9月のブエルタ・ア・エスパーニャやロード世界選手権、10月のイル・ロンバルディアやツアー・オブ・北京を最後に海外ロードシーズンは終了。4回に分けてお送りしたシリーズ最終章。



9月

霧のアングリルを登るクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)霧のアングリルを登るクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:Kei Tsuji

1級山岳ペイラギュードを登るクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)1級山岳ペイラギュードを登るクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Vuelta a Espana/Graham Watson2013年のグランツール最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャは、スペイン北西部のガリシア州で動き出した。初日のチームタイムトライアルを制したのは、ジロ・デ・イタリア覇者のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)擁するアスタナ。早くも登場した2日目の頂上ゴールでマイヨロホはニーバリに渡ったが、その翌日の第3ステージで優勝を飾ったクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)が首位を奪い取る。3週間にわたって、このニーバリとホーナーの熱いバトルが繰り広げられた。

終始笑顔で周回をこなすクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)終始笑顔で周回をこなすクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:Kei Tsujiマイヨロホはニーバリ、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)、ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)の手を経て、第10ステージの頂上ゴールで優勝したホーナーの元へ。しかし第11ステージの個人TTでニーバリが首位を奪い返す。

3本指を立ててゴールするトニ・マルティン(ドイツ)3本指を立ててゴールするトニ・マルティン(ドイツ) photo:TDWsport/Kei Tsujiステージ2勝を飾った21歳ワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)をはじめとする若手の活躍が目立った一方で、41歳ホーナーが奮闘。ピレネー山脈でも決着はつかず、僅かなタイム差のまま最終決戦地アストゥリアス山岳へ。第19ステージの頂上ゴールで再び首位を奪還したホーナーが、激坂アングリルでライバルを蹴散らし、41歳という史上最年長記録でグランツール王者に輝いた。

ゴールスプリントを繰り広げるホアキン・ロドリゲス(スペイン)とルイ・コスタ(ポルトガル)ゴールスプリントを繰り広げるホアキン・ロドリゲス(スペイン)とルイ・コスタ(ポルトガル) photo:TDWsport/Kei Tsuji12月30日現在、ホーナーの2014年の移籍先は決まっていない。また、解散するエウスカルテル・エウスカディをF1ドライバーのフェルナンド・アロンソ氏が買収する話が持ち上がったものの、交渉の末に決裂。バスクチームの解散が決まり、その煽りを受けたサムエル・サンチェス(スペイン)の移籍先も未定のままだ。

フランスのGPウエストフランス・プルエーでは、フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)が久々の勝利。新城幸也(ユーロップカー)は落車リタイアに終わっている。

9月下旬には、世界一を決めるロード世界選手権がイタリア・フィレンツェで開催。1週間にわたる闘いは、オメガファーマ・クイックステップのチームタイムトライアル連覇で幕開ける。そのベルギーチームを率いたトニ・マルティン(ドイツ)は個人タイムトライアルで3連覇を達成。マルティンが記録した平均スピード52.9km/hは、世界選手権の個人タイムトライアル史上最速。

最終日のエリート男子ロードレースは、悪天候続きの2013年シーズンを象徴するかのような雷を伴う大雨。開催国イタリアやベルギーが、7時間半におよぶ厳しいサバイバルレースを演出する。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)のアタックを切っ掛けに最終周回で4名が抜け出し、そこから強豪国の隙を突いて飛び出したルイ・コスタ(ポルトガル)が勝利。ポルトガル生まれの世界チャンピオンが誕生した。




10月

ツアー・オブ・北京第1ステージで逃げに乗った西薗良太(チャンピオンシステム)ツアー・オブ・北京第1ステージで逃げに乗った西薗良太(チャンピオンシステム) photo:Sonoko Tanaka

イル・ロンバルディア 「ヴィッラ・ヴェルガノ」でアタックを成功させたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)イル・ロンバルディア 「ヴィッラ・ヴェルガノ」でアタックを成功させたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Cor Vos2013年はまさに変革の年。UCI(国際自転車競技連合)の会長選挙の末に、現職のパット・マックエイド氏を下したイギリス人のブライアン・クックソン氏が会長に就任。クックソン新会長はドーピング管理の徹底と、自転車競技の信頼回復を唱える。2014年以降、その手腕に注目だ。

ツアー・オブ・北京 総合優勝に輝いたベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)ツアー・オブ・北京 総合優勝に輝いたベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) photo:Graham Watson/Tour of Beijingパリ〜トゥールのタイトルは好調ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)の手に。また、世界選手権で苦汁を味わったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)がイル・ロンバルディアで連覇を達成している。

UCIワールドツアーを締めくくるのは、中国を舞台にしたツアー・オブ・北京。西薗良太(チャンピオンシステム)が初日にエスケープを試みて暫定5位に。門頭溝妙峰山(ミョウファンマウンテン)の頂上ゴールが設定された第4ステージで総合争いは加熱し、ライバルを振り切ったベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)が総合優勝に輝いている。

そしてツアー・オブ・北京の終了とともに、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)のUCIワールドツアー優勝が決定。ビッグレースで常に表彰台に上がった"プリート"が3度目のタイトルを手にした。

text:Kei Tsuji

最新ニュース(全ジャンル)