2018/03/11(日) - 06:54
獲得標高差4,800mに達するティレーノ〜アドリアティコのクイーンステージでミケル・ランダ(スペイン、モビスター)が勝利。2年間チームメイトとして走った故ミケーレ・スカルポーニに勝利を捧げた。
219kmという距離に4つのGPMが詰め込まれたクイーンステージの獲得標高差は4,800m。とくにステージ中盤以降は登りと下りしかなく、フィニッシュ地点は標高1,335mのGPMサッソテットの頂上だ。全長11.75kmにわたって平均7.1%/最大13%の勾配が続くアペニン山脈の峠道でトップレーサーたちが登坂力を競い合った。
この難関山岳ステージで逃げを試みたのはアントワーヌ・デュシェーヌ(カナダ、グルパマFDJ)やマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)、そして3日連続逃げとなる山岳賞ジャージのニコラ・バジョーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)とポイント賞ジャージのジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)を含む6名。チームスカイが牽引するメイン集団から6分差をつけた。
70km地点で落車したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)は、両膝と左胸部に打撲を、左腕に擦過傷を負ってリタイア。また、100km地点で落車したダニエル・モレーノ(スペイン、EFエデュケーションファースト・ドラパック)は右肩の脱臼によってリタイアを余儀なくされている。
先頭でそれぞれ山岳ポイントとスプリントポイントを稼いだバジョーリとモスカはやがて逃げグループから脱落し、最後まで抵抗して逃げ続けたクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・サイクリングアカデミー)とアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)もGPMサッソテットの登坂開始後に吸収される。沿道に雪が残る峠道で、いよいよ今大会最大の山岳決戦が始まった。
チームスカイに代わってアスタナがコントロールした集団から、ツアー・オブ・オマーンの山頂フィニッシュを制しているミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)がアタック。残り5km地点で生まれたこの動きにはラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)とファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、ベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエル・サイクリングアカデミー)が反応する。メイン集団から25秒ほどのリードを得たこの4名の中から、残り3.5kmでマイカが独走に持ち込んだ。
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が一定ペースで牽引したメイン集団から、残り3km地点で続いて飛び出したのはミケル・ランダ(スペイン、モビスター)。ダンシングで快調にライバルたちを引き離したランダは、前を走るアルとヘルマンスを引き連れて(ロペスは脱落)すぐさま先頭マイカに追いついた。このアタックの際にランダは2分38秒間にわたって442Wを出力している。
引き続きクウィアトコウスキーがペースを作るメイン集団からは総合3位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が脱落。続いて総合首位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)はチェーントラブルで止まってしまう。チームカーからスペアバイクを受け取ったトーマスは、後方から追いついたフルームとともに集団復帰を目指したが、ライバルたちから40秒のタイムロスを被っている。
コントロールを失ったメイン集団からはロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)やジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)がカウンターアタック。残り1kmを切るとベネットが単独で先頭4名(ランダ、マイカ、アル、ヘルマンス)に追いつき、そのまま5名によるスプリントが始まる。
アルとベネットの早めのスパートは決まらず、落ち着いて踏みどころを見極めたランダが残り200mから加速。マイカとベネットを振り切ったランダが両手で天を指差してフィニッシュラインを切った。マイカとベネットがタイム差無しのステージ2位&ステージ3位。アルやヘルマンス、バルデを含む集団は6秒遅れ。この集団内でフィニッシュしたダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)が総合首位に返り咲くとともに、ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)がヤングライダー賞のトップに立っている。
「今日は元チームメイトのミケーレ・スカルポーニを思いながらフィニッシュラインを切った」というランダ。2014年と2015年にランダとスカルポーニはチームメイトとして走り、2014年ジロ・デ・イタリアでタッグを組んでいる。モビスター移籍後初勝利を飾った28歳は「スペインチーム(モビスター)の中で自分らしい走りができている。(チームスカイより)選手の動きがコントロールされておらず、自分の攻撃スタイルを生かせるんだ」と新チームについて語っている。
この日のステージ優勝によりランダは総合8位から総合4位にジャンプアップ。「総合トップ3を狙いたいけど、まだタイム差も小さく、タイムトライアルを得意とする選手が控えているのでどうなるかわからない」とランダは混戦を予想している。
リッチー・ポート(オーストラリア)の欠場により急遽このティレーノでBMCレーシングのエースを託されたカルーゾは「昨日の苦手な急勾配フィニッシュで少しタイムを失ったにもかかわらず、総合首位に返り咲くことができて嬉しく思う。今日は獲得標高差が5,000mに近い厳しいステージだった。明日はグレッグ・ヴァンアーヴェルマートのステージ優勝と、自分の総合成績キープがチームの目標だ」とコメントする。総合2位クウィアトコウスキーとの総合タイム差はわずか1秒。翌日の丘陵ステージと最終日の個人タイムトライアルで僅差の総合争いに再びシャッフルがかかるだろう。
