2014/03/23(日) - 19:55
3月23日、宇都宮市郊外で初開催された「JBCF宇都宮クリテリウム」。国内公式ロードレース開幕戦となるこのレースで、マトリックスパワータグの新加入スペイン人選手、セバスチャン・モラが大集団スプリントを制して勝利。2位にはイナーメ信濃山形の皿屋豊、3位にはTeam UKYOの窪木一茂が入った。
記念すべき初開催となった宇都宮クリテリウム。その名の通り、地元を代表する人気チームの宇都宮ブリッツェンと、栃木県内に2番目に設立された那須ブラーゼンがホストチームを務めた。
レースは宇都宮ブリッツェンを運営するサイクルスポーツマネジメント株式会社が深く運営に関わり、企業や地元商工会のブース、フードコート、ゲストや選手らを招いてのステージイベントなど、これまでのJBCFレースとは全く異なる華やかな雰囲気に彩られた。
そんな「宇都宮クリテ」の舞台となったのは、宇都宮駅のから車でおよそ20分ほどの郊外にある清原工業団地内に敷設された特設コースだ。1周2.7kmの長方形コースは完全にオールフラットであり、完全なるスプリンター向け。およそ1km強のホームストレート脇は集ったギャラリーで埋め尽くされ、よりレースの雰囲気を大きく盛り上げた。
一見イージーなコースレイアウトではあるものの、普段大型トラックが行き来する道路舗装は所々が荒れ、ハイスピードで展開されるレース中には各カテゴリーで落車が頻発することとなる。
宇都宮クリテリウムのレース方式は、エリートクラスが隔周回に設けられたポイントの獲得合計点で競うポイントレース、最高峰カテゴリーであるJプロツアーと女子クラスが純粋なクリテリウムレース(ニュートラル有り)だ。
E2カテゴリーから始まったレーススケジュールは、県内各地のゆるキャラレースなど催し物を行いながら順調に進んでいく。Jプロツアーカテゴリーのレースはスタートセレモニーを経て、13時ちょうどに号砲。ホストチームであるブリッツェンとブラーゼン、そして昨年のチャンピオンチーム・Team UKYOの3チームを先頭に、1周2.7kmを25周する、計67.5kmのハイスピードレースが幕を開けた。
レースはスタート後すぐにエスケープを試みる動きが発生し、地元の威信を背負う阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)と清水良行(那須ブラーゼン)、全日本TT王者の大場政登志(CROPS × championsystem)、窪木一茂(Team UKYO)、倉林貴彦(なるしまフレンドレーシングチーム) という強力な5名の逃げグループが発生する。
集団は逃げにメンバーを送り込めなかったマトリックスパワータグが中心となって牽引し、そのタイム差はおよそ15秒〜30秒ほどで推移。最初のスプリントポイントは逃げに乗る窪木が獲得した。
レースは中盤までこの体勢を崩すこと無く進んでいくが、一方でメイン集団内では落車が頻発し、鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)なども巻き込まれる。落車で足止めされた選手のほとんどはニュートラルを使って復帰していくが、途中救護車が出る場面も。
逃げとメイン集団の差が近づくと、ブリッジをかける動きによって2つのグループは合流し、レースは行程の半分を待たずに振り出しに戻る。以降、阿部や増田成幸らブリッツェン勢を中心に抜け出しの動きが頻発するものの、いずれも折からの風が影響したため集団を引き離すには至らない。逃げ切りを狙うチームの思いは叶わぬまま、レースは最終局面へと移行していった。
最終局面でペースメイクを担うのはブリッツェンやUKYO、そしてマトリックスパワータグ。これらチームが入れ替わるかたちでスプリントに向けて最終周回の鐘を聞いた。
最終コーナーを抜けた先、集団中ほどで発生した集団落車を避けた約30名でのスプリントが繰り広げられる。左のラインからはアイラン・フェルナンデスに連れられたセバスチャン・モラ(共にスペイン、マトリックスパワータグ)が、右のラインからは好調の中村龍太郎に発射された皿屋豊(イナーメ信濃山形)が抜け出した。
ハンドルを投げあう接戦の末、最後の最後に伸びたモラがタイヤ差で皿屋を下してガッツポーズ。3位は窪木一茂、終止レースを動かした宇都宮ブリッツェンは鈴木真理が4位、大久保陣が6位という結果になった。
モラはスペインからやってきた26歳のトラック競技出身選手。前戦となった西日本チャレンジサイクルロードレースでも活発な動きを見せていたが、今回Jプロツアーの初戦にして優勝という鮮烈なデビューを飾ることとに。
「モラとフェルナンデスには"絶対逃げるな、今日はモラのスプリントで勝負するから集団の中でチャンスを狙え"と終止伝えていました。皆良くやってくれました。」と喜びを爆発させて語るのは、マトリックスの安原監督。モラは「チームメイトが最終盤にアシストを務め上げてくれたので勝利できた。とても嬉しい」と喜びを口にした。
そしてサプライズは爆発力のあるスプリントで2位に食い込んだ皿屋豊(イナーメ信濃山形)の走りだろう。普段はトラック選手として活躍する32歳の社会人レーサーだが、「今日は平坦で、ペースが速すぎなかったので脚を貯めることができました。悔しさもありますが、とにかくこの順位にいることが信じられません。20代中盤から競技を始めましたが、そんな人でも頑張り次第でここまで来れる、という証明になりますね。」と驚きを隠さない。昨年から頭角を現した窪木とあわせ、トップスリー表彰台はニューフェイスで埋まった。
