2018/03/10(土) - 10:48
ティレーノ〜アドリアティコ第3ステージの今大会最長丘陵コースで初山翔が逃げに乗ってチームメイトの山岳賞獲得をサポート。最大勾配20%の激坂フィニッシュでプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)が勝利した。
トスカーナ州からウンブリア州に向かう全長239kmの今大会最長ステージ。4つのGPMが設定されたコースの獲得標高差は3,300mに達し、最後は「イタリアの最も美しい村」に指定されているトレヴィにフィニッシュする。丘上都市トレヴィに向かう登りは最大勾配が20%に達する激坂で、残り1.5kmから先の平均勾配は11.5%。進むにつれて勾配が増すこの激坂を2回登ってフィニッシュを迎える。
スタートアタックを成功させたのは山岳賞ジャージを着るニコラ・バジョーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)と同賞2位のジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)、そして初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ)ら5名。レース時間が6時間を超える長丁場だけに、初山ら5名のリードは10分近くまで拡大した。
中盤にかけて登場した3つのGPMでは、バジョーリが山岳ポイントを連取するとともに初山が2番手通過(第3GPMは3番手)してライバルたちのポイント獲得を阻止する。その結果、バジョーリはモスカと10ポイント差で山岳賞トップをキープ。初山は山岳賞3位に浮上した。
リーダーチームのBMCレーシングにボーラ・ハンスグローエやトレック・セガフレード、クイックステップフロアーズが加勢する形でメイン集団は徐々にペースアップ。集団内で落車したリーダージャージのパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、BMCレーシング)は集団復帰したが、サイモン・ゲシュケ(ドイツ、サンウェブ)はリタイアを強いられている。
残り30km地点でタイム差4分、残り20km地点でタイム差2分。カウンターアタックを仕掛けたニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)は先頭に届くことなく引き戻され、メイン集団は熾烈なポジション争いを経て1回目のトレヴィ登坂を開始する。先頭からは初山が遅れ、粘っていたバジョーリもフィニッシュまで12kmを残して吸収された。
最大勾配20%のこのトレヴィ1回目の登坂でメイン集団は50名に絞られた。もっとも多くの人数を揃えたチームスカイ(キリエンカ、プッチョ、クウィアトコウスキー、モスコン、フルーム、トーマス)が脱落選手の合流を許さないペースを作り、そのまま2回目のトレヴィ登坂を開始する。ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がハイペースを刻む集団から、残り1.2km地点でプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)がアタックした。
軽快なダンシングで後続を引き離すログリッチェが独走で残り1kmアーチを通過。世界王者ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がメイン集団から脱落する中、残り500mから再び勾配が増したところでグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がアタックしたがいつものキレがない。
最大勾配20%の激坂区間が近づくとアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)やストラーデビアンケ覇者ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)がペースを上げて先頭ログリッチェを追ったものの、その背中が近づいてこない。激坂を先頭で登りきったログリッチェが、イェーツに3秒差、ベノートに6秒差をつけて勝利した。
「これまで何度もスプリントで敗れていたので、早めに仕掛けて、フィニッシュまで追い込むことが得策だと思った。先頭で走り、先頭でフィニッシュすることはサイクリングの醍醐味だ」と語る元スキージャンパーのログリッチェが表彰台に飛び乗った。
第2ステージの残り7km地点で発生した落車に巻き込まれたため、イェーツとともに1分42秒のタイムを失っていたログリッチェ。「総合優勝を狙って出場したものの、チームTTでタイムを伸ばせず、昨日も落車でタイムを失っていた。総合成績を諦めなくてはならない状況だったので、目標をスイッチする必要があったんだ。2016年ジロの個人TT勝利と2017年ツールの山岳ステージ勝利に続いて、ビッグレースの登りフィニッシュで勝てたことを嬉しく思う」。
ログリッチェ、イェーツ、ベノートに続いて7秒差のステージ4位に入ったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が総合首位に浮上。ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)やトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)らがタイムを失った一方で、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やミケル・ランダ(スペイン、モビスター)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)らはタイムロスを10秒に抑えている。
Velonの公開データによると、ログリッチェのラスト1km登坂タイムは2分59秒間491W。クウィアトコウスキーは3分05秒間454W、フルームは3分04秒間497Wだった。ログリッチェが残り1.2km地点でアタックした際には最大出力740Wで29秒間にわたって660Wを出力している。
青いリーダージャージに袖を通したトーマスは「今日総合リードを奪えるとは予想していなかった。チームは総合優勝のためにこのティレーノ〜アドリアティコに出場している。明日の山頂フィニッシュではチームとして成績を残したい。もし自分の調子が悪い場合はフルーミー(フルーム)が勝負することになる」とコメント。フルームは3秒差の総合3位につけている。
