2018/01/20(土) - 21:22
別府史之が序盤から逃げたサントス・ツアー・ダウンアンダーのクイーンステージ。リッチー・ポートが5年連続でウィランガヒル山頂フィニッシュを制したが、総合リーダージャージはタイム差ゼロでダリル・インピーの手に渡った。
KOMオールドウィランガヒル(全長3.0km/平均7.5%)を2回登るダウンアンダー定番のクイーンステージでオーカージャージ(濃いオレンジ色ジャージ)の持ち主が決まる。アデレードから車で1時間南に下ったワインの一大産地マクラーレンヴェール周辺を舞台に、第20代チャンピオンを決める戦いが繰り広げられた。
2日連続で40度を超えていた気温はピークを過ぎ、この日の最高気温は35度ほど。海が近く、風が吹きやすい地形のため、前日までの暑さと比べると雲泥の差。「今日は涼しいね」が合言葉のスタート地点を発つとすぐに7名の逃げグループが形成された。
逃げのスペシャリストであるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)と、事前に逃げる宣言をしていた山岳賞ジャージのニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)ら、おなじみの逃げメンバーに加わったのは別府史之(トレック・セガフレード)。「デヘントも逃げに乗ったし、1回目のKOMオールドウィランガヒルを逃げた状態で越えることができれば、その後のチームの展開としてチャンスが生まれると思った」という別府を含む逃げグループは、一時的に5分を超えるリードを得る。別府は1回目のスプリントポイントを先頭通過。そのまま7名で協調して逃げ続けたものの、後方ではボーラ・ハンスグローエとBMCレーシングの追撃が組織された。
海側をぐるっと回る大周回を終えて、KOMオールドウィランガヒルを含む山側の小周回に入るとタイム差の縮小は加速。別府は1回目のKOMオールドウィランガヒル登坂で逃げグループから遅れてしまう。「平坦路は楽に走っていたものの、ここ数日間の暑さの影響もあって登りで失速してしまった。総合成績も落としてしまったけど、来週末のカデルエヴァンスグレートオーシャンロードレースに向けて良い刺激になった」と、初日のピープルズチョイスクラシックに続く今シーズン2度目の逃げを振り返っている。
デヘントに先を越されながらもKOMオールドウィランガヒルでポイントを稼いたドラミニが山岳賞ジャージを手堅いものにした一方で、バーレーン・メリダ率いるメイン集団がタイム差1分以内で登りを突き進む。新城幸也(バーレーン・メリダ)も集団のペースメイクに加わり、イサギレ兄弟(スペイン)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)のためにハードな展開に持ち込んだ。
先頭で逃げ続けたデヘントを捉えたメイン集団は、EFエデュケーションファースト・ドラパックの横風ペースアップによって分裂。4年連続ウィランガヒルで優勝を飾っているリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は後方に取り残されてしまったが、チームメイトのサポートによって集団に復帰する。いよいよ今大会最大の山場が始まった。
登りが始まるとボーラ・ハンスグローエやロットNLユンボ、UAEチームエミレーツがペースを作り、続いてローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が集団先頭をリードするとリーダージャージのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は脱落する。デニスのサポートを受けたポートが、例年同様、残り2kmを切って鋭いアタックを仕掛けた。
勝ちパターンに持ち込んだポートにはジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)が食らいついたものの、再度加速したポートがマッカーシーを振り切って残り1kmアーチ。Velonの公開データによると、決定的なアタックを成功させた際、ポートは1分39秒にわたって580W(体重62kg)を出力している。対して、追走したヤングライダー賞ジャージのエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)は1分41秒間428W(体重60kg)だった。
5年連続ウィランガヒル制覇に向けて、そして2年連続総合優勝に向けて大歓声の中を突き進んだポート。2番手のマッカーシーやベルナルとのタイム差は広がり続け、残り400mの時点でポートはおよそ15秒ものリードを得ることに成功する。暫定的にリーダージャージのポジションについたポートだったが「積極的に飛ばしすぎた影響で、残り300mあたりで止まりそうになった」と徐々に失速。後方からダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が追い上げた。
いつも通りの勝ち方で、いつも通りのガッツポーズで、KOMオールドウィランガヒルの頂上にフィニッシュしたポート(ボーナスタイム10秒)。そのわずか8秒後にインピーがステージ2位(ボーナスタイム6秒)でフィニッシュする。スタートの時点で総合2位インピーと総合20位ポートの総合タイム差は12秒。結果、ポートがウィランガヒル最速の称号を防衛しながらも、リーダージャージはタイム差ゼロでインピーの手に渡った。
「これまでのウィランガヒル5勝の中で一番キツかったと思う。リーダージャージに手が届かなかったことは残念だけど、インピーがそれだけ良い走りをしたということ。今日は自分が彼をどれだけ離せるかにかかっていた。とにかくBMCレーシングにとってファンタスティックな日になったよ。(昨年7月ツールの落車以降)トレーニングに打ち込んで、モチベーション高くこのシーズンに挑めている。今年も7月に最高の状態にもっていきたい」とウィランガヒルの王者ポートは語る。