Jプロツアー総合リーダーの証であるルビーレッドジャージはもちろんモラが獲得し、ピュアホワイトジャージは雨澤毅明(那須ブラーゼン)が着用した。次戦は4月13日の伊吹山ヒルクライムだ。
第1回 JBCF 宇都宮クリテリウム 結果
P1
1位 セバスチャン・モラ(スペイン、マトリックスパワータグ) 1h26'16"
2位 皿屋豊(イナーメ信濃山形)
3位 窪木一茂(Team UKYO)
4位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)
5位 中村龍太郎(イナーメ信濃山形)
6位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)
7位 鈴木近成(那須ブラーゼン)
8位 大塚航(JP SPORTS TEST TEAM MASSA ANDEX)
9位 藤岡克磨(CROPS×ChampionSystem)
10位 小室雅成(ロヂャースレーシングチーム)
F
1位 智野真央(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT) 37'25"
2位 針谷千沙子(Live GARDEN BICI STELLE)
3位 高山真由子(竹芝サイクルレーシング)
4位 大内恵(コムリン)
5位 新屋瑛恵(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT)
6位 矢野智子(MOJYUMA Area075)
E1
E2
E3
text:So.Isobe
photo:So.Isobe,Yuya.Yamamoto,Hideaki,Takagi
記念すべき初開催となった宇都宮クリテリウム。その名の通り、地元を代表する人気チームの宇都宮ブリッツェンと、栃木県内に2番目に設立された那須ブラーゼンがホストチームを務めた。
レースは宇都宮ブリッツェンを運営するサイクルスポーツマネジメント株式会社が深く運営に関わり、企業や地元商工会のブース、フードコート、ゲストや選手らを招いてのステージイベントなど、これまでのJBCFレースとは全く異なる華やかな雰囲気に彩られた。
そんな「宇都宮クリテ」の舞台となったのは、宇都宮駅のから車でおよそ20分ほどの郊外にある清原工業団地内に敷設された特設コースだ。1周2.7kmの長方形コースは完全にオールフラットであり、完全なるスプリンター向け。およそ1km強のホームストレート脇は集ったギャラリーで埋め尽くされ、よりレースの雰囲気を大きく盛り上げた。
一見イージーなコースレイアウトではあるものの、普段大型トラックが行き来する道路舗装は所々が荒れ、ハイスピードで展開されるレース中には各カテゴリーで落車が頻発することとなる。
宇都宮クリテリウムのレース方式は、エリートクラスが隔周回に設けられたポイントの獲得合計点で競うポイントレース、最高峰カテゴリーであるJプロツアーと女子クラスが純粋なクリテリウムレース(ニュートラル有り)だ。
E2カテゴリーから始まったレーススケジュールは、県内各地のゆるキャラレースなど催し物を行いながら順調に進んでいく。Jプロツアーカテゴリーのレースはスタートセレモニーを経て、13時ちょうどに号砲。ホストチームであるブリッツェンとブラーゼン、そして昨年のチャンピオンチーム・Team UKYOの3チームを先頭に、1周2.7kmを25周する、計67.5kmのハイスピードレースが幕を開けた。
レースはスタート後すぐにエスケープを試みる動きが発生し、地元の威信を背負う阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)と清水良行(那須ブラーゼン)、全日本TT王者の大場政登志(CROPS × championsystem)、窪木一茂(Team UKYO)、倉林貴彦(なるしまフレンドレーシングチーム) という強力な5名の逃げグループが発生する。
集団は逃げにメンバーを送り込めなかったマトリックスパワータグが中心となって牽引し、そのタイム差はおよそ15秒〜30秒ほどで推移。最初のスプリントポイントは逃げに乗る窪木が獲得した。
レースは中盤までこの体勢を崩すこと無く進んでいくが、一方でメイン集団内では落車が頻発し、鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)なども巻き込まれる。落車で足止めされた選手のほとんどはニュートラルを使って復帰していくが、途中救護車が出る場面も。
逃げとメイン集団の差が近づくと、ブリッジをかける動きによって2つのグループは合流し、レースは行程の半分を待たずに振り出しに戻る。以降、阿部や増田成幸らブリッツェン勢を中心に抜け出しの動きが頻発するものの、いずれも折からの風が影響したため集団を引き離すには至らない。逃げ切りを狙うチームの思いは叶わぬまま、レースは最終局面へと移行していった。
最終局面でペースメイクを担うのはブリッツェンやUKYO、そしてマトリックスパワータグ。これらチームが入れ替わるかたちでスプリントに向けて最終周回の鐘を聞いた。
最終コーナーを抜けた先、集団中ほどで発生した集団落車を避けた約30名でのスプリントが繰り広げられる。左のラインからはアイラン・フェルナンデスに連れられたセバスチャン・モラ(共にスペイン、マトリックスパワータグ)が、右のラインからは好調の中村龍太郎に発射された皿屋豊(イナーメ信濃山形)が抜け出した。
