フランスのマッシフ・サントラルで繰り広げられた第103回ツール最初の山岳バトル。逃げで栄光をつかんだファンアフェルマートをはじめ、安全に乗り切ったフルームやキンタナ、そしてタイムを失ったコンタドールらのコメントを紹介します。



逃げ切りでマイヨジョーヌを獲得したグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)

マイヨジョーヌに袖を通したグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)マイヨジョーヌに袖を通したグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji
ステージ優勝を飾ったグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)ステージ優勝を飾ったグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji観客の声援に応えるマイヨジョーヌのグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)観客の声援に応えるマイヨジョーヌのグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji独走に持ち込んだグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)独走に持ち込んだグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji今朝、チームバスでのミーティングの最中に「ツール1週目は誰も苦しみたくないから、集団をコントロールする力は弱いはず。だから逃げの展開に乗ろう」と提案したんだ。実際に第2ステージではヤスパー・ストゥイフェンが逃げ切りを達成しかけた。モビスターやアスタナが逃げに選手を送り込んでくることは想定済みだった。

先頭で形成された9名の中にタイミングよく入ったものの、協力しない選手が多かったので、同じくタイム差を広げたいトーマス・デヘントと一緒にカウンターアタックを仕掛けた。その結果、デヘントと自分で14分ものリードを築くことに成功。残り17km地点でデヘントを切り離してからは、落車しないことだけを考えて走ったよ。アスファルトが溶けていたし、非常にテクニカルなコースだった。落車さえしなければマイヨジョーヌ獲得のチャンスがあったので、大きなリードを得た状態でも集中力を絶やさないように走り続けた。

残り1kmを切ったところで逃げ切りを確信し、フィニッシュまで勝利を味わいながら走った。スプリンターとして勝負に挑んでいる普段のレースでは、勝利を確信してからフィニッシュまでの時間はわずかしかない。だから少し不思議な気分だった。シーズン最大のレースでリーダージャージ獲得に向けて走っているのは最高の気分だった。

今日はステージ優勝よりもマイヨジョーヌ獲得が重要だった。トップスプリンターでもなくTTスペシャリストでもない自分のようなタイプの選手にとって、マイヨジョーヌを着用するチャンスは少ない。そしてピュアクライマーではないのでパリで総合表彰台に登れるわけじゃない。

今日は展開と逃げのメンバーに恵まれた。これまで果てしないほどの努力を重ねてきたけど、運に見放されて勝利を逃すことが多かった。もちろん輝かしい日々もあったけど、失望にあふれた年月が長く続いた。今年はティレーノ〜アドリアティコで総合優勝してクラシックシーズンに向けて準備万端だったのに、落車でチャンスを失っていた。

でも今日こうしてステージ通算2勝目を飾り、ツール・ド・フランスでリーダージャージを着ている。夢がかなった。長年の努力が報われたよ。

逃げに乗ってステージ2位に入ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)

マイヨアポワを獲得したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)マイヨアポワを獲得したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji
登りで逃げのペースを作るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)登りで逃げのペースを作るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji何も後悔はしていない。世界トップライダーであるファンアフェルマートとの逃げは不運だった。チームには山岳で無駄な力を使わないように指示されたけど、マイヨアポワを獲得したくて山岳ポイントを積極的に狙った。

人生の中でマイヨアポワを着るチャンスなんてそうあるものじゃない。このジャージをできるだけ長く着たいので、明日から山岳ポイントを狙って動く。でも最終日パリまでマイヨアポワを着続けるのは現実的に難しいと思う。

集団から抜け出して4位でフィニッシュしたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

メイン集団から抜け出してフィニッシュするホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)メイン集団から抜け出してフィニッシュするホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsuji総合4位という結果に満足している。暑くてハードなステージだったけど、今日はずっと調子が良く、急勾配区間のある山岳もうまくこなすことができた。

逃げが先行してからチームスカイがコントロールしたものの、予想通りモビスターやエティックス・クイックステップは協力せず。そこでタイム差は大きく広がった。後になってモビスターがコントロールしたものの、逃げを捕まえるというよりは集団の人数を絞り込むための動きだった。

ステージ7位に入ったジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)

