2017/03/25(土) - 09:53
軽快なダンシングでフルームとコンタドールを置き去りにしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が標高1,000mの超級山岳ロ・ポルトを制覇。ボルタ・ア・カタルーニャ第5ステージでバルベルデが総合首位に立った。
標高1,000mの超級山岳ロ・ポルト(8.4km/平均9%/最大20%)に至る182kmコースで行われたボルタ・ア・カタルーニャ第5ステージ。総合争いに大きく影響する今大会最大の山場は、最初の1時間の平均スピードが50km/hというハイスピードな幕開けとなった。
70km地点をすぎてようやく形成されたのはロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)やピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック)ら15名の強力な先頭グループ。総合で3分37秒遅れのダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)を含むこの逃げは最大5分のリードを得ることに成功する。
BMCレーシングに加えてチームスカイやトレック・セガフレードも集団コントロールに参加。レース後半にはビッグチームの横風分断作戦が決行され、集団が4〜5グループに分裂するシーンも。ペースが上がったメイン集団は超級山岳ロ・ポルトを前に逃げグループを飲み込んだ。
登り前半は総合に関係しないアタックが頻発したが、チームスカイが淡々とハイペースを刻んで封じ込める。頂上まで7kmを切るとトレック・セガフレードも集団先頭に上がってペースアップ。バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)やミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)のペースメイクによって集団の人数が絞り込まれていく。リーダージャージを着るティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)も脱落した。
残り4kmでアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がアタックの口火を切ると、先頭はコンタドール、バルベルデ、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)、マルク・ソレール(スペイン、モビスター)、アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)の5名に。
先頭グループのペースを作ったのは、バルベルデが「才能に溢れた選手であり、特に山岳での走りは素晴らしい。勝ちたいと思ったレースを全て制することができるようなフィジカルの持ち主」と太鼓判を押す地元カタルーニャ出身の23歳ソレールだった。ソレールが力を出し尽くして残り1kmで下がると、タイミング良くバルベルデがアタック。食らいつくコンタドールを振り切ったバルベルデが独走を開始した。
軽快なダンシングで急勾配の登りを駆け上がり、追いすがるフルームとコンタドールに13秒差をつけてフィニッシュしたバルベルデ。「チームにとっても自分にとってもスペクタクルな1日になった。信じられない日だ。今日は横風が吹いた時も常にチームメイトに守られていた。最後の登りが始まってからはルーベン・フェルナンデスとマルク・ソレールがセンセーショナルな働きをしてくれた。登り口の時点で調子が良いことを感じていたので、彼らに力が続く限り全開でペースを上げるように言ったんだ。"自分の距離"である残り2kmを切ったところでアタックして、そこから全力で踏み続けた」と、今シーズン5勝目を飾ったベテランライダーは語る。
第2ステージのチームタイムトライアルでホセ・ロハス(スペイン)がチームメイトを押したとして1分のペナルティを受け、モビスターは総合リードを失った。そのリベンジのごとく2つの山頂フィニッシュを制したバルベルデがついに首位に立った。「今週は様々なことが起こっていただけに、この勝利とこのリーダージャージは特別だ。観客が興奮するエキサイティングなレースを演出できたと思う」と新リーダーは語っている。
「今シーズン最初の大きなテストである山頂フィニッシュでまずまずの結果を残すことができて満足している」と語るのはステージ2位のフルーム。総合でも2位に浮上したチームスカイのエースは「まだまだ本調子には程遠いけど、目標レースに向けての指標になるよ。でも総合2位が求めていた結果ではない。バルベルデは強力なので、何かスペシャルな作戦で攻める必要がある。今日の走りで誰もが疲労を抱えている状態なので、チャンスを作って攻撃したい」と残る2ステージで巻き返しを図る構えだ。
ステージ3位&総合3位のコンタドールは「調子は悪くなかったけど、ステージ優勝を果たすには何かが足りなかった。いつも終盤に繰り出せるパンチある走りができなかった。モビスターの走りはパーフェクトだったと思う。後ろからのバルベルデのアタックも強烈だった。結果は残せなかったけど、トレーニングが正しい方向に向かっていることを確認できたので満足している」とコメント。総合争いはバルベルデ、フルーム、コンタドールの三強に絞られたと言っていいだろう。
平均勾配9%の上りに備えて最大32Tのリアギアを用意した新城幸也(バーレーン・メリダ)は12分遅れで超級山岳にフィニッシュ。「今日は逃げに乗りたかったが、チームからのオーダーはオンドレイ・シンクのサポート。脚の調子は良く、最後の登り口で良いポジションまで連れて行き、仕事を終えて自分はゆっくりとゴール目指した(シンクはステージ31位)。明日も同じようにアタック合戦になるだろう。総合争いは関係ないので、明日は攻撃あるのみ!」と語っている。
ボルタ・ア・カタルーニャ2017第5ステージ結果
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 4h14'52"
2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) +13"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)
4位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) +25"
