ツール・ド・サンルイス第3ステージでは今大会最初の集団スプリントが繰り広げられ、トレック・ファクトリーレーシングのジャコモ・ニッツォロがベントソやボーネンらを下して優勝。勢いに乗るトレックは昨日のアレドンドに続く2連勝を挙げた。

風光明媚なアルゼンチン内陸部を駆け抜ける第3ステージ風光明媚なアルゼンチン内陸部を駆け抜ける第3ステージ (c)www.toursanluis.com
ツール・ド・サンルイス2014第3ステージがスタートツール・ド・サンルイス2014第3ステージがスタート (c)www.toursanluis.com横風吹き付ける内陸部を走るメイン集団横風吹き付ける内陸部を走るメイン集団 (c)www.toursanluis.com豪華スター選手が多く集ったアルゼンチンで開催中の1週間に渡るステージレース、ツール・ド・サンルイス。第2ステージはティリサラオからサンルイス郊外の街ファナ・コスライへと至る175.8kmで争われた。

スプリントに向けて集団を牽引するオメガファーマ・クイックステップスプリントに向けて集団を牽引するオメガファーマ・クイックステップ (c)www.toursanluis.comスプリントステージではあるもののコースは細かいアップダウンが続き、ゴール前およそ3kmは緩い登り基調。しかしこの日はコースプロフィールよりも、丘陵地に強く吹き付ける横風がレースを厳しいものとした。

集団内で走るダニエル・モレノ(スペイン、カチューシャ)集団内で走るダニエル・モレノ(スペイン、カチューシャ) (c)Cor.Vosこの日はアルゼンチンやチリなど南米勢を中心とした6名がエスケープグループを構築し、徐々にリードを稼ぎだしていく。しかし横風やスプリンターチームの徹底したペースメイクにより、最大タイム差はスタート後75km地点で計測した5分半に留まることとなる。

ランプレ・メリダ主導でスプリント体制へランプレ・メリダ主導でスプリント体制へ (c)Cor.Vos集団内では横風による分断も発生する中、メイン集団は残り10kmでエスケープグループを吸収しスプリント体制へと移行していく。誰もが前に上がりたい混沌とした状況の中でゴール前に控えた緩斜面を駆け上がると、人数を揃えたランプレ・メリダを先頭にスプリントが始まった。

爆発的な加速でゴールを獲ったジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・ファクトリーレーシング)爆発的な加速でゴールを獲ったジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・ファクトリーレーシング) (c)Cor.Vosランプレトレインの背後から好位置で加速したのは、トム・ボーネン(ベルギー)を連れたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)。残り150mからボーネンがスプリントを開始したが、その背後からジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・ファクトリーレーシング)が爆発的な加速を披露し先頭でゴールに飛びこんだ。

ステージ表彰 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・ファクトリーレーシング)が中央に立つステージ表彰 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・ファクトリーレーシング)が中央に立つ (c)Cor.Vos他のスプリンターも舌を巻いたニッツォロのスプリント。簡単にゴールをさらったように見えたが、「とにかくタフなステージだった」とニッツォロは語る。難しいスプリントだったことは以下の選手コメントからも明らかだろう。

優勝したジャコモ・ニッツォロ(トレック・ファクトリーレーシング)

最後の3kmか4kmくらいはやや登り基調だったから集団のスピードはそこまで速くなかった。でも皆が前に上がろうとしていたからとてもキツかったね。前方に番手を挙げた時はちょっとクレイジーだったよ。残り1kmあたりではダニーロ(ホンド)達と10〜15番手につけていた。

ランプレがスプリント体制を築いていて、その後ろからカヴェンディッシュがボーネンを連れて加速していったんだ。その動きに飛びついて、彼らを残り100mで追い抜いたんだ。

ステージの最中はずっと強く風が吹き付けていてかなり集団はストレスを感じていたのだけれど、最終段階では丘が風を遮ってくれたからそこまで気にはならなかったね。とにかくタフなステージだった。レース中は暑さの影響であまり体調を良く感じていなかったけれど、最後、特に残り5kmからはとても調子が上がってきているのを感じていた。最後はチームが僕のために力を尽くしてくれた。とても嬉しいよ。

ボーネンを発射したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

ペタッキに続いてもう一人体調不良が出たから、僕らは4人でレースを組み立てなければならなかった。ランプレがペースを作って、残り300mから僕が前に出て150m引っ張った。良い形でトム(ボーネン)を発射できたけれど、風が巻き込んでいてコーナーも味方してくれなかった。ニッツォロは上手い形でスプリントをして、とても追いつけなかった。

3位のトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)

最後は全て上手くいっていたけれど、今思えば(勝利を)望みすぎた。少しスプリントの開始が早すぎたんだ。風の中へと先頭で飛び込んだ時にこれは少しロスするなと思ったよ。最後の5秒間脚がもたなかった。3位というポジションよりもっと大きなものを狙っていたけれど、今の段階で良いサインだと思う。

2位のフランシスコ・ベントソ(スペイン、モビスター)

カヴがボーネンを発射した後、ボーネンがやや失速するのが見えてチャンスだと思った。でも後ろからニッツォロが飛び出して、彼の勢いはとてつもなく速かった。簡単にゴールをさらってしまったね。今日は横風や山岳からナイロ(クインターナ)を守るために全開で走っていたよ。スプリントの時も風が強かったし、難しいフィニッシュだった。

トレック・ファクトリーレーシングは昨日のジュリアン・アレドンド(コロンビア)に続く2連勝。今シーズン既に3勝目と波に乗っている。リーダージャージのフィリップ・ガイモン(アメリカ、ガーミン・シャープ)ら総合勢は集団内でゴールし、総合上位陣に大きな順位変動は無かった。


ツール・ド・サンルイス2014第3ステージ結果
1位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・ファクトリーレーシング) 4h49'19"
2位 フランシスコ・ベントソ(スペイン、モビスター)
3位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
5位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アージェードゥーゼル)
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)
7位 タイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
8位 ホアン・アランゴ(コロンビア、コロンビア)
9位 エドウィン・アヴィラ(コロンビア、コロンビア)
10位 マルク・デマール(オランダ領キュラソー、ユナイテッドヘルスケア) 

個人総合成績
1位 フィリップ・ガイモン(アメリカ、ガーミン・シャープ)         12h34'53"
2位 マルク・デマール(オランダ領キュラソー、ユナイテッドヘルスケア)    +1'47"
3位 クリスティアン・メイヤー(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)       +3'56"
4位 ピーター・ステティーナ(アメリカ、BMCレーシング)           +4'16"
5位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック・ファクトリーレーシング)
6位 ダーウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)           +4'19"
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
8位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレック・ファクトリーレーシング)  +4'21"
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)
10位 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、オリカ・グリーンエッジ)

山岳賞
ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック・ファクトリーレーシング)

新人賞
アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)

チーム総合成績
ユナイテッドヘルスケア


text:So.Isobe
photo:Cor.Vos,www.toursanluis.com


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