2010/02/14(日) - 12:55
自動車部品製造企業がスポンサーにつく愛三工業レーシングチームは、UCIアジアツアーでの活躍と4年後のロンドン五輪を視野に入れたチーム力の強化を図っている。2010年のチーム体制と、選手やスタッフに今シーズンの抱負を訊いた。
チームは2009年シーズンはUCIコンチネンタルチームとして5年目を迎え、UCIアジアツアーでチームランキング上位を狙う。今年は念願のツール・ド・ランカウィへの初参戦が決まっている。
チームは2009年、全日本ロードチャンピオンの西谷泰治と、個人ロードタイムトライアルチャンピオンの盛一大の2種目において全日本チャンピオンを産んだ。チームは今年、若手の福田真平を新たに迎えた。
田中光輝監督に訊く
「手に入れた念願のランカウィの切符。アジアツアーでチーム総合3位を狙う」
- 今シーズンのチームの目標と抱負を教えてください。
チームとしては今年もアジアで活躍するということが目標です。だからUCIアジアツアーのレースをできるだけたくさん回って、アジアの頂点を目指して戦いたいと思います。昨年よりもたくさん転戦する予定でいます。
- チーム総合順位ではどれぐらいが目標ですか?
総合3位を目指しますが、狙えない目標ではないと思っています。チーム一丸となって戦っていきたいと思います。
- 今年はついにツール・ド・ランカウィへの参戦が決まっていますね。
ようやく念願がかなって出場することができます。今までも選手単位で全日本チームの一員としてなどで走った選手はいるのですが、愛三チーム単独としての出場が可能になりました。出るだけでなく、ある程度の成績は出さなくてはいけない。
- なぜランカウィ出場が可能になったのでしょうか?
やっぱり今までのアジアツアーの成績が認められたのが大きいでしょうね。そしてレースに出れるように働きかけもずっと続けてきました。それらが実ったと言うことです。毎年出場できる方向にしていきたいですね。
-ケースデパーニュなどプロツアーチームや、ISDネーリなどのトップチームの出場が決まっていますが。
そうですね、いきなりかなりのレベルの高い選手が来ることになって慌てていますが(笑)
個人総合となるとゲンティンハイランドでの登り勝負になります。あそこだけは本物のクライマーしか通用しない。しかし前半は平坦が多いので西谷あたりがステージ上位を狙えれば良いと思います。
- それにあわせて今シーズンの始動は早かったようですね。
12月、1月にチームの合宿を行いましたが、選手たちはつい先日まで自主的に沖縄合宿も組んでいました。
そして2月は伊勢志摩での合宿です。
ランカウィには約2週間ほど前に現地入りして、暑さに慣れるための調整を長めに行います。
- その後のスケジュールはどうなっていますか?
ランカウィの後がツール・ド・台湾、4月にツアー・オブ・タイランド、4月中旬がツール・ド・韓国、その後ジェラジャマレーシア、5月のツアー・オブジャパン、ツール・ド・熊野、続きてインドネシアのツール・ド・シンカラ、全日本選手権TT&ロード。後半はツール・ド・北海道、ジャパンカップ、ツール・ド・ハイナンで締めくくりたい。ツール・ド・おきなわと熊本国際ロードはハイナンの日程次第で出場できるかどうかはまだ未定です。
- アジアを目指すというのは会社の方針とも一致するわけですね。
愛三工業はアジアでビジネスを展開するエンジニアリング企業ですので、その通りです。チームがアジアで活躍し知名度を上げることは、会社としてのアピールになります。
- ロードとタイムトライアルの全日本チャンピオンが2人います。そのジャージを守ることも重要でしょうか。
もちろん今年も狙いたいですね。
- チームの昨年からの変化は?
