2016/01/28(木) - 09:37
スピードプレイが長年に渡って研究開発を行い、遂に昨年発売になったオフロード向けビンディングペダルが「SYZR(シザー)」だ。同社のロード用ペダルと同様に、独創的なメカニズムを持つ意欲作をテスト。
今回インプレッションを行う「SYZR(シザー)」は、スピードプレイが長年に渡って開発を続け、昨年発売に至ったオフロード向けペダル。ロード用モデルの「ZERO」や「LIGHT ACTION」と同様に、オリジナリティーあふれるメカニズムを持つ。
まずは、特徴的なクリートの構造から説明していこう。シンプルなクリート形状が多いオフロード向けペダルだが、SYZRの場合には複数の部品を組み合わせた構造を採用する。クリートと嵌合するシルバーのパーツと、シューズに固定するブラックのパーツを組み合わせた摺動機構により、フロート角の無段階調整と滑らかなフローティングを可能とした。フロート角の調整範囲は0~10°となっている。
動物の角の様な突起は「ファンネルガイド」と呼ばれ、クリートキャッチを容易とするためのもの。雨や泥によるペダルとクリートの固着を防止するべく、ペダル/クリート接触部のクリート側には、セラミックによる防錆処理を施したローラーカムを配置。コンディションに関わらず、常にスムーズなペダルの着脱を可能とした。
ここからはペダル本体について説明する。一見して他社製品と大き変わらないように思えるペダル本体だが、スプリングの配置が異なる。シマノSPDなどが回転軸の後方であるのに対し、SYZRは軸の前方にスプリングを配置しているのだ。これにより、ペダルに意図しない力が働いてしまったときに、不意にシューズが外れてしまうことを防止している。
軸とビンディング機構の間のクリアランスが大きいため、泥づまりしにくい点も特徴の1つ。専用のグリスガンを用いれば容易にグリス交換ができるため、容易に滑らかな回転を維持することができる。
国内展開されるのはステンレスシャフト仕様。ペア重量はペダル本体が312g、クリートが65gと軽量だ。クリートは、2つ穴クリートに対応する全てのシューズに取り付け可能としている。MTBやシクロクロス等のオフロードユースはもちろんのこと、歩くことが多いシーンにもオススメだ。
ーインプレッション
「膝にやさしく、ダイレクトなペダリングが可能なMTBペダル」綾野真(cyclowired.jp)
発表から長らくの時間を経て発売されたSYZRペダル。ロードでは普段からスピードプレイペダルを愛用している筆者には待望の製品版リリースだった。シクロクロスレースとMTBでの約1ヶ月の使用を経てのインプレを記そう。
まず特徴的なのは可動部を備えるクリートだろう。SPDなどの2穴式シューズに取り付けられる円盤状のクリートはアンテナのような2本の「ファンネルガイド」を備えている。これはクリートがペダルを捉えやすくするためのガイドの役割をもっている。
シューズに取り付けた後も、2重構造のクリートが円周方向の左右に動く構造になっているのだ。写真で言えば、ネジ止めした黒い円形のプレートによって保持されるが、クリート全体が回転するように動かせるのだ。クリート端のアジャスターネジによりこの可動域は10度のフロート範囲で調整できる仕組みだ。つまり、スピードプレイのロードペダルを再現した構造になっているのだ。取り付けてみて、その構造の巧みさに感心してしまった。
クリートは薄く、金属製ながらもフロート機構はスムーズに動く。ステップイン(嵌める操作)は少しコツがいるものの、スムーズ。前部を引っ掛けてから後部を押し下げるような動きを覚えるとスムーズに嵌めることができる。ドライ系のオイルをクリートに差しておくとなお良いようだ。
フロート機構の動きはロードペダル同様、ペダルの中心部を軸に円周方向へ回転する動きだ。その自然さがロードペダルでも気に入っているスピードプレイの美点なのだが、それがオフロードペダルで再現されたのは喜ばしい。膝が痛くなりやすい人なら、このペダルはそれだけでまず試してみる価値があるだろう。回転方向の動きはアジャスターネジで可動域を簡単に設定できる。扱いもロードペダル同様だ。