5位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +32"
6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +46"
7位 ダヴィ・ゴデュ(フランス、エフデジ) +58"
8位 ヒュー・カーシー(イギリス、キャノンデール・ドラパック) +1'04"
9位 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) +1'11"
10位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 17h44'27"
2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) +21"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +47"
4位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) +1'00"
5位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +1'15"
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +1'18"
7位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1'34"
8位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング) +1'59"
9位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +2'13"
10位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) +2'40"
スプリント賞
1位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) 10pts
2位 ディエゴ・ルビオ(スペイン、カハルーラル) 7pts
3位 ムリーロ・アフォンソ(ブラジル、ソールブラジル) 5pts
山岳賞
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 92pts
2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 50pts
3位 ムリーロ・アフォンソ(ブラジル、ソールブラジル) 48pts
ヤングライダー賞
1位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) 17h45'27"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +15"
3位 カルロス・ベローナ(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1'44"
チーム総合成績
1位 トレック・セガフレード 53h19'38"
2位 モビスター +19"
3位 チームスカイ +2'47"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
標高1,000mの超級山岳ロ・ポルト(8.4km/平均9%/最大20%)に至る182kmコースで行われたボルタ・ア・カタルーニャ第5ステージ。総合争いに大きく影響する今大会最大の山場は、最初の1時間の平均スピードが50km/hというハイスピードな幕開けとなった。
70km地点をすぎてようやく形成されたのはロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)やピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック)ら15名の強力な先頭グループ。総合で3分37秒遅れのダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)を含むこの逃げは最大5分のリードを得ることに成功する。
BMCレーシングに加えてチームスカイやトレック・セガフレードも集団コントロールに参加。レース後半にはビッグチームの横風分断作戦が決行され、集団が4〜5グループに分裂するシーンも。ペースが上がったメイン集団は超級山岳ロ・ポルトを前に逃げグループを飲み込んだ。
登り前半は総合に関係しないアタックが頻発したが、チームスカイが淡々とハイペースを刻んで封じ込める。頂上まで7kmを切るとトレック・セガフレードも集団先頭に上がってペースアップ。バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)やミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)のペースメイクによって集団の人数が絞り込まれていく。リーダージャージを着るティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)も脱落した。
残り4kmでアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がアタックの口火を切ると、先頭はコンタドール、バルベルデ、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)、マルク・ソレール(スペイン、モビスター)、アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)の5名に。
先頭グループのペースを作ったのは、バルベルデが「才能に溢れた選手であり、特に山岳での走りは素晴らしい。勝ちたいと思ったレースを全て制することができるようなフィジカルの持ち主」と太鼓判を押す地元カタルーニャ出身の23歳ソレールだった。ソレールが力を出し尽くして残り1kmで下がると、タイミング良くバルベルデがアタック。食らいつくコンタドールを振り切ったバルベルデが独走を開始した。
