2010/03/12(金) - 10:53
3月11日、大会唯一の頂上ゴールが設定されたパリ〜ニース第4ステージが行なわれ、最後の急勾配の上りで飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が、ライバルたちを寄せ付けない走りで優勝。2007年大会の覇者が、2度目の総合優勝に向けてその力を誇示した。
「ローラン・ジャラベール山」の異名を持つ1級山岳ラ・クロワ・ヌーヴにゴールする第4ステージは、今大会唯一頂上ゴールが設定された山岳ステージ。平均勾配が10%を超える急勾配の山岳が、総合成績にシャッフルをかけた。
総合争いにおける重要な第4ステージは、7名の逃げで動き出した。逃げを試みたのはジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)やアルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)ら7名。タイム差は最大5分20秒まで拡大した。
レース前半の25km地点でバイクを降りたのはハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)。ヴォルタ・アン・アルガルヴェの落車で膝を痛め、パリ〜ニース第1ステージでもう一度落車したハウッスラーは、ミラノ〜サンレモに向けて大事を取ってリタイアを決めた。
メイン集団を率いたのはリーダージャージ擁するサクソバンクではなく、総合優勝筆頭のコンタドール擁するアスタナ。2006年ツール・ド・フランス覇者オスカル・ペレイロ(スペイン)も献身的に集団を牽引し、逃げグループとの差を詰めた。
結局先頭の7名はゴールまで11kmを残した2級山岳コート・ド・シャブリの手前で吸収。集団はこの
大きな動きを見せないままこの上りを越え、ラスト3km地点から始まる1級山岳ラ・クロワ・ヌーヴに突入した。
ラスト2kmを切り、急勾配の上りで最初に動いたのはクリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)。この時点で集団は大きく縮小し、トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)やペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)は脱落した。
ルメヴェルのペースアップを利用し、そこから更にもう一段ペースを上げたのは王者コンタドール。この動きには誰も反応出来ず、コンタドールの独走が始まった。
気温が氷点下に近い寒さの中、白い息をテンポよく吐きながらダンシングで急勾配の上りを進むコンタドールの後方では、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)やホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が追走。リーダージャージのイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)は厳しい表情を浮かべながら後退していく。
結局コンタドールは最後までリードを守り切り、お馴染みの小銃で撃ち抜くポーズでゴール。10秒遅れにバルベルデ、そして後半追い上げたサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)が入った。
フォイクトが44秒遅れに沈んだため、コンタドールがリーダージャージ獲得。コンタドールは2007年大会でもこの日と同じモール〜マンド間のステージで優勝を飾っており、最終的に総合優勝に輝いている。コンタドールは2度目の総合優勝に向けて、バルベルデから24秒、クロイツィゲルから25秒のリードを得た。
コンタドールはこの日のステージを振り返り、そしてこれからのステージに目を向ける。「少しアタックするのが早かったかもしれない。でもアタックを仕掛けるタイミングを掴むのはいつだって難しいんだ。今年のパリ〜ニースは前半ステージで落車も経験して苦しんだけど、今日、ここから新たなレースが始まる。まだハードなステージが3つも残されている」。
コンタドールは昨年も1級山岳頂上ゴールを制して総合リーダーに。しかし翌日の山岳ステージでライバルたちの攻勢に遭い、ハンガーノックも影響して総合4位に陥落した苦い経験を持っている。残りの3ステージでコンタドールは総合リードを守る立場だ。
選手コメントはレース公式サイトより。
パリ〜ニース2010第4ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 4h28'47"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) +10"
3位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +18"
5位 トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム) +20"
6位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ) +21"
7位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
8位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー) +29"
9位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)
10位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +31"
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 17h07'23"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) +24"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス) +25"
4位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ) +28"
5位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +29"
6位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク) +34"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +36"
8位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) +54"
9位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +1'03"
10位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +1'06"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
山岳賞
ローラン・マンジェル(フランス、ソール・ソジャサン)
新人賞
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
チーム総合成績
ケースデパーニュ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.
「ローラン・ジャラベール山」の異名を持つ1級山岳ラ・クロワ・ヌーヴにゴールする第4ステージは、今大会唯一頂上ゴールが設定された山岳ステージ。平均勾配が10%を超える急勾配の山岳が、総合成績にシャッフルをかけた。
総合争いにおける重要な第4ステージは、7名の逃げで動き出した。逃げを試みたのはジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)やアルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)ら7名。タイム差は最大5分20秒まで拡大した。
レース前半の25km地点でバイクを降りたのはハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)。ヴォルタ・アン・アルガルヴェの落車で膝を痛め、パリ〜ニース第1ステージでもう一度落車したハウッスラーは、ミラノ〜サンレモに向けて大事を取ってリタイアを決めた。
メイン集団を率いたのはリーダージャージ擁するサクソバンクではなく、総合優勝筆頭のコンタドール擁するアスタナ。2006年ツール・ド・フランス覇者オスカル・ペレイロ(スペイン)も献身的に集団を牽引し、逃げグループとの差を詰めた。
結局先頭の7名はゴールまで11kmを残した2級山岳コート・ド・シャブリの手前で吸収。集団はこの
大きな動きを見せないままこの上りを越え、ラスト3km地点から始まる1級山岳ラ・クロワ・ヌーヴに突入した。
ラスト2kmを切り、急勾配の上りで最初に動いたのはクリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)。この時点で集団は大きく縮小し、トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)やペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)は脱落した。
ルメヴェルのペースアップを利用し、そこから更にもう一段ペースを上げたのは王者コンタドール。この動きには誰も反応出来ず、コンタドールの独走が始まった。
気温が氷点下に近い寒さの中、白い息をテンポよく吐きながらダンシングで急勾配の上りを進むコンタドールの後方では、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)やホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が追走。リーダージャージのイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)は厳しい表情を浮かべながら後退していく。
結局コンタドールは最後までリードを守り切り、お馴染みの小銃で撃ち抜くポーズでゴール。10秒遅れにバルベルデ、そして後半追い上げたサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)が入った。
フォイクトが44秒遅れに沈んだため、コンタドールがリーダージャージ獲得。コンタドールは2007年大会でもこの日と同じモール〜マンド間のステージで優勝を飾っており、最終的に総合優勝に輝いている。コンタドールは2度目の総合優勝に向けて、バルベルデから24秒、クロイツィゲルから25秒のリードを得た。
コンタドールはこの日のステージを振り返り、そしてこれからのステージに目を向ける。「少しアタックするのが早かったかもしれない。でもアタックを仕掛けるタイミングを掴むのはいつだって難しいんだ。今年のパリ〜ニースは前半ステージで落車も経験して苦しんだけど、今日、ここから新たなレースが始まる。まだハードなステージが3つも残されている」。
コンタドールは昨年も1級山岳頂上ゴールを制して総合リーダーに。しかし翌日の山岳ステージでライバルたちの攻勢に遭い、ハンガーノックも影響して総合4位に陥落した苦い経験を持っている。残りの3ステージでコンタドールは総合リードを守る立場だ。
選手コメントはレース公式サイトより。
パリ〜ニース2010第4ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 4h28'47"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) +10"
3位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +18"
5位 トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム) +20"
6位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ) +21"
7位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
8位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー) +29"
9位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)
10位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +31"
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 17h07'23"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) +24"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス) +25"
4位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ) +28"
5位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +29"
6位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク) +34"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +36"
8位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) +54"
9位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +1'03"
10位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +1'06"
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
山岳賞
ローラン・マンジェル(フランス、ソール・ソジャサン)
新人賞
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
チーム総合成績
ケースデパーニュ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.
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