チームに新たに加入したのが福田真平(チームブリヂストン・アンカーより移籍)です。スピードマンなので愛三のチームカラーに合う選手です。西谷など強いスプリンターがいますので、彼らから少しでも技術を盗んで自分のものにしていって欲しいですね。
- 使用バイクなどが変わりましたね。
今年からチームは心機一転、ウィリエールに乗ります。まだレースには出ていないですが、選手からは機材に対していい意見が出ていますね。昨年までもそうでしたが、最高の機材に恵まれています。レベルの高い国際レースを戦う上では大きなメリットです。
選手たちの抱負
西谷泰治
今年はアジア選手権もあり前半戦がかなり忙しくなるとは思うけれど、アジア選手権タイムトライアルと全日本ロードレース、ツアー・オブジャパン、そして全日本選手権を主な目標に頑張りたいと思います。ランカウィが初戦になるので攻める走りで狙いたいと思います。今の時点での仕上がりは遅いけれど、ランカウィはステージ一勝を目指します。
盛 一大
まず全日本選手権でまた今年もしっかり勝ちに行きたいですね。個人的にはトラックの世界選手権もあります。シーズン通して怪我のないように走れれば成績も自ずとついてくると思います。ランカウィにチームで出場できるのはとても楽しみですね。ぜひアピールできる走りをしたい。
福田真平
愛三は皆本当にモチベーションが高くて、自分にとってもいい刺激になっています。昨年はうまく走れなかったのですが、ツール・ド・台湾のメンバーに選ばれているので、まずはしっかりアシストができるようにしたいですね。自分はスプリント力があるタイプなので西谷さんを目標に、登れる力も徐々につけたいと思います。
別府 匠
2年前の骨折が響いて昨年はいい走りができなかったけれど、今年は冬からよく走れているので、まずはランカウィでいい走りが見せられたらいいと思っています。プロツアーの選手も多く来るので、ゲンティンハイランドでどこまで闘えるか。
すべてのレースで平均的に走れるようにしたい。30歳になり、チームの中では最年長になるので、そろそろ大きな成績を出したい。責任を強く感じます。
綾部勇成
キャプテンを任されて2年目。今年新たにランカウィはじめ多くのアジアツアーのレースに出れるようになるので、チーム全体でもっともっと上を目指していけるようにしたい。アジアでもっと認められるチームになりたいですね。
品川真寛
ランカウィに出れることが大きいですね。仕事が出来るように頑張りたいと思う。ランカウィ、台湾を走ってツアー・オブ・タイランドでエースをつとめる予定なので、そこで頑張りたい。
松村光浩
愛三2年目になります。昨年はチームの中で動きを慣れる・覚えることがメインになってしまったので、今年はエースの勝利を助けるアシストとして貢献したい。成績につなげる走りをしたい。あとは観客の記憶に残るようなアグレッシブな走りをしたいですね。シーズン最後のツール・ド・おきなわに今年は出れるので、得意なレースです。狙いたいですね。
鈴木謙一
チームの中で自分がうまく機能できるように走りたい。チャンスが来たら自分でも勝てるようにしたい。冬の間から十分準備をしてきているので、熊野、シンカラなど自分が任されるレースがあれば勝ちに行きたい。
2010年度 愛三工業レーシングチーム
【選手】
綾部 勇成 / Takeaki AYABE
別府 匠 / Takumi BEPPU
西谷 泰治 / Taiji NISHITANI
盛 一大 / Kazuhiro MORI
品川 真寛 / Masahiro SHINAGAWA
鈴木 謙一 / Kenichi SUZUKI
松村 光浩 / Hitsuhiro MATSUMURA
福田 真平 / Shimpei FUKUDA ※ブリヂストン・アンカーより加入
【GM】
中根 賢二 / Kenji NAKANE
【監督】
田中 光輝 / Mitsuhiro TANAKA
【アドバイザー】
別府 始 / Hajime BEPPU
【アシスタント】
渡会 菜々 / Nana WATARAI
【チーフメカニック】
中島 康仁 / Yasuhito NAKAJIMA
【マッサー】
赤星 太朗 / Taro AKAHOSHI
チームバイク
ウィリエール Cent1(チェント・ウノ)
コンポーネント:カンパニョーロ
ホイール:カンパニョーロ
ハンドル&ステム:3T
ペダル:ルックKEO
サドル:プロロゴ
タイヤ:コンチネンタル
インタビュー・写真・文:綾野 真
photo&text:Makoto.AYANO
チームは2009年シーズンはUCIコンチネンタルチームとして5年目を迎え、UCIアジアツアーでチームランキング上位を狙う。今年は念願のツール・ド・ランカウィへの初参戦が決まっている。
チームは2009年、全日本ロードチャンピオンの西谷泰治と、個人ロードタイムトライアルチャンピオンの盛一大の2種目において全日本チャンピオンを産んだ。チームは今年、若手の福田真平を新たに迎えた。
田中光輝監督に訊く
「手に入れた念願のランカウィの切符。アジアツアーでチーム総合3位を狙う」
- 今シーズンのチームの目標と抱負を教えてください。
チームとしては今年もアジアで活躍するということが目標です。だからUCIアジアツアーのレースをできるだけたくさん回って、アジアの頂点を目指して戦いたいと思います。昨年よりもたくさん転戦する予定でいます。
- チーム総合順位ではどれぐらいが目標ですか?
