2014/05/10(土) - 13:00
気温は14度前後。前日までと比べると暖かく、太陽の光が目に眩しい。「晴れてよかった!」なんて関係者と握手を交わしたものの、やはりアイルランドの天気は移り気だった。雨雲が近づき、観客たちは雨合羽を着込むか傘を広げる。結局ベルファストは雨だった。
ジロ第1ステージは2012年3月31日にオープンしたタイタニック博物館前をスタートする。ちなみに第2ステージもタイタニック博物館前だ。タイタニックの大きさに合わせて、木製の柱がスタートランプを取り囲むように立っており、1912年4月15日に沈没した巨大客船の巨大さを今に伝えている。
「前半が追い風、後半が追い風です。風が強いので前輪を75mmから50mmに変更するかもしれない。先頭の3人はTTポジションで走るものの、後ろの選手は(より安定する)ブラケットを握るので、急な風は問題ないです。雨が降って濡れたら危険なコーナーが何カ所かあるぐらいですね」とスタート前に語ったのは、午前中にコースを数周試走した別府史之(トレックファクトリーレーシング)。
フミは偶然隣同士だった古巣オリカ・グリーンエッジのスタッフと笑顔で握手を交わし、それぞれの健闘を願う言葉を送ってそれぞれの持ち場へと帰っていく。高速集団オリカ・グリーンエッジの中で数年間走ったフミは、トレックファクトリーレーシングの中でTTスペシャリストの部類に入る。
午前中は風が強く吹き付けたため、試走中にブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)が落車した。時折吹く突風を警戒する声が聞かれたが、レースは始まる夕刻に風は少し収まった。しかしそれに代わって雨雲がやってきた。
ちなみにジロでチームタイムトライアルが行なわれるのは22回目。これまでの最速記録は2006年にチームCSCがマークした56.86km/h。近年では2012年にガーミン・バラクーダが、2013年にチームスカイが優勝している。
優勝経験のあるガーミンにとって悪夢のようなチームタイムトライアルになったことはレースレポートでお伝えした通り。マリアローザを狙っていたダニエル・マーティン(アイルランド)は鎖骨の転位骨折によってリタイア。地元メディアのテンションが一気にガタ落ちしたことは言うまでもない。
「スタート前の段階で、自分が先頭でフィニッシュすることに決まっていた。風があちこちから吹いていて、9人が足並みを揃えるのに苦労した。ガーミンのように、一つのミスが致命的になる。今日良いタイムを出したチームは運が味方していたとも言える」と、オリカ・グリーンエッジの先頭でフィニッシュラインを切ったスヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)。37歳のカナディアンがマリアローザを獲得した。
カナダ人と言えば、2012年大会の覇者ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)はチームメイトの落車の影響で3分以上を失っている。
同じく1分以上タイムを失ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)は、スペイン語で汚い言葉を発しながらフィニッシュを後にした。普段温厚で人当たりの良いプリートの振る舞いがジャーナリスト間で話題になっている。
1分差のステージ11位に入ったトレックファクトリーレーシングの別府史之は「スタートから雨が降ってきてしまい、序盤のコーナーは落車のリスクを避けるためにペースを落とさなければならず、タイムを失ってしまった」と振り返る。
TTスペシャリストを欠いた総合狙いのチームの中では好成績。「天候の影響を受けてしまったのは残念だけど、チームとしては幸先の良いスタートになった。自分自身の身体のコンディションもとても良いです」。フミは初日の走りに満足している。
雨の中でのレースを強いられたユーロップカーは22チーム中21位。スタートランプを先頭で駆け下りて、先頭で第一コーナーを抜けた新城幸也は「チームタイムトライアルのスタートで1番手を初めて任されて、ちょっと緊張しました」と笑う。
「とても不利なコンディションで、タイムトライアルのスペシャリストもいないチームなりに、良く走れた。ほかのチームと同じ条件で走っていれば、1分はタイムが違っていたと思う。そのくらい、みんなも自分も調子が良い」(フィニッシュ後に接触出来なかったため、Teamユキヤ通信より)と、ステージ成績には現れない実感を得ている様子だ。
