3月7日、第53回ティレーノ〜アドリアティコが開幕。初日の21.5kmチームタイムトライアルでミッチェルトン・スコットやチームスカイを下したBMCレーシングが3年連続ステージ優勝を飾り、ダミアーノ・カルーゾが首位発進した。


水溜りを避けて走るミッチェルトン・スコット水溜りを避けて走るミッチェルトン・スコット photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari

ティレーノ〜アドリアティコ2018第1ステージティレーノ〜アドリアティコ2018第1ステージ photo:RCS Sportティレニア海に面したリード・ディ・カマイオーレがスタート&フィニッシュのチームタイムトライアルのコースは、海岸線に沿った幅広の幹線道路を往復する21.5km。真っ平ら&直線基調で、スピードが落ちるポイントの少ないコースでハイスピードバトルが繰り広げられた。

ちょうど折り返し地点に設定された中間計測(10.7km地点)で11分19秒のトップタイムをマークしたのはクリストファー・フルーム(イギリス)やゲラント・トーマス(イギリス)擁するチームスカイ。BMCレーシングよりも2秒速いタイムで前半区間を終えたチームスカイだったが、逆に後半区間でBMCレーシングから11秒ものタイムを失ってしまう。

後半区間を最速ペースで駆け抜けたのはダリル・インピー(南アフリカ)やアダム・イェーツ(イギリス)擁するミッチェルトン・スコット。しかし、前半後半ともに2番手のタイムを刻んだBMCレーシングが最も速い22分19秒のトップタイムをマークし、ミッチェルトン・スコットに4秒差、チームスカイに9秒差をつけて優勝した。

平坦コースを57.777km/hで駆け抜けたBMCレーシング平坦コースを57.777km/hで駆け抜けたBMCレーシング photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
4秒差のステージ2位に入ったミッチェルトン・スコット4秒差のステージ2位に入ったミッチェルトン・スコット photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
9秒差のステージ2位に入ったチームスカイ9秒差のステージ2位に入ったチームスカイ photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari

BMCレーシングはダミアーノ・カルーゾ(イタリア)、ローハン・デニス(オーストラリア)、パトリック・ベヴィン(ニュージーランド)、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)の順でフィニッシュラインを切り、カルーゾが総合首位の座についている。

BMCレーシングの優勝平均スピードは57.777km/h。カルーゾが公開しているSTRAVAログによると、スピードが30km/h台まで落ちる4つのコーナーを除いて、往路と復路ともに概ね59km/h前後のイーブンペースで巡航している。Velonの公開データによるとカルーゾはラスト5kmを5分08秒で駆け抜けており、その間の平均出力は406W(体重65kg)だった。また、フルームは最初の5分間444Wを出力して60.6km/hまでペースを上げている。

BMCレーシングがティレーノ〜アドリアティコの開幕チームTTで3年連続勝利。2017年には58.329km/hという大会史上最速の平均スピードを記録している。2016年にステージ優勝した際にはダニエル・オス(イタリア)が、そして2017年にステージ優勝した際にはカルーゾがリーダージャージを着ているが、両者ともに翌日には首位の座を明け渡している。

「チームTTはBMCレーシングの強みであり、1年で最初のトレーニングキャンプからしっかり取り組んできた。チームTTに懸けるチームの強い思いが結果につながったのだと思う。誰か強い選手に頼るのではなく、メンバー全員が強い走りをしたんだ」と、青いリーダージャージに袖を通したカルーゾは語る。

2017年に総合12位の成績を残しているカルーゾは「病気で欠場したリッチー・ポートに代わって自分がBMCレーシングの総合エースの役割を担う。総合トップ10を狙いたい。もっと上を目指すことができるかもしれないけど、今大会には豪華なメンバーが揃っている。レースブックを見る限り、今年は例年以上に厳しいコース設定だ。総合争いと同時に、グレッグ・ヴァンアーヴェルマートのステージ優勝を狙いたい」とコメントする。なお、ジロ・デ・イタリアでエースを担う予定のデニスにとっても好スタート。デニスは2017年大会の最終個人TTで優勝して総合2位に入っており、カルーゾとともに今大会ダブルエースを担うことになるだろう。

45秒差のステージ9位 UAEチームエミレーツ45秒差のステージ9位 UAEチームエミレーツ photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari落車によって初日にカヴェンディッシュを失ったディメンションデータ落車によって初日にカヴェンディッシュを失ったディメンションデータ photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari

ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)をエースに立てるクイックステップフロアーズは15秒遅れ、トム・デュムラン(オランダ)擁する世界チームTT王者のサンウェブは25秒遅れ、マルセル・キッテル(ドイツ)とトニー・マルティン(ドイツ)のいるカチューシャ・アルペシンは28秒遅れ、そしてペテル・サガン(スロバキア)のいるボーラ・ハンスグローエは30秒遅れのタイムにまとめている。ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)やルイス・メインチェス(南アフリカ、ディメンションデータ)は初日から1分以上のタイムロスを被る結果となった。

落車による脳震盪によりアブダビツアーで初日リタイアを喫したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)は、復帰戦として挑んだティレーノ〜アドリアティコの初日に再び落車。顔面から血を流しながらカヴェンディッシュはノーマルバイクでフィニッシュラインを切ったが、この日のタイムリミットは5分34秒(優勝タイム+25%)。7分18秒遅れたカヴェンディッシュはタイムオーバーによって翌日スタートする権利を失っている。

3年連続ステージ優勝を果たしたBMCレーシング3年連続ステージ優勝を果たしたBMCレーシング photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
シャンパンファイトするBMCレーシングのメンバーシャンパンファイトするBMCレーシングのメンバー photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrariヤングライダー賞ジャージを獲得したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)ヤングライダー賞ジャージを獲得したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari
リーダージャージに袖を通したダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)リーダージャージに袖を通したダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari

ティレーノ〜アドリアティコ2018第1ステージ結果
1位 BMCレーシング 0:22:19
2位 ミッチェルトン・スコット 0:00:04
3位 チームスカイ 0:00:09
4位 クイックステップフロアーズ 0:00:15
5位 サンウェブ 0:00:25
6位 カチューシャ・アルペシン 0:00:28
7位 ボーラ・ハンスグローエ 0:00:30
8位 トレック・セガフレード 0:00:39
9位 UAEチームエミレーツ 0:00:45
10位 EFエデュケーションファースト・ドラパック
11位 バーレーン・メリダ 0:00:49
12位 モビスター 0:00:50
13位 ロットNLユンボ 0:00:51
14位 アスタナ 0:00:53
15位 グルパマFDJ
16位 ロット・スーダル 0:00:58
17位 アージェードゥーゼール 0:01:04
18位 ディメンションデータ 0:01:16
19位 ガスプロム・ルスヴェロ 0:01:25
20位 ウィリエール・トリエスティーナ 0:01:34
21位 イスラエル・サイクリングアカデミー 0:01:47
22位 NIPPOヴィーニファンティーニ 0:01:57
個人総合成績
1位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) 0:22:19
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、BMCレーシング)
4位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
5位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 0:00:04
6位 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)
7位 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
8位 マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
9位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 0:00:09
10位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームスカイ)
ヤングライダー賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 0:22:34
2位 シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) 0:00:06
3位 レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ) 0:00:10
チーム総合成績
1位 BMCレーシング 0:22:19
2位 ミッチェルトン・スコット 0:00:04
3位 チームスカイ 0:00:09
text:Kei Tsuji
photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari

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