2016/03/24(木) - 06:54
ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ最初の本格山岳コースでトップグランツールレーサーたちが激突。タイミング良くアタックを仕掛けたダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)が並み居る選手を振り切った。
カタルーニャ一周3日目はピレネー山脈に向かう。ジローナから西に進路をとって山岳地帯を進み、1級山岳コウベ峠(9.3km/5%)と1級山岳トセス峠(10.2km/6%)を経て周回コースへ。最後は1級山岳ラ・モリーナ(9.3km/6%)を2回登坂してフィニッシュを迎える。全長172kmで獲得標高差が4000mに達する難関ステージだ。
ケヴィン・レザ(フランス、FDJ)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)、フーブ・デュイン(オランダ、ルームポット・オラニエ)、コエン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)、ヨハン・ヴァンジル(南アフリカ、ディメンションデータ)、アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール)、ヤン・ヒルト(チェコ、CCCスプランディポルコウィチェ)という7名の逃げは最大で12分という大きなリードを稼ぎ出すことに成功。スプリントポイントを連取したボウマンがスプリント賞トップに立つ。
チームスカイとモビスターが交互にコントロールするメイン集団からはリーダージャージのナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)が脱落する。前日から腹痛に悩まされていたブアニはやがてリタイア。体調不良のトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)もバイクを降りている。
連続山岳で足並みが崩れた逃げグループからはハウズとデュインが抜け出して先行。1級山岳トセス峠を越えてラ・モリーナの周回コースに入ると、後方からピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・オラニエ)が合流する。しばらくしてウェーニングは独走を開始し、メイン集団から1分リードで1回目の1級山岳ラ・モリーナをクリアした。
チームスカイ率いるメイン集団はスピードを上げてウェーニングを追い、20秒差にまで追い込んだ状態で最後の1級山岳ラ・モリーナ登坂をスタートさせる。麓で落車したルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ)は総合争いから脱落。
チームスカイによる徹底的なコントロールの中から、ヤングライダー賞ジャージを着るルイス・フェルファーク(ベルギー、ロット・ソウダル)が残り10kmで先陣切ってアタックし、先頭ウェーニングをパスして独走。沿道に雪が残る山道を勢いよく登ったフェルファークだったが、残り5kmでチームスカイ勢によりあえなく吸収される。
ミケル・ニエベ(スペイン)、ワウト・ポエルス(オランダ)、クリス・フルーム(イギリス)、ゲラント・トーマス(イギリス)の4枚看板を揃えるチームスカイがペースを刻むとメイン集団は30名強に。残り4kmから始まった下り区間で集団が縦に長く伸びると、残り2km地点でポエルスが強力なアタックを仕掛けた。
このチームスカイの奇襲攻撃にはアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)がすかさず反応し、一旦落ち着いたところでナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がアタック。残り1kmアーチを前にディフェンディングチャンピオンのリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)もアタックを仕掛けたがいずれも決まらない。
キンタナのアタックにはフルーム自ら反応するシーンも見られたが、そのペダリングにハイシーズンのような勢いはない。キンタナを追撃する形で加速したマーティンが先頭に立つと、そのままダンシングで登りを突き進んだ。
コンタドールの追撃も、ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)やティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)の追撃も届かない。フィニッシュラインまでダンシングで踏み抜いたマーティンがハイスピードクライミング勝負を制した。
「フィニッシュのレイアウトを知っていたので上手く勝負に持ち込むことができた。向かい風が吹いていたので慎重にアタックのタイミングを待って、勾配が増したところで飛び出した」というマーティン。およそ残り500mからの仕掛けでライバルたちからタイム差を奪い、総合首位に浮上した。
2013年大会で総合優勝を飾っているマーティンは「ツアー・オブ・オマーンでウィルス感染を患った影響でトレーニングが遅れた。だから体調を戻すためにティレーノ〜アドリアティコをキャンセルして、自宅で地道にトレーニングしたんだ。明日は今日よりも厳しい登りが待っている。このカタルーニャではいつも僅かなタイム差で総合が決まるから、明日も勝負に絡んで、リードを守りながら総合優勝を目指したい」と意気込んだ。
総合2位につけるコンタドールは「パリ〜ニースでひいた風邪を引きずった状態だったことを考えると悪い結果ではない。今日は調子が良くなく、サドルの上で快適な走りとは言えなかった。明日のステージは今日よりも自分向き。しっかり休んで回復したい」とコメント。コンタドールは2014年大会で総合2位に入っているが、まだこのカタルーニャでの総合優勝経験はない。
マーティンから12秒遅れでフィニッシュしたフルームは「久しぶりのUCIワールドツアーレースで、まだ脚の状態を探っているところ。今日はチームメイトたちの働きに応えることができなかった。でもまだ自分とゲラント、ワウトが総合で良いポジションにつけているので、気持ちを切り替えて明日の勝負に挑みたい」と語っている。翌日の第4ステージは超級山岳ポルト・アイネの山頂フィニッシュが登場する。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2016第3ステージ結果
1位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) 5h00’27”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +02”
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +09”
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
7位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +11”
8位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +12”
9位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
10位 ヒュー・カーシー(イギリス、カハルーラル) +18”
11位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)
13位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
16位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
23位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +22”
29位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +28”
個人総合成績
1位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) 14h08’18”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +06”
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +08”
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +12”
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +19”
6位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)
7位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +21”
8位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +22”
9位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
10位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +28”
山岳賞
1位 ボリス・ドロン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
スプリント賞
1位 コエン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)
ヤングライダー賞
1位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)