野辺山、湘南のシクロクロスレース2戦で実戦使用してみた。やや苦手なのは泥だ。深い泥を歩いた後のステップインでは、まず歩くことで泥を軽く落としてからでないとスムーズに嵌めることが出来なかった。この点は他に優れるペダルがいくつかあるだろう。ただしペダル本体側の泥はけは良いので、弱点というほどではなさそうだ。
レース中にフロートの動きを重視したい場合は、たっぷりめにグリスを塗布しておくといいようだ。しばらく使い込んでもクリートはスムーズに動くので、耐久性は高そうだ。
ペダルボディ周囲は樹脂でカバーされているため、脚などにぶつけても痛みが少ないのもいい。また、グリスアップもロードペダル同様に簡単な構造だ。
嵌め合い感はしっかりしていて、可動部を持ちながらもシューズとの密着度は高めだ。しっかりした踏み心地を持ちつつも、膝にやさしいペダルといえるだろう。
難点はペダルやクリートそのものにQファクター調整機構が無いこと。これについては長さの異なるスペアスピンドル(ペダル軸)が用意されているので、それを購入して差し替えることで対応が可能だ。50・53・59・.65mmの4種類の長さのスピンドルが用意され、16,800円(税抜)で購入できる。
また、最初から特別にシャフトをスピードプレイ社にて交換してもらうカスタムシャフト販売もあり、そちらは36,300円(税抜)と後でシャフトを交換するより手頃になっている。
SYZRはスピードプレイらしくペダリングにこだわったオフロードペダルだ。ロードペダル同様によりダイレクトなペダリングを追求したい人、膝に問題を抱えている人、その動きを気に入っている人などにとくにオススメだ。
スピードプレイ SYZR
シャフト素材:ステンレス
ペア重量:312g(本体)、65g(クリート)
価 格:26,300円(税抜)
photo&text:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
今回インプレッションを行う「SYZR(シザー)」は、スピードプレイが長年に渡って開発を続け、昨年発売に至ったオフロード向けペダル。ロード用モデルの「ZERO」や「LIGHT ACTION」と同様に、オリジナリティーあふれるメカニズムを持つ。
まずは、特徴的なクリートの構造から説明していこう。シンプルなクリート形状が多いオフロード向けペダルだが、SYZRの場合には複数の部品を組み合わせた構造を採用する。クリートと嵌合するシルバーのパーツと、シューズに固定するブラックのパーツを組み合わせた摺動機構により、フロート角の無段階調整と滑らかなフローティングを可能とした。フロート角の調整範囲は0~10°となっている。
動物の角の様な突起は「ファンネルガイド」と呼ばれ、クリートキャッチを容易とするためのもの。雨や泥によるペダルとクリートの固着を防止するべく、ペダル/クリート接触部のクリート側には、セラミックによる防錆処理を施したローラーカムを配置。コンディションに関わらず、常にスムーズなペダルの着脱を可能とした。
ここからはペダル本体について説明する。一見して他社製品と大き変わらないように思えるペダル本体だが、スプリングの配置が異なる。シマノSPDなどが回転軸の後方であるのに対し、SYZRは軸の前方にスプリングを配置しているのだ。これにより、ペダルに意図しない力が働いてしまったときに、不意にシューズが外れてしまうことを防止している。
軸とビンディング機構の間のクリアランスが大きいため、泥づまりしにくい点も特徴の1つ。専用のグリスガンを用いれば容易にグリス交換ができるため、容易に滑らかな回転を維持することができる。
国内展開されるのはステンレスシャフト仕様。ペア重量はペダル本体が312g、クリートが65gと軽量だ。クリートは、2つ穴クリートに対応する全てのシューズに取り付け可能としている。MTBやシクロクロス等のオフロードユースはもちろんのこと、歩くことが多いシーンにもオススメだ。