「オーストラリアチームのメンバーとしてダウンアンダーで総合首位に立つなんて、ファンタスティックで言葉が出てこない」と語るのは新リーダーのインピー。「まだ信じられない。もちろんこのレースに向けて準備をこなしてきたけど、総合首位に立つなんて想像していなかった。ジェイ(マッカーシー)についていけば表彰台を狙えるかなと思っていたので、リーダージャージは魔法にかかったような気分。明日はプレッシャーを感じながら走ることになるけど、ミッチェルトン・スコットは総合リードを守る準備ができている」。
最終日の第6ステージはアデレード市内を走るクリテリウム的な平坦ステージ。スプリントポイントとフィニッシュのボーナスタイムでポートの逆転は可能だが、ミッチェルトン・スコットはカレブ・ユアン(オーストラリア)を含めて強力な平坦系選手を揃えている。直前のサントス・ウィメンズツアー・ダウンアンダーを制したミッチェルトン・スコットが男女ダブル制覇に王手をかけた。
KOMオールドウィランガヒル(全長3.0km/平均7.5%)を2回登るダウンアンダー定番のクイーンステージでオーカージャージ(濃いオレンジ色ジャージ)の持ち主が決まる。アデレードから車で1時間南に下ったワインの一大産地マクラーレンヴェール周辺を舞台に、第20代チャンピオンを決める戦いが繰り広げられた。
2日連続で40度を超えていた気温はピークを過ぎ、この日の最高気温は35度ほど。海が近く、風が吹きやすい地形のため、前日までの暑さと比べると雲泥の差。「今日は涼しいね」が合言葉のスタート地点を発つとすぐに7名の逃げグループが形成された。
逃げのスペシャリストであるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)と、事前に逃げる宣言をしていた山岳賞ジャージのニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)ら、おなじみの逃げメンバーに加わったのは別府史之(トレック・セガフレード)。「デヘントも逃げに乗ったし、1回目のKOMオールドウィランガヒルを逃げた状態で越えることができれば、その後のチームの展開としてチャンスが生まれると思った」という別府を含む逃げグループは、一時的に5分を超えるリードを得る。別府は1回目のスプリントポイントを先頭通過。そのまま7名で協調して逃げ続けたものの、後方ではボーラ・ハンスグローエとBMCレーシングの追撃が組織された。
海側をぐるっと回る大周回を終えて、KOMオールドウィランガヒルを含む山側の小周回に入るとタイム差の縮小は加速。別府は1回目のKOMオールドウィランガヒル登坂で逃げグループから遅れてしまう。「平坦路は楽に走っていたものの、ここ数日間の暑さの影響もあって登りで失速してしまった。総合成績も落としてしまったけど、来週末のカデルエヴァンスグレートオーシャンロードレースに向けて良い刺激になった」と、初日のピープルズチョイスクラシックに続く今シーズン2度目の逃げを振り返っている。
デヘントに先を越されながらもKOMオールドウィランガヒルでポイントを稼いたドラミニが山岳賞ジャージを手堅いものにした一方で、バーレーン・メリダ率いるメイン集団がタイム差1分以内で登りを突き進む。新城幸也(バーレーン・メリダ)も集団のペースメイクに加わり、イサギレ兄弟(スペイン)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)のためにハードな展開に持ち込んだ。
先頭で逃げ続けたデヘントを捉えたメイン集団は、EFエデュケーションファースト・ドラパックの横風ペースアップによって分裂。4年連続ウィランガヒルで優勝を飾っているリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は後方に取り残されてしまったが、チームメイトのサポートによって集団に復帰する。いよいよ今大会最大の山場が始まった。
登りが始まるとボーラ・ハンスグローエやロットNLユンボ、UAEチームエミレーツがペースを作り、続いてローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が集団先頭をリードするとリーダージャージのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は脱落する。デニスのサポートを受けたポートが、例年同様、残り2kmを切って鋭いアタックを仕掛けた。
勝ちパターンに持ち込んだポートにはジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)が食らいついたものの、再度加速したポートがマッカーシーを振り切って残り1kmアーチ。Velonの公開データによると、決定的なアタックを成功させた際、ポートは1分39秒にわたって580W(体重62kg)を出力している。対して、追走したヤングライダー賞ジャージのエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)は1分41秒間428W(体重60kg)だった。
5年連続ウィランガヒル制覇に向けて、そして2年連続総合優勝に向けて大歓声の中を突き進んだポート。2番手のマッカーシーやベルナルとのタイム差は広がり続け、残り400mの時点でポートはおよそ15秒ものリードを得ることに成功する。暫定的にリーダージャージのポジションについたポートだったが「積極的に飛ばしすぎた影響で、残り300mあたりで止まりそうになった」と徐々に失速。後方からダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が追い上げた。
いつも通りの勝ち方で、いつも通りのガッツポーズで、KOMオールドウィランガヒルの頂上にフィニッシュしたポート(ボーナスタイム10秒)。そのわずか8秒後にインピーがステージ2位(ボーナスタイム6秒)でフィニッシュする。スタートの時点で総合2位インピーと総合20位ポートの総合タイム差は12秒。結果、ポートがウィランガヒル最速の称号を防衛しながらも、リーダージャージはタイム差ゼロでインピーの手に渡った。
