2019/01/18(金) - 14:22
タイトなヘアピンコーナーが続くことから『コークスクリュー(コルク抜き)』と呼ばれるKOMで本格的なアタック合戦が勃発。下り区間でまとまった20名によるスプリントでダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が勝利した。
アデレード市内のアンレーから『アデレードヒルズ』をぐるっと巡り、キャンベルタウンに戻る129.2kmで行われたサントス・ツアー・ダウンアンダー第4ステージ。獲得標高差2,100mの丘陵コースの最後にはKOMコークスクリュー(平均勾配9%/登坂距離2.5km)の登りが設定されている。
コルク抜きに例えられるタイトコーナーが連続する登りがダウンアンダーに組み込まれるのは2013年と2014年、2016年に続く4回目で、その頂上はフィニッシュラインから6kmしか離れていない。僅差で総合争いが決まるダウンアンダーにおいて貴重な勝負どころであり、総合優勝候補たちによるアタック合戦が予想された。
アデレードとメルボルンを結ぶ登り基調の高速道路でアクチュアルスタートが切られるとすぐ、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)を含む6名が先行を開始する。曇り空で最高気温25度ほどの快適なコンディションの中、逃げ屋デヘントらは5分23秒までリードを広げることに成功した。
逃げグループを形成した6名
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ)
ブノワ・コズネフロワ フランス(フランス、アージェードゥーゼール)
マイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ)
ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター)
ニコラス・ホワイト(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
2日連続でCCCチームが率いたメイン集団から3〜4分ほどのリードを得て、観光客であふれたスターリングやハーンドルフ、ウッドサイドといった田舎町を駆け抜けていく逃げグループ。タイム差が2分まで縮まった残り50km地点で小雨が降り始めたが、熱を含んだアスファルトによって路面が完全ウェットになることはなかった。
タイム差は残り25km地点で1分を下回る。KOMコークスクリューの登り口に向けた80km/hオーバーの高速ダウンヒル区間で激しく位置どりしながら、メイン集団は逃げグループを追い詰めていく。最終的にスコットソンとペーンシュタイナーの2人が生き残った状態でKOMコークスクリューに突入したものの、勾配が増したところでチームスカイ率いるメイン集団が逃げを全て飲み込んだ。
急勾配のスイッチバック区間でワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)とマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)がペースを上げると、この動きに反応できたのはリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)とジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)だけ。リーダージャージを着るパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)らを突き放すことに成功した4名の精鋭グループが、ベネットを先頭にKOMコークスクリューの頂上を通過していく。
ベネットは頂上手前の2.35kmを6分21秒で登坂。平均427Wを出力し、平均勾配9%の登りを21.6km/hで駆け上がっている。
ベヴィンを含む追走グループはベネットらから12秒遅れで頂上を通過。ここに前日2位のルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)や同3位のダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)らが入ったものの、1秒差の総合2位につけるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は乗り損ねた。
常時60km/hを超えるスピードでモンタキュートロードの下り区間をこなしたベネット、ポート、ウッズ、プールスの四強だったが、追走グループがそれを大きく上回るスピードで下りをかっ飛ばす。12秒差をすぐさま詰めることに成功した追走グループは残り2km地点で先頭に合流。最終的に20名まで人数を増やした精鋭グループが残り1kmアーチを抜け、キャンベルタウンにやってきた。
前日のリベンジを果たしたいサンチェスがロングスプリントに持ち込んだものの、その後ろからベヴィンとインピーが加速を開始。サンチェスを追い抜いたオークル色のリーダージャージと南アフリカチャンピオンジャージによる接戦は後者に軍配が上がった。
登りで一旦遅れながらも下りで挽回し、持ち前のパンチ力で集団先頭を取ったディフェンディングチャンピオンのインピーがステージ優勝。「今日は今月上旬に亡くなった友人のことを考えながら走っていたんだ。苦しい状況も彼の支えで乗り越えることができた」と、粘り強い走りを見せたインピーは語る。
「確実にハードな戦いになると予想されていたステージで勝つことができてファンタスティック。小集団スプリントになればパトリック・ベヴィンが優勝候補になると思っていただけに、彼に勝つことができて本当に良かった」。そう語るインピーは前日の4秒に続くボーナスタイム10秒獲得によって総合2位に浮上している。
ステージ2位のベヴィンはインピーから7秒差で総合首位をキープ。「ダリル・インピーを引き連れてコークスクリューの頂上を越えることになったのは残念だったけど、とにかく総合リードを守ったことは最高のシナリオ。この先のステージでは2種類のタイプの選手に警戒しないといけない。ダリルに代表される登れるスプリンターと、リッチー・ポートのようなクライマーだ。CCCチームはしっかりと彼らに目を光らせないといけない」と、引き続き調子の良さを見せるベヴィンは語る。
翌日はスプリンター向きの平坦コースが設定されているため、総合争いは実質的に最終日のウィランガヒル山頂フィニッシュで決することとなった。なお、追走グループがモンタキュートロードの下り区間で挽回する際、前を走るTVモーターバイクが風よけになったと数チームがレース後に抗議している。
アデレード市内のアンレーから『アデレードヒルズ』をぐるっと巡り、キャンベルタウンに戻る129.2kmで行われたサントス・ツアー・ダウンアンダー第4ステージ。獲得標高差2,100mの丘陵コースの最後にはKOMコークスクリュー(平均勾配9%/登坂距離2.5km)の登りが設定されている。
コルク抜きに例えられるタイトコーナーが連続する登りがダウンアンダーに組み込まれるのは2013年と2014年、2016年に続く4回目で、その頂上はフィニッシュラインから6kmしか離れていない。僅差で総合争いが決まるダウンアンダーにおいて貴重な勝負どころであり、総合優勝候補たちによるアタック合戦が予想された。
アデレードとメルボルンを結ぶ登り基調の高速道路でアクチュアルスタートが切られるとすぐ、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)を含む6名が先行を開始する。曇り空で最高気温25度ほどの快適なコンディションの中、逃げ屋デヘントらは5分23秒までリードを広げることに成功した。
逃げグループを形成した6名
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ)
ブノワ・コズネフロワ フランス(フランス、アージェードゥーゼール)
マイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ)
ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター)
ニコラス・ホワイト(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
2日連続でCCCチームが率いたメイン集団から3〜4分ほどのリードを得て、観光客であふれたスターリングやハーンドルフ、ウッドサイドといった田舎町を駆け抜けていく逃げグループ。タイム差が2分まで縮まった残り50km地点で小雨が降り始めたが、熱を含んだアスファルトによって路面が完全ウェットになることはなかった。
タイム差は残り25km地点で1分を下回る。KOMコークスクリューの登り口に向けた80km/hオーバーの高速ダウンヒル区間で激しく位置どりしながら、メイン集団は逃げグループを追い詰めていく。最終的にスコットソンとペーンシュタイナーの2人が生き残った状態でKOMコークスクリューに突入したものの、勾配が増したところでチームスカイ率いるメイン集団が逃げを全て飲み込んだ。
