今年で100周年を迎えるジロ・デッレミリア(UCI1.HC)が10月10日開催され、ジロ・デ・イタリアにも登場した最大勾配20%の激坂サンルーカで、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が優勝。アルカンシェルのカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)は4位に入った。

観客が詰めかけた激坂サンルーカを上る選手たち観客が詰めかけた激坂サンルーカを上る選手たち photo:Cor Vosイタリア中部エミリア=ロマーニャ州を舞台に行なわれるジロ・デッレミリアは、今年で開催92回目を迎える国内有数のワンディクラシック。その歴史は古く、第1回大会が開催されたのは1909年。ジロ・デ・イタリアと肩を並べる100年の歴史をもつ伝統レースだ。

古くはファウスト・コッピ(イタリア)やエディ・メルクス(ベルギー)、近年ではイヴァン・バッソ(イタリア)やジルベルト・シモーニ(イタリア)、フランク・シュレク(ルクセンブルク)、ダニーロ・ディルーカ(イタリア)と言った名だたる優勝者を輩出しているワンディクラシック。名物は合計5回通過するサンルーカの上りだ。

ガッツポーズでゴールに飛び込むロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)ガッツポーズでゴールに飛び込むロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) photo:Cor Vosレース終盤に連続して登場するサンルーカは、今年のジロ・デ・イタリア第14ステージ(ジェランス優勝)でも登場した激坂。平均勾配10%を超える上りが2kmに渡って続き、最大勾配は20%に達する。5回目のサンルーカを最速で上った選手が優勝に輝くというタフレースだ。

レースは2006年TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)覇者のウラディミール・デュマ(ウクライナ、チェラミカ・フラミニア)ら4名が序盤から逃げ、最大9分20秒のアドバンテージ。しかし勝負どころの終盤にかけてペースを上げたメイン集団は、2回目のサンルーカ通過後に逃げを全て吸収した。

そして3回目のサンルーカでレースは動いた。集団からアタックを仕掛けたのはヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)。これにアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア・HTC)の3名が追いつき、強力な4名の先頭グループが形成された。

疲労困憊のアルカンシェル、カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)疲労困憊のアルカンシェル、カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット) photo:Cor Vos追走したのはダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)やイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)、カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)を含む集団。しかし先頭の4名は協力してアドバンテージを築き、集団を振り切って最後のサンルーカに突入した。

最大勾配20%の激坂で最初にアタックを仕掛けたのはフグルサング。これにはヘーシンクとロヴクヴィストが食らいつき、ヴィノクロフは脱落してしまう。フグルサングはライバルを引き離すことが出来ず、先行したフグルサングを抜き去ったヘーシンクが優勝を飾った。

最後の上りで脱落したヴィノクロフは、後続の集団から飛び出したアルカンシェルのエヴァンスに抜かれて5位。エヴァンスは4位に入り、好調ぶりをアピールした。

1999年のマイケル・ボーヘルトに続く2人目のオランダ人優勝者に輝いたヘーシンクは、ツール・ド・フランスの序盤ステージで落車リタイア。ブエルタ・ア・エスパーニャでも終盤に落車して膝を負傷し、総合争いから脱落していた。「ブエルタを落車で失った後だったので、この勝利はメチャクチャ嬉しい!キャリア最大の勝利といってもいいぐらいだ。シーズン終盤だが、まだまだ脚は残っているよ」。

グランツールで総合成績を狙える逸材として注目を集めているヘーシンクだが、アップダウンの厳しいワンディクラシックも得意。今年はアムステル・ゴールドレースで3位に入賞している。

レース展開はガゼッタ紙、選手コメントはチーム公式サイトより。

ジロ・デッレミリア2009結果
1位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)4h49'31"
2位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)
3位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア・HTC)
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)+20"
5位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)+30"
6位 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、フジ・セルヴェット)+32"
7位 アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、サクソバンク)+40"
8位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク)+43"
9位 アルベルト・フェルナンデス(スペイン、フジ・セルヴェット)
10位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、ランプレ)+50"

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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