2009/03/08(日) - 21:42
日本のサイクリストのためにプロデュースされたブランドがエヴァディオだ。AVEDIOとはイタリア語のAVEとDIOの造語となり「神の祈り」という意味。レースにおいての勝利へのこだわりや喜び、そして感動を自転車を通じて多くの方に伝えたい、という気持ちがブランドネームに込められている。
エヴァディオのカーボンフレームのユニークな点は、高い剛性と卓越した軽さを実現するために、大口径の2本の「D型」ウルトラハイモジュラスカーボンパイプを結合し、ひとつにまとめたRPS(Rib Power System)をダウンチューブとフロントフォークの左右のブレードに採用していること。
結果、重量は軽く仕上がり、470mmサイズのフレーム単体で870g、560mmサイズでも900gという軽さを実現している。
さらに今回試乗したのは同車種の軽量モデルにあたるヴィーナスSLである。リアエンドをカーボン化することで現行モデルよりも軽量化に成功し、耐久性も向上しているという。
カラーリングにもこだわりがあり、写真の「ファイアーバード」カラーは熟練の職人の手によって一歩一本塗り上げられる芸術品だ。
カラーオーダーの自由度も嬉しい。「ベーシック」の基本カラーは6色。ピュアホワイト、レーシングレッド、レーシングブルー、カルマブラック、ナチュラルグリーン、アップルグリーンとなる。このベースカラーに「パール」や「ラメ」、そして「キャンディカラー」と特殊効果を加えることもできる(アップチャージ)。
さらに自分の好きな色を無限に選べる"システム2"が用意されている。PANTONE(パントーン)社カラーサンプル約2,000色より自由に選べ、フレーム各部の塗り分けパターンや、ロゴマークのカラー、ロゴやメッセージデカールの選択など、無数に選択肢を用意する(仕様・価格はオフィシャルサイト参照)。
フレームの性能はもちろん、カラーリングにも妥協しない。エヴァディオは繊細な神経をもつエンジニアたちがつくり上げた生粋のジャパニーズブランドだ。
ハンドリングはかなりクイックなイメージがする。ビギナーやレーシングバイクの扱いに不慣れな人には軽いハンドリングがかえって動きを硬くしてしまう原因になってしまうかもしれない。しかしリアルレーサーにはこのクイックな操作感はたまらない魅力だろう。
加速性は良好で、高品質のカーボン素材を使っている影響もあるのだろうが、するどい反応性を得られた。踏んだ力に対してガンガン応えてくれるので気持ちが良い。
振動吸収性はその高剛性感に比較すれば良い気がする。どうしても乗り味がピーキーになる軽量なフレームでは、なかなか出しにくい質感だった。
グラフィックが華やかで外観からレーシーだが、乗ると意外にもマイルドな部分が見受けられるのだ。それはロングライド志向のユーザーにも好まれそうな乗り味だ。長丁場のレースであるツール・ド・おきなわ市民200kmの優勝者、武末選手が使用したのは予定調和か?
消費者に近い立場のもとで設計された分、このバイクがターゲットにしている日本のホビーレーサーたちのニーズに十分応えられている感じがする。
剛性感はトップレベル。軽さによる加速性も加わっている。質量の少なさによる上り性能はとても爽快感がある。
フォークは外見から想像する以上に剛性レベルが高い。下りでは軽量バイク独特の腰高な雰囲気もあるが、おおむね良好だ。ビギナーはそのピーキーさの洗礼を受けてしまうだろうが、下りのスキルがあれば楽しめるだろう。
ハンドリングは軽めでレーシーな雰囲気だ。クイックに反応し、まさしくレース向け。挙動に落ち着きが無く感じる場面もあり、上級者にのみ扱えるシビアな部分もあった。
振動吸収性はそれほど良いとはいえないが、「レース」を強く意識したアッセンブルが助長している(この組み合わせはレーシング性能としてはベストに近いと思うが)。
パキパキと振動を伝えるが、このフレームのコンセプトとしては、振動を気にするような使い方ではないだろう。
ビジュアルも攻撃的で、フレームの性格によくマッチしている。このバイクに対して性能的に対等に戦えるのは各社のハイエンドモデルだろうが、この価格帯でこのハイスペックというのは、舶来品ではちょっと考えられない。
日本人が設計に加わっているということで、欧州ブランドよりもサイズの悩みは解消されるはず。海外ブランドにはない利点だ。ブランド・ネームにこだわらず、誰よりも勝利へのアドバンテージを稼ぎたい実戦派の人に勧めたい。
フレームマテリアル ウルトラハイモジュラスカーボンRPS
フォーク エヴァディオ・フォーク(オフセット: 45mm 重量 327g(コラム長300mm)
フレームサイズ(C-T、mm)/重量 470mm/870g 500mm/880g 530mm/890g 560mm/900g
※590/620/650mmは受注販売
希望小売価格 312,900円(フレームセット、シートピラー)
付属品 カーボTOPキャップ(ステンレスボルト付)、カーボンヘッドコラム用アンカーナットカーボンヘッドコラム用アンカーナット
ヘッドセット(左下FRAME PARTS)
カーボンスぺーサー3mm×1 5mm×2 10mm×1
シートクランプ 34.9φ用CNC MADE / Carbon Frame用
フロントメカ直付バンド34.9φ用カーボンフレーム専用 venus専用ワイヤーリード
※インプレ車両は2009年4月中旬発売のVenus SL ファイアーバードカラー限定車(20本限定)希望小売価格:¥333,900(税込)
浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド
山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション2009(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。
text:山本健一
edit&photo:綾野 真
