2014/02/10(月) - 08:16
「今日のタイヤの空気圧は1.0〜1.1barぐらい。エアゲージを持ってきてないので手の感触で計ったけど、だいたいそれぐらい」。一般ライダーには到底真似のできないセッティングで、ザック・マクドナルド(アメリカ、ラファ・フォーカス)はお台場海浜公園の砂浜を飛ぶように駆け抜けた。
「砂が水分を含んで固まっていたので比較的走りやすかった。ここは走りやすい種類の砂」。記録的な積雪により真っ白になったお台場海浜公園の砂浜を、ザックはそう表現する。予備知識として、同公園の砂は伊豆諸島の神津島のものだ。
「このコースでタイムがつくのは砂のセクションだと試走で感じていたんだ。長い砂のセクションで下車してしまうと大きくタイムを落としてしまうので、アグレッシブな(1.0〜1.1bar)タイヤのセッティングで挑んだ。逆に泥のセクションではあまり攻めていないけど、それが勝因だったと思う」。
上記の通り、かなり低いタイヤの空気圧で砂浜に挑んだザックは、スタート後わずか数メートルで先頭に立ち、観る者を驚かせるスピードで砂浜を駆け抜ける。1周目で食らいついた全日本チャンピオンの竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)を、2周目には引き離すことに成功した。
世界選手権から帰国したばかりの竹之内。前半にミスが重なってザックの背中が遠ざかると、後方のバリー・ウィックス(アメリカ、KONAシクロクロスチーム)に追い上げられる。一時はバリーに追い抜かれながらも、大歓声に後押しされ、竹之内は持ち直して再びザック追撃体制に入った。
5分を割り込む驚異的なラップタイムを刻むザックを、30〜40秒差で追う竹之内。先頭のザックは「ピットのスタッフから後続とのタイム差を聞いていたので落ち着いて走れた。でも(昨年関西シクロクロスで一緒に走って)悠が侮れない相手だと分かっていたので気は抜けなかった」と振り返る。
一方の竹之内は「もう少しザックに迫ることが出来れば、彼にプレッシャーを与えてミスを引き出せたと思うのですが」と悔しさを見せる。
ザックと竹之内のタイム差は30〜40秒を推移したまま最終周回へ。丁寧に、そして高速で砂浜を駆け抜けたザックが、最終ストレートで観客たちとハイタッチ。ザックは一度もそのポジションを譲ることなく、スタートラインからフィニッシュラインまで先頭で走り抜けた。
「ヨーロッパで好きなコースは(砂で有名な)コクサイデ」と語るザックは、東京で電車に乗った際に「国際展示場("コクサイテ"ンジジョウ)」のアナウンスを聞いて「コクサイデ!?」と反応したほど。「コクサイデとは砂の種類が違うし、コースのレイアウトやコーナーの種類も違うけど、テクニカルなコースが好きなんだ。だから昨日大雪が降った時も『もっと降れもっと降れ』と念じた」と真剣な表情で話す。
ザックは昨年11月に来日し、野辺山シクロクロスと関西シクロクロスを走っている。しかし来日直後に体調を崩したため、野辺山シクロクロスはDNFとDNS。1週間後の関西シクロクロスは得意の砂コースだったが、竹之内に敗れて2位に終わっている。その経歴について聞いた当時のインタビューはこちら。
「今シーズンは序盤から体調不良が続いて目も当てられないほど無惨なものだった。11月に日本に来た時は体調が最悪だったし、アメリカ帰国して復活したものの、世界選で成績を残すことが出来なかった。そんな悪いシーズンを、こうして大歓声に包まれた勝利で締めくくることが出来て嬉しいよ」。4日後に23回目の誕生日を控えたザックはそう言いながら笑った。
2年連続で観客を大いに沸かせ、シクロクロス東京2位の結果を残した竹之内は「今日は最初の数周でミスが重なってペースを落としてしまい、焦ってしまいましたが、逆にそれが後半の伸びに繋がったと思います。去年良い走りが出来たので『今年こそは!』という思いが強すぎて、少し空回りしてしまった。後半に持ち直してザックとのタイムを詰めることが出来たものの、前半のタイム差を埋めることが出来ませんでした」と話す。
今季からベルギーのベランクラシック・ドルチーニで走る竹之内は、翌週にはヨーロッパに渡ってロードシーズンをスタートさせる。現在の日本シクロクロス界を牽引する25歳はより強くなって帰ってきてくれることだろう。
3位にはバリーが入り、この上位3名だけが同一周回でレースを終えている。闘志溢れる走りで観客を沸かせた山本和弘(Cプロジェクト)と、世界選U23レースを走った沢田時(ブリヂストンアンカー)、安定感ある走りで後方から追い上げた門田基志(TEAM GIANT)がレインボーブリッジをバックにした表彰台に登った。
エリート男子
1位 ザック・マクドナルド(アメリカ、ラファ・フォーカス) 54'40"
2位 竹之内悠(日本、ベランクラシック・ドルチーニ) +37"
3位 バリー・ウィックス(アメリカ、KONAシクロクロスチーム) +2'27"
4位 山本和弘(日本、Cプロジェクト) -1Lap
5位 沢田時(日本、ブリヂストンアンカー)
6位 門田基志(日本、TEAM GIANT)
7位 前田公平(日本、TEAM SCOTT)
8位 山田誉史輝(日本、BIKERANCH/DIRTFREAK)
9位 辻善光(日本、TEAM ZENKO)
10位 中間森太郎(日本、チームedcoシクロクロス) -2Lap
11位 武井亨介(チーム・フォルツァ!)
