2014/03/13(木) - 09:43
ゴール14km手前に搭乗する最大勾配25%の2級山岳モンブルイイでトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)がアタック。強力なアタックで抜け出したスラグテルにゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が追いつき、2人で集団を振り切った。
地中海を目指して南下を続けるパリ〜ニース。第4ステージは後半に4つのカテゴリー山岳が登場する中級山岳ステージで、これまでの平坦な3ステージとは様相が異なる。勝負の鍵を握るのは高低差316m/登坂距離3km/平均勾配8.4%/最大勾配25%の2級山岳モンブルイイだ。
「ボジョレーの葡萄畑の丘。道が狭くて勾配がきついので集団はばらけると思います」と、ゴール地点の近くに住む別府史之(トレックファクトリーレーシング)は予想する。その言葉通り、レースはこの2級山岳で大きく動くことになる。
レース序盤に形成されたのは、ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)、ヘスス・エラーダ(スペイン、モビスター)、ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)、ペリグ・ケムヌール(フランス、ユーロップカー)という4名のUCIプロチームライダーによる逃げ。
最大で6分20秒のリードを得ながら、アニョーリが3つの3級山岳を先頭通過して暫定山岳賞トップに立つ。山岳賞ジャージ擁するブルターニュ・セシェは、カテゴリー山岳が連続するこの肝心の第4ステージで逃げに選手を送り込めなかった。
勝負どころに向けて総力を挙げてメイン集団を率いたのはチームスカイで、その後ろにアスタナが控えるポジショニングで残り20km。タイム差は着実に縮まり、残り17kmから始まる2級山岳モンブルイイの登り口で逃げは吸収される。葡萄畑に覆われた丘を縫うように登る急勾配の登りを進むうちに、メイン集団は瞬く間に人数を減らした。
この日の優勝候補の一角サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)らが早々に脱落する中、AG2Rラモンディアールが積極的に集団の人数を絞って行く。カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)のアタックは失敗。続いて頂上まで1kmを残してスラグテルが飛び出した。
今年ベルキンからガーミン・シャープに移籍した24歳が、軽快なペダリングで急坂を駆け上がる。遅れて集団を抜け出たトーマスが合流し、2人で後続を5秒ほど引き離して2級山岳モンブルイイをクリアした。
昨年ツアー・ダウンアンダーで総合優勝を果たした身長167cmの小柄なクライマーと、トラックレース団体追い抜きで3回世界王者に輝いている身長183cmのオールラウンダーによる先行。頂上からフィニッシュラインまでは14km。登りで出遅れた選手たちがスラグテルとトーマスを捉えることはなかった。
総合成績を見据えて長時間先頭を牽いたトーマスをかわし、残り150mで仕掛けたスラグテルが先着。残り数キロで飛び出したウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)が3位に入り、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)を含む追走集団は5秒遅れでマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を先頭にフィニッシュした。
「トーマスはスピードのある選手なので、最後までスプリント開始のタイミングを待った。さもなくば負けていたと思う。自分の仕事を完遂することが出来たよ」と、今シーズン初勝利を飾ったスラグテル。
アメリカチームのエースとして翌日からはマイヨジョーヌを懸けた闘いが始まる。「今シーズンはまだチャレンジマヨルカの1日を走っただけだったので、実質的にこれがシーズン初戦。登りは自分向きだったものの、自分の調子に確証をもてていなかったので、この勝利は予想していなかった」。
また、クリス・フルーム(イギリス)の代役としてティレーノ〜アドリアティコに出場したリッチー・ポート(オーストラリア)の代役として、急遽パリ〜ニースでチームスカイのエースを担うことになったトーマスが総合首位に浮上。マイヨジョーヌに袖を通したトーマスは「自分がエースとしてチームを率いることが決まったのは先週の金曜日。これまでアシストとして走っていたので、エースになるのは不思議な感じ。グランツールに次ぐ規模のパリ〜ニースで総合リーダーになるなんて、本当に誇らしい」と、少しはにかみながら話す。
「脚の調子は良いし、登りの感触も良かった。スタグテルが先頭交代をしなくなったけど、総合リードを守るために前を引き続けたんだ。ステージ優勝は逃したけど、リーダージャージを獲得出来て本当によかったよ」。
マイヨジョーヌを着るジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)は苦しみながらも第2集団で2級山岳モンブルイイをクリア。懸命に先頭を追ったものの届かず、18秒遅れでフィニッシュしている。総合首位キープには僅かに3秒届かなかった。「(登りを越えてから)他のチームの協力を得ることが出来なかった。良いパフォーマンスを発揮出来たけど、数秒で総合首位を明け渡すなんて」と悔しい心境を述べながらも、表彰式では笑顔でマイヨヴェールとマイヨブランを受け取った。
選手コメントはレース公式サイトならびにジャイアント・シマノ公式サイトより。
パリ〜ニース2014第4ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
山岳賞
ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)
ヤングライダー賞
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
チーム総合成績
AG2Rラモンディアール
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
地中海を目指して南下を続けるパリ〜ニース。第4ステージは後半に4つのカテゴリー山岳が登場する中級山岳ステージで、これまでの平坦な3ステージとは様相が異なる。勝負の鍵を握るのは高低差316m/登坂距離3km/平均勾配8.4%/最大勾配25%の2級山岳モンブルイイだ。
「ボジョレーの葡萄畑の丘。道が狭くて勾配がきついので集団はばらけると思います」と、ゴール地点の近くに住む別府史之(トレックファクトリーレーシング)は予想する。その言葉通り、レースはこの2級山岳で大きく動くことになる。
レース序盤に形成されたのは、ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)、ヘスス・エラーダ(スペイン、モビスター)、ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)、ペリグ・ケムヌール(フランス、ユーロップカー)という4名のUCIプロチームライダーによる逃げ。
最大で6分20秒のリードを得ながら、アニョーリが3つの3級山岳を先頭通過して暫定山岳賞トップに立つ。山岳賞ジャージ擁するブルターニュ・セシェは、カテゴリー山岳が連続するこの肝心の第4ステージで逃げに選手を送り込めなかった。
