2019/03/28(木) - 10:21
標高2,150mの超級山岳バルテル2000にフィニッシュするボルタ・ア・カタルーニャ第3ステージは5名の精鋭クライマーたちによるスプリントに。アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がベルナルやキンタナ、ロペス、マーティンを下し、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が辛くも首位を守った。
地中海沿いのサントフェリウ・デ・フイソルスをスタートし、カタルーニャ州北部のピレネー山脈に挑む179kmコースで行われたボルタ・ア・カタルーニャ第3ステージ。2つの1級山岳をこなしながら標高を上げ、最後は標高2,150mの超級山岳バルテル2000(全長11.2km/平均7.6%)にフィニッシュする。
スキーリゾート地の超級山岳バルテル2000は2018年もコースに組み込まれたが、雪崩の危険があるとしてキャンセルされている。カタルーニャ一周に登場するのはティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)が勝利した2014年以来5年ぶり。
獲得標高差が4,000mに達するクイーンステージは、山岳賞3位のアルバロ・クアドロス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)やドリス・デヴェナインス(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ベルトヤン・リンデマン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ら11名が先行して逃げる展開に。5分差をつけたこの大きな逃げグループを、ロット・スーダルやモビスターが追いかけた。
クアドロスは2つの1級山岳で最大ポイントを獲得したが、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)から山岳賞トップの座を奪えず。やがてタイム差が2分に縮まった状態で最後の超級山岳バルテル2000登坂が始まると、すぐさま崩壊した逃げグループの中からピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・シャルル)が独走に持ち込む。しかしモビスターやチームスカイが牽引するメイン集団の足音はすぐ後ろにまで迫っていた。
逃げを吸収していくメイン集団の中に、前日の落車で総合争いから脱落したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)の姿はなかった。5年前のステージ優勝者ヴァンガーデレンや、気管支炎からの復調が遅れているリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)も早々にメイン集団から脱落した。
チームスカイがジョナタン・ナルバエス(エクアドル)、セバスティアン・エナオ(コロンビア)、パヴェル・シヴァコフ(ロシア)、イバン・ソーサ(コロンビア)の4名を集団の先頭に立たせてペースを上げると、フィニッシュまで8kmを残して総合首位デヘントがついに脱落。最終的な総合争いは考えていないと公言していたデヘントだが、リーダージャージを1日でも長く切るために、3分弱の総合リードを切り崩しながら一定ペースで登坂を続けた。
最終アシストのソーサがもう一段ペースを上げると、3年連続4度目の総合優勝がかかったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)も脱落する。そこから段階的に残り5kmでエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が強烈なアタックを仕掛けると、唯一ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)だけがその加速に反応した。
22歳ベルナルと29歳キンタナの新旧コロンビアンクライマー対決。ペースに強弱をつけて揺さぶるベルナルらには、単独追走を仕掛けたアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)合流。中継映像のテロップはサイモン・イェーツを示したが、左耳にイヤホンを装着しているのは紛れもなくアダム・イェーツだった。
アタックと牽制を繰り返すベルナル、キンタナ、Aイェーツには、続いてミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)とダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)も追いついて先頭は5名に。アタックがかかるたびにマーティンが遅れたものの、先頭5名のまま残り1kmアーチを通過する。マーティンのアタックも不発に終わり、ステージ優勝争いはスプリントで決することに。コロンビアx3、イギリスx1、アイルランドx1の5名によるスプリントで、Aイェーツが先頭を取った。
「先週(ティレーノ〜アドリアティコで)惜しいところで勝利を逃したので、今日は勝ちたいという強い思いがあった。ベルナルとキンタナの強烈なアタックには反応できなかったけど、ペースを刻んで徐々に徐々に追い上げた。先頭に追いついてからは互いに仕掛けるゲームが始まって、キンタナが協力せず、残り200mからスプリントになった」。Aイェーツはティレーノ〜アドリアティコでリーダージャージを5日間着用しながらも、最終日の個人タイムトライアルでプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)に逆転されて総合2位に。わずか1秒差(厳密には0.31秒差)で総合優勝を逃していた。
今シーズン3勝目(チームTTを含む)を飾ったAイェーツは気温3度ほどのスキー場でシャンパンを振りまいた。「明日のラ・モリーナ山頂フィニッシュでは再びステージ優勝のチャンスが回ってくる。調子が良いので、明日ももちろんステージ優勝を狙うけど、総合争いに関しては最終日のバルセロナまで何が起こるかわからない」。
Aイェーツから2分21秒差でフィニッシュにたどり着いたデヘントが総合首位をキープ。クイーンステージを終えてAイェーツが27秒差の総合2位、ベルナルが30秒差の総合3位に続く。デヘントは「今日の作戦は自分のペースで走り続けることだった。一旦リミットを越えてしまうと一気に失速してしまう。だからチームスカイがペースを上げた時も、頂上まで持続可能な出力をキープした。ピュアクライマーに太刀打ちできないのは明らかだったけど、全開で登れば3分以上遅れることはないと確信していた。明日も全力を尽くすのみ。ここまで予想以上の走りができているので、リーダージャージを失っても悲劇ではない」とコメントしている。
地中海沿いのサントフェリウ・デ・フイソルスをスタートし、カタルーニャ州北部のピレネー山脈に挑む179kmコースで行われたボルタ・ア・カタルーニャ第3ステージ。2つの1級山岳をこなしながら標高を上げ、最後は標高2,150mの超級山岳バルテル2000(全長11.2km/平均7.6%)にフィニッシュする。
スキーリゾート地の超級山岳バルテル2000は2018年もコースに組み込まれたが、雪崩の危険があるとしてキャンセルされている。カタルーニャ一周に登場するのはティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)が勝利した2014年以来5年ぶり。
獲得標高差が4,000mに達するクイーンステージは、山岳賞3位のアルバロ・クアドロス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)やドリス・デヴェナインス(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ベルトヤン・リンデマン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ら11名が先行して逃げる展開に。5分差をつけたこの大きな逃げグループを、ロット・スーダルやモビスターが追いかけた。
クアドロスは2つの1級山岳で最大ポイントを獲得したが、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)から山岳賞トップの座を奪えず。やがてタイム差が2分に縮まった状態で最後の超級山岳バルテル2000登坂が始まると、すぐさま崩壊した逃げグループの中からピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・シャルル)が独走に持ち込む。しかしモビスターやチームスカイが牽引するメイン集団の足音はすぐ後ろにまで迫っていた。
逃げを吸収していくメイン集団の中に、前日の落車で総合争いから脱落したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)の姿はなかった。5年前のステージ優勝者ヴァンガーデレンや、気管支炎からの復調が遅れているリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)も早々にメイン集団から脱落した。