ヤングライダー賞トップに立ったベノートは「ストラーデビアンケの勝利の後も好調が続いていて、昨日もステージ3位という成績を残せていた。今まで経験したことがないほどの調子の良さで、パンチャー向きの明日もチャンスがある。決してタイムトライアルが得意なわけじゃないけど、このヤングライダー賞ジャージを守りきりたい」と語る。総合では9位につけており、クラシックレーサーならびにオールラウンダーとしてその真価を発揮中だ。
219kmという距離に4つのGPMが詰め込まれたクイーンステージの獲得標高差は4,800m。とくにステージ中盤以降は登りと下りしかなく、フィニッシュ地点は標高1,335mのGPMサッソテットの頂上だ。全長11.75kmにわたって平均7.1%/最大13%の勾配が続くアペニン山脈の峠道でトップレーサーたちが登坂力を競い合った。
この難関山岳ステージで逃げを試みたのはアントワーヌ・デュシェーヌ(カナダ、グルパマFDJ)やマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)、そして3日連続逃げとなる山岳賞ジャージのニコラ・バジョーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)とポイント賞ジャージのジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)を含む6名。チームスカイが牽引するメイン集団から6分差をつけた。
70km地点で落車したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)は、両膝と左胸部に打撲を、左腕に擦過傷を負ってリタイア。また、100km地点で落車したダニエル・モレーノ(スペイン、EFエデュケーションファースト・ドラパック)は右肩の脱臼によってリタイアを余儀なくされている。
先頭でそれぞれ山岳ポイントとスプリントポイントを稼いだバジョーリとモスカはやがて逃げグループから脱落し、最後まで抵抗して逃げ続けたクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・サイクリングアカデミー)とアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)もGPMサッソテットの登坂開始後に吸収される。沿道に雪が残る峠道で、いよいよ今大会最大の山岳決戦が始まった。
チームスカイに代わってアスタナがコントロールした集団から、ツアー・オブ・オマーンの山頂フィニッシュを制しているミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)がアタック。残り5km地点で生まれたこの動きにはラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)とファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、ベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエル・サイクリングアカデミー)が反応する。メイン集団から25秒ほどのリードを得たこの4名の中から、残り3.5kmでマイカが独走に持ち込んだ。
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が一定ペースで牽引したメイン集団から、残り3km地点で続いて飛び出したのはミケル・ランダ(スペイン、モビスター)。ダンシングで快調にライバルたちを引き離したランダは、前を走るアルとヘルマンスを引き連れて(ロペスは脱落)すぐさま先頭マイカに追いついた。このアタックの際にランダは2分38秒間にわたって442Wを出力している。
引き続きクウィアトコウスキーがペースを作るメイン集団からは総合3位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が脱落。続いて総合首位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)はチェーントラブルで止まってしまう。チームカーからスペアバイクを受け取ったトーマスは、後方から追いついたフルームとともに集団復帰を目指したが、ライバルたちから40秒のタイムロスを被っている。
コントロールを失ったメイン集団からはロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)やジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)がカウンターアタック。残り1kmを切るとベネットが単独で先頭4名(ランダ、マイカ、アル、ヘルマンス)に追いつき、そのまま5名によるスプリントが始まる。
アルとベネットの早めのスパートは決まらず、落ち着いて踏みどころを見極めたランダが残り200mから加速。マイカとベネットを振り切ったランダが両手で天を指差してフィニッシュラインを切った。マイカとベネットがタイム差無しのステージ2位&ステージ3位。アルやヘルマンス、バルデを含む集団は6秒遅れ。この集団内でフィニッシュしたダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)が総合首位に返り咲くとともに、ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)がヤングライダー賞のトップに立っている。
「今日は元チームメイトのミケーレ・スカルポーニを思いながらフィニッシュラインを切った」というランダ。2014年と2015年にランダとスカルポーニはチームメイトとして走り、2014年ジロ・デ・イタリアでタッグを組んでいる。モビスター移籍後初勝利を飾った28歳は「スペインチーム(モビスター)の中で自分らしい走りができている。(チームスカイより)選手の動きがコントロールされておらず、自分の攻撃スタイルを生かせるんだ」と新チームについて語っている。
この日のステージ優勝によりランダは総合8位から総合4位にジャンプアップ。「総合トップ3を狙いたいけど、まだタイム差も小さく、タイムトライアルを得意とする選手が控えているのでどうなるかわからない」とランダは混戦を予想している。
