2019/03/18(月) - 08:22
ティレーノ〜アドリアティコ名物「ラ・タッパ・デイ・ムーリ(壁を巡るステージ)」でヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)が独走勝利。最大勾配19%の激坂でライバルを蹴散らしたアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がリードを拡大している。
ティレーノ〜アドリアティコの最難関クイーンステージである第5ステージは、後半にかけて丘の上の街レカナーティを起点にした全長22.8km周回コースを合計3周する。この周回コースはまさにアップダウンの連続で、『サンピエトロ(全長3km/平均勾配6.8%/最大勾配20%)』と『ポルタドージモ(全長1.8km/平均勾配10.8%/最大勾配19%)』という2つの激坂が登場。しかもフィニッシュ地点は『ポルタドージモ』の頂上からさらに勾配3.3%の緩斜面を1.8km登った先にある。
2019年大会には標高のある本格的な山岳ステージは設定されていないため、クライマー系オールラウンダーたちはこのパンチの効いた激坂レースで勝負をかけた。
ダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)やスティーヴ・モラビト(スイス、グルパマFDJ)ら13名の逃げグループは、ちょうどレースが折り返す90km地点で最大8分のタイム差をマーク。まさにジェットコースターのようなレカナーティ周回コースでミッチェルトン・スコットやアスタナ、ユンボ・ヴィズマがメイン集団を牽引したため、タイム差の描く曲線は確実に下降していった。
レースが本格的に動き始めたのは2回目の『ポルタドージモ』の登り。逃げグループの30秒後方にまで迫ったメイン集団は人数を減らし、激坂区間を終えたタイミングでヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)がアタックを仕掛ける。フィニッシュまで残り24km地点でのアタック。フルサングは先頭で逃げ続けていたニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)とダヴィデ・ガッブロ(イタリア、ネーリソットリ・セッレイタリア)、マッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)に追いつくとともに、続く最終周回の『サンピエトロ』で独走に持ち込んだ。
フルサングを追いかけてヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)とサム・オーメン(オランダ、サンウェブ)もメイン集団を飛び出したが、総合ライバルたちを振り切ることができずに引き戻される。すると、残り11km地点の『サンピエトロ』でリーダージャージを着るAイェーツがアタック。この総合優勝に向けた動きに、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)だけが反応した。
そして迎えた最後の『ポルタドージモ』激坂ヒルクライム。独走するフルサングの1分後方では、Aイェーツとログリッチェの直接対決が繰り広げられ、その後ろにトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が続く展開。フルサングはリードを失いながらも、35秒のリードを保ったまま急勾配区間を終えた。
後方では、急勾配区間を力強いダンシングで踏み抜いたAイェーツに対し、体幹がブレて少し蛇行しはじめたログリッチェは失速。勾配18.1%の急勾配区間を42秒間にわたって570W(体重58kg)を出力し、平均スピード13.5km/hで駆け上がったAイェーツがログリッチェを完全に突き放した。
レカナーティの旧市街に引かれたフィニッシュラインまで独走を続けたフルサングが、天を指差し、感情のこもったガッツポーズを見せる。前日のアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)に続いて、アスタナがマルケの激坂ステージを制した。「昨日からずっと、10年前にこのティレーノ〜アドリアティコで総合優勝を飾ったミケーレ(スカルポーニ)に勝利を捧げたいと思っていた。これは彼のお気に入りにレースで、今日は彼の地元を走ったんだ。彼はいつも心の中にいる。この勝利は彼のためのものだ」。フルサングは2017年4月22日に事故死したミケーレ・スカルポーニに勝利を捧げた。
アスタナは今シーズン19勝目。グランツールシーズンを前に昨年の30勝に届きそうだ勢いだ。この日の勝利で総合3位に浮上したフルサングは「フィニッシュまで距離を残してのアタックは運と勇気がいる。現状、総合優勝は難しいけどせめて総合表彰台には登りたい。トム・デュムランから逃げきるために良いタイムトライアルを走らないといけない」と、最終日第7ステージの個人タイムトライアルを見据える。
「ログリッチェと協力して先頭を追ったものの、かなり早めにアタックしたフルサングを捕まえることはできなかった。昨日のルツェンコと同じ状況だった。早めのアタックに反応していたら体力を消耗していた可能性もあったし、とにかく戦略的なゲームだった」と語るのは、フルサングから40秒遅れでフィニッシュして総合首位をキープしたAイェーツ。
この日はログリッチェが56秒遅れ、デュムランが1分39秒遅れでフィニッシュした。総合1位Aイェーツは総合2位ログリッチェから25秒、総合3位フルサングから35秒、総合4位デュムランから1分55秒のリードを持って最終個人タイムトライアルに挑むことになる。「残るはタイムトライアルだけ。TTが得意なログリッチェから45秒以上のリードを奪っておきたいと思っていた。25秒というタイム差は十分ではないけど、全力を尽くすのみだ」と語るAイェーツ。参考までに、昨年の最終個人タイムトライアルでAイェーツはログリッチェに36秒差をつけられている。
ティレーノ〜アドリアティコの最難関クイーンステージである第5ステージは、後半にかけて丘の上の街レカナーティを起点にした全長22.8km周回コースを合計3周する。この周回コースはまさにアップダウンの連続で、『サンピエトロ(全長3km/平均勾配6.8%/最大勾配20%)』と『ポルタドージモ(全長1.8km/平均勾配10.8%/最大勾配19%)』という2つの激坂が登場。しかもフィニッシュ地点は『ポルタドージモ』の頂上からさらに勾配3.3%の緩斜面を1.8km登った先にある。
2019年大会には標高のある本格的な山岳ステージは設定されていないため、クライマー系オールラウンダーたちはこのパンチの効いた激坂レースで勝負をかけた。
ダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)やスティーヴ・モラビト(スイス、グルパマFDJ)ら13名の逃げグループは、ちょうどレースが折り返す90km地点で最大8分のタイム差をマーク。まさにジェットコースターのようなレカナーティ周回コースでミッチェルトン・スコットやアスタナ、ユンボ・ヴィズマがメイン集団を牽引したため、タイム差の描く曲線は確実に下降していった。
レースが本格的に動き始めたのは2回目の『ポルタドージモ』の登り。逃げグループの30秒後方にまで迫ったメイン集団は人数を減らし、激坂区間を終えたタイミングでヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)がアタックを仕掛ける。フィニッシュまで残り24km地点でのアタック。フルサングは先頭で逃げ続けていたニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)とダヴィデ・ガッブロ(イタリア、ネーリソットリ・セッレイタリア)、マッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)に追いつくとともに、続く最終周回の『サンピエトロ』で独走に持ち込んだ。