この日210km以上にわたって逃げ、バジョーリの山岳賞ジャージキープをサポートした初山は「自分がジャージを獲得したわけでも、上位入賞したわけでもないが、今のコンディションや自分のレベルを考えると今日は良いレースができたと思う。今日はバジョーリの山岳賞キープを第一の目標とし、さらに可能なら自分も逃げに乗るというオーダーだった。山岳賞を狙うライバルチームもあったが、バジョーリのポイント差を広げるために、監督の指示もあり、最初と2番目は自分がバジョーリに次いで2位通過した」とコメントする。「コンディションが確実に上がっている実感がある。明日からのステージはミーティング次第だが、またチャンスをみて逃げを狙っていきたい」。
翌日は4つのGPMが詰め込まれた今大会のクイーンステージで、フィニッシュ地点は標高1,335mのGPMサッソテットの頂上。平均7.1%/最大13%の勾配が全長11.75kmにわたって続くアペニン山脈の峠道でリーダージャージをかけた戦いが繰り広げられる。
トスカーナ州からウンブリア州に向かう全長239kmの今大会最長ステージ。4つのGPMが設定されたコースの獲得標高差は3,300mに達し、最後は「イタリアの最も美しい村」に指定されているトレヴィにフィニッシュする。丘上都市トレヴィに向かう登りは最大勾配が20%に達する激坂で、残り1.5kmから先の平均勾配は11.5%。進むにつれて勾配が増すこの激坂を2回登ってフィニッシュを迎える。
スタートアタックを成功させたのは山岳賞ジャージを着るニコラ・バジョーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)と同賞2位のジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)、そして初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ)ら5名。レース時間が6時間を超える長丁場だけに、初山ら5名のリードは10分近くまで拡大した。
中盤にかけて登場した3つのGPMでは、バジョーリが山岳ポイントを連取するとともに初山が2番手通過(第3GPMは3番手)してライバルたちのポイント獲得を阻止する。その結果、バジョーリはモスカと10ポイント差で山岳賞トップをキープ。初山は山岳賞3位に浮上した。
リーダーチームのBMCレーシングにボーラ・ハンスグローエやトレック・セガフレード、クイックステップフロアーズが加勢する形でメイン集団は徐々にペースアップ。集団内で落車したリーダージャージのパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、BMCレーシング)は集団復帰したが、サイモン・ゲシュケ(ドイツ、サンウェブ)はリタイアを強いられている。
残り30km地点でタイム差4分、残り20km地点でタイム差2分。カウンターアタックを仕掛けたニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)は先頭に届くことなく引き戻され、メイン集団は熾烈なポジション争いを経て1回目のトレヴィ登坂を開始する。先頭からは初山が遅れ、粘っていたバジョーリもフィニッシュまで12kmを残して吸収された。
最大勾配20%のこのトレヴィ1回目の登坂でメイン集団は50名に絞られた。もっとも多くの人数を揃えたチームスカイ(キリエンカ、プッチョ、クウィアトコウスキー、モスコン、フルーム、トーマス)が脱落選手の合流を許さないペースを作り、そのまま2回目のトレヴィ登坂を開始する。ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がハイペースを刻む集団から、残り1.2km地点でプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)がアタックした。
軽快なダンシングで後続を引き離すログリッチェが独走で残り1kmアーチを通過。世界王者ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がメイン集団から脱落する中、残り500mから再び勾配が増したところでグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がアタックしたがいつものキレがない。
最大勾配20%の激坂区間が近づくとアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)やストラーデビアンケ覇者ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)がペースを上げて先頭ログリッチェを追ったものの、その背中が近づいてこない。激坂を先頭で登りきったログリッチェが、イェーツに3秒差、ベノートに6秒差をつけて勝利した。
「これまで何度もスプリントで敗れていたので、早めに仕掛けて、フィニッシュまで追い込むことが得策だと思った。先頭で走り、先頭でフィニッシュすることはサイクリングの醍醐味だ」と語る元スキージャンパーのログリッチェが表彰台に飛び乗った。
第2ステージの残り7km地点で発生した落車に巻き込まれたため、イェーツとともに1分42秒のタイムを失っていたログリッチェ。「総合優勝を狙って出場したものの、チームTTでタイムを伸ばせず、昨日も落車でタイムを失っていた。総合成績を諦めなくてはならない状況だったので、目標をスイッチする必要があったんだ。2016年ジロの個人TT勝利と2017年ツールの山岳ステージ勝利に続いて、ビッグレースの登りフィニッシュで勝てたことを嬉しく思う」。
ログリッチェ、イェーツ、ベノートに続いて7秒差のステージ4位に入ったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が総合首位に浮上。ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)やトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)らがタイムを失った一方で、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やミケル・ランダ(スペイン、モビスター)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)らはタイムロスを10秒に抑えている。
Velonの公開データによると、ログリッチェのラスト1km登坂タイムは2分59秒間491W。クウィアトコウスキーは3分05秒間454W、フルームは3分04秒間497Wだった。ログリッチェが残り1.2km地点でアタックした際には最大出力740Wで29秒間にわたって660Wを出力している。
青いリーダージャージに袖を通したトーマスは「今日総合リードを奪えるとは予想していなかった。チームは総合優勝のためにこのティレーノ〜アドリアティコに出場している。明日の山頂フィニッシュではチームとして成績を残したい。もし自分の調子が悪い場合はフルーミー(フルーム)が勝負することになる」とコメント。フルームは3秒差の総合3位につけている。
