2006年ツール・ド・フランス総合優勝者オスカル・ペレイロ(スペイン)が、2010年、新たにアスタナのメンバーリストに加わる。3度目のツール制覇を目指すアルベルト・コンタドール(スペイン)のアシストとして、ペレイロは身を捧げる予定だ。

手を組むコンタドール、ヴィノクロフ、ペレイロ手を組むコンタドール、ヴィノクロフ、ペレイロ photo:Cor Vos「このチームでの第一目標は、アルベルト(コンタドール)をサポートすることだ。もちろんチャンスがあれば僕も勝利を狙うよ」。ピサで開催中のアスタナトレーニングキャンプに参加したペレイロはそう語った。

アスタナがペレイロとの契約を正式に発表したのは12月8日のこと。ペレイロは4年間所属し、ツール制覇を共に経験したケースデパーニュを離脱した。2006年のツール総合優勝が、ペレイロの最後の勝利だ。

「(2008年ツール第15ステージでの)激しい落車の後、医師は僕に『もうレースに復帰できないかも知れない』と告げたんだ。今はどんなレースで勝っても嬉しい。重要じゃないレースなんて一つもないからね。」

現在32歳のペレイロは、コンタドールを取り巻くアスタナのスパニッシュ・サポートシステムの一員になる。ヘスス・エルナンデス、ベンハミン・ノバル、ダニエル・ナバーロと言った強力なアシスト陣の中に、ペレイロの名前が加わるのだ。中でもペレイロとコンタドールの結びつきは一番強い。

トレーニングに合流したオスカル・ペレイロ(スペイン)トレーニングに合流したオスカル・ペレイロ(スペイン) photo:Gregor Brown「アルベルトが初めてツールで総合優勝したときのことを良く覚えている。彼は一日中ツールのことを僕に話してくれたんだ。もう僕にツール総合優勝のチャンスは無いと思っている。来年も勝利のチャンスがあるアルベルトを近くでサポートするのは光栄なことだ。」

コンタドールは今年、ランス・アームストロングをチームメイトに迎え、ツールで2度目の勝利を収めた。アームストロングはチームを離脱してチームレディオシャックを結成したばかりでなく、コンタドールのツール制覇に貢献した全てのアシストを引き抜いた。レディオシャックはアームストロング、リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)、アンドレアス・クレーデン(ドイツ)、アイマル・スベルディア(スペイン)ら、気鋭のメンバーでツールのチームを組むだろう。

「レディオシャックは本当に強いチームだ。でも他の誰よりも、アルベルトが優れていると断言出来る」。ペレイロは新チームリーダーの器量に自信たっぷりだ。

「アスタナチームが抱える最大の問題は、ほとんどの選手が山岳での経験不足だということ。対してレディオシャックは、ツールの山岳で4〜5人を戦線に残すだろう。だが我々のチームは完全にツールシフトで動いている。全てはアルベルトの勝利のために動く。」

ペレイロはオーストラリアで開催されるツアー・ダウンアンダーで始動する。オーストラリアには22日間滞在し、レース後も温暖な気候を活かしてトレーニングを積む予定だ。

text&photo:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji