2010/01/25(月) - 09:28
オランダ在住の荻島美香が1月23日にベルギーのモルで開催されたUCIシクロクロス世界選手権マスターズ女子30~39歳クラスでトップと5秒差の2位になった。荻島本人から届いたレースレポートを紹介する。
マスターズ世界シクロクロス選手権30~39歳の部 2位
会場は、昨年にトム・ボーネンが選手に呼び掛けてシクロクロスレースのチャリティーをした場所でもあり、シルバーメール(銀湖)湖畔を利用した、砂・森・階段・シケインのシクロクロス競技の伝統とも思える正統派なコースで、マスターズシクロクロスの聖地、ベルギーのモルで毎年行われている。
銀湖と名が付いている通り砂は真っ白サラサラで、車輪は深く埋もれ、テクニックだけでなくパワーを100%使わされる。その砂地を経ての森の中は、ドライで速い走行が可能なのだが、随所に砂が浮き車輪を取られる。休みどころの少ないハードなコースだ。
スタートの合図を確認することなく、何の前ぶれないまま慌ててのスタートとなった。スタートを前で展開するのが鉄則なのに遅れてしまった。でも、スタートから砂地へ向かうアプローチのアスファルトは長く、中盤から楽々先頭に出て砂へ突っ込んで行った。
砂地をできるだけ長く乗っていたいが、失速しては何もならないのでいさぎよく自転車を降り、担ぐことを考えていたが、1番で突っ込んで降りる間もなく
転んでしまった。それでも焦らず対処し、自転車を担ぎ3番手で森へ向かった。
2番目の選手を抜きにかかるチャンスをうかがいながら、先頭を走る前年度のチャンピオンの走りを見ていたが、私との差が開くことはなかった。
1周が終わった時点で先頭に出たところから引き離しにかかったが、なかなか大きな差にならない。ピットを通過した時にハリーからの「もう少し後ろを引き離せ!」というゲキ飛ぶ。私の心中もハリーと同じだった。
残りの2周…、このまま行かして…。
極限の中の集中力が切れてきたのか、ミスが増えてしまう。
シケインの丸太に車輪をぶつけてしまって、チェーンが落ちてしまった。
焦らず足を回しつづけ、どうにか難をしのいだが、すでに後ろに誰かがいる気配を感じた。
後ろにいたのは、私と同様に昨年までワールドカップに出ていたベルギーの
へルティー・ウィルムス32歳。昨年の泥のレースは全く私の前を走ることがなかったが、カチカチのコースだったワールドカップinゾルダーでは私よりも先にゴールをしていた選手。
2本の丸太のシケイン後はすぐにスタートゴールのアスファルトに出る。
迷わずヘルティーを前に出して一呼吸置いてからアタックして最周回の砂へ突入し私は引き離しにかかった。地元ベルギーということもあり、私から彼女への声援が離れず、後ろを振り向かなくとも彼女が後ろにいるのは明らかだった。
階段後のピットまでのアプローチで彼女は抜かしにかかった。まさか抜かされるとは思わず、私は全くの無防備で焦って踏みなおしたが、間に合わずに道を譲ってしまった。それでも最後のチャンスをかけて、シケインで並ぶよう突っ込んだが、シケインの1本目の丸太に後輪が当たりバランスを崩してしまった。
その一瞬に彼女との距離が微妙に出来てしまった。私はスプリントに持ち込むべくもがき続けたが、彼女がゴールラインを踏んだのを見て足を止めた。
昨年の世界選手権22位を引き下げてのマスターズの挑戦は、2位という結果で一歩とどきませんでした。
このままでは終われないという自分と、家族を持っている責任の狭間に葛藤して複雑な気持ちです。
先のことはこの歳なので約束はできませんが、温かく私を見守ってくれたスポンサーの方々や、応援してくれた方々に深くお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
荻島美香
マスターズ世界シクロクロス選手権30~39歳の部 2位
会場は、昨年にトム・ボーネンが選手に呼び掛けてシクロクロスレースのチャリティーをした場所でもあり、シルバーメール(銀湖)湖畔を利用した、砂・森・階段・シケインのシクロクロス競技の伝統とも思える正統派なコースで、マスターズシクロクロスの聖地、ベルギーのモルで毎年行われている。
銀湖と名が付いている通り砂は真っ白サラサラで、車輪は深く埋もれ、テクニックだけでなくパワーを100%使わされる。その砂地を経ての森の中は、ドライで速い走行が可能なのだが、随所に砂が浮き車輪を取られる。休みどころの少ないハードなコースだ。
スタートの合図を確認することなく、何の前ぶれないまま慌ててのスタートとなった。スタートを前で展開するのが鉄則なのに遅れてしまった。でも、スタートから砂地へ向かうアプローチのアスファルトは長く、中盤から楽々先頭に出て砂へ突っ込んで行った。
砂地をできるだけ長く乗っていたいが、失速しては何もならないのでいさぎよく自転車を降り、担ぐことを考えていたが、1番で突っ込んで降りる間もなく
転んでしまった。それでも焦らず対処し、自転車を担ぎ3番手で森へ向かった。
2番目の選手を抜きにかかるチャンスをうかがいながら、先頭を走る前年度のチャンピオンの走りを見ていたが、私との差が開くことはなかった。
1周が終わった時点で先頭に出たところから引き離しにかかったが、なかなか大きな差にならない。ピットを通過した時にハリーからの「もう少し後ろを引き離せ!」というゲキ飛ぶ。私の心中もハリーと同じだった。
残りの2周…、このまま行かして…。
極限の中の集中力が切れてきたのか、ミスが増えてしまう。
シケインの丸太に車輪をぶつけてしまって、チェーンが落ちてしまった。
焦らず足を回しつづけ、どうにか難をしのいだが、すでに後ろに誰かがいる気配を感じた。
後ろにいたのは、私と同様に昨年までワールドカップに出ていたベルギーの
へルティー・ウィルムス32歳。昨年の泥のレースは全く私の前を走ることがなかったが、カチカチのコースだったワールドカップinゾルダーでは私よりも先にゴールをしていた選手。
2本の丸太のシケイン後はすぐにスタートゴールのアスファルトに出る。
迷わずヘルティーを前に出して一呼吸置いてからアタックして最周回の砂へ突入し私は引き離しにかかった。地元ベルギーということもあり、私から彼女への声援が離れず、後ろを振り向かなくとも彼女が後ろにいるのは明らかだった。
階段後のピットまでのアプローチで彼女は抜かしにかかった。まさか抜かされるとは思わず、私は全くの無防備で焦って踏みなおしたが、間に合わずに道を譲ってしまった。それでも最後のチャンスをかけて、シケインで並ぶよう突っ込んだが、シケインの1本目の丸太に後輪が当たりバランスを崩してしまった。
その一瞬に彼女との距離が微妙に出来てしまった。私はスプリントに持ち込むべくもがき続けたが、彼女がゴールラインを踏んだのを見て足を止めた。
昨年の世界選手権22位を引き下げてのマスターズの挑戦は、2位という結果で一歩とどきませんでした。
このままでは終われないという自分と、家族を持っている責任の狭間に葛藤して複雑な気持ちです。
先のことはこの歳なので約束はできませんが、温かく私を見守ってくれたスポンサーの方々や、応援してくれた方々に深くお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
荻島美香