2016/03/13(日) - 07:06
残り3.6kmで元トラックレーサーのスティーブ・クミングス(イギリス、ディメンションデータ)がエンジン点火。後続集団を振り切ったクミングスがフィニッシュまで単独で駆け抜けた。
ティレーノ〜アドリアティコはティレニア海を離れて内陸へ。ラツィオ州からウンブリア州に入る222kmコースに大きな山岳は登場しないものの、終盤にかけて山岳トレヴィ(登坂距離3.5km/平均勾配5%)と山岳モンテファルコ(登坂距離2.0km/平均勾配9%)を含む周回コースを走る。獲得標高差2700mの中級山岳コースは「登れるスプリンター」たちのものだ。
この大会最長コースで逃げたのはフランチェスコ・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニCSF)とヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)、リカルド・ビレラ(スペイン、カハルーラル)、チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・アルゴン18)の4名。22km地点でタイム差は6分55秒まで広がり、向かい風によってスケジュールを大幅に下回るペースでレースは進む。
メイン集団はエティックス・クイックステップを先頭に逃げを追い、フィニッシュ地点フォリーニョを起点とした周回コースに2分遅れで突入する。先頭では2015年ツアー・オブ・ジャパン伊豆ステージ覇者&ポイント賞獲得のコンティが粘ったが、残り31kmでモビスターやトレック・セガフレード率いるメイン集団に吸収された。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)やカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)は早々に脱落。前日のステージ優勝者フェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)もメイン集団から遅れていく。
急勾配の山岳モンテファルコでファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)がハイペースを刻むと、メイン集団の人数は50名にまで絞り込まれた。
残り15kmの山岳モンテファルコでディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)が動きを見せたものの決まらない。すると下り区間を利用してマッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)やサルヴァトーレ・プッチオ(イタリア、チームスカイ)らがアタック。続いて残り8kmでポイント賞ジャージを着るペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)もアタックを繰り出したがいずれも決まらない。
執拗にアタックしたモンタグーティとプッチオが抜け出すと、ここにクミングスが反応する。メイン集団にチームメイトのエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)を残していたクミングスは先頭交代に加わらない。
統率の取れないメイン集団から10秒ほどのリードを得た先頭3名。すると残り3.6kmのわずかな登りと連続コーナーを利用してクミングスが一気に先行する。2005年にトラック世界選手権の団体追い抜きで優勝しているクミングスがハイスピードで巡航し、そのまま後続との差を広げる走りで勝利した。
2012年のブエルタ・ア・エスパーニャと2015年のツール・ド・フランスでステージ優勝(いずれも逃げ切り)しているクミングスが持ち前のスピードで今シーズン初勝利を果たした。「部屋をシェアしているエドヴァルド・ボアッソンハーゲンから勝利を奪う形になってしまったので心から喜べていない。調子が良いのにまだ勝利を掴めていない彼のスプリントがチームの目標だった。レース終盤に数名が飛び出した時、まるで警察官のように彼らをチェック。アタックを封じ込めていたけど、残り3kmでチャンスがあると感じてアタックした。メイン集団ではチームメイトたちがうまくカウンターアタックを封じ込めてくれていた」とクミングス。ディメンションデータは今シーズン7勝目だ。
リーダージャージは変わらずゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)がキープ。ステージ7位のペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)がポイント賞ジャージを守っている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ティレーノ〜アドリアティコ2016第4ステージ結果
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、ディメンションデータ) 6h04’49”
2位 サルヴァトーレ・プッチオ(イタリア、チームスカイ) +13”
3位 ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ)
4位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
5位 ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)
6位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +16”
7位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) +25”
8位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
9位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)
10位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)
個人総合成績
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) 15h56’32”
2位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) +09”
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +11”
6位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
7位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) +14”
8位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +18”
9位 セバスティアン・ライヘンバッハ(スイス、FDJ)
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ) +20”
ポイント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
山岳賞
1位 チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・アルゴン18)
ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
1位 BMCレーシング