勝負どころに向けて総力を挙げてメイン集団を率いたのはチームスカイで、その後ろにアスタナが控えるポジショニングで残り20km。タイム差は着実に縮まり、残り17kmから始まる2級山岳モンブルイイの登り口で逃げは吸収される。葡萄畑に覆われた丘を縫うように登る急勾配の登りを進むうちに、メイン集団は瞬く間に人数を減らした。
この日の優勝候補の一角サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)らが早々に脱落する中、AG2Rラモンディアールが積極的に集団の人数を絞って行く。カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)のアタックは失敗。続いて頂上まで1kmを残してスラグテルが飛び出した。
今年ベルキンからガーミン・シャープに移籍した24歳が、軽快なペダリングで急坂を駆け上がる。遅れて集団を抜け出たトーマスが合流し、2人で後続を5秒ほど引き離して2級山岳モンブルイイをクリアした。
昨年ツアー・ダウンアンダーで総合優勝を果たした身長167cmの小柄なクライマーと、トラックレース団体追い抜きで3回世界王者に輝いている身長183cmのオールラウンダーによる先行。頂上からフィニッシュラインまでは14km。登りで出遅れた選手たちがスラグテルとトーマスを捉えることはなかった。
総合成績を見据えて長時間先頭を牽いたトーマスをかわし、残り150mで仕掛けたスラグテルが先着。残り数キロで飛び出したウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)が3位に入り、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)を含む追走集団は5秒遅れでマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を先頭にフィニッシュした。
「トーマスはスピードのある選手なので、最後までスプリント開始のタイミングを待った。さもなくば負けていたと思う。自分の仕事を完遂することが出来たよ」と、今シーズン初勝利を飾ったスラグテル。
アメリカチームのエースとして翌日からはマイヨジョーヌを懸けた闘いが始まる。「今シーズンはまだチャレンジマヨルカの1日を走っただけだったので、実質的にこれがシーズン初戦。登りは自分向きだったものの、自分の調子に確証をもてていなかったので、この勝利は予想していなかった」。
また、クリス・フルーム(イギリス)の代役としてティレーノ〜アドリアティコに出場したリッチー・ポート(オーストラリア)の代役として、急遽パリ〜ニースでチームスカイのエースを担うことになったトーマスが総合首位に浮上。マイヨジョーヌに袖を通したトーマスは「自分がエースとしてチームを率いることが決まったのは先週の金曜日。これまでアシストとして走っていたので、エースになるのは不思議な感じ。グランツールに次ぐ規模のパリ〜ニースで総合リーダーになるなんて、本当に誇らしい」と、少しはにかみながら話す。
「脚の調子は良いし、登りの感触も良かった。スタグテルが先頭交代をしなくなったけど、総合リードを守るために前を引き続けたんだ。ステージ優勝は逃したけど、リーダージャージを獲得出来て本当によかったよ」。
マイヨジョーヌを着るジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)は苦しみながらも第2集団で2級山岳モンブルイイをクリア。懸命に先頭を追ったものの届かず、18秒遅れでフィニッシュしている。総合首位キープには僅かに3秒届かなかった。「(登りを越えてから)他のチームの協力を得ることが出来なかった。良いパフォーマンスを発揮出来たけど、数秒で総合首位を明け渡すなんて」と悔しい心境を述べながらも、表彰式では笑顔でマイヨヴェールとマイヨブランを受け取った。
選手コメントはレース公式サイトならびにジャイアント・シマノ公式サイトより。
パリ〜ニース2014第4ステージ結果
1位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
3位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 アルテュール・ヴィショ(フランス、FDJ.fr)
7位 ペーター・ベリトス(スロバキア、BMCレーシング)
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
9位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)
10位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
3位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 アルテュール・ヴィショ(フランス、FDJ.fr)
7位 ペーター・ベリトス(スロバキア、BMCレーシング)
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
9位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)
10位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
5h00'09"
+05"
+05"
個人総合成績
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
7位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)
8位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)
10位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ.fr)
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
7位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)
8位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)
10位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ.fr)
18h14'25"
+03"
+04"
+08"
+12"
+15"
+17"
+19"
+03"
+04"
+08"
+12"
+15"
+17"
+19"
ポイント賞
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
山岳賞
ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)
ヤングライダー賞
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
チーム総合成績
AG2Rラモンディアール
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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