リッチー・ポート(オーストラリア)の欠場により急遽このティレーノでBMCレーシングのエースを託されたカルーゾは「昨日の苦手な急勾配フィニッシュで少しタイムを失ったにもかかわらず、総合首位に返り咲くことができて嬉しく思う。今日は獲得標高差が5,000mに近い厳しいステージだった。明日はグレッグ・ヴァンアーヴェルマートのステージ優勝と、自分の総合成績キープがチームの目標だ」とコメントする。総合2位クウィアトコウスキーとの総合タイム差はわずか1秒。翌日の丘陵ステージと最終日の個人タイムトライアルで僅差の総合争いに再びシャッフルがかかるだろう。
ヤングライダー賞トップに立ったベノートは「ストラーデビアンケの勝利の後も好調が続いていて、昨日もステージ3位という成績を残せていた。今まで経験したことがないほどの調子の良さで、パンチャー向きの明日もチャンスがある。決してタイムトライアルが得意なわけじゃないけど、このヤングライダー賞ジャージを守りきりたい」と語る。総合では9位につけており、クラシックレーサーならびにオールラウンダーとしてその真価を発揮中だ。
ティレーノ〜アドリアティコ2018第4ステージ結果
1位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 6:22:13 |
2位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
4位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 0:00:06 |
5位 | ベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエル・サイクリングアカデミー) | |
6位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
8位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
9位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
10位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
11位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | |
13位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) | |
17位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:26 |
20位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:40 |
23位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:01:10 |
116位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) | 0:18:32 |
個人総合成績
1位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) | 17:14:49 |
2位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:00:01 |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:11 |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:00:20 |
5位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:26 |
6位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:31 |
7位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:00:33 |
8位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:34 |
9位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:36 |
10位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:41 |
ポイント賞
1位 | ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) | 28pts |
2位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 17pts |
3位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | 13pts |
山岳賞
1位 | ニコラ・バジョーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) | 35pts |
2位 | ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) | 18pts |
3位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 15pts |
ヤングライダー賞
1位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | 17:15:25 |
2位 | ハイメ・ロソン(スペイン、モビスター) | 0:00:08 |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:01:26 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 51:00:51 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:03:14 |
3位 | アスタナ | 0:03:56 |
text:Kei Tsuji
photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
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