2018/01/17(水) - 19:11
ピュアスプリンターが苦しむ登りスプリントでカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が勝利。気温37度の真夏の戦いを制したユアンがサントス・ツアー・ダウンアンダー第2ステージで総合首位に立った。
真夏の暑さに包まれた南オーストラリア州。サントス・ツアー・ダウンアンダー第2ステージはアデレード郊外のアンレーからスターリングまでの148.6kmで行われた。レース後半に登場する全長21km・標高差420mのスターリング周回コースはまるでジェットコースターのようなアップダウンの繰り返し。残り8km地点からフィニッシュ地点まで延々と登りが続き、山頂フィニッシュとは言えない難易度ではあるがピュアスプリンターには厳しいレイアウトだ。
スターリングでの歴代優勝者を見ると、2012年は逃げ切りでウィリアム・クラーク(EFエデュケーションファースト・ドラパック)、2013年トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)、2014年ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、2016年ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)と、パンチャーの名前が並んでいる。
スタートが切られるとすぐ、山岳賞ジャージを着るニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)が真っ先にアタック。ここに2012年のステージ優勝者クラークとスコット・ボーデン(オーストラリア、UniSAオーストラリア)、ハイメ・カストリリョ(スペイン、モビスター)が加わって4名のエスケープが始まる。
レース序盤のKOMティーツリーガリー(全長2.6km/平均6%)はスプリントの末にドラミニが先頭通過する。山岳賞ジャージを守ったドラミニが集団に戻る選択をした一方で、ボーデン、クラーク、カストリリョが逃げを続行。ロット・スーダルが率いるメイン集団がタイム差6分で追走する展開が続き、やがてレース中盤にバーレーン・メリダが集団コントロールを開始する。イサギレ兄弟やポッツォヴィーヴォのために新城幸也(バーレーン・メリダ)も集団牽引に加わった。
やがて先頭からはクラークとボーデンが脱落し、U23スペインTT王者のカストリリョが単独で逃げ続ける展開。落車したスティーヴ・モラビト(スイス、FDJ)は右肩を脱臼したものの、医療スタッフの応急処置を受けてレースを続行している。
「逃げ切りは不可能だと思っていたので、せめて中間スプリントだけでも獲得しておきたかった」というカストリリョが残り14km地点で吸収されると、登りスプリントを狙うカチューシャ・アルペシンやボーラ・ハンスグローエ、サンウェブがメンバーを固めて集団前方に上がる。フィニッシュに向かう登りが始まるとすぐ、リーダージャージのアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)は集団から脱落。アタックを仕掛ける選手は現れなかったものの、例年よりも大きな集団のまま登りスプリントが始まった。
残り200mを切ってダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)とペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が好位置から加速する。最短ラインをもがき続けたサガンが先頭に立ったものの、そのスリップストリームから白いヤングライダー賞ジャージのユアンが発進。低いエアロポジションでサガンを抜いたユアンが、チームメイトのインピーを従えて先頭でフィニッシュラインを切った。
ピープルズチョイスクラシックで3位、ダウンアンダー第1ステージで2位の成績を残していたユアンが今大会初勝利。「決して自分向きではないスーパータフなフィニッシュだったけど、チームは100%の力でサポートしてくれたし、いつもより大きな集団のままフィニッシュに到着した。集団内で上手く姿を消していたし、どこで前に出るべきか分かっていた。グライペルが脱落したことは無線で聞いていたし、ステージ優勝と同時に総合リードを奪えたことはとても嬉しい」と、7分以上遅れたグライペルからリーダージャージを奪ったユアン。
高温のタフなコンディションによって例年よりスローな展開(予定より30分遅れ)がユアンに味方したと言える。Velonの公開データによると、体重61kgのユアンは残り1.9km地点からフィニッシュまでの緩斜面を2分47秒、平均39.2km/h、平均469W、1分間ピーク595Wで踏んでいる。最終スプリント(20秒間)は平均46.9kmhで、平均1006W、最大1371Wだった。
チームメイトをアシストした別府史之(トレック・セガフレード)と新城はそれぞれステージ57位と83位でフィニッシュ。「(総合狙いの)ルーベン・ゲレイロのサポートとして前方に位置して風除けになり、ボトルを運んだりといつも通りの仕事をこなしていました。最後の登りのペースが上がらなかったのでスプリントに備えていたけど、暑さの影響で残り1kmで踏み直した時に踏めなかった」と別府。日を追うごとに上昇している気温が選手のパフォーマンスに影響している。
翌日の第3ステージは最高気温が41度まで上がる予報が出ているため、146.5kmコースが120.5kmに短縮されることが決定。大会ディレクターを務めるマイク・ターター氏は「レースの安全性を優先するとともに、選手と観客、関係者の健康を考慮し、選手代表のアダム・ハンセンとUCIチーフコミッセールとの話し合いを経てレース短縮を決定した」とコメント。レース付随イベントの一般参加型ライドも中止が決定している。
真夏の暑さに包まれた南オーストラリア州。サントス・ツアー・ダウンアンダー第2ステージはアデレード郊外のアンレーからスターリングまでの148.6kmで行われた。レース後半に登場する全長21km・標高差420mのスターリング周回コースはまるでジェットコースターのようなアップダウンの繰り返し。残り8km地点からフィニッシュ地点まで延々と登りが続き、山頂フィニッシュとは言えない難易度ではあるがピュアスプリンターには厳しいレイアウトだ。
スターリングでの歴代優勝者を見ると、2012年は逃げ切りでウィリアム・クラーク(EFエデュケーションファースト・ドラパック)、2013年トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)、2014年ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、2016年ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)と、パンチャーの名前が並んでいる。
スタートが切られるとすぐ、山岳賞ジャージを着るニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)が真っ先にアタック。ここに2012年のステージ優勝者クラークとスコット・ボーデン(オーストラリア、UniSAオーストラリア)、ハイメ・カストリリョ(スペイン、モビスター)が加わって4名のエスケープが始まる。
レース序盤のKOMティーツリーガリー(全長2.6km/平均6%)はスプリントの末にドラミニが先頭通過する。山岳賞ジャージを守ったドラミニが集団に戻る選択をした一方で、ボーデン、クラーク、カストリリョが逃げを続行。ロット・スーダルが率いるメイン集団がタイム差6分で追走する展開が続き、やがてレース中盤にバーレーン・メリダが集団コントロールを開始する。イサギレ兄弟やポッツォヴィーヴォのために新城幸也(バーレーン・メリダ)も集団牽引に加わった。