text&photo:Kei Tsuji in Belfast, Northern Ireland
ジロ第1ステージは2012年3月31日にオープンしたタイタニック博物館前をスタートする。ちなみに第2ステージもタイタニック博物館前だ。タイタニックの大きさに合わせて、木製の柱がスタートランプを取り囲むように立っており、1912年4月15日に沈没した巨大客船の巨大さを今に伝えている。
「前半が追い風、後半が追い風です。風が強いので前輪を75mmから50mmに変更するかもしれない。先頭の3人はTTポジションで走るものの、後ろの選手は(より安定する)ブラケットを握るので、急な風は問題ないです。雨が降って濡れたら危険なコーナーが何カ所かあるぐらいですね」とスタート前に語ったのは、午前中にコースを数周試走した別府史之(トレックファクトリーレーシング)。
フミは偶然隣同士だった古巣オリカ・グリーンエッジのスタッフと笑顔で握手を交わし、それぞれの健闘を願う言葉を送ってそれぞれの持ち場へと帰っていく。高速集団オリカ・グリーンエッジの中で数年間走ったフミは、トレックファクトリーレーシングの中でTTスペシャリストの部類に入る。
午前中は風が強く吹き付けたため、試走中にブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)が落車した。時折吹く突風を警戒する声が聞かれたが、レースは始まる夕刻に風は少し収まった。しかしそれに代わって雨雲がやってきた。
ちなみにジロでチームタイムトライアルが行なわれるのは22回目。これまでの最速記録は2006年にチームCSCがマークした56.86km/h。近年では2012年にガーミン・バラクーダが、2013年にチームスカイが優勝している。
優勝経験のあるガーミンにとって悪夢のようなチームタイムトライアルになったことはレースレポートでお伝えした通り。マリアローザを狙っていたダニエル・マーティン(アイルランド)は鎖骨の転位骨折によってリタイア。地元メディアのテンションが一気にガタ落ちしたことは言うまでもない。
「スタート前の段階で、自分が先頭でフィニッシュすることに決まっていた。風があちこちから吹いていて、9人が足並みを揃えるのに苦労した。ガーミンのように、一つのミスが致命的になる。今日良いタイムを出したチームは運が味方していたとも言える」と、オリカ・グリーンエッジの先頭でフィニッシュラインを切ったスヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)。37歳のカナディアンがマリアローザを獲得した。
カナダ人と言えば、2012年大会の覇者ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)はチームメイトの落車の影響で3分以上を失っている。
同じく1分以上タイムを失ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)は、スペイン語で汚い言葉を発しながらフィニッシュを後にした。普段温厚で人当たりの良いプリートの振る舞いがジャーナリスト間で話題になっている。
1分差のステージ11位に入ったトレックファクトリーレーシングの別府史之は「スタートから雨が降ってきてしまい、序盤のコーナーは落車のリスクを避けるためにペースを落とさなければならず、タイムを失ってしまった」と振り返る。
TTスペシャリストを欠いた総合狙いのチームの中では好成績。「天候の影響を受けてしまったのは残念だけど、チームとしては幸先の良いスタートになった。自分自身の身体のコンディションもとても良いです」。フミは初日の走りに満足している。
雨の中でのレースを強いられたユーロップカーは22チーム中21位。スタートランプを先頭で駆け下りて、先頭で第一コーナーを抜けた新城幸也は「チームタイムトライアルのスタートで1番手を初めて任されて、ちょっと緊張しました」と笑う。
「とても不利なコンディションで、タイムトライアルのスペシャリストもいないチームなりに、良く走れた。ほかのチームと同じ条件で走っていれば、1分はタイムが違っていたと思う。そのくらい、みんなも自分も調子が良い」(フィニッシュ後に接触出来なかったため、Teamユキヤ通信より)と、ステージ成績には現れない実感を得ている様子だ。
text&photo:Kei Tsuji in Belfast, Northern Ireland
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