軽快なダンシングで急勾配の登りを駆け上がり、追いすがるフルームとコンタドールに13秒差をつけてフィニッシュしたバルベルデ。「チームにとっても自分にとってもスペクタクルな1日になった。信じられない日だ。今日は横風が吹いた時も常にチームメイトに守られていた。最後の登りが始まってからはルーベン・フェルナンデスとマルク・ソレールがセンセーショナルな働きをしてくれた。登り口の時点で調子が良いことを感じていたので、彼らに力が続く限り全開でペースを上げるように言ったんだ。"自分の距離"である残り2kmを切ったところでアタックして、そこから全力で踏み続けた」と、今シーズン5勝目を飾ったベテランライダーは語る。
第2ステージのチームタイムトライアルでホセ・ロハス(スペイン)がチームメイトを押したとして1分のペナルティを受け、モビスターは総合リードを失った。そのリベンジのごとく2つの山頂フィニッシュを制したバルベルデがついに首位に立った。「今週は様々なことが起こっていただけに、この勝利とこのリーダージャージは特別だ。観客が興奮するエキサイティングなレースを演出できたと思う」と新リーダーは語っている。
「今シーズン最初の大きなテストである山頂フィニッシュでまずまずの結果を残すことができて満足している」と語るのはステージ2位のフルーム。総合でも2位に浮上したチームスカイのエースは「まだまだ本調子には程遠いけど、目標レースに向けての指標になるよ。でも総合2位が求めていた結果ではない。バルベルデは強力なので、何かスペシャルな作戦で攻める必要がある。今日の走りで誰もが疲労を抱えている状態なので、チャンスを作って攻撃したい」と残る2ステージで巻き返しを図る構えだ。
ステージ3位&総合3位のコンタドールは「調子は悪くなかったけど、ステージ優勝を果たすには何かが足りなかった。いつも終盤に繰り出せるパンチある走りができなかった。モビスターの走りはパーフェクトだったと思う。後ろからのバルベルデのアタックも強烈だった。結果は残せなかったけど、トレーニングが正しい方向に向かっていることを確認できたので満足している」とコメント。総合争いはバルベルデ、フルーム、コンタドールの三強に絞られたと言っていいだろう。
平均勾配9%の上りに備えて最大32Tのリアギアを用意した新城幸也(バーレーン・メリダ)は12分遅れで超級山岳にフィニッシュ。「今日は逃げに乗りたかったが、チームからのオーダーはオンドレイ・シンクのサポート。脚の調子は良く、最後の登り口で良いポジションまで連れて行き、仕事を終えて自分はゆっくりとゴール目指した(シンクはステージ31位)。明日も同じようにアタック合戦になるだろう。総合争いは関係ないので、明日は攻撃あるのみ!」と語っている。
ボルタ・ア・カタルーニャ2017第5ステージ結果
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 4h14'52"
2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) +13"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)
4位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) +25"
5位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +32"
6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +46"
7位 ダヴィ・ゴデュ(フランス、エフデジ) +58"
8位 ヒュー・カーシー(イギリス、キャノンデール・ドラパック) +1'04"
9位 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) +1'11"
10位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 17h44'27"
2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) +21"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +47"
4位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) +1'00"
5位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +1'15"
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +1'18"
7位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1'34"
8位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング) +1'59"
9位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +2'13"
10位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) +2'40"
スプリント賞
1位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) 10pts
2位 ディエゴ・ルビオ(スペイン、カハルーラル) 7pts
3位 ムリーロ・アフォンソ(ブラジル、ソールブラジル) 5pts
山岳賞
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 92pts
2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 50pts
3位 ムリーロ・アフォンソ(ブラジル、ソールブラジル) 48pts
ヤングライダー賞
1位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) 17h45'27"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +15"
3位 カルロス・ベローナ(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1'44"
チーム総合成績
1位 トレック・セガフレード 53h19'38"
2位 モビスター +19"
3位 チームスカイ +2'47"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
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