総合3位を目指しますが、狙えない目標ではないと思っています。チーム一丸となって戦っていきたいと思います。
- 今年はついにツール・ド・ランカウィへの参戦が決まっていますね。
ようやく念願がかなって出場することができます。今までも選手単位で全日本チームの一員としてなどで走った選手はいるのですが、愛三チーム単独としての出場が可能になりました。出るだけでなく、ある程度の成績は出さなくてはいけない。
- なぜランカウィ出場が可能になったのでしょうか?
やっぱり今までのアジアツアーの成績が認められたのが大きいでしょうね。そしてレースに出れるように働きかけもずっと続けてきました。それらが実ったと言うことです。毎年出場できる方向にしていきたいですね。
-ケースデパーニュなどプロツアーチームや、ISDネーリなどのトップチームの出場が決まっていますが。
そうですね、いきなりかなりのレベルの高い選手が来ることになって慌てていますが(笑)
個人総合となるとゲンティンハイランドでの登り勝負になります。あそこだけは本物のクライマーしか通用しない。しかし前半は平坦が多いので西谷あたりがステージ上位を狙えれば良いと思います。
- それにあわせて今シーズンの始動は早かったようですね。
12月、1月にチームの合宿を行いましたが、選手たちはつい先日まで自主的に沖縄合宿も組んでいました。
そして2月は伊勢志摩での合宿です。
ランカウィには約2週間ほど前に現地入りして、暑さに慣れるための調整を長めに行います。
- その後のスケジュールはどうなっていますか?
ランカウィの後がツール・ド・台湾、4月にツアー・オブ・タイランド、4月中旬がツール・ド・韓国、その後ジェラジャマレーシア、5月のツアー・オブジャパン、ツール・ド・熊野、続きてインドネシアのツール・ド・シンカラ、全日本選手権TT&ロード。後半はツール・ド・北海道、ジャパンカップ、ツール・ド・ハイナンで締めくくりたい。ツール・ド・おきなわと熊本国際ロードはハイナンの日程次第で出場できるかどうかはまだ未定です。
- アジアを目指すというのは会社の方針とも一致するわけですね。
愛三工業はアジアでビジネスを展開するエンジニアリング企業ですので、その通りです。チームがアジアで活躍し知名度を上げることは、会社としてのアピールになります。
- ロードとタイムトライアルの全日本チャンピオンが2人います。そのジャージを守ることも重要でしょうか。
もちろん今年も狙いたいですね。
- チームの昨年からの変化は?