「これまでのウィランガヒル5勝の中で一番キツかったと思う。リーダージャージに手が届かなかったことは残念だけど、インピーがそれだけ良い走りをしたということ。今日は自分が彼をどれだけ離せるかにかかっていた。とにかくBMCレーシングにとってファンタスティックな日になったよ。(昨年7月ツールの落車以降)トレーニングに打ち込んで、モチベーション高くこのシーズンに挑めている。今年も7月に最高の状態にもっていきたい」とウィランガヒルの王者ポートは語る。
「オーストラリアチームのメンバーとしてダウンアンダーで総合首位に立つなんて、ファンタスティックで言葉が出てこない」と語るのは新リーダーのインピー。「まだ信じられない。もちろんこのレースに向けて準備をこなしてきたけど、総合首位に立つなんて想像していなかった。ジェイ(マッカーシー)についていけば表彰台を狙えるかなと思っていたので、リーダージャージは魔法にかかったような気分。明日はプレッシャーを感じながら走ることになるけど、ミッチェルトン・スコットは総合リードを守る準備ができている」。
最終日の第6ステージはアデレード市内を走るクリテリウム的な平坦ステージ。スプリントポイントとフィニッシュのボーナスタイムでポートの逆転は可能だが、ミッチェルトン・スコットはカレブ・ユアン(オーストラリア)を含めて強力な平坦系選手を揃えている。直前のサントス・ウィメンズツアー・ダウンアンダーを制したミッチェルトン・スコットが男女ダブル制覇に王手をかけた。
ステージ成績
1位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | 3:42:22 |
2位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:08 |
3位 | トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ) | 0:00:10 |
4位 | ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | |
5位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | |
6位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | |
7位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:14 |
9位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | |
10位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード) | |
45位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 0:02:08 |
98位 | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) | 0:11:47 |
個人総合成績
1位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 18:02:15 |
2位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | |
3位 | トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ) | 0:00:16 |
4位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:20 |
5位 | ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | |
7位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | |
8位 | ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:24 |
9位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
10位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) |
ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 51pts |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 42pts |
3位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 42pts |
山岳賞
1位 | ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ) | 48pts |
2位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | 36pts |
3位 | スコット・ボーデン(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 26pts |
ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 18:02:35 |
2位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:04 |
3位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード) |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・メリダ | 54:07:53 |
2位 | ディメンションデータ | 0:00:26 |
3位 | クイックステップフロアーズ | 0:01:04 |
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