この日210km以上にわたって逃げ、バジョーリの山岳賞ジャージキープをサポートした初山は「自分がジャージを獲得したわけでも、上位入賞したわけでもないが、今のコンディションや自分のレベルを考えると今日は良いレースができたと思う。今日はバジョーリの山岳賞キープを第一の目標とし、さらに可能なら自分も逃げに乗るというオーダーだった。山岳賞を狙うライバルチームもあったが、バジョーリのポイント差を広げるために、監督の指示もあり、最初と2番目は自分がバジョーリに次いで2位通過した」とコメントする。「コンディションが確実に上がっている実感がある。明日からのステージはミーティング次第だが、またチャンスをみて逃げを狙っていきたい」。
翌日は4つのGPMが詰め込まれた今大会のクイーンステージで、フィニッシュ地点は標高1,335mのGPMサッソテットの頂上。平均7.1%/最大13%の勾配が全長11.75kmにわたって続くアペニン山脈の峠道でリーダージャージをかけた戦いが繰り広げられる。
ティレーノ〜アドリアティコ2018第3ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 6:17:23 |
2位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:03 |
3位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:06 |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:07 |
5位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:10 |
6位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | |
7位 | ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) | |
8位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
9位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
10位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) | |
12位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
15位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:16 |
18位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | |
20位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:24 |
21位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | |
24位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:34 |
26位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:36 |
116位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) | 0:10:33 |
個人総合成績
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 10:52:22 |
2位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:00:03 |
4位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) | 0:00:08 |
5位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:00:09 |
6位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:19 |
8位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:30 |
9位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:33 |
10位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:39 |
ポイント賞
1位 | ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) | 18pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 12pts |
3位 | マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | 12pts |
山岳賞
1位 | ニコラ・バジョーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) | 20pts |
2位 | ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) | 10pts |
3位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) | 8pts |
ヤングライダー賞
1位 | ハイメ・ロソン(スペイン、モビスター) | 10:53:06 |
2位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | |
3位 | ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) | 0:00:16 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 31:52:16 |
2位 | クイックステップフロアーズ | 0:01:05 |
3位 | モビスター | 0:01:37 |
text:Kei Tsuji
photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
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