ハンドルを投げあう接戦の末、最後の最後に伸びたモラがタイヤ差で皿屋を下してガッツポーズ。3位は窪木一茂、終止レースを動かした宇都宮ブリッツェンは鈴木真理が4位、大久保陣が6位という結果になった。
モラはスペインからやってきた26歳のトラック競技出身選手。前戦となった西日本チャレンジサイクルロードレースでも活発な動きを見せていたが、今回Jプロツアーの初戦にして優勝という鮮烈なデビューを飾ることとに。
「モラとフェルナンデスには"絶対逃げるな、今日はモラのスプリントで勝負するから集団の中でチャンスを狙え"と終止伝えていました。皆良くやってくれました。」と喜びを爆発させて語るのは、マトリックスの安原監督。モラは「チームメイトが最終盤にアシストを務め上げてくれたので勝利できた。とても嬉しい」と喜びを口にした。
そしてサプライズは爆発力のあるスプリントで2位に食い込んだ皿屋豊(イナーメ信濃山形)の走りだろう。普段はトラック選手として活躍する32歳の社会人レーサーだが、「今日は平坦で、ペースが速すぎなかったので脚を貯めることができました。悔しさもありますが、とにかくこの順位にいることが信じられません。20代中盤から競技を始めましたが、そんな人でも頑張り次第でここまで来れる、という証明になりますね。」と驚きを隠さない。昨年から頭角を現した窪木とあわせ、トップスリー表彰台はニューフェイスで埋まった。
Jプロツアー総合リーダーの証であるルビーレッドジャージはもちろんモラが獲得し、ピュアホワイトジャージは雨澤毅明(那須ブラーゼン)が着用した。次戦は4月13日の伊吹山ヒルクライムだ。
第1回 JBCF 宇都宮クリテリウム 結果
P1
1位 セバスチャン・モラ(スペイン、マトリックスパワータグ) 1h26'16"
2位 皿屋豊(イナーメ信濃山形)
3位 窪木一茂(Team UKYO)
4位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)
5位 中村龍太郎(イナーメ信濃山形)
6位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)
7位 鈴木近成(那須ブラーゼン)
8位 大塚航(JP SPORTS TEST TEAM MASSA ANDEX)
9位 藤岡克磨(CROPS×ChampionSystem)
10位 小室雅成(ロヂャースレーシングチーム)
F
1位 智野真央(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT) 37'25"
2位 針谷千沙子(Live GARDEN BICI STELLE)
3位 高山真由子(竹芝サイクルレーシング)
4位 大内恵(コムリン)
5位 新屋瑛恵(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT)
6位 矢野智子(MOJYUMA Area075)
E1
1位 川田優作(Honda 栃木)
2位 上村領佑(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)
3位 岩佐昭一(サイクルフリーダム レーシング)
4位 林航平(TOKYO VENTOS)
5位 丸山英将(SQUADRA CORSE cicli HIDE)
6位 風間博之(サイクルフリーダム レーシング)
2位 上村領佑(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)
3位 岩佐昭一(サイクルフリーダム レーシング)
4位 林航平(TOKYO VENTOS)
5位 丸山英将(SQUADRA CORSE cicli HIDE)
6位 風間博之(サイクルフリーダム レーシング)
21Pts
14
13
7
5
5
14
13
7
5
5
E2
1位 近藤正紀(なるしまフレンド)
2位 北野普識(イナーメ・信濃山形-EFT)
3位 西島優太郎(DOKYU HOKKAIDO)
4位 山西健司(Honda 栃木)
5位 田口直史(EURO-WORKS Racing)
6位 青柳雅人(セオレーシング)
2位 北野普識(イナーメ・信濃山形-EFT)
3位 西島優太郎(DOKYU HOKKAIDO)
4位 山西健司(Honda 栃木)
5位 田口直史(EURO-WORKS Racing)
6位 青柳雅人(セオレーシング)
13Pts
12
8
8
7
3
12
8
8
7
3
E3
1位 鈴木龍(SEKIYA)
2位 岡賢仁(フィッツ)
3位 永山貴浩(チーム・アヴェル)
4位 河野拓(オッティモ)
5位 雑賀大輔(ブランシュ・レーシング・チーム)
6位 宇田川陽平(ブラウ・ブリッツェン)
2位 岡賢仁(フィッツ)
3位 永山貴浩(チーム・アヴェル)
4位 河野拓(オッティモ)
5位 雑賀大輔(ブランシュ・レーシング・チーム)
6位 宇田川陽平(ブラウ・ブリッツェン)
16Pts
7
7
5
5
3
7
7
5
5
3
text:So.Isobe
photo:So.Isobe,Yuya.Yamamoto,Hideaki,Takagi
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