宮城県の大和総合運動公園で行われた TOHOKU CX Project 2013-2014 第5戦。翌週からの欧州遠征を控えた小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)が、途中トラブルに見舞われながらも挽回し、前田公平(TEAM SCOTT)と小坂正則(スワコレーシングチーム)の追走を振り切りシリーズ 3連勝を飾った。

前田公平(前、TEAM SCOTT)と小坂光(後、宇都宮ブリッツエンシクロクロス)の先頭争い前田公平(前、TEAM SCOTT)と小坂光(後、宇都宮ブリッツエンシクロクロス)の先頭争い photo:Alisa.Okazaki
1月半ばと今シーズン早めに最終戦を迎えた東北シクロクロスプロジェクト。昨年に比べると控えめではあるものの、半分ほど雪に覆われた運動公園内にはヴェロドロームを中心に、スピードが出る舗装路、パワーとテクニックを要する柔らかい雪道、踏める草地、長めの階段と色々な要素が組み合わされた2.3kmのコースが設けられた。

特に競技場外の坂道は、凍りついた轍の上に深い雪の轍がいくつも出来上がり、トップ選手でも「乗れる」ラインを見極めるのが困難だったようだ。レース当日の朝は青空が広がり、陽射しが凍った路面や雪を溶かし始めていたが、C1 のレース中盤からは徐々に気温が下がり、小雪が舞う空模様となった。

レース前にリラックスする小坂親子。NHK栃木放送の取材が入ったレース前にリラックスする小坂親子。NHK栃木放送の取材が入った photo:Alisa.Okazakiスタートループで1周した後、ヴェロドロームから飛び出していく先頭4名スタートループで1周した後、ヴェロドロームから飛び出していく先頭4名 photo:Masakazu.Abe


ヴェロドロームのバンクを利用したスタートラインに並んだ C1 ライダーは9名。人数こそ少なかったが、小坂親子と前田公平によるトップ争いが目まぐるしい展開を見せたり、佐藤利英と山川惇太郎が Team CHAINRING同士で争いを繰り広げたりと、見どころが多いレースとなった。

ホールショットを決めた山川惇太郎(Team CHAINRING)。続いて前田公平、小坂光、小坂正則の順にヴェロドロームを飛び出していった。テニスコートの横に設けられた2連続シケインを越えて、グラウンドを 1周し、日陰で深めの雪が残る坂を登って行くと、スタンドの隙間を抜けて場外の草地へ。

トラブルによって1度は追いつかれた小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)が再び前田公平(TEAM   SCOTT)を引き離しにかかるトラブルによって1度は追いつかれた小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)が再び前田公平(TEAM SCOTT)を引き離しにかかる photo:Alisa.Okazakiチーム内争いを繰り広げる Team CHAINRING の山川惇太郎と佐藤利英チーム内争いを繰り広げる Team CHAINRING の山川惇太郎と佐藤利英 photo:Alisa.Okazaki

トップ争いを繰り広げる小坂光(前、宇都宮ブリッツエンシクロクロス)と前田公平(後、TEAM SCOTT)トップ争いを繰り広げる小坂光(前、宇都宮ブリッツエンシクロクロス)と前田公平(後、TEAM SCOTT) photo:Masakazu.Abe階段を駆け上がる小坂正則(スワコレーシングチーム)階段を駆け上がる小坂正則(スワコレーシングチーム) photo:Masakazu.Abe


そして最初に階段を駆け上がって競技場に戻ってきたのは、やはり小坂光。その10秒ほど後ろから前田と山川が追走し、少し開けて佐藤利英(Team Chainring)と小坂正則が続いた。

2周目以降も、徐々に前田との差を広げてトップを快走していた小坂光だったが、5周目中盤のグラウンドで「攻めすぎた」と語る様にコーナーの杭に前輪を引っ掛けて転倒。その際に剥がれたタイヤをはめ直し、ピットでバイク交換をしている間に2位の前田に追いつかれてしまう。しかし「落ち着いていた」という小坂光は、ペースアップして再び前田を引き離すと、そこからは独走で最後までペースを落とさずに走りきった。

2位争いを繰り広げた小坂正則(前、スワコレーシング)と前田公平(後、TEAM SCOTT)2位争いを繰り広げた小坂正則(前、スワコレーシング)と前田公平(後、TEAM SCOTT) photo:Alisa.OkazakiC1優勝の小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)C1優勝の小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) photo:Masakazu.Abe


テクニカルな雪の区間は乗りこなせていたが「パワー不足だった」という前田が約1分遅れの2位に。小坂正則は2周目でディスクブレーキ仕様のバイクに交換した後、佐藤と山川を引き離し、一時は前田と2位を争ったものの、最終的には3位でレース終えている。

L1 とMasterはそれぞれ安定した走りで後続との差を開いた宮内佐季子(Team CHAINRING)と浅井秀樹(cycleclub 3UP)が優勝を飾った。

L1優勝の宮内佐季子(Team CHAINRING)L1優勝の宮内佐季子(Team CHAINRING) photo:Masakazu.AbeMaster優勝の浅井秀樹(cycleclub 3UP)Master優勝の浅井秀樹(cycleclub 3UP) photo:Masakazu.Abe


