汗が吹き出るような暑さのなかで開催された190kmのレースは、体調不良やトラブルにより遅れる選手が続出。総合上位に付けていたガルシア・ビセンテと清水都貴が後退し、木守望が総合2位にジャンプアップ。途中単独でアタックを仕掛けた伊藤雅和がステージ2位でゴールした。

ジャングルのなかの細い山道を登る選手たちジャングルのなかの細い山道を登る選手たち Photo : Sonoko TANAKA
日差しを避けるため傘の下でスタート時間を待つ日差しを避けるため傘の下でスタート時間を待つ Photo : Sonoko TANAKA酷暑に見舞われた大会最長ステージ

大会最長距離となる190kmで開催されたツール・ド・イジェン第2ステージ。中盤に400m級の2級山岳が2つ続くが、全体的に道幅は狭く、アップダウンやカーブが連続する。チームカーから補給をしようとも、車が1台通れるだけの狭い道幅では、選手が呼んでも思うように前に上がることができない。このような状況が、波乱のレース展開を引き起こすことになった。

ジリジリと肌が焦げるような暑さのもとでスタートを切ると、いくつかの逃げグループが形成されたが、山岳が始まると吸収され、アジアの常勝チームであるイ21歳の同い年コンビだと言う池部壮太(マトリックスパワータグ)と徳田鍛造(日本ナショナル)21歳の同い年コンビだと言う池部壮太(マトリックスパワータグ)と徳田鍛造(日本ナショナル) Photo : Sonoko TANAKAランのタブリーズ・ペトロケミカル、そして多くのイラン人選手が加入したRTSレーシング(台湾)がレースの主導権を握る。

2つ目の山頂をすぎて、先頭はイラン勢や登坂に強い伊藤雅和(愛三工業レーシング)、ジョン・アブセン(デンマーク、ダニッシュディスクリクト)ら7、8名ほどに絞られたが、下りで多くの選手が追いつき、レースの中盤では、40名ほどの大きな先頭集団ができた。

悔しさを味わった日本ナショナルチーム

総合上位を狙っていた清水都貴だったが、山岳エリアでパンク。チームカーが前方に上がっており、ニュートラルサービスも機能しなかったため、ホイール交換ができずに大きく遅れてしまう。またナショナルチームは、昨ステージで六峰亘が体調を崩しリタイア、中根英登、徳田鍛造も脱水症状や体調不良により後退、吉田隼人も落車しリタイアと、メイン集団に誰も残ることができなかった。しかし、その後、清水、中根、徳田はグルペットで完走。悔しい思いを明日からの2つのステージにぶつける。

バッドラックはナショナルチームだけでなく、総合3位につけていたガルシア・ビセンテ(スペイン、マトリックスパワータグ)も続いた。メイン集団で終盤まで走っていたものの、腹痛を訴え、途中リタイア。池部壮太も体調不良や脱水症状により遅れた。

集団の前方で山岳エリアを行く清水都貴(日本ナショナル)集団の前方で山岳エリアを行く清水都貴(日本ナショナル) Photo : Sonoko TANAKA池部壮太(マトリックスパワータグ)が集団の先頭で走る池部壮太(マトリックスパワータグ)が集団の先頭で走る Photo : Sonoko TANAKA
メイン集団から単独でアタックをかけた伊藤雅和(愛三工業レーシング)メイン集団から単独でアタックをかけた伊藤雅和(愛三工業レーシング) Photo : Sonoko TANAKA
伊藤雅和がアタックを仕掛け、ステージ2位

ステージ2位、総合6位でレースを終えた伊藤雅和(愛三工業レーシング)ステージ2位、総合6位でレースを終えた伊藤雅和(愛三工業レーシング) Photo : Sonoko TANAKAメイン集団ではイラン勢に加え愛三工業レーシングも積極的に先頭交代に加わり、残り40km地点で、次々と繰り返されるアタックのなかから、伊藤雅和が単独でのエスケープを成功させた。そこにジョン・アブセンとミルサマド・ポウルセイエディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)が追いつき、先頭は3人となったが、残り10kmでポウルセイエディがアタックをかけ、そのまま逃げ切り優勝。そして伊藤雅和がステージ2位となった。

愛三工業レーシングは、福田真平がメイン集団のスプリントを制してステージ4位、平塚吉光が8位、木守望が10位とトップ10に4選手が入る好成績だった。また総合2位のソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケチームの好成績に明るい雰囲気の愛三工業レーシング。アジアのレースでチームワークも培ってきたチームの好成績に明るい雰囲気の愛三工業レーシング。アジアのレースでチームワークも培ってきた Photo : Sonoko TANAKAミカル)も遅れたことで、木守望が総合順位を4位から2位にジャンプアップ。登坂力に優れる伊藤もトップから4分8秒差の総合6位につけている。

アジアツアー特有のトラブルが頻発しているが、アジアで戦い続けている愛三工業レーシングは自分たちのレースをきっちりと展開している印象だ。慣れないアジアの環境で、さまざまなリスクを最小限に抑え、いかにコンディションをキープするか、彼らには経験から培ったノウハウがある。


伊藤雅和のコメント

「下ってから主導権を握るチームがあまりなくて、愛三が先頭を引いたりしていたんですが、残り50kmくらいからペースが速くなってアタック合戦になった。10kmくらいアタックの攻防をやっているうちに、残り40kmで1人でうまく飛び出せたんですが、しばらくして、疲れたな〜と思ったときに、後ろから2選手が追いついてきました。イランの選手が『後ろは自分のチームがペースを抑えているから大丈夫だ、行くぞ!』とそこから3人で行き、残り10kmでイランの選手がアタックして、それには速すぎて付いていくことができず、2人でゴールをめざしました。

チームは、それぞれに役割分担がしっかりできているので、その結果、今日はステージ2位と4位という良い結果になった。今、木守が総合2位ですが、あくまでもチームの目標は各ステージで結果を出すことで、その延長線上に総合が付いてくればいいかな、というスタンスです。明日もチームで連携して走ります」


ツール・ド・イジェン2013 第2ステージ結果
1位 ミルサマド・ポウルセイエディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル) 4h56'48"
2位 伊藤雅和(愛三工業レーシング)                      +1"04"
3位 ジョン・アブセン(デンマーク、ダニッシュディスクリクト)  +1"09"
4位 福田真平(愛三工業レーシング) +2'46"
5位 ゴー・チョーンフア(シンガポール、OCBCシンガポール)
6位 平塚吉光(愛三工業レーシング)

総合順位
1位 ジェイソン・クリスティ(ニュージーランド、OCBCシンガポール)8h04'06"
2位 木守望(愛三工業レーシング) +1'29"
3位 ゴー・チョーンフア(シンガポール、OCBCシンガポール) +1'30"
4位 ムハメド・タウフィック(インドネシア、BRCC) +2'38"
5位 ミルサマド・ポウルセイエディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル) +2'59"
6位 伊藤雅和(愛三工業レーシング)                      +4"08"

山岳賞
アミール・ザルガリ(イラン、RTSレーシング)

ポイント賞
シャハルール・アミン(マレーシア、トレンガヌ)

チーム総合順位
OCBCシンガポール

イエロージャージを守ったジェイソン・クリスティ(ニュージーランド、OCBCシンガポール)イエロージャージを守ったジェイソン・クリスティ(ニュージーランド、OCBCシンガポール) Photo : Sonoko TANAKA

Photo & Text : Sonoko TANAKA
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