今年で95回目の開催を迎える伝統の一戦ジロ・デル・ピエモンテ(UCI1.HC)は、パリ〜トゥールを制したフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)が優勝。2日後のヨーロッパ最終戦ジロ・ディ・ロンバルディアに向けて「最高のコンディションに仕上がった」と、絶好調ぶりをアピールした。

イタリアを代表するワインの産地ピエモンテ州を駆け抜けるイタリアを代表するワインの産地ピエモンテ州を駆け抜ける photo:Cor Vosイタリア北部、ワインの産地として知られるピエモンテ州を駆け抜ける第95回ジロ・デル・ピエモンテ。ジロ・デ・イタリアと同じRCS Sport主催レースで、2日後に控えたジロ・ディ・ロンバルディア(同じくRCS主催)の前哨戦という意味合いが強い。

全長184kmのコースは中盤に標高450mクラスの山岳が4つ連続。しかし全体的な難易度は低く、近年は集団スプリントに持ち込まれるパターンが多い。昨年はダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)がスプリント勝利を収めている。

スプリントでモレーノらと競り合うフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)スプリントでモレーノらと競り合うフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット) photo:Cor Vosレースは序盤からアレッサンドロ・ドナーティ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)が飛び出し、単独で10分10秒のリードを稼いで逃げる展開。遅れてオレクサンドル・クヴァチュク(ウクライナ、ISD)が合流したが、2人ともラスト20kmで吸収された。

ゴラツド・スタンゲリ(スロベニア、リクイガス)らのカウンターアタックも封じ込められ、集団は一つのままゴールへ。そしてラスト2kmから始まる平均勾配5%の上りでジルベールが攻撃に出た。

スプリントを制したフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)スプリントを制したフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット) photo:Cor Vos上りで飛び出したジルベールには、ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)とフランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)が合流。大集団はこの飛び出しを封じ込めることが出来ず、3名によるスプリントでジルベールが勝利した。

ジルベールは6位で終えたロード世界選手権以降、コッパ・サバティーニパリ〜トゥールと、出場するレース全戦全勝。「こんなにもコンディションが良いのは、これまでのキャリアで初めて」と語るほどの絶好調ぶりだ。

世界選手権以降、サバティーニ、パリ〜トゥールと負け無しのフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)世界選手権以降、サバティーニ、パリ〜トゥールと負け無しのフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット) photo:Cor Vos当然、2日後のジロ・ディ・ロンバルディアへの期待が高まるが、意外にもジルベールはまだ「落ち葉のクラシック」に出場したことが無い。「ロンバルディアでも勝ちたい。でもコースをあまり知らないんだ。明日試走するよ。ギザッロの上りは厳しいけど、重要なアタックポイントはチヴィリオとサンフェルモ。自分の脚質に適していると思う」。

チームには、毎年ロンバルディアに出場している世界王者カデル・エヴァンス(オーストラリア)がいる。エヴァンスはこの日、ロンバルディアを見据えて途中リタイア。ジルベール=エヴァンスの超強力タッグは他チームの脅威になるだろう。

ジルベールは最後に「こんな最高のコンディションだと、勝てないレースなんて無い。どんなレースでも勝てる気がする」とコメント。ロンバルディアでもその鋭いアタックでレースをかき回してくるだろう。

この日2位に入ったモレーノは、ジャパンカップ出場予定選手。ホアキン・ロドリゲス(スペイン)に注目が集まりがちだが、モレーノは先日のブエルタ・チワワでミカエル・ラスムッセン(デンマーク)を下してステージ優勝を飾るなど好調。ケースデパーニュはロドリゲス=モレーノのコンビでロンバルディアとジャパンカップに挑むことになりそうだ。

また、この日はステフェン・デヨンフ(オランダ、クイックステップ)にとって現役最後のレースとなった。1995年にプロデビューした35歳のデヨンフは、15年のプロ生活の中でクールネ〜ブリュッセル〜クールネ2勝、E3プライス・フラーンデレン1勝など、クラシックレースを中心にスプリンターとして活躍。2006年から所属したクイックステップでは、ボーネンらの牽引役を担当した。来シーズンからは新生チームスカイのマネジメントに携わる予定だ。

レース展開、ならびに選手コメントはイタリア・ガゼッタ紙より。

ジロ・デル・ピエモンテ2009
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)4h32'54"
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)
3位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)
4位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
5位 レイニア・ホーニッヒ(オランダ、ヴァカンソレイユ)+02"
6位 ポール・マルテンス(ドイツ、ラボバンク)
7位 アレクサンドル・ウソフ(ベラルーシ、コフィディス)+04"
8位 ヘルベン・ロウィク(オランダ、ヴァカンソレイユ)
9位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ)
10位 パブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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