チーム総合成績
1位 BMCレーシング
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
カタルーニャ一周3日目はピレネー山脈に向かう。ジローナから西に進路をとって山岳地帯を進み、1級山岳コウベ峠(9.3km/5%)と1級山岳トセス峠(10.2km/6%)を経て周回コースへ。最後は1級山岳ラ・モリーナ(9.3km/6%)を2回登坂してフィニッシュを迎える。全長172kmで獲得標高差が4000mに達する難関ステージだ。
ケヴィン・レザ(フランス、FDJ)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)、フーブ・デュイン(オランダ、ルームポット・オラニエ)、コエン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)、ヨハン・ヴァンジル(南アフリカ、ディメンションデータ)、アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール)、ヤン・ヒルト(チェコ、CCCスプランディポルコウィチェ)という7名の逃げは最大で12分という大きなリードを稼ぎ出すことに成功。スプリントポイントを連取したボウマンがスプリント賞トップに立つ。
チームスカイとモビスターが交互にコントロールするメイン集団からはリーダージャージのナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)が脱落する。前日から腹痛に悩まされていたブアニはやがてリタイア。体調不良のトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)もバイクを降りている。
連続山岳で足並みが崩れた逃げグループからはハウズとデュインが抜け出して先行。1級山岳トセス峠を越えてラ・モリーナの周回コースに入ると、後方からピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・オラニエ)が合流する。しばらくしてウェーニングは独走を開始し、メイン集団から1分リードで1回目の1級山岳ラ・モリーナをクリアした。
チームスカイ率いるメイン集団はスピードを上げてウェーニングを追い、20秒差にまで追い込んだ状態で最後の1級山岳ラ・モリーナ登坂をスタートさせる。麓で落車したルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ)は総合争いから脱落。
チームスカイによる徹底的なコントロールの中から、ヤングライダー賞ジャージを着るルイス・フェルファーク(ベルギー、ロット・ソウダル)が残り10kmで先陣切ってアタックし、先頭ウェーニングをパスして独走。沿道に雪が残る山道を勢いよく登ったフェルファークだったが、残り5kmでチームスカイ勢によりあえなく吸収される。
ミケル・ニエベ(スペイン)、ワウト・ポエルス(オランダ)、クリス・フルーム(イギリス)、ゲラント・トーマス(イギリス)の4枚看板を揃えるチームスカイがペースを刻むとメイン集団は30名強に。残り4kmから始まった下り区間で集団が縦に長く伸びると、残り2km地点でポエルスが強力なアタックを仕掛けた。
このチームスカイの奇襲攻撃にはアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)がすかさず反応し、一旦落ち着いたところでナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がアタック。残り1kmアーチを前にディフェンディングチャンピオンのリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)もアタックを仕掛けたがいずれも決まらない。
キンタナのアタックにはフルーム自ら反応するシーンも見られたが、そのペダリングにハイシーズンのような勢いはない。キンタナを追撃する形で加速したマーティンが先頭に立つと、そのままダンシングで登りを突き進んだ。
コンタドールの追撃も、ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)やティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)の追撃も届かない。フィニッシュラインまでダンシングで踏み抜いたマーティンがハイスピードクライミング勝負を制した。
「フィニッシュのレイアウトを知っていたので上手く勝負に持ち込むことができた。向かい風が吹いていたので慎重にアタックのタイミングを待って、勾配が増したところで飛び出した」というマーティン。およそ残り500mからの仕掛けでライバルたちからタイム差を奪い、総合首位に浮上した。
2013年大会で総合優勝を飾っているマーティンは「ツアー・オブ・オマーンでウィルス感染を患った影響でトレーニングが遅れた。だから体調を戻すためにティレーノ〜アドリアティコをキャンセルして、自宅で地道にトレーニングしたんだ。明日は今日よりも厳しい登りが待っている。このカタルーニャではいつも僅かなタイム差で総合が決まるから、明日も勝負に絡んで、リードを守りながら総合優勝を目指したい」と意気込んだ。
総合2位につけるコンタドールは「パリ〜ニースでひいた風邪を引きずった状態だったことを考えると悪い結果ではない。今日は調子が良くなく、サドルの上で快適な走りとは言えなかった。明日のステージは今日よりも自分向き。しっかり休んで回復したい」とコメント。コンタドールは2014年大会で総合2位に入っているが、まだこのカタルーニャでの総合優勝経験はない。
マーティンから12秒遅れでフィニッシュしたフルームは「久しぶりのUCIワールドツアーレースで、まだ脚の状態を探っているところ。今日はチームメイトたちの働きに応えることができなかった。でもまだ自分とゲラント、ワウトが総合で良いポジションにつけているので、気持ちを切り替えて明日の勝負に挑みたい」と語っている。翌日の第4ステージは超級山岳ポルト・アイネの山頂フィニッシュが登場する。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2016第3ステージ結果
1位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) 5h00’27”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +02”
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +09”
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
7位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +11”
8位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +12”
9位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
10位 ヒュー・カーシー(イギリス、カハルーラル) +18”
11位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)
13位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
16位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
23位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +22”
29位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +28”
個人総合成績
1位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) 14h08’18”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +06”
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +08”
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +12”
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +19”
6位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)
7位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +21”
8位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +22”
9位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
10位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +28”
山岳賞
1位 ボリス・ドロン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
スプリント賞
1位 コエン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)
ヤングライダー賞
1位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)
チーム総合成績
1位 BMCレーシング
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele