2016/05/21(土) - 04:00
フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の山岳地帯を走るジロ第13ステージでミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)が独走勝利。連続する急峻な山岳で遅れたマリアローザに代わってアンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)が総合首位に立った。
フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の星型城塞都市パルマノーヴァをスタートし、スロベニアとの国境を分かつ山岳地帯を走る第13ステージ。登場する4つのカテゴリー山岳は標高こそ1000mに満たないが、いずれも急勾配だ。
抜けるような青空に燦々と太陽が照ったこの日、前日のステージ1位アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とステージ2位カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らを欠いた177名がスタートを切る。
アタックに次ぐアタックは決まらず、集団は一つのまま41.8km地点のスプリントポイントに到着。チャンスを逃さずアルノー・デマール(フランス、FDJ)が先頭通過すると、多くのスプリンターやマリアアッズーラのダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)、そして総合10位ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)を含む32名が飛び出した状態となる。
メイン集団から1分のリードを稼ぎ出した大きな逃げグループは、1級山岳モンテマッジョーレ(8.3km/平均9.3%/最大15%)の登りが始まるとすぐに細分化。急勾配かつ細い登りで独走を開始したステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)がそのまま先頭をクリアする。
1分15秒遅れでクネゴやジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)を先頭にした追走グループ、そして2分遅れでエティックス・クイックステップ率いるメイン集団が頂上をクリア。この日だけで29ポイントを加算したクネゴはヴィスコンティに18ポイント差に迫られながらも山岳賞トップを快走中だ。
続く2級山岳クライ(8.8km/平均6.4%/最大16%)でも独走を保ったデニフルだったが、ランプレ・メリダが人数を揃えてリードする追走グループがジョインする。ウリッシやクネゴ、ヴィスコンティを含む25名の先頭グループがメイン集団から2分30秒リードする展開でレースは後半へ。一旦フィニッシュラインを通過し、次なる連続山岳へと向かった。
1級山岳チーマポルズス(8.8km/平均8.2%/最大16%)で先頭グループから飛び出したのはモレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)。しかしモゼールのアタックは決まらずにニエベとジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール)が先頭を奪う。やがてドンブロウスキーが失速し、フィニッシュまで34kmを残してニエベの独走が始まった。
ヴィスコンティとドンブロウスキー、マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)の3名が追走を試みたがニエベとのタイム差は広がる。2分30秒後方のメイン集団ではアスタナがペースアップを試み、集団の人数を絞り込んでいく。
短いダウンヒルを経て続く2級山岳ヴァッレ(6.2km/平均7.8%/最大13%)の登坂が始まるとニエベのリードはさらに拡大。追走グループの中でヴィスコンティだけが生き残る。独走を貫いたニエベはテクニカルなダウンヒルも難なくこなし、平坦路でもリードを守り、ヴィスコンティを43秒差で振り切って勝利した。
2級山岳ヴァッレで熱を帯びたのはマリアローザ争い。モビスターのペースアップからアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がアタックし、続いてヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)も動く。するとマリアローザのボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)が一人脱落した。
マリアローザの脱落を知ったアスタナはヤコブ・フグルサング(デンマーク)とミケーレ・スカルポーニ(イタリア)が先頭を固めてペースアップ。ユンヘルスを42秒引き離した状態で2級山岳ヴァッレをクリアすると、ドンブロウスキーやモンタグーティを飲み込んで先頭から1分17秒遅れでフィニッシュした。
「ランダのリタイアはとても残念で、チームの士気が少し下がってしまったのは事実。だからなんとしてもステージ優勝を勝ち取りたかった。ランダが残っていたらこのチャンスは巡ってこなかった」と自身2度目のステージ優勝を飾ったニエベは語る。「5年ぶりのステージ優勝。逃げに乗ってからも調子の良さを感じていたし、最後は全開で踏み続けた。チームに勝利をもたらすことができて本当に良かったよ」。
ユンヘルスがニエベから2分07秒遅れ、つまりメイン集団から50秒遅れでフィニッシュしたため、総合2位アマドールが総合首位にジャンプアップ。モビスターのサブエース担うアマドールがコスタリカ出身選手として初めてマリアローザに袖を通した。
「この経験を最大限楽しみたい。でもアレハンドロ・バルベルデがモビスターのエースであることに変わりはないし、これからも彼のために走る。それにしてもマリアローザを着て明日のクイーンステージに挑むことは最高の気分だ」とアマドール。第13ステージを終えて総合トップ5(アマドール、ユンヘルス、ニーバリ、バルベルデ、クルイスウィク)が43秒差にひしめく接戦が続いている。
ジロ・デ・イタリア2016第13ステージ結果
1位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) 4h31’49”
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) +43”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +1’17”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)
6位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
7位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
8位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)
9位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
11位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
13位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
14位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
15位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
17位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +2’07”
23位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)+2’17”
28位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +4’14”
129位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +32’43”
マリアローザ 個人総合成績
1位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) 54h05’50”
2位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +26”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +41”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +43”
5位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
6位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1’37”
7位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +2’01”
8位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2’19”
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +2’48”
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +3’15”
マリアロッサ ポイント賞
1位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) 138pts
2位 アルノー・デマール(フランス、FDJ) 119pts
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 104pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 85pts
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) 67pts
3位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング) 54pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 54h06’16”
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +5’49”
3位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ) +13’31”
チーム総合成績
1位 モビスター 162h20’45”
2位 アスタナ +7’16”
3位 キャノンデール +11’16”
text&photo:Kei Tsuji in Cividale del Friuli, Italy
フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の星型城塞都市パルマノーヴァをスタートし、スロベニアとの国境を分かつ山岳地帯を走る第13ステージ。登場する4つのカテゴリー山岳は標高こそ1000mに満たないが、いずれも急勾配だ。
抜けるような青空に燦々と太陽が照ったこの日、前日のステージ1位アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とステージ2位カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らを欠いた177名がスタートを切る。
アタックに次ぐアタックは決まらず、集団は一つのまま41.8km地点のスプリントポイントに到着。チャンスを逃さずアルノー・デマール(フランス、FDJ)が先頭通過すると、多くのスプリンターやマリアアッズーラのダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)、そして総合10位ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)を含む32名が飛び出した状態となる。
メイン集団から1分のリードを稼ぎ出した大きな逃げグループは、1級山岳モンテマッジョーレ(8.3km/平均9.3%/最大15%)の登りが始まるとすぐに細分化。急勾配かつ細い登りで独走を開始したステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)がそのまま先頭をクリアする。
1分15秒遅れでクネゴやジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)を先頭にした追走グループ、そして2分遅れでエティックス・クイックステップ率いるメイン集団が頂上をクリア。この日だけで29ポイントを加算したクネゴはヴィスコンティに18ポイント差に迫られながらも山岳賞トップを快走中だ。
続く2級山岳クライ(8.8km/平均6.4%/最大16%)でも独走を保ったデニフルだったが、ランプレ・メリダが人数を揃えてリードする追走グループがジョインする。ウリッシやクネゴ、ヴィスコンティを含む25名の先頭グループがメイン集団から2分30秒リードする展開でレースは後半へ。一旦フィニッシュラインを通過し、次なる連続山岳へと向かった。
1級山岳チーマポルズス(8.8km/平均8.2%/最大16%)で先頭グループから飛び出したのはモレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)。しかしモゼールのアタックは決まらずにニエベとジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール)が先頭を奪う。やがてドンブロウスキーが失速し、フィニッシュまで34kmを残してニエベの独走が始まった。
ヴィスコンティとドンブロウスキー、マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)の3名が追走を試みたがニエベとのタイム差は広がる。2分30秒後方のメイン集団ではアスタナがペースアップを試み、集団の人数を絞り込んでいく。
短いダウンヒルを経て続く2級山岳ヴァッレ(6.2km/平均7.8%/最大13%)の登坂が始まるとニエベのリードはさらに拡大。追走グループの中でヴィスコンティだけが生き残る。独走を貫いたニエベはテクニカルなダウンヒルも難なくこなし、平坦路でもリードを守り、ヴィスコンティを43秒差で振り切って勝利した。
2級山岳ヴァッレで熱を帯びたのはマリアローザ争い。モビスターのペースアップからアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がアタックし、続いてヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)も動く。するとマリアローザのボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)が一人脱落した。
マリアローザの脱落を知ったアスタナはヤコブ・フグルサング(デンマーク)とミケーレ・スカルポーニ(イタリア)が先頭を固めてペースアップ。ユンヘルスを42秒引き離した状態で2級山岳ヴァッレをクリアすると、ドンブロウスキーやモンタグーティを飲み込んで先頭から1分17秒遅れでフィニッシュした。
「ランダのリタイアはとても残念で、チームの士気が少し下がってしまったのは事実。だからなんとしてもステージ優勝を勝ち取りたかった。ランダが残っていたらこのチャンスは巡ってこなかった」と自身2度目のステージ優勝を飾ったニエベは語る。「5年ぶりのステージ優勝。逃げに乗ってからも調子の良さを感じていたし、最後は全開で踏み続けた。チームに勝利をもたらすことができて本当に良かったよ」。
ユンヘルスがニエベから2分07秒遅れ、つまりメイン集団から50秒遅れでフィニッシュしたため、総合2位アマドールが総合首位にジャンプアップ。モビスターのサブエース担うアマドールがコスタリカ出身選手として初めてマリアローザに袖を通した。
「この経験を最大限楽しみたい。でもアレハンドロ・バルベルデがモビスターのエースであることに変わりはないし、これからも彼のために走る。それにしてもマリアローザを着て明日のクイーンステージに挑むことは最高の気分だ」とアマドール。第13ステージを終えて総合トップ5(アマドール、ユンヘルス、ニーバリ、バルベルデ、クルイスウィク)が43秒差にひしめく接戦が続いている。
ジロ・デ・イタリア2016第13ステージ結果
1位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) 4h31’49”
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) +43”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +1’17”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)
6位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
7位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
8位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)
9位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
11位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
13位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
14位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
15位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
17位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +2’07”
23位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)+2’17”
28位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +4’14”
129位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +32’43”
マリアローザ 個人総合成績
1位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) 54h05’50”
2位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +26”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +41”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +43”
5位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
6位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1’37”
7位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +2’01”
8位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2’19”
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +2’48”
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +3’15”
マリアロッサ ポイント賞
1位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) 138pts
2位 アルノー・デマール(フランス、FDJ) 119pts
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 104pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 85pts
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) 67pts
3位 ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング) 54pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 54h06’16”
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +5’49”
3位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ) +13’31”
チーム総合成績
1位 モビスター 162h20’45”
2位 アスタナ +7’16”
3位 キャノンデール +11’16”
text&photo:Kei Tsuji in Cividale del Friuli, Italy
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