2010/04/29(木) - 10:30
2010年4月28日、ツール・ド・ロマンディ(UCIプロツアー)第1ステージが行なわれ、山岳で有力スプリンターが脱落する中、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)が大集団のスプリントを制して優勝。スロバキアを飛び出した20歳の新星が、同時にリーダージャージを手にした。
第1ステージは前日にプロローグが開催されたポラントリュイからフルリエまでの175.6km。中盤に2つの1級山岳を含む起伏に富んだステージで、ゴールの43km手前で2級山岳モン・ド・ビュットを通過する。この連続する山岳がスプリンターたちを苦しめた。
11km地点で集団から飛び出したのは、アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)、チャド・ベイヤー(アメリカ、BMCレーシングチーム)ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)の3名。いずれも23歳以下の若い選手だ。
このエスケープトリオは、リーダージャージ擁するチームHTC・コロンビアがコントロールするメイン集団から最大9分のアドバンテージ。
3人の中で、積極的に山岳ポイントを獲得したのはプロ入り1年目の19歳ピノ。やがて最後の難所である2級山岳モン・ド・ビュットの上りでピノの独走が始まった。
メイン集団はこの2級山岳モン・ド・ビュットでペースが上がり、カヴェンディッシュやレンショー、ヘンダーソン、フェルスター、ナポリターノ、ステーグマンなどのスプリンターが相次いで脱落。頂上通過後、先頭ピノを追ってヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)が集団から飛び出した。
バケランツは単独でピノを抜いて先頭に立ったが、リクイガスやランプレが牽引するメイン集団を振り切ることが出来ず、ラスト4kmで吸収。有力スプリンターを欠く集団は、主導権を握るチームがいないままスプリント勝負に突入した。
ラスト1kmを切ってランプレが先頭に立ったが、牽引役のダニーロ・ホンド(ドイツ)がラスト200mで早々に下がってしまい、エースのフランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア)が先頭に。そのガヴァッツィの後方から、ラスト150mでスプリントを開始したのはサガン。緑のスプリント賞ジャージを着るサガンがガヴァッツィを勢い良く抜き去り、そのまま先頭でゴールした。
今年プロツアーチームのリクイガスでプロ入りし、ツアー・ダウンアンダーで強豪と渡り合う鮮烈なデビューを飾ったサガン。パリ〜ニースで驚きのステージ2勝を飾った新星が、再びトップレースで魅せた。ボーナスタイムを獲得したサガンは、ピノッティからリーダージャージを奪うことに成功している。
リクイガスの公式サイトの中でサガンは「このステージは開幕前から狙っていたんだ。ピノッティとのタイム差も小さかったし、イエロージャージも同時に狙っていた。レースは全てが上手く進んだよ。コースも僕向きだったし、チームも最高のサポートを見せてくれた。ポジション取りに手間取りながらもガヴァッツィの番手をゲット。ラスト150mを切ってからスプリントを開始したんだ」とコメント。
更にサガンは総合成績も見据えている。「これからの目標は、このリーダージャージを出来る限り長く着続けること。何と言っても最後の2ステージが厳しい。長い上りは苦手だけど、遅れを最小限に抑えたいと思っている」。仮にサガンが山岳で遅れたとしても、チームメイトでディフェンディングチャンピオンのロマン・クロイツィゲル(チェコ)が控えている。
翌第2ステージも2つの1級山岳を含む山岳コース。比較的難易度は低いが、ピュアスプリンターたちは再び苦戦を強いられるだろう。山岳で縮小した集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性大だ。
レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。
ツール・ド・ロマンディ2010第1ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) 4h50'21"
2位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)
4位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
5位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、フットオン・セルヴェット)
6位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・トランジションズ)
7位 ミシェル・クレダー(オランダ、ガーミン・トランジションズ)
8位 アナス・ルンド(デンマーク、サクソバンク)
9位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
10位 ステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)
個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) 4h55'29"
2位 マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア) +09"
3位 ジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー) +12"
4位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
5位 クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ) +14"
6位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ) +15"
7位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
8位 ルーベン・プラサ(スペイン、ケースデパーニュ)
9位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック)
10位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +16"
山岳賞
ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)
新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