全5戦で3勝を収めた小坂光は東北シクロクロス2013シリーズチャンピオンを獲得した。女子は全日本チャンピオンの宮内を抑えて皆勤賞の林口幸恵(B.C.KOZO)が女王に輝ている。

徐々に地元の参加者も増え、来季は全日本選手権の開催を目指すなど、更なるステップアップを目指している東北シクロクロスシリーズにこれからも期待していきたい。

小坂光「世界選の目標は最後までレースが出来る位置で走ること」

C1表彰台C1表彰台 photo:Alisa.Okazaki今日はまず必ず勝つという事と、世界選に向けてしっかり追い込むことが目標でした。年明けにレースがなかったので、自分がどれだけ走れるのか不安な部分もあり、コンディションを確かめるために全力でどれだけ走れるかチェックしたかったというのもありました。

東北シクロクロス2013シリーズチャンピオンに輝いた小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)東北シクロクロス2013シリーズチャンピオンに輝いた小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) photo:Alisa.Okazaki序盤からガンガン飛ばしていこうと思ったいたので、そこは思い通りにいけて、雪の区間もうまくこなせていたので、気持よく (レースに) 入れました。途中で攻めすぎて、転んでタイヤが剥がれてしまい、ピットでバイク交換したところで (後続に) 追いつかれましたが、気持ちは落ち着いていて、もう 1度気合を入れて集中して踏み直したらまた引き離せたので、そこからは自分のペースで最後まで行けました。でも、どんなレースでも勝つのは楽ではないということを改めて痛感しました...。

東北シクロクロス2013女子のシリーズチャンピオンは林口 幸恵(中央、B.C.KOZO)東北シクロクロス2013女子のシリーズチャンピオンは林口 幸恵(中央、B.C.KOZO) photo:Alisa.Okazakiーワールドカップと世界選へ向けて
東北シクロクロス恒例の集合写真東北シクロクロス恒例の集合写真 photo:Masakazu.Abe昨年の世界選は自分のミスもあって全くレースになっておらず、打ちのめされて帰ってきてしまいました。今回は最低限完走した上で、周りの選手達とパックで最後までレースが展開できるような位置で走りたいです。前回はラップアウトという結果に終わってしまい、普段海外のレースも走っていないので、正直どれだけ走れるのかというイメージがなかなか湧いてこないです。しかし今回は世界戦前にワールドカップを1レース走れるため、そこでレースのイメージを掴んだり、向こうのコースに慣れたり出来ると思います。

日本チームは気心が知れた仲間でまとまっているので、お互いに刺激し合いながらレベルが高いレースを走れるというのは、来シーズンへ向けてのモチベーションにも繋がるし、この競技をやっている以上は挑戦し続けたいですね。

2位の前田公平
今日は目立ったミスはしなかったのですが、弱い所がもろに出てしまった感じですね。やはり平坦の部分で差が開いてしまった事と、雪の登りで、柔らかいもこもこしたところに突っ込んで失速してしまうような事が何度かあって、なかなか思うように走れなかったです。調子は悪くなかったので、あとは弱点部分を克服できればもっと良く走れるのではないかと思います。今季は関西クロスの桂川と、お台場 (シクロクロス東京) の2戦を残すのみになりましたが、一生懸命がんばります!

3位の小坂正則
序盤はライン取りも結構うまくいけたかと思ったのですが、中盤でちょっとリズムを崩して集中が切れかかってしまいました。もう1度集中し直してからはまあまあ良く走れていたかなと思うのですが、その時には既に差が開いてしまっていましたね。難しかったのは雪の登りで、運任せのようなところがあって、うまくずばーっと行ける時もあれば、全然ダメな時もあって... 生け垣に 1回突っ込みました (笑)。今季はあとお台場を走って終わりです。


TOHOKU CX Project 2013-2014 第5戦結果
C1 10周回
1位 小坂 光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) 0:57:17
2位 前田 公平(TEAM SCOTT) +1:01
3位 小坂 正則(スワコレーシングチーム) +1:14
4位 佐藤 利英(Team Chainring) +2:39
5位 山川 惇太郎(Team CHAINRING) +2:41
6位 金井 仁(デラピスタ) +5:58
7位 山西 健司(HondaR&D埼玉県人) -1Lap
8位 伊井 賢一(臼杵レーシング) -1Lap
9位 前田 歩(TonicCXTeamJapan) -1Lap

C2 6周回
1位 柴田 航(showa racing factory) 0:39:01
2位 岩崎 恭二(佐多塾) +0:11
3位 小川 克広(じてんしゃの杜) +0:49

C3 4周回
1位 齋藤 拓真(じょうぼんず) 0:28:27
2位 森山 栄幸(チーム JUN) +0:37
3位 田中 正直(ベルエキップしびれ隊) +0:49

L1 5周回
1位 宮内 佐季子(Team CHAINRING) 0:36:40
2位 武田 和佳(Team CHAINRING) +1:20
3位 林口 幸恵(B.C.KOZO) -2:31

Master 6周回
1位 浅井 秀樹(cycleclub 3UP) 0:38:25
2位 坂田 智徳(あぶくまサイクリングクラブ) +2:18
3位 小岩 浩(Celeste 轟座RC) +2:21


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