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
ティレーノ〜アドリアティコはティレニア海を離れて内陸へ。ラツィオ州からウンブリア州に入る222kmコースに大きな山岳は登場しないものの、終盤にかけて山岳トレヴィ(登坂距離3.5km/平均勾配5%)と山岳モンテファルコ(登坂距離2.0km/平均勾配9%)を含む周回コースを走る。獲得標高差2700mの中級山岳コースは「登れるスプリンター」たちのものだ。
この大会最長コースで逃げたのはフランチェスコ・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニCSF)とヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)、リカルド・ビレラ(スペイン、カハルーラル)、チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・アルゴン18)の4名。22km地点でタイム差は6分55秒まで広がり、向かい風によってスケジュールを大幅に下回るペースでレースは進む。
メイン集団はエティックス・クイックステップを先頭に逃げを追い、フィニッシュ地点フォリーニョを起点とした周回コースに2分遅れで突入する。先頭では2015年ツアー・オブ・ジャパン伊豆ステージ覇者&ポイント賞獲得のコンティが粘ったが、残り31kmでモビスターやトレック・セガフレード率いるメイン集団に吸収された。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)やカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)は早々に脱落。前日のステージ優勝者フェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)もメイン集団から遅れていく。
急勾配の山岳モンテファルコでファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)がハイペースを刻むと、メイン集団の人数は50名にまで絞り込まれた。
残り15kmの山岳モンテファルコでディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)が動きを見せたものの決まらない。すると下り区間を利用してマッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)やサルヴァトーレ・プッチオ(イタリア、チームスカイ)らがアタック。続いて残り8kmでポイント賞ジャージを着るペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)もアタックを繰り出したがいずれも決まらない。
執拗にアタックしたモンタグーティとプッチオが抜け出すと、ここにクミングスが反応する。メイン集団にチームメイトのエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)を残していたクミングスは先頭交代に加わらない。
統率の取れないメイン集団から10秒ほどのリードを得た先頭3名。すると残り3.6kmのわずかな登りと連続コーナーを利用してクミングスが一気に先行する。2005年にトラック世界選手権の団体追い抜きで優勝しているクミングスがハイスピードで巡航し、そのまま後続との差を広げる走りで勝利した。
2012年のブエルタ・ア・エスパーニャと2015年のツール・ド・フランスでステージ優勝(いずれも逃げ切り)しているクミングスが持ち前のスピードで今シーズン初勝利を果たした。「部屋をシェアしているエドヴァルド・ボアッソンハーゲンから勝利を奪う形になってしまったので心から喜べていない。調子が良いのにまだ勝利を掴めていない彼のスプリントがチームの目標だった。レース終盤に数名が飛び出した時、まるで警察官のように彼らをチェック。アタックを封じ込めていたけど、残り3kmでチャンスがあると感じてアタックした。メイン集団ではチームメイトたちがうまくカウンターアタックを封じ込めてくれていた」とクミングス。ディメンションデータは今シーズン7勝目だ。
リーダージャージは変わらずゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)がキープ。ステージ7位のペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)がポイント賞ジャージを守っている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ティレーノ〜アドリアティコ2016第4ステージ結果
1位 スティーブ・クミングス(イギリス、ディメンションデータ) 6h04’49”
2位 サルヴァトーレ・プッチオ(イタリア、チームスカイ) +13”
3位 ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ)
4位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
5位 ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)
6位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +16”
7位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) +25”
8位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
9位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)
10位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)
個人総合成績
1位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) 15h56’32”
2位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) +09”
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +11”
6位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
7位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) +14”
8位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +18”
9位 セバスティアン・ライヘンバッハ(スイス、FDJ)
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ) +20”
ポイント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
山岳賞
1位 チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・アルゴン18)
ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
1位 BMCレーシング
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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