2017/03/21(火) - 08:43
地中海に面したカレーリャで開幕した第97回ボルタ・ア・カタルーニャ。グランツールレーサーや新城幸也が出場した7日間のステージレースの初日にダヴィデ・チモライ(イタリア、エフデジ)が勝利した。
スペイン北東部に位置するカタルーニャ地方はバスク地方と同じくスペインからの独立を主張する自治州の一つ(州都はスペイン第二の都市バルセロナ)。現地では一般的にカタルーニャ語が話されており、レースホームページもカタルーニャ語とカスティーリャ語(スペイン語)の2種類が用意されているほど。レース名の「ボルタ」はカタルーニャ語でスペイン語の「ブエルタ」を意味する。
ボルタ・ア・カタルーニャ(カタルーニャ一周)は世界でも有数の歴史を持つ1週間のステージレースで、第1回大会が開催されたのは今から106年前の1911年。ブエルタ・ア・エスパーニャ(1935年〜)よりも古く、ツール・ド・フランス(1903年〜)やジロ・デ・イタリア(1909年〜)と肩を並べる伝統レースだ。2005年からUCIプロツアー(2011年からUCIワールドツアー)入り。2017年からはレース運営やメディア配信に関してツール主催者ASOと5年間の業務提携の締結を発表している。
同時期にベルギーでクラシックシーズンが本格化する中、例年グランツールで活躍するオールラウンダーたちがカタルーニャの山岳でバトルを繰り広げる。第97回大会にはクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)という錚々たるラインナップ。アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)をはじめとするトップスプリンターの他、新城幸也(バーレーン・メリダ)もスタートラインに並んだ。
初日の第1ステージは州都バルセロナの北に位置するカレーリャを発着する178.9kmの定番コース。内陸部を走る後半にかけて1級山岳コル・フォルミク(9km/平均5.2%)を含む6つのカテゴリー山岳が設定されている。残り18km地点で3級山岳コル・サクレウ(3km/平均4.7%)を越えるレイアウトだが、例年スプリンターが勝負に絡むステージだ。
ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック)やアントニオ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)ら4名が序盤からエスケープ。タイム差は大きく広がらず、レース中盤にアクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール)らが合流し、連続する山岳を越えていく。
コフィディスやカチューシャ・アルペシン、ロット・ソウダルという赤いチームの集団牽引によって、逃げグループは最終山岳の3級山岳コル・サクレウの登坂中に吸収(残り25km地点)。スプリントに持ち込みたくないアージェードゥーゼールは残り5km地点でシリル・ゴティエ(フランス)を発射するがスプリンターチームを振り切れない。
メイン集団を牽引しながらそのままペースを上げて一人抜け出したピーター・ケニャック(イギリス、チームスカイ)も残り1kmアーチ通過後に吸収。カレーリャの最終ストレートに入ると、ジェフリー・スープ(フランス、コフィディス)がブアニのために渾身のリードアウトを開始した。
好位置から自分のタイミングでスプリントに持ち込んだブアニを、スリップストリームから脱したチモライが追い上げる展開。先頭でもがき続けたブアニにチモライが並び、横並びでフィニッシュラインにハンドルを投げ込む。僅差のスプリントの末に一時はブアニの勝利が告げられたが、その後の写真判定によりチモライの先着が確定した。
チモライは1989年8月13日生まれの27歳のイタリアンスプリンター。2010年にリクイガスでプロ入り後、2012年から5年間ランプレに所属した。2016年ツアー・オブ・ジャパン京都ステージの優勝者だ。2017年はアルノー・デマール(フランス)のリードアウト要員としてランプレ・メリダからエフデジに移籍。ミラノ〜サンレモでは終盤までデマールのアシストとして力を尽くし、メイン集団でフィニッシュしている。
「長丁場のミラノ〜サンレモで力を使ったので、自分のコンディションには自信がなかった。でも実際は最後まで脚に力を感じながらスプリントに挑むことができたよ。スプリントのお膳立てをしてくれたチームメイトたちに感謝だ。カタルーニャではステージ通算2勝目。明日からはチームメイトのために働きたい」とチモライは語る。
エフデジのイヴォン・マディオ監督は「ダヴィデはパリ〜ニースに続いてミラノ〜サンレモでも素晴らしい働きをした。ポッジオでデマールを上手く位置取りさせ、そしてスプリントでリードアウトしたんだ。だからチーム戦略は簡単だった。ダヴィデでスプリントを狙うとチームミーティングで告げた時、彼は大喜びしていたよ」と新加入スプリンターの活躍を喜ぶ。
フルームやコンタドールらは安全に集団内でフィニッシュ。ステージ10位のエンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ)のために働いた新城はステージ28位で初日を終えている。翌日の第2ステージは41.3kmのチームタイムトライアルだ。
ボルタ・ア・カタルーニャ2017第1ステージ
1位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、エフデジ) 4h28'21"
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
3位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
4位 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループグベルト)
5位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
6位 ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)
7位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)
8位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、クイックステップフロアーズ)
9位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
10位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ)
個人総合成績
1位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、エフデジ) 4h28'11"
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) +04"
3位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ) +06"
4位 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループグベルト) +10"
5位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
6位 ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)
7位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)
8位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、クイックステップフロアーズ)
9位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
10位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ)
スプリント賞
1位 ムリーロ・アフォンソ(ブラジル、ソールブラジル) 5pts
2位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) 5pts
3位 アントニオ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 2pts
山岳賞
1位 ムリーロ・アフォンソ(ブラジル、ソールブラジル) 48pts
2位 アントニオ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 37pts
3位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) 26pts
チーム総合成績
1位 クイックステップフロアーズ 13h25'03"
2位 モビスター
3位 ルームポット
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
スペイン北東部に位置するカタルーニャ地方はバスク地方と同じくスペインからの独立を主張する自治州の一つ(州都はスペイン第二の都市バルセロナ)。現地では一般的にカタルーニャ語が話されており、レースホームページもカタルーニャ語とカスティーリャ語(スペイン語)の2種類が用意されているほど。レース名の「ボルタ」はカタルーニャ語でスペイン語の「ブエルタ」を意味する。
ボルタ・ア・カタルーニャ(カタルーニャ一周)は世界でも有数の歴史を持つ1週間のステージレースで、第1回大会が開催されたのは今から106年前の1911年。ブエルタ・ア・エスパーニャ(1935年〜)よりも古く、ツール・ド・フランス(1903年〜)やジロ・デ・イタリア(1909年〜)と肩を並べる伝統レースだ。2005年からUCIプロツアー(2011年からUCIワールドツアー)入り。2017年からはレース運営やメディア配信に関してツール主催者ASOと5年間の業務提携の締結を発表している。
同時期にベルギーでクラシックシーズンが本格化する中、例年グランツールで活躍するオールラウンダーたちがカタルーニャの山岳でバトルを繰り広げる。第97回大会にはクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)という錚々たるラインナップ。アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)をはじめとするトップスプリンターの他、新城幸也(バーレーン・メリダ)もスタートラインに並んだ。
初日の第1ステージは州都バルセロナの北に位置するカレーリャを発着する178.9kmの定番コース。内陸部を走る後半にかけて1級山岳コル・フォルミク(9km/平均5.2%)を含む6つのカテゴリー山岳が設定されている。残り18km地点で3級山岳コル・サクレウ(3km/平均4.7%)を越えるレイアウトだが、例年スプリンターが勝負に絡むステージだ。
ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック)やアントニオ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)ら4名が序盤からエスケープ。タイム差は大きく広がらず、レース中盤にアクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール)らが合流し、連続する山岳を越えていく。
コフィディスやカチューシャ・アルペシン、ロット・ソウダルという赤いチームの集団牽引によって、逃げグループは最終山岳の3級山岳コル・サクレウの登坂中に吸収(残り25km地点)。スプリントに持ち込みたくないアージェードゥーゼールは残り5km地点でシリル・ゴティエ(フランス)を発射するがスプリンターチームを振り切れない。
メイン集団を牽引しながらそのままペースを上げて一人抜け出したピーター・ケニャック(イギリス、チームスカイ)も残り1kmアーチ通過後に吸収。カレーリャの最終ストレートに入ると、ジェフリー・スープ(フランス、コフィディス)がブアニのために渾身のリードアウトを開始した。
好位置から自分のタイミングでスプリントに持ち込んだブアニを、スリップストリームから脱したチモライが追い上げる展開。先頭でもがき続けたブアニにチモライが並び、横並びでフィニッシュラインにハンドルを投げ込む。僅差のスプリントの末に一時はブアニの勝利が告げられたが、その後の写真判定によりチモライの先着が確定した。
チモライは1989年8月13日生まれの27歳のイタリアンスプリンター。2010年にリクイガスでプロ入り後、2012年から5年間ランプレに所属した。2016年ツアー・オブ・ジャパン京都ステージの優勝者だ。2017年はアルノー・デマール(フランス)のリードアウト要員としてランプレ・メリダからエフデジに移籍。ミラノ〜サンレモでは終盤までデマールのアシストとして力を尽くし、メイン集団でフィニッシュしている。
「長丁場のミラノ〜サンレモで力を使ったので、自分のコンディションには自信がなかった。でも実際は最後まで脚に力を感じながらスプリントに挑むことができたよ。スプリントのお膳立てをしてくれたチームメイトたちに感謝だ。カタルーニャではステージ通算2勝目。明日からはチームメイトのために働きたい」とチモライは語る。
エフデジのイヴォン・マディオ監督は「ダヴィデはパリ〜ニースに続いてミラノ〜サンレモでも素晴らしい働きをした。ポッジオでデマールを上手く位置取りさせ、そしてスプリントでリードアウトしたんだ。だからチーム戦略は簡単だった。ダヴィデでスプリントを狙うとチームミーティングで告げた時、彼は大喜びしていたよ」と新加入スプリンターの活躍を喜ぶ。
フルームやコンタドールらは安全に集団内でフィニッシュ。ステージ10位のエンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ)のために働いた新城はステージ28位で初日を終えている。翌日の第2ステージは41.3kmのチームタイムトライアルだ。
ボルタ・ア・カタルーニャ2017第1ステージ
1位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、エフデジ) 4h28'21"
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
3位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
4位 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループグベルト)
5位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
6位 ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)
7位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)
8位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、クイックステップフロアーズ)
9位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
10位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ)
個人総合成績
1位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、エフデジ) 4h28'11"
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) +04"
3位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ) +06"
4位 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループグベルト) +10"
5位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
6位 ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)
7位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)
8位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、クイックステップフロアーズ)
9位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
10位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ)
スプリント賞
1位 ムリーロ・アフォンソ(ブラジル、ソールブラジル) 5pts
2位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) 5pts
3位 アントニオ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 2pts
山岳賞
1位 ムリーロ・アフォンソ(ブラジル、ソールブラジル) 48pts
2位 アントニオ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 37pts
3位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) 26pts
チーム総合成績
1位 クイックステップフロアーズ 13h25'03"
2位 モビスター
3位 ルームポット
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
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