チームスカイがジョナタン・ナルバエス(エクアドル)、セバスティアン・エナオ(コロンビア)、パヴェル・シヴァコフ(ロシア)、イバン・ソーサ(コロンビア)の4名を集団の先頭に立たせてペースを上げると、フィニッシュまで8kmを残して総合首位デヘントがついに脱落。最終的な総合争いは考えていないと公言していたデヘントだが、リーダージャージを1日でも長く切るために、3分弱の総合リードを切り崩しながら一定ペースで登坂を続けた。
最終アシストのソーサがもう一段ペースを上げると、3年連続4度目の総合優勝がかかったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)も脱落する。そこから段階的に残り5kmでエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が強烈なアタックを仕掛けると、唯一ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)だけがその加速に反応した。
22歳ベルナルと29歳キンタナの新旧コロンビアンクライマー対決。ペースに強弱をつけて揺さぶるベルナルらには、単独追走を仕掛けたアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)合流。中継映像のテロップはサイモン・イェーツを示したが、左耳にイヤホンを装着しているのは紛れもなくアダム・イェーツだった。
アタックと牽制を繰り返すベルナル、キンタナ、Aイェーツには、続いてミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)とダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)も追いついて先頭は5名に。アタックがかかるたびにマーティンが遅れたものの、先頭5名のまま残り1kmアーチを通過する。マーティンのアタックも不発に終わり、ステージ優勝争いはスプリントで決することに。コロンビアx3、イギリスx1、アイルランドx1の5名によるスプリントで、Aイェーツが先頭を取った。
「先週(ティレーノ〜アドリアティコで)惜しいところで勝利を逃したので、今日は勝ちたいという強い思いがあった。ベルナルとキンタナの強烈なアタックには反応できなかったけど、ペースを刻んで徐々に徐々に追い上げた。先頭に追いついてからは互いに仕掛けるゲームが始まって、キンタナが協力せず、残り200mからスプリントになった」。Aイェーツはティレーノ〜アドリアティコでリーダージャージを5日間着用しながらも、最終日の個人タイムトライアルでプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)に逆転されて総合2位に。わずか1秒差(厳密には0.31秒差)で総合優勝を逃していた。
今シーズン3勝目(チームTTを含む)を飾ったAイェーツは気温3度ほどのスキー場でシャンパンを振りまいた。「明日のラ・モリーナ山頂フィニッシュでは再びステージ優勝のチャンスが回ってくる。調子が良いので、明日ももちろんステージ優勝を狙うけど、総合争いに関しては最終日のバルセロナまで何が起こるかわからない」。
Aイェーツから2分21秒差でフィニッシュにたどり着いたデヘントが総合首位をキープ。クイーンステージを終えてAイェーツが27秒差の総合2位、ベルナルが30秒差の総合3位に続く。デヘントは「今日の作戦は自分のペースで走り続けることだった。一旦リミットを越えてしまうと一気に失速してしまう。だからチームスカイがペースを上げた時も、頂上まで持続可能な出力をキープした。ピュアクライマーに太刀打ちできないのは明らかだったけど、全開で登れば3分以上遅れることはないと確信していた。明日も全力を尽くすのみ。ここまで予想以上の走りができているので、リーダージャージを失っても悲劇ではない」とコメントしている。
ボルタ・ア・カタルーニャ2019第3ステージ結果
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 5:02:18 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | |
3位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
5位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:02 |
6位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:30 |
7位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:46 |
8位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | |
9位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:51 |
10位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) | 0:00:53 |
11位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | |
12位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
13位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:05 |
27位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:02:19 |
28位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:02:21 |
個人総合成績
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 13:28:29 |
2位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:27 |
3位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:00:30 |
4位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:00:33 |
5位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:00:35 |
6位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:39 |
7位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:01:06 |
8位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:01:23 |
9位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | |
10位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:28 |
ポイント賞
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 16pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 11pts |
3位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 10pts |
山岳賞
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 37pts |
2位 | アルバロ・クアドロス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | 35pts |
3位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 26pts |
ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 13:28:59 |
2位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:09 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:12 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 40:30:23 |
2位 | アスタナ | 0:00:24 |
3位 | EFエデュケーションファースト | 0:02:43 |
text:Kei Tsuji
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