2重構造のカーボンフレーム
エヴァディオのカーボンフレームのユニークな点は、高い剛性と卓越した軽さを実現するために、大口径の2本の「D型」ウルトラハイモジュラスカーボンパイプを結合し、ひとつにまとめたRPS(Rib Power System)をダウンチューブとフロントフォークの左右のブレードに採用していること。
結果、重量は軽く仕上がり、470mmサイズのフレーム単体で870g、560mmサイズでも900gという軽さを実現している。
さらに今回試乗したのは同車種の軽量モデルにあたるヴィーナスSLである。リアエンドをカーボン化することで現行モデルよりも軽量化に成功し、耐久性も向上しているという。
カラーリングにもこだわりがあり、写真の「ファイアーバード」カラーは熟練の職人の手によって一歩一本塗り上げられる芸術品だ。
カラーオーダーの自由度も嬉しい。「ベーシック」の基本カラーは6色。ピュアホワイト、レーシングレッド、レーシングブルー、カルマブラック、ナチュラルグリーン、アップルグリーンとなる。このベースカラーに「パール」や「ラメ」、そして「キャンディカラー」と特殊効果を加えることもできる(アップチャージ)。
さらに自分の好きな色を無限に選べる"システム2"が用意されている。PANTONE(パントーン)社カラーサンプル約2,000色より自由に選べ、フレーム各部の塗り分けパターンや、ロゴマークのカラー、ロゴやメッセージデカールの選択など、無数に選択肢を用意する(仕様・価格はオフィシャルサイト参照)。
フレームの性能はもちろん、カラーリングにも妥協しない。エヴァディオは繊細な神経をもつエンジニアたちがつくり上げた生粋のジャパニーズブランドだ。
インプレッション
サイクリストのニーズに応えるレーシングバイク
浅見和洋(なるしまフレンド)
ハンドリングはかなりクイックなイメージがする。ビギナーやレーシングバイクの扱いに不慣れな人には軽いハンドリングがかえって動きを硬くしてしまう原因になってしまうかもしれない。しかしリアルレーサーにはこのクイックな操作感はたまらない魅力だろう。
加速性は良好で、高品質のカーボン素材を使っている影響もあるのだろうが、するどい反応性を得られた。踏んだ力に対してガンガン応えてくれるので気持ちが良い。
振動吸収性はその高剛性感に比較すれば良い気がする。どうしても乗り味がピーキーになる軽量なフレームでは、なかなか出しにくい質感だった。
グラフィックが華やかで外観からレーシーだが、乗ると意外にもマイルドな部分が見受けられるのだ。それはロングライド志向のユーザーにも好まれそうな乗り味だ。長丁場のレースであるツール・ド・おきなわ市民200kmの優勝者、武末選手が使用したのは予定調和か?
消費者に近い立場のもとで設計された分、このバイクがターゲットにしている日本のホビーレーサーたちのニーズに十分応えられている感じがする。
選ばれしシリアスレーサーに勧めたい
山本健一(バイクジャーナリスト)
剛性感はトップレベル。軽さによる加速性も加わっている。質量の少なさによる上り性能はとても爽快感がある。
フォークは外見から想像する以上に剛性レベルが高い。下りでは軽量バイク独特の腰高な雰囲気もあるが、おおむね良好だ。ビギナーはそのピーキーさの洗礼を受けてしまうだろうが、下りのスキルがあれば楽しめるだろう。
ハンドリングは軽めでレーシーな雰囲気だ。クイックに反応し、まさしくレース向け。挙動に落ち着きが無く感じる場面もあり、上級者にのみ扱えるシビアな部分もあった。
振動吸収性はそれほど良いとはいえないが、「レース」を強く意識したアッセンブルが助長している(この組み合わせはレーシング性能としてはベストに近いと思うが)。
パキパキと振動を伝えるが、このフレームのコンセプトとしては、振動を気にするような使い方ではないだろう。
ビジュアルも攻撃的で、フレームの性格によくマッチしている。このバイクに対して性能的に対等に戦えるのは各社のハイエンドモデルだろうが、この価格帯でこのハイスペックというのは、舶来品ではちょっと考えられない。
日本人が設計に加わっているということで、欧州ブランドよりもサイズの悩みは解消されるはず。海外ブランドにはない利点だ。ブランド・ネームにこだわらず、誰よりも勝利へのアドバンテージを稼ぎたい実戦派の人に勧めたい。
フレームスペック
フレームマテリアル ウルトラハイモジュラスカーボンRPS
フォーク エヴァディオ・フォーク(オフセット: 45mm 重量 327g(コラム長300mm)
フレームサイズ(C-T、mm)/重量 470mm/870g 500mm/880g 530mm/890g 560mm/900g
※590/620/650mmは受注販売
希望小売価格 312,900円(フレームセット、シートピラー)
付属品 カーボTOPキャップ(ステンレスボルト付)、カーボンヘッドコラム用アンカーナットカーボンヘッドコラム用アンカーナット
ヘッドセット(左下FRAME PARTS)
カーボンスぺーサー3mm×1 5mm×2 10mm×1
シートクランプ 34.9φ用CNC MADE / Carbon Frame用
フロントメカ直付バンド34.9φ用カーボンフレーム専用 venus専用ワイヤーリード
※インプレ車両は2009年4月中旬発売のVenus SL ファイアーバードカラー限定車(20本限定)希望小売価格:¥333,900(税込)
インプレライダーのプロフィール
浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド
山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション2009(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。
text:山本健一
edit&photo:綾野 真
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