4月9日、第102回シュヘルデプライス(UCI1.HC)がベルギーのアントワープ近郊で開催。マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)がライバルたちを大きく引き離すスプリントで圧勝した。



踏切で足止めを食らった逃げグループのアレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)ら踏切で足止めを食らった逃げグループのアレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)ら photo:Tim de Waeleシュヘルデプライスはロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベに挟まれた水曜日に開催されるセミクラシック。今年で開催102回目を迎える伝統のクラシックレースであり、初開催は1907年。ロンド(1913年初開催)よりも歴史が古く、フランドル地方の中で最古のロードレースとされる。

逃げグループの中から飛び出すルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)逃げグループの中から飛び出すルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele開催地域はロンドよりも北、オランダ国境に近い平野部で、同地域を流れるシュヘルデ川がレース名の由来だ。アントウェルペンからシュコーテンに至る200kmには石畳区間が設定されており、ほぼ平坦のため例年スプリンターたちが勝負を繰り広げる。

マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)を先頭にしたゴールスプリントマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)を先頭にしたゴールスプリント photo:Tim de Waele過去に3度優勝しているマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)は体調が戻らず欠場。ヘント〜ウェベルヘムで鎖骨骨折を負ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)らを欠く中で行なわれたスプリンタークラシック。レースの大半をルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)ら6名が逃げる展開となった。

3連覇をアピールするマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)3連覇をアピールするマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waele順調にリードを広げた6名の逃げグループは、途中で踏切に遮られてメイン集団に追いつかれるトラブルに見舞われながらも、元のタイム差でレースを続行。しかしジャイアント・シマノやFDJ.fr、オメガファーマ・クイックステップ、ベルキンが牽引するメイン集団を引き離すことは出来なかった。

表彰台に上がるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)ら表彰台に上がるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)ら photo:Tim de Waele先頭6名は1分リードのまま10kmを切ったが、石畳区間でのトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)らの猛烈なリードアウトによってタイム差は縮小する。残り7km地点で先頭からロウがアタックを仕掛けたが、残り2.5km地点で逃げは全て吸収。

ガーミン・シャープやジャイアント・シマノとの主導権争いに勝ったオメガファーマ・クイックステップが先頭で残り1km。ヘルト・ステーグマン(ベルギー)が、2009年大会の覇者であるアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)のために最後のリードアウトを見せる。

その後ろからキッテルが真っ先に発進すると、ほぼ同時にペタッキやタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)らがスプリントを開始。後方から勢い良く伸びたキッテルが、緩やかにカーブする最終ストレートの左ラインを突き進む。終わってみればライバルたちを一車身以上空ける圧勝だった。

「追い風だったので早めの仕掛けが有効だと思っていた。だから残り280mでジャンプしたんだ」と、ロングスプリントで勝利したキッテルは語る。

2012年と2013年に続く、3年連続のシュヘルデプライス制覇を果たしたキッテル。3度の優勝は、1960年代のピート・オーリブランツ(ベルギー)とカヴェンディッシュに並ぶ大会最多記録。大会3連覇は史上初だ。「3度目の勝利には大きな意味がある。ライバルチームから激しくマークされる中で、チームはタイトル防衛に成功したんだ。チームは冷静を保ちながら仕事を完璧に果たした。歴史に名前を刻むのはいい気分だよ」。

レースにはセプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)やブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)も出場したが、日曜日のパリ〜ルーベを見据えて追い込むことなく後方の集団でフィニッシュしている。

選手コメントはチーム公式サイトより。



シュヘルデプライス2014結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
3位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
4位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 サム・ベネット(アイルランド、ネットアップ・エンデューラ)
6位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
7位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
8位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
9位 ヤニック・マルティネス(フランス、ユーロップカー)
10位 マッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)
4h33'53"











text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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