マイヨジョーヌ獲得のチャンスだと大きな期待を受けていたけど、今日は逃げが強力だったし、失望する必要はない。マイヨブランをキープしたことを嬉しく思う。連続する山岳を集団内でこなすのはハードだったけど諦めなかった。

今日は総合2位の自分がいるエティックス・クイックステップがレースをコントロールすべきだったのかもしれないけど、チームはマルセル・キッテルのためのスピードマン揃い。明日は再びチームがレースをコントロールする。

危なげなく集団前方でフィニッシュしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

モビスターに代わってチームスカイがメイン集団のペースを作るモビスターに代わってチームスカイがメイン集団のペースを作る photo:Kei Tsuji下りがとてもトリッキーで危険だったので、今日はチームとして集団先頭で走ることを心がけた。今日は総合タイムを奪う日ではなく、総合タイムを失わないための日。ライバルたちとアタックを交わすような本格的なバトルにはならないと予想していた。トラブルなく山岳初日を終えることができて嬉しく思う。総合争いが動くような大きな山岳ステージはこれからだ。

実は総合を狙いに来ていると予想していたヴィンチェンツォ(ニーバリ)の失速には驚いた。アルベルト(コンタドール)の遅れは、彼が序盤ステージで落車したことを考えると仕方がないと思う。怪我がない状態の彼と勝負してタイムを奪いたかった。

チームメイトの勝利を喜ぶリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)チームメイトの勝利を喜ぶリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) photo:CorVosチームメイトの勝利を喜ぶリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)

快適にレースをこなした。ダミアーノ・カルーゾにサポートされて、ティージェイ(ヴァンガーデレン)と一緒に良いポジションで山岳をこなした。グレッグ・ファンアフェルマートがステージ優勝してマイヨジョーヌを獲得したので、チームとして良い一日になったよ。第2ステージのパンクでタイムを失ったことが悔やまれるけど、毎日戦い続けるしかない。調子は良いし、これからの山岳ステージが楽しみだ。

マイヨジョーヌ候補たちを含むメイン集団がフィニッシュを目指すマイヨジョーヌ候補たちを含むメイン集団がフィニッシュを目指す photo:Kei Tsujiライバルたちと同タイムでフィニッシュしたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

難易度の高いステージだった。ツール・ド・フランスらしくないパワーが必要な短い登りが連続するコース。モビスターは状況をうまくコントロールして、自分向きのペースを作ってくれた。最後はアレハンドロ(バルベルデ)とダニ(モレーノ)がしっかりと集団内のポジションをキープ。問題なく乗り切ることができた。

ライバルたちから33秒失ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

ライバルたちから33秒失ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)ライバルたちから33秒失ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) photo:Kei Tsuji
とても厳しいステージだった。いくらか力は戻ってきたけど、最終的にタイムを失う結果になってしまった。モビスターとチームスカイが厳しい展開に持ち込んだ結果、遅れてしまった。でも予想よりもタイムロスを抑え込んだという満足感もある。身体的に傷を負っているけど心は傷ついていない。

例年とは違う種類のツールになりつつある。毎日走り続けながら様子を見て、レースの目標を変えることになるかもしれない。ピレネー到着までにしっかり回復したいけど、もし回復しなければ(総合タイムをさらに失えば)、アルプスで(ステージ優勝に向けた)アタックのタイミングを待ちたい。

登りで脱落したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)登りで脱落したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji総合争いから脱落したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

落ち着いているし、タイムを失ったことに落ち込んではいない。総合優勝したジロ・デ・イタリアから完全に回復していないんだ。以前から言い続けている通り、このツールにおけるアスタナのエースはファビオ・アル。今日は山岳で彼をアシストしたかったけど力が入らなかった。バッドデーがやってきた。今日のような暑い日に山岳で能力を発揮するのは簡単なことじゃない。

マイヨジョーヌを手放したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)

マイヨジョーヌを失ったことに落ち込んではいない。素晴らしいマイヨジョーヌとの生活にも必ず終わりがやってくると知っていた。これがロードレースだ。毎年ツールでの目標はマイヨヴェールを獲得すること。まだまだパリまで長い道のりが待っている。今日はチームとして逃げを射程圏内に抑え込む予定だったけど、逃げのメンバーが強力だった。

text:Kei Tsuji

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