チームに新たに加入したのが福田真平(チームブリヂストン・アンカーより移籍)です。スピードマンなので愛三のチームカラーに合う選手です。西谷など強いスプリンターがいますので、彼らから少しでも技術を盗んで自分のものにしていって欲しいですね。
- 使用バイクなどが変わりましたね。
今年からチームは心機一転、ウィリエールに乗ります。まだレースには出ていないですが、選手からは機材に対していい意見が出ていますね。昨年までもそうでしたが、最高の機材に恵まれています。レベルの高い国際レースを戦う上では大きなメリットです。
選手たちの抱負
西谷泰治
今年はアジア選手権もあり前半戦がかなり忙しくなるとは思うけれど、アジア選手権タイムトライアルと全日本ロードレース、ツアー・オブジャパン、そして全日本選手権を主な目標に頑張りたいと思います。ランカウィが初戦になるので攻める走りで狙いたいと思います。今の時点での仕上がりは遅いけれど、ランカウィはステージ一勝を目指します。
盛 一大
まず全日本選手権でまた今年もしっかり勝ちに行きたいですね。個人的にはトラックの世界選手権もあります。シーズン通して怪我のないように走れれば成績も自ずとついてくると思います。ランカウィにチームで出場できるのはとても楽しみですね。ぜひアピールできる走りをしたい。
福田真平
愛三は皆本当にモチベーションが高くて、自分にとってもいい刺激になっています。昨年はうまく走れなかったのですが、ツール・ド・台湾のメンバーに選ばれているので、まずはしっかりアシストができるようにしたいですね。自分はスプリント力があるタイプなので西谷さんを目標に、登れる力も徐々につけたいと思います。
別府 匠
2年前の骨折が響いて昨年はいい走りができなかったけれど、今年は冬からよく走れているので、まずはランカウィでいい走りが見せられたらいいと思っています。プロツアーの選手も多く来るので、ゲンティンハイランドでどこまで闘えるか。
すべてのレースで平均的に走れるようにしたい。30歳になり、チームの中では最年長になるので、そろそろ大きな成績を出したい。責任を強く感じます。
綾部勇成
キャプテンを任されて2年目。今年新たにランカウィはじめ多くのアジアツアーのレースに出れるようになるので、チーム全体でもっともっと上を目指していけるようにしたい。アジアでもっと認められるチームになりたいですね。
品川真寛
ランカウィに出れることが大きいですね。仕事が出来るように頑張りたいと思う。ランカウィ、台湾を走ってツアー・オブ・タイランドでエースをつとめる予定なので、そこで頑張りたい。
松村光浩
愛三2年目になります。昨年はチームの中で動きを慣れる・覚えることがメインになってしまったので、今年はエースの勝利を助けるアシストとして貢献したい。成績につなげる走りをしたい。あとは観客の記憶に残るようなアグレッシブな走りをしたいですね。シーズン最後のツール・ド・おきなわに今年は出れるので、得意なレースです。狙いたいですね。
鈴木謙一
チームの中で自分がうまく機能できるように走りたい。チャンスが来たら自分でも勝てるようにしたい。冬の間から十分準備をしてきているので、熊野、シンカラなど自分が任されるレースがあれば勝ちに行きたい。
2010年度 愛三工業レーシングチーム
【選手】
綾部 勇成 / Takeaki AYABE
別府 匠 / Takumi BEPPU
西谷 泰治 / Taiji NISHITANI
盛 一大 / Kazuhiro MORI
品川 真寛 / Masahiro SHINAGAWA
鈴木 謙一 / Kenichi SUZUKI
松村 光浩 / Hitsuhiro MATSUMURA
福田 真平 / Shimpei FUKUDA ※ブリヂストン・アンカーより加入
【GM】
中根 賢二 / Kenji NAKANE
【監督】
田中 光輝 / Mitsuhiro TANAKA
【アドバイザー】
別府 始 / Hajime BEPPU
【アシスタント】
渡会 菜々 / Nana WATARAI
【チーフメカニック】
中島 康仁 / Yasuhito NAKAJIMA
【マッサー】
赤星 太朗 / Taro AKAHOSHI
チームバイク
ウィリエール Cent1(チェント・ウノ)
コンポーネント:カンパニョーロ
ホイール:カンパニョーロ
ハンドル&ステム:3T
ペダル:ルックKEO
サドル:プロロゴ
タイヤ:コンチネンタル
インタビュー・写真・文:綾野 真
photo&text:Makoto.AYANO
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