やがて先頭からはクラークとボーデンが脱落し、U23スペインTT王者のカストリリョが単独で逃げ続ける展開。落車したスティーヴ・モラビト(スイス、FDJ)は右肩を脱臼したものの、医療スタッフの応急処置を受けてレースを続行している。
「逃げ切りは不可能だと思っていたので、せめて中間スプリントだけでも獲得しておきたかった」というカストリリョが残り14km地点で吸収されると、登りスプリントを狙うカチューシャ・アルペシンやボーラ・ハンスグローエ、サンウェブがメンバーを固めて集団前方に上がる。フィニッシュに向かう登りが始まるとすぐ、リーダージャージのアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)は集団から脱落。アタックを仕掛ける選手は現れなかったものの、例年よりも大きな集団のまま登りスプリントが始まった。
残り200mを切ってダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)とペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が好位置から加速する。最短ラインをもがき続けたサガンが先頭に立ったものの、そのスリップストリームから白いヤングライダー賞ジャージのユアンが発進。低いエアロポジションでサガンを抜いたユアンが、チームメイトのインピーを従えて先頭でフィニッシュラインを切った。
ピープルズチョイスクラシックで3位、ダウンアンダー第1ステージで2位の成績を残していたユアンが今大会初勝利。「決して自分向きではないスーパータフなフィニッシュだったけど、チームは100%の力でサポートしてくれたし、いつもより大きな集団のままフィニッシュに到着した。集団内で上手く姿を消していたし、どこで前に出るべきか分かっていた。グライペルが脱落したことは無線で聞いていたし、ステージ優勝と同時に総合リードを奪えたことはとても嬉しい」と、7分以上遅れたグライペルからリーダージャージを奪ったユアン。
高温のタフなコンディションによって例年よりスローな展開(予定より30分遅れ)がユアンに味方したと言える。Velonの公開データによると、体重61kgのユアンは残り1.9km地点からフィニッシュまでの緩斜面を2分47秒、平均39.2km/h、平均469W、1分間ピーク595Wで踏んでいる。最終スプリント(20秒間)は平均46.9kmhで、平均1006W、最大1371Wだった。
チームメイトをアシストした別府史之(トレック・セガフレード)と新城はそれぞれステージ57位と83位でフィニッシュ。「(総合狙いの)ルーベン・ゲレイロのサポートとして前方に位置して風除けになり、ボトルを運んだりといつも通りの仕事をこなしていました。最後の登りのペースが上がらなかったのでスプリントに備えていたけど、暑さの影響で残り1kmで踏み直した時に踏めなかった」と別府。日を追うごとに上昇している気温が選手のパフォーマンスに影響している。
翌日の第3ステージは最高気温が41度まで上がる予報が出ているため、146.5kmコースが120.5kmに短縮されることが決定。大会ディレクターを務めるマイク・ターター氏は「レースの安全性を優先するとともに、選手と観客、関係者の健康を考慮し、選手代表のアダム・ハンセンとUCIチーフコミッセールとの話し合いを経てレース短縮を決定した」とコメント。レース付随イベントの一般参加型ライドも中止が決定している。
ステージ成績
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 4:03:55 |
2位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | |
3位 | ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) | |
6位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | |
8位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
9位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | |
10位 | カルロス・バルベロ(スペイン、モビスター) | |
57位 | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) | 0:00:32 |
83位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 0:02:46 |
個人総合成績
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 7:54:00 |
2位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:10 |
3位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:12 |
4位 | ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:15 |
6位 | ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン) | |
7位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 0:00:16 |
8位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
9位 | カルロス・バルベロ(スペイン、モビスター) | |
10位 | アントニー・ルー(フランス、FDJ) |
ポイント賞
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 29Pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 25pts |
3位 | ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) | 22pts |
山岳賞
1位 | ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ) | 20pts |
2位 | ウィリアム・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト) | 12pts |
3位 | スコット・ボーデン(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 6pts |
ヤングライダー賞
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 7:54:00 |
2位 | ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:15 |
3位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:16 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・メリダ | 23:42:48 |
2位 | ミッチェルトン・スコット | |
3位 | アージェードゥーゼール |
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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