なステージだ。
ウィギンズは言う「誰が走るのかまだ知らない。スタートリストも見ていないし、自分のパフォーマンスに集中しているんだ」と語った。「自分を最高のレベルに持っていくためにできることはすべてやったよ」。
昨年、ジロ開幕ステージでピンクのジャージを手に入れたのはチームTTでチームが1位になることに貢献したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビアHTC)だった。しかし今年は個人タイムトライアルである。
今年のTTコースはレンブラント美術館前からスタートし、市内の運河沿いのタイトコーナーを蛇行しながら、1928年のオリンピック・スタジアム前へとフィニッシュする。
同じような決意のもと、ウィギンズはオリンピックのトラック競技でメダルを獲得し、ロードのTTで成果を挙げてきた。だが、いつも成功してきたわけではない。
昨年、ローマのコロセッオ近郊で行われたジロ・デ・イタリア最終ステージの個人タイムトライアルで、ウィギンズは辛くも1秒差でイグナスタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、サーヴェロ・テストチーム)に敗れた。コノヴァロヴァスはスタート時間の関係で(天候に恵まれ)ドライな路面を走ったという強みがありはしたが...。
「もちろんTTに負けたら失望する部分はあるよ。特にわずかの差で2位に終わった、なんていう時には。レースの間の天候とか、コーナーでミスしたなんていうハプニングがなければ、満足の行く部分もあるんだ」とウィギンズは続けた。
「去年は、僕の走ったレース後半は雨が降って、それがもとでロスした1秒差で負けた。あれはつらかった。こういうプロローグのときは自分でコントロールできることに集中しなくちゃ」。
下馬評では、ジロ開幕ステージはイギリス人同士の対決となるだろうと予想されている。
ウィギンズに並んで、スコットランド出身のTTスペシャリスト、デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)の勝利が予想されているのだ。
ミラーVSウィギンズ 真のイギリス人対決へ
ミラーはさきの4月、ベルギーで開催される3日間のステージレース KBCデパンヌ3日間レースの個人TTを制して総合優勝しており、その後休息をとってのフレッシュ・スタートだ。ミラーは「ウィギンズの勝利が予想される」と言うが、ウィギンズは「ミラーこそ」と返している。
「デイブ(ミラー)の今年のコンディションを見ただろう?」とウィギンズは続ける。「確かにあそこまで調子を持っていかないと。レースにどうやって準備していったら良いかを彼は良く知っているよね」。
ミラーは今朝、コースの一部を試走している。しかしウィギンズは土曜日にオーガナイザーによる道路の通行止めが完了し、バリアが設置されてコースが出来上がるまで待つと言う。
そしてこの戦いはアムステルダムだけでは終わらない。イタリアに戻って初日の第4ステージには33kmのチームタイムトライアルが待っている。
昨年はウィギンズもミラーも同じガーミンのチームメートだったが、今年はそれぞれ別のチームを率いている。ガーミン対スカイの対決だ。
「紙上のデータではガーミンの勝利が予想されると言わざるを得ない。別にプレッシャーを外(そ)らせようっていうワケじゃないんだ。『僕らスカイが勝ってみせる』と言いたいよ。でも、去年ガーミンで学んだように、最強であるってことだけが要因にはならない。僕らはジロでもツールでも抜きん出て最強のチームだった。しかし技術面でしくじったんだ。
このチームがベストを尽くすのを見届けたい。チームの一人ひとりを比較したら、データ上は彼らほどには強くない。ベストで走ること、そしてガーミンを意識しない事だね」
いよいよ戦いの幕が上がる。マリアローザを獲得するのは、果たしてウィギンズかミラーか。または他のダークホースか?
text: Gregor Brown
photo: Kei Tsuji, Cor Vos
translation: Yuko.Yamawaki
3週間に渡るジロは土曜日にアムステルダムの中心を抜ける8.4kmの個人タイムトライアルで幕を開ける。ウィギンズにとっては完璧なステージだ。
ウィギンズは言う「誰が走るのかまだ知らない。スタートリストも見ていないし、自分のパフォーマンスに集中しているんだ」と語った。「自分を最高のレベルに持っていくためにできることはすべてやったよ」。
昨年、ジロ開幕ステージでピンクのジャージを手に入れたのはチームTTでチームが1位になることに貢献したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビアHTC)だった。しかし今年は個人タイムトライアルである。
今年のTTコースはレンブラント美術館前からスタートし、市内の運河沿いのタイトコーナーを蛇行しながら、1928年のオリンピック・スタジアム前へとフィニッシュする。
同じような決意のもと、ウィギンズはオリンピックのトラック競技でメダルを獲得し、ロードのTTで成果を挙げてきた。だが、いつも成功してきたわけではない。
昨年、ローマのコロセッオ近郊で行われたジロ・デ・イタリア最終ステージの個人タイムトライアルで、ウィギンズは辛くも1秒差でイグナスタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、サーヴェロ・テストチーム)に敗れた。コノヴァロヴァスはスタート時間の関係で(天候に恵まれ)ドライな路面を走ったという強みがありはしたが...。
「もちろんTTに負けたら失望する部分はあるよ。特にわずかの差で2位に終わった、なんていう時には。レースの間の天候とか、コーナーでミスしたなんていうハプニングがなければ、満足の行く部分もあるんだ」とウィギンズは続けた。
「去年は、僕の走ったレース後半は雨が降って、それがもとでロスした1秒差で負けた。あれはつらかった。こういうプロローグのときは自分でコントロールできることに集中しなくちゃ」。
下馬評では、ジロ開幕ステージはイギリス人同士の対決となるだろうと予想されている。
ウィギンズに並んで、スコットランド出身のTTスペシャリスト、デーヴィッド・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)の勝利が予想されているのだ。
ミラーVSウィギンズ 真のイギリス人対決へ
ミラーはさきの4月、ベルギーで開催される3日間のステージレース KBCデパンヌ3日間レースの個人TTを制して総合優勝しており、その後休息をとってのフレッシュ・スタートだ。ミラーは「ウィギンズの勝利が予想される」と言うが、ウィギンズは「ミラーこそ」と返している。
「デイブ(ミラー)の今年のコンディションを見ただろう?」とウィギンズは続ける。「確かにあそこまで調子を持っていかないと。レースにどうやって準備していったら良いかを彼は良く知っているよね」。
ミラーは今朝、コースの一部を試走している。しかしウィギンズは土曜日にオーガナイザーによる道路の通行止めが完了し、バリアが設置されてコースが出来上がるまで待つと言う。
そしてこの戦いはアムステルダムだけでは終わらない。イタリアに戻って初日の第4ステージには33kmのチームタイムトライアルが待っている。
昨年はウィギンズもミラーも同じガーミンのチームメートだったが、今年はそれぞれ別のチームを率いている。ガーミン対スカイの対決だ。
「紙上のデータではガーミンの勝利が予想されると言わざるを得ない。別にプレッシャーを外(そ)らせようっていうワケじゃないんだ。『僕らスカイが勝ってみせる』と言いたいよ。でも、去年ガーミンで学んだように、最強であるってことだけが要因にはならない。僕らはジロでもツールでも抜きん出て最強のチームだった。しかし技術面でしくじったんだ。
このチームがベストを尽くすのを見届けたい。チームの一人ひとりを比較したら、データ上は彼らほどには強くない。ベストで走ること、そしてガーミンを意識しない事だね」
いよいよ戦いの幕が上がる。マリアローザを獲得するのは、果たしてウィギンズかミラーか。または他のダークホースか?
text: Gregor Brown
photo: Kei Tsuji, Cor Vos
translation: Yuko.Yamawaki