チーム総合成績
チームHTC・コロンビア
text:Kei Tsuji
photo:www.tourderomandie.ch
第1ステージは前日にプロローグが開催されたポラントリュイからフルリエまでの175.6km。中盤に2つの1級山岳を含む起伏に富んだステージで、ゴールの43km手前で2級山岳モン・ド・ビュットを通過する。この連続する山岳がスプリンターたちを苦しめた。
11km地点で集団から飛び出したのは、アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)、チャド・ベイヤー(アメリカ、BMCレーシングチーム)ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)の3名。いずれも23歳以下の若い選手だ。
このエスケープトリオは、リーダージャージ擁するチームHTC・コロンビアがコントロールするメイン集団から最大9分のアドバンテージ。
3人の中で、積極的に山岳ポイントを獲得したのはプロ入り1年目の19歳ピノ。やがて最後の難所である2級山岳モン・ド・ビュットの上りでピノの独走が始まった。
メイン集団はこの2級山岳モン・ド・ビュットでペースが上がり、カヴェンディッシュやレンショー、ヘンダーソン、フェルスター、ナポリターノ、ステーグマンなどのスプリンターが相次いで脱落。頂上通過後、先頭ピノを追ってヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)が集団から飛び出した。
バケランツは単独でピノを抜いて先頭に立ったが、リクイガスやランプレが牽引するメイン集団を振り切ることが出来ず、ラスト4kmで吸収。有力スプリンターを欠く集団は、主導権を握るチームがいないままスプリント勝負に突入した。
ラスト1kmを切ってランプレが先頭に立ったが、牽引役のダニーロ・ホンド(ドイツ)がラスト200mで早々に下がってしまい、エースのフランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア)が先頭に。そのガヴァッツィの後方から、ラスト150mでスプリントを開始したのはサガン。緑のスプリント賞ジャージを着るサガンがガヴァッツィを勢い良く抜き去り、そのまま先頭でゴールした。
今年プロツアーチームのリクイガスでプロ入りし、ツアー・ダウンアンダーで強豪と渡り合う鮮烈なデビューを飾ったサガン。パリ〜ニースで驚きのステージ2勝を飾った新星が、再びトップレースで魅せた。ボーナスタイムを獲得したサガンは、ピノッティからリーダージャージを奪うことに成功している。
リクイガスの公式サイトの中でサガンは「このステージは開幕前から狙っていたんだ。ピノッティとのタイム差も小さかったし、イエロージャージも同時に狙っていた。レースは全てが上手く進んだよ。コースも僕向きだったし、チームも最高のサポートを見せてくれた。ポジション取りに手間取りながらもガヴァッツィの番手をゲット。ラスト150mを切ってからスプリントを開始したんだ」とコメント。
更にサガンは総合成績も見据えている。「これからの目標は、このリーダージャージを出来る限り長く着続けること。何と言っても最後の2ステージが厳しい。長い上りは苦手だけど、遅れを最小限に抑えたいと思っている」。仮にサガンが山岳で遅れたとしても、チームメイトでディフェンディングチャンピオンのロマン・クロイツィゲル(チェコ)が控えている。
翌第2ステージも2つの1級山岳を含む山岳コース。比較的難易度は低いが、ピュアスプリンターたちは再び苦戦を強いられるだろう。山岳で縮小した集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性大だ。
レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。
ツール・ド・ロマンディ2010第1ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) 4h50'21"
2位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)
4位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
5位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、フットオン・セルヴェット)
6位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・トランジションズ)
7位 ミシェル・クレダー(オランダ、ガーミン・トランジションズ)
8位 アナス・ルンド(デンマーク、サクソバンク)
9位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
10位 ステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)
個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) 4h55'29"
2位 マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア) +09"
3位 ジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー) +12"
4位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
5位 クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ) +14"
6位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ) +15"
7位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
8位 ルーベン・プラサ(スペイン、ケースデパーニュ)
9位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック)
10位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +16"
山岳賞
ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)
新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
チーム総合成績
チームHTC・コロンビア
text:Kei Tsuji
photo:www.tourderomandie.ch
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