12位 國井敏夫(Mile Post Racing)
13位 ルイス・ラットレー(オーストラリア、GIANT AUSTRALIA)
text&photo:Kei Tsuji
「砂が水分を含んで固まっていたので比較的走りやすかった。ここは走りやすい種類の砂」。記録的な積雪により真っ白になったお台場海浜公園の砂浜を、ザックはそう表現する。予備知識として、同公園の砂は伊豆諸島の神津島のものだ。
「このコースでタイムがつくのは砂のセクションだと試走で感じていたんだ。長い砂のセクションで下車してしまうと大きくタイムを落としてしまうので、アグレッシブな(1.0〜1.1bar)タイヤのセッティングで挑んだ。逆に泥のセクションではあまり攻めていないけど、それが勝因だったと思う」。
上記の通り、かなり低いタイヤの空気圧で砂浜に挑んだザックは、スタート後わずか数メートルで先頭に立ち、観る者を驚かせるスピードで砂浜を駆け抜ける。1周目で食らいついた全日本チャンピオンの竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)を、2周目には引き離すことに成功した。
世界選手権から帰国したばかりの竹之内。前半にミスが重なってザックの背中が遠ざかると、後方のバリー・ウィックス(アメリカ、KONAシクロクロスチーム)に追い上げられる。一時はバリーに追い抜かれながらも、大歓声に後押しされ、竹之内は持ち直して再びザック追撃体制に入った。
5分を割り込む驚異的なラップタイムを刻むザックを、30〜40秒差で追う竹之内。先頭のザックは「ピットのスタッフから後続とのタイム差を聞いていたので落ち着いて走れた。でも(昨年関西シクロクロスで一緒に走って)悠が侮れない相手だと分かっていたので気は抜けなかった」と振り返る。
一方の竹之内は「もう少しザックに迫ることが出来れば、彼にプレッシャーを与えてミスを引き出せたと思うのですが」と悔しさを見せる。
ザックと竹之内のタイム差は30〜40秒を推移したまま最終周回へ。丁寧に、そして高速で砂浜を駆け抜けたザックが、最終ストレートで観客たちとハイタッチ。ザックは一度もそのポジションを譲ることなく、スタートラインからフィニッシュラインまで先頭で走り抜けた。
「ヨーロッパで好きなコースは(砂で有名な)コクサイデ」と語るザックは、東京で電車に乗った際に「国際展示場("コクサイテ"ンジジョウ)」のアナウンスを聞いて「コクサイデ!?」と反応したほど。「コクサイデとは砂の種類が違うし、コースのレイアウトやコーナーの種類も違うけど、テクニカルなコースが好きなんだ。だから昨日大雪が降った時も『もっと降れもっと降れ』と念じた」と真剣な表情で話す。
ザックは昨年11月に来日し、野辺山シクロクロスと関西シクロクロスを走っている。しかし来日直後に体調を崩したため、野辺山シクロクロスはDNFとDNS。1週間後の関西シクロクロスは得意の砂コースだったが、竹之内に敗れて2位に終わっている。その経歴について聞いた当時のインタビューはこちら。
「今シーズンは序盤から体調不良が続いて目も当てられないほど無惨なものだった。11月に日本に来た時は体調が最悪だったし、アメリカ帰国して復活したものの、世界選で成績を残すことが出来なかった。そんな悪いシーズンを、こうして大歓声に包まれた勝利で締めくくることが出来て嬉しいよ」。4日後に23回目の誕生日を控えたザックはそう言いながら笑った。
2年連続で観客を大いに沸かせ、シクロクロス東京2位の結果を残した竹之内は「今日は最初の数周でミスが重なってペースを落としてしまい、焦ってしまいましたが、逆にそれが後半の伸びに繋がったと思います。去年良い走りが出来たので『今年こそは!』という思いが強すぎて、少し空回りしてしまった。後半に持ち直してザックとのタイムを詰めることが出来たものの、前半のタイム差を埋めることが出来ませんでした」と話す。
今季からベルギーのベランクラシック・ドルチーニで走る竹之内は、翌週にはヨーロッパに渡ってロードシーズンをスタートさせる。現在の日本シクロクロス界を牽引する25歳はより強くなって帰ってきてくれることだろう。
3位にはバリーが入り、この上位3名だけが同一周回でレースを終えている。闘志溢れる走りで観客を沸かせた山本和弘(Cプロジェクト)と、世界選U23レースを走った沢田時(ブリヂストンアンカー)、安定感ある走りで後方から追い上げた門田基志(TEAM GIANT)がレインボーブリッジをバックにした表彰台に登った。
エリート男子
1位 ザック・マクドナルド(アメリカ、ラファ・フォーカス) 54'40"
2位 竹之内悠(日本、ベランクラシック・ドルチーニ) +37"
3位 バリー・ウィックス(アメリカ、KONAシクロクロスチーム) +2'27"
4位 山本和弘(日本、Cプロジェクト) -1Lap
5位 沢田時(日本、ブリヂストンアンカー)
6位 門田基志(日本、TEAM GIANT)
7位 前田公平(日本、TEAM SCOTT)
8位 山田誉史輝(日本、BIKERANCH/DIRTFREAK)
9位 辻善光(日本、TEAM ZENKO)
10位 中間森太郎(日本、チームedcoシクロクロス) -2Lap
11位 武井亨介(チーム・フォルツァ!)
12位 國井敏夫(Mile Post Racing)
13位 ルイス・ラットレー(オーストラリア、GIANT AUSTRALIA)
text&photo:Kei Tsuji
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