ーインプレッション
「膝にやさしく、ダイレクトなペダリングが可能なMTBペダル」綾野真(cyclowired.jp)
発表から長らくの時間を経て発売されたSYZRペダル。ロードでは普段からスピードプレイペダルを愛用している筆者には待望の製品版リリースだった。シクロクロスレースとMTBでの約1ヶ月の使用を経てのインプレを記そう。
まず特徴的なのは可動部を備えるクリートだろう。SPDなどの2穴式シューズに取り付けられる円盤状のクリートはアンテナのような2本の「ファンネルガイド」を備えている。これはクリートがペダルを捉えやすくするためのガイドの役割をもっている。
シューズに取り付けた後も、2重構造のクリートが円周方向の左右に動く構造になっているのだ。写真で言えば、ネジ止めした黒い円形のプレートによって保持されるが、クリート全体が回転するように動かせるのだ。クリート端のアジャスターネジによりこの可動域は10度のフロート範囲で調整できる仕組みだ。つまり、スピードプレイのロードペダルを再現した構造になっているのだ。取り付けてみて、その構造の巧みさに感心してしまった。
クリートは薄く、金属製ながらもフロート機構はスムーズに動く。ステップイン(嵌める操作)は少しコツがいるものの、スムーズ。前部を引っ掛けてから後部を押し下げるような動きを覚えるとスムーズに嵌めることができる。ドライ系のオイルをクリートに差しておくとなお良いようだ。
フロート機構の動きはロードペダル同様、ペダルの中心部を軸に円周方向へ回転する動きだ。その自然さがロードペダルでも気に入っているスピードプレイの美点なのだが、それがオフロードペダルで再現されたのは喜ばしい。膝が痛くなりやすい人なら、このペダルはそれだけでまず試してみる価値があるだろう。回転方向の動きはアジャスターネジで可動域を簡単に設定できる。扱いもロードペダル同様だ。
野辺山、湘南のシクロクロスレース2戦で実戦使用してみた。やや苦手なのは泥だ。深い泥を歩いた後のステップインでは、まず歩くことで泥を軽く落としてからでないとスムーズに嵌めることが出来なかった。この点は他に優れるペダルがいくつかあるだろう。ただしペダル本体側の泥はけは良いので、弱点というほどではなさそうだ。
レース中にフロートの動きを重視したい場合は、たっぷりめにグリスを塗布しておくといいようだ。しばらく使い込んでもクリートはスムーズに動くので、耐久性は高そうだ。
ペダルボディ周囲は樹脂でカバーされているため、脚などにぶつけても痛みが少ないのもいい。また、グリスアップもロードペダル同様に簡単な構造だ。
嵌め合い感はしっかりしていて、可動部を持ちながらもシューズとの密着度は高めだ。しっかりした踏み心地を持ちつつも、膝にやさしいペダルといえるだろう。
難点はペダルやクリートそのものにQファクター調整機構が無いこと。これについては長さの異なるスペアスピンドル(ペダル軸)が用意されているので、それを購入して差し替えることで対応が可能だ。50・53・59・.65mmの4種類の長さのスピンドルが用意され、16,800円(税抜)で購入できる。
また、最初から特別にシャフトをスピードプレイ社にて交換してもらうカスタムシャフト販売もあり、そちらは36,300円(税抜)と後でシャフトを交換するより手頃になっている。
SYZRはスピードプレイらしくペダリングにこだわったオフロードペダルだ。ロードペダル同様によりダイレクトなペダリングを追求したい人、膝に問題を抱えている人、その動きを気に入っている人などにとくにオススメだ。
スピードプレイ SYZR
シャフト素材:ステンレス
ペア重量:312g(本体)、65g(クリート)
価 格:26,300円(税抜)
photo&text:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
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