急勾配のスイッチバック区間でワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)とマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)がペースを上げると、この動きに反応できたのはリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)とジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)だけ。リーダージャージを着るパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)らを突き放すことに成功した4名の精鋭グループが、ベネットを先頭にKOMコークスクリューの頂上を通過していく。
ベネットは頂上手前の2.35kmを6分21秒で登坂。平均427Wを出力し、平均勾配9%の登りを21.6km/hで駆け上がっている。
ベヴィンを含む追走グループはベネットらから12秒遅れで頂上を通過。ここに前日2位のルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)や同3位のダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)らが入ったものの、1秒差の総合2位につけるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は乗り損ねた。
常時60km/hを超えるスピードでモンタキュートロードの下り区間をこなしたベネット、ポート、ウッズ、プールスの四強だったが、追走グループがそれを大きく上回るスピードで下りをかっ飛ばす。12秒差をすぐさま詰めることに成功した追走グループは残り2km地点で先頭に合流。最終的に20名まで人数を増やした精鋭グループが残り1kmアーチを抜け、キャンベルタウンにやってきた。
前日のリベンジを果たしたいサンチェスがロングスプリントに持ち込んだものの、その後ろからベヴィンとインピーが加速を開始。サンチェスを追い抜いたオークル色のリーダージャージと南アフリカチャンピオンジャージによる接戦は後者に軍配が上がった。
登りで一旦遅れながらも下りで挽回し、持ち前のパンチ力で集団先頭を取ったディフェンディングチャンピオンのインピーがステージ優勝。「今日は今月上旬に亡くなった友人のことを考えながら走っていたんだ。苦しい状況も彼の支えで乗り越えることができた」と、粘り強い走りを見せたインピーは語る。
「確実にハードな戦いになると予想されていたステージで勝つことができてファンタスティック。小集団スプリントになればパトリック・ベヴィンが優勝候補になると思っていただけに、彼に勝つことができて本当に良かった」。そう語るインピーは前日の4秒に続くボーナスタイム10秒獲得によって総合2位に浮上している。
ステージ2位のベヴィンはインピーから7秒差で総合首位をキープ。「ダリル・インピーを引き連れてコークスクリューの頂上を越えることになったのは残念だったけど、とにかく総合リードを守ったことは最高のシナリオ。この先のステージでは2種類のタイプの選手に警戒しないといけない。ダリルに代表される登れるスプリンターと、リッチー・ポートのようなクライマーだ。CCCチームはしっかりと彼らに目を光らせないといけない」と、引き続き調子の良さを見せるベヴィンは語る。
翌日はスプリンター向きの平坦コースが設定されているため、総合争いは実質的に最終日のウィランガヒル山頂フィニッシュで決することとなった。なお、追走グループがモンタキュートロードの下り区間で挽回する際、前を走るTVモーターバイクが風よけになったと数チームがレース後に抗議している。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2019第4ステージ結果
1位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 3:03:27 |
2位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) | |
3位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | |
4位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) | |
5位 | ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター) | |
6位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | |
7位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) | |
9位 | クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ) | |
10位 | ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームスカイ) | |
11位 | ドリス・デヴェナインス(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
12位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
13位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | |
14位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | |
15位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
16位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
17位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
18位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | |
19位 | ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
20位 | ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) | |
62位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 0:02:53 |
個人総合成績
1位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) | 13:23:30 |
2位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:07 |
3位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:11 |
4位 | クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ) | 0:00:21 |
5位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
6位 | ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | |
8位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) | |
9位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) |
ポイント賞
1位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) | 48pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 36pts |
3位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 35pts |
山岳賞
1位 | ジェーソン・リー(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 20pts |
2位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | 16pts |
3位 | マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ) | 12pts |
ヤングライダー賞
1位 | クリス・ハミルトン(オーストラリア、サンウェブ) | 13:23:51 |
2位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
3位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 40:11:33 |
2位 | ミッチェルトン・スコット | 0:00:28 |
3位 | バーレーン・メリダ |
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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