フルサングを追いかけてヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)とサム・オーメン(オランダ、サンウェブ)もメイン集団を飛び出したが、総合ライバルたちを振り切ることができずに引き戻される。すると、残り11km地点の『サンピエトロ』でリーダージャージを着るAイェーツがアタック。この総合優勝に向けた動きに、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)だけが反応した。
そして迎えた最後の『ポルタドージモ』激坂ヒルクライム。独走するフルサングの1分後方では、Aイェーツとログリッチェの直接対決が繰り広げられ、その後ろにトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が続く展開。フルサングはリードを失いながらも、35秒のリードを保ったまま急勾配区間を終えた。
後方では、急勾配区間を力強いダンシングで踏み抜いたAイェーツに対し、体幹がブレて少し蛇行しはじめたログリッチェは失速。勾配18.1%の急勾配区間を42秒間にわたって570W(体重58kg)を出力し、平均スピード13.5km/hで駆け上がったAイェーツがログリッチェを完全に突き放した。
レカナーティの旧市街に引かれたフィニッシュラインまで独走を続けたフルサングが、天を指差し、感情のこもったガッツポーズを見せる。前日のアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)に続いて、アスタナがマルケの激坂ステージを制した。「昨日からずっと、10年前にこのティレーノ〜アドリアティコで総合優勝を飾ったミケーレ(スカルポーニ)に勝利を捧げたいと思っていた。これは彼のお気に入りにレースで、今日は彼の地元を走ったんだ。彼はいつも心の中にいる。この勝利は彼のためのものだ」。フルサングは2017年4月22日に事故死したミケーレ・スカルポーニに勝利を捧げた。
アスタナは今シーズン19勝目。グランツールシーズンを前に昨年の30勝に届きそうだ勢いだ。この日の勝利で総合3位に浮上したフルサングは「フィニッシュまで距離を残してのアタックは運と勇気がいる。現状、総合優勝は難しいけどせめて総合表彰台には登りたい。トム・デュムランから逃げきるために良いタイムトライアルを走らないといけない」と、最終日第7ステージの個人タイムトライアルを見据える。
「ログリッチェと協力して先頭を追ったものの、かなり早めにアタックしたフルサングを捕まえることはできなかった。昨日のルツェンコと同じ状況だった。早めのアタックに反応していたら体力を消耗していた可能性もあったし、とにかく戦略的なゲームだった」と語るのは、フルサングから40秒遅れでフィニッシュして総合首位をキープしたAイェーツ。
この日はログリッチェが56秒遅れ、デュムランが1分39秒遅れでフィニッシュした。総合1位Aイェーツは総合2位ログリッチェから25秒、総合3位フルサングから35秒、総合4位デュムランから1分55秒のリードを持って最終個人タイムトライアルに挑むことになる。「残るはタイムトライアルだけ。TTが得意なログリッチェから45秒以上のリードを奪っておきたいと思っていた。25秒というタイム差は十分ではないけど、全力を尽くすのみだ」と語るAイェーツ。参考までに、昨年の最終個人タイムトライアルでAイェーツはログリッチェに36秒差をつけられている。
ティレーノ〜アドリアティコ2019第5ステージ結果
1位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 4:39:32 |
2位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:40 |
3位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:56 |
4位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:39 |
5位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:53 |
6位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | 0:01:57 |
7位 | マッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード) | 0:02:09 |
8位 | アレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:02:12 |
9位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) | |
10位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト) |
個人総合成績
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 20:33:48 |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:25 |
3位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:00:35 |
4位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:55 |
5位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:34 |
6位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | 0:02:39 |
7位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:02:46 |
8位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:02:58 |
9位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト) | 0:03:03 |
10位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 0:03:26 |
ポイント賞
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 27pts |
2位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 22pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 22pts |
山岳賞
1位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 35pts |
2位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 34pts |
3位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 25pts |
ヤングライダー賞
1位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 20:36:46 |
2位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:37 |
3位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | 0:02:13 |
チーム総合成績
1位 | EFエデュケーションファースト | 61:10:11 |
2位 | トレック・セガフレード | 0:01:11 |
3位 | サンウェブ | 0:05:34